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伊藤和明の「防災えんす」

 

(インターネットラジオ)

NPO法人防災情報機構会長、元NHK解説委員の伊藤和明先生が、自然災害や環境問題、また防災に関する様々なテーマのお話を、分かりやすく解説します。

講師:伊藤和明
東京都出身
東京大学理学部卒業

NHKに入局し、23年間にわたり、解説委員として活躍。現在NPO法人防災情報機構の会長として、防災士の育成と防災の啓発活動に尽力。 また政府・中央防災会議の「災害教訓の継承に関する専門調査会」の座長としても活躍中。

 

 

 

山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

 

山口明の防災評論

防災評論(第89号)【平成29年12月号】

 

【目次】
〔政治行政の動向概観〕
〔個別の動き〕

01、ふるさと納税の使い道 災害支援に関心高く(総務省)
02、旅館、無許可営業疑い激増(厚生労働省)
03、原発避難者「大きな前進」 国・東電に賠償命令(福島地裁)
04、緊急地震速報 10年で身近に(気象庁)
05、災害避難民 1,390万人に(国連)
06、古い施設16%耐震不足(国土交通省)
07、臨時情報4ケースで(気象庁)
08、ゲリラ豪雨 10分前予測(情報通信研究機構)
09、堤防 不完全20か所超(会計検査院)
10、洪水かつ高潮で前日避難(中央防災会議)
11、海底地震計の情報 JRに(防災科研)
12、「南海トラフ情報」開始(気象庁)
13、直下地震 建物2割焼失(杉並区)
14、笹子トンネル事故 高速道役員ら書類送検へ(山梨県警)
15、浸水被害、復旧迅速に(国土交通省)

 

〔政治行政の動向概観〕
 冬場に入り、災害の中でも再び火災に注目が集まっている。さいたま市大宮区で発生した風俗店火災では5人が死亡(2017年12月25日現在)、さらに韓国の地方都市でスポーツ施設をはじめとする雑居ビルが全焼、少なくとも29人が死亡したと報じられている(同日現在)。
 さいたま市の風俗店火災では被災した建物は1965年の建築(1967年に3Fを増築)で、50年以上経過している。火事というと消防法違反に目を向けがちだが、今回の大事故に至った主因は建築基準法にある。この建物は延焼を防ぐためビルの階段とそれ以外を区画する防火戸の設置が義務づけられた1969年の建築基準法改正前の建築物だった。建築基準法上の防火設備である防火戸や排煙設備(消防用の排煙を除く)はスプリンクラー等の消防用設備と異なり、建てられた時に適法であれば法改正後も遡及して法適合性を問われない、いわゆる「既存不適格建築物」であり、建築法令に限っていえば消防も警察も手の出しようのない領域にある存在だ。この事実が今回の事故の主たる要素となったが、全国でこれに類する既存不適格建築物は何千万とある。国土交通省は再び繰り返されたこの雑居ビル火災を重くみて、既存不適格(不遡及)制度について少なくとも防火戸など消防用設備類似物については何らかの法制上の見直しをかけるべきではないだろうか。
 とはいえ、今日に多数存在する既存不適格建築物は耐震性も含め大きな問題を抱えたままであるのは事実である。一般住宅はともかく、不特定多数の者が利用するような飲食・風俗などの建築物について、防災士をはじめとする市民はその建築年限をチェックしたり、外観でその危険性を概略判断したりして、普段から意識して身を守る習慣を養うべきであろう。

 

〔個別の動き〕
1、ふるさと納税の使い道 災害支援に関心高く(総務省)
 ふるさと納税は災害支援に使ってほしい――。ふるさと納税サイト運営のトラストバンクがふるさと納税の利用者の意識をまとめたところ、寄付金の使い道で最も関心が高かったのは「災害支援」で、59.3%を占めた。総務省は返礼品の見直しを進める一方で、寄付金の使途を明確にするよう市町村に要望している。
 2016年度に熊本地震や糸魚川大火の被災地が、前年度のふるさと納税による寄付の6倍以上を集めるなど実際に被災地にふるさと納税が集まっている。災害支援は、性別、年代別でもすべての分野で1位となった。
 2番目に関心が高かったのは「子育て・教育」で37.4%だった。自然保護(30.9%)、医療・福祉(27.5%)が続いた。子育て・教育は20代、30代、40代で2位だったが、60代以上では「高齢者支援」が2位となった。

 

2、旅館、無許可営業疑い激増(厚生労働省)
 厚生労働省は、旅館業法に基づく営業許可を得ていない疑いがあるとして2016年度に自治体が施設の指導や調査に乗り出した件数が、全国で1万849件に上ったと公表した。2015年度の1,413件から激増しており、同省は「住宅を宿泊施設として活用する『民泊』の影響の可能性がある」としている。
政府は外国人旅行者の増加に伴い、昨年4月に許可制の形で民泊を解禁。ただ、無許可営業や近隣住民とのトラブルへの懸念も出ていた。
 経緯では「警察・消防などからの連絡」が4,713件(43%)と最も多く、「近隣住民・宿泊者からの通報」(3,721件、34%)「保健所の巡回指導」(1,721件、16%)と続いた。指導の結果、許可を取得したり、営業そのものを取りやめたりしたケースもあるが、インターネットで紹介されていた住所に施設が存在しないことや営業者と連絡が取れないことも多く、半数以上が調査中だという。
 厚労省は自治体や警察に取り締まり強化を求めるほか、無許可営業に厳しく対応するため罰則を大幅に引き上げる改正旅館業法の成立を急ぐ。

 

3、原発避難者「大きな前進」 国・東電に賠償命令(福島地裁)
福島第1原子力発電所事故を巡り、国と東京電力の賠償責任を認めた10月の福島地裁判決。避難を強いられた原告は「大きな前進」「今後の訴訟に影響する」と喜びの声を上げた。ただ、居住地の放射線量を事故前の水準に戻す原状回復の訴えは退けられるなど「不十分」との声も漏れた。
【国・東電の責任】
 規制権限の不行使は許容限度を逸脱し、著しく合理性を欠いた。国は賠償責任を負う。東電は予見可能な津波対策を怠った結果、事故に至った。過失はあるが、故意や重過失は認められない。
 原子炉施設の安全性確保の責任は第一次的に原子力事業者にあり、国の責任は監督する第二次的なもの。国の賠償責任の範囲は東電の2分の1。

 

4、緊急地震速報 10年で身近に(気象庁)
 大地震の発生を知らせる緊急地震速報の一般提供が始まってから10年が経った。「混乱を招く」と危惧されたスタートから、現在では個々のスマートフォンに直接届く誰もが知る情報になった。
 緊急地震速報は、地震発生直後に震源に近い地震計に届く小さく速い地震波(P波)を検知して解析し、ゆっくりと届く大きな揺れを起こす地震波(S波)の到達前に自動で情報を発信する仕組みだ。P波の解析にかけられる時間は数秒。P波の最初のわずかな波形から地震全体の大きさを瞬時に計算できるよう研究を重ねた。
 提供開始後も、複数の地震の発生を分離して解析できるようにするなど、誤報を減らし精度は上がったが「地震検知から速報が流れるまで、一切人の手が入らない。速報のスピードは限界に近い」と担当者は明かす。
 重要だったのが、認知度向上だった。「『地震が来るぞ』とテレビが放送したために事故が起こったら、気象庁は責任をとれるのか」。提供開始前、実際に速報を放送するテレビ局から強く求められた。
 状況が一変したのは2011年3月の東日本大震災だ。提供開始から2011年2月まで計17回だった速報が、3、4月の2か月で71回出た。認知度はあっという間に上がり、懸念の声もなくなった。
 主な携帯各社は初期設定で速報を受信するようにしており、多言語辞書の作成など、個人に情報が行き渡る仕組みも整ってきた。
 気象庁は、緊急地震速報を流すマスコミや商業施設に、最初の警告音を統一するように呼び掛けている。「音が鳴った瞬間に条件反射で身構える、身を守る姿勢をとる、それだけでも身の安全は全然違う」。一人でも多くの命を救いたいという担当者の思いは、10年間変わっていない。

 

5、災害避難民 1,390万人に(国連)
 国連の国際防災戦略(ISDR)は、世界各地で洪水や台風といった自然災害が多発する中、毎年推計1,390万人が自宅を失うなどして避難生活を強いられる「災害避難民」となる恐れがあるとの報告書を発表した。10月13日は国連が定める「国際防災の日」。
 ISDR当局者は「内戦や紛争だけでなく、災害も避難民発生の大きな要因だ」と指摘。2015年3月の国連防災世界会議で採択した国際行動指針「仙台防災枠組」に基づき、各国に防災対策の強化を求めた。
 報告書によると、昨年は約2,420万人の災害避難民が発生。今年も7~9月だけで中南米のハリケーン被害などで800万人以上が避難民になったと推定される。ISDRは地球温暖化などで今後も災害が増えると予想。世界204か国・地域の防災に関するデータを分析したところ、人口が多く、災害インフラも脆弱な南アジア・東南アジア地域で災害避難民発生のリスクが高かった。
 国別の年間の発生予想はインドが約230万人と最多で、中国約130万人、バングラデシュ約120万人が続いた。原因となる災害は洪水が71%、熱帯低気圧と地震がそれぞれ14%だった。

 

6、古い施設16%耐震不足(国土交通省)
 1981年以前の旧耐震基準で建てられたホテルや病院、小中学校などの建物のうち、一定規模以上の約8,700棟の耐震性を診断したところ、約16%が震度6強~7の地震で倒壊や崩壊の恐れがあることが分かった。国土交通省は改修などの対応を求めており、施設側は対応に追われている。
 診断は2013年11月施行の改正耐震改修促進法に基づくもの。震度6強~7の地震でも倒壊・崩壊しないとする新耐震基準(1981年6月導入)以前に建てられた3階建て5千平方メートル以上の宿泊施設や病院、店舗▽2階建て3千平方メートル以上の小中学校といった多くの人が利用する建物などが対象。所有者が2015年末までに診断を受け、報告を受けた自治体が結果を公表することが求められている。
 国交省などによると、10月現在で北海道と東京都、和歌山県は公表に至っていないが、ほかの44府県の各自治体(大津市を除く)は結果を公表した。棟数は計約8,700棟で、その約16%にあたる約1,400棟が現行の耐震基準を満たさず、震度6強~7の地震で倒壊、崩壊する危険性が高い▽もしくは危険性があることが判明した。県民会館や市民体育館、百貨店なども含まれ、診断結果を受けて廃業したホテルもある。
 耐震工事に向けて動き出す施設も多い。千葉県鴨川市の鴨川シーワールドは9月から来春まで、耐震不足とされた一部施設を展示中止にした。沖縄県恩納村のホテルみゆきビーチは来年6月、一部建物の建て替えを予定。岐阜・下呂温泉の老舗旅館「水明館」も、数億円規模の費用をかけ、一部の建物の改修を予定しているという。
一方、広島市こども図書館は改修の時期は未定で、「必要不可欠な施設」(同市の担当者)なため休館せず、今も運営を続けている。自治体による補助はあるが、費用面の不安から改修に踏み切れない建物もあるようだ。

 

7、臨時情報4ケースで(気象庁)
 気象庁は南海トラフ地震に関する「臨時情報」を出すケースとして4つを想定している。
1つ目のケースは「想定される巨大地震よりも小さいM7以上の地震が発生した場合」。南海トラフでは巨大地震の前にM7以上の地震が起きた記録はないが、M9.0の東日本大震災の2日前にM7.3の前震が起きたことを重視。南海トラフでM7以上の地震が発生すれば、その後巨大地震につながる可能性があると判断する。
 2つ目のケースは「M6以上の地震が発生し、『ひずみ計』が特異な変化を観測した場合」。3つ目のケースは「複数のひずみ計が特異な変化を観測した場合」。ひずみ計は地盤のわずかな変化を捉える観測機器で、東海地震対策用に静岡県などに設置されている。
 4つ目のケースは「プレート境界で『すべり』が発生した場合」。海側のプレートが陸側のプレートにすべり込み、蓄積したひずみに耐えきれず境界面がすべり、巨大地震が起きるとされる。
 こうした4つの現象が起きれば、気象庁は有識者による「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」を招集して分析する。現象の発生から30分程度で検討会開催の第一報を出し、2時間程度で現象が巨大地震につながるのかどうかを評価した第二報を出す。内閣府は関係省庁会議を開き、被害想定地域の住民に警戒を呼びかける。
 南海トラフは静岡県沖の駿河湾から九州沖にかけて約700キロ続く海底の溝で、歴史上巨大地震が繰り返し起きている。今後30年間で発生する確率は70%程度とされ、政府は最大で死者は30万人以上と想定している。
確度の高い「予知情報」を出せないから「警戒情報」を出す――。気象庁が南海トラフ地震関連情報の発信を始める理由は、「予知ができる」とした従来の防災対応を約40年ぶりに見直し、「予知は難しい」との立場から巨大地震発生の恐れがある段階で情報を出す対応に転換したためだ。
 だが、現時点では地震関連情報の精度は不透明で、政府は住民に注意を促すだけで事前避難などは呼びかけない。情報を受けて自治体が事前避難を呼びかけるのかどうかの統一方針も決まっておらず、その判断は住民に委ねられている。
 異常現象が巨大地震とどこまで関係しているかは不明だ。現実には地震関連情報が出ても何も起きない「空振り」も想定される。この不確実さを十分に周知し発信の仕方も工夫しなければ、住民は避難すべきなのかどうか判断に困り、混乱が生じる可能性がある。
 住民が外出を控えたり、店舗が営業を自粛したりして経済活動がまひする恐れがあるほか、学校や鉄道をどこまで制限するのかなどの課題も残されている。

 

8、ゲリラ豪雨 10分前予測(情報通信研究機構)
 情報通信研究機構や首都大学東京らは、首都圏で発生する局地的なゲリラ豪雨を10分ほど前に予測する新型レーダーを開発、2018年夏にも実証試験を始める。大雨を降らせる積乱雲の変化を従来の気象レーダーより素早くとらえる。自治体に情報提供するほか、2020年の東京五輪・パラリンピックでの活用を検討している。
新型レーダーは「マルチパラメーター・フェーズドアレイ気象レーダー」で、埼玉大学で設置作業を始めた。数千のアンテナを備えており、2種類の電波を出す。30秒間に半径80キロメートルの範囲でどこにどんな雲があるかを立体的に観測できる。
 積乱雲は発生してから10分ほどで急速に発達し、大量の雨粒を蓄えてから大雨が降るまでの時間も短い。新型レーダーは変化する積乱雲の様子をとらえ、降り始める10分前には予測できる。従来のレーダーだと狭い範囲しか観測できず、予測に必要なデータを集めるのに時間がかかった。
 類似のレーダーは大阪大学(大阪府吹田市)や気象庁気象研究所(茨城県つくば市)などに試験導入されているが、新型レーダーはより高精度の観測ができる。
 稼働後は自治体への情報提供やスマートフォンなどを使った住民への注意喚起に活用する。
東京五輪の会場をほぼカバーできるため、安全に競技が実施できるかの判断にも役立てられるという。

 

9、堤防 不完全20か所超(会計検査院)
 全国の河川改修事業による堤防の整備状況を会計検査院が調べたところ、途切れていたり高さが不足していたりして堤防の役割を十分に果たせない恐れのある場所が、計20数か所あることが分かった。豪雨の際に水害が発生する危険性が高いとして、検査院は国土交通省に事態を早めに解消するよう指摘する。
 国交省と各自治体が進める河川整備計画は、過去の豪雨時の水位や流域人口などを勘案して堤防の高さを定めている。検査院が指摘する20数か所の整備事業には約500億円が投じられている。
 検査院が進行中の河川改修事業を調べたところ、関東や東北、九州、四国、北陸、中国の地方整備局管内の事業で、一部の区間だけ堤防が完成していない場所が10か所以上見つかった。また、河川に橋が架かっているため、計画した堤防の高さまで「かさ上げ工事」ができない場所も約10か所あった。こうした箇所の中には、豪雨の際に実際に洪水の被害が発生した場所もあった。
 整備が進まない主な原因は、堤防が途切れているケースでは必要な用地の買収ができないことで、高さが足りないケースは橋のかさ上げ工事に高額な費用がかかるためだった。
 検査院は国交省に対し、関係者との協議を進めるよう指摘するほか、自治体に早期完成を促すよう助言することを求める。

 

10、洪水かつ高潮で前日避難(中央防災会議)
 政府の中央防災会議は、大都市で水害が発生した場合の避難対策に関する有識者会合を開いた。超大型台風の影響を受け、東京都内で洪水と高潮が同時に起きることが予想されれば、前日までに避難する必要があるとの認識で一致した。都府県や市区町村をまたいだ「広域避難」の方向性を取りまとめる
 国が広域避難の必要性を提示し、政府の防災基本計画や東京、大阪、名古屋の三大都市の避難計画に反映させる。
 会合では、東京都江東区など東京湾の周辺5区をモデルにして、超大型台風の影響により高潮が発生し、荒川など4河川で堤防が決壊したと想定して、避難状況を検証した。
 5区全住民の6割程度の155万~175万人を広域避難の対象とし、公共交通機関の運休や道路の渋滞によって避難が困難になることから、避難に5時間以上かかると試算した。
 徒歩での避難は困難になるとして、輸送力のある鉄道の活用を提案。災害発生を予測して前日までに避難を始めることが必要とした。避難方面ごとに交通手段を事前に決めて市町村間で協定を締結し、浸水被害を抑制するため駅の排水対策などを進めることも求めた。

 

11、海底地震計の情報 JRに(防災科研)
 防災科学技術研究所と本州のJR3社は、南海トラフなどの巨大地震の際にいち早く新幹線を止めるため、海底観測網の利用を始めると発表した。これまでは陸上の観測網に頼っていたが、最大10~30秒早く地震を検知できるようになる見込みだ。まずはJR東日本が11月1日から東京駅と福島県内の間などで先行して活用する。
防災科研が運用する東日本沖の日本海溝海底地震津波観測網「S-net」と、南海トラフの震源域に置いた地震・津波観測監視システム「DONET」を使う。JR東日本とJR西日本、JR東海は防災科研とデータ利用の協定を結んだ。
 JR東日本はこれまで自社の135台の地震計と気象庁の緊急地震速報の情報をもとに、新幹線の緊急停止を判断していた。新幹線に地震の衝撃がおよぶ最大40秒前に検知できる仕組みだった。
 震源に近い海底観測網を使えば、さらに20秒早く地震を把握できるようになるという。東北新幹線「はやぶさ」の場合、従来は最高時速の320キロメートルから時速170キロメートルまでしか減速できなかったが、同70キロメートルまで落とせるようになり安全性が高まる。JR東海と西日本は準備が整い次第、運用を始める。2019年春の開始を見込む。JR東海は日本海溝を震源とする場合で最大30秒、南海トラフの場合で15秒緊急停止信号が早くなるとしている。JR西日本は最大10秒早くなるという。

 

12、「南海トラフ情報」開始(気象庁)
 気象庁は、南海トラフ巨大地震が発生する可能性が高まった時に発表する「南海トラフ地震関連情報」の運用を始めた。情報が出た場合に、沿岸地域の自治体や住民にどのような防災対応を求めるか、政府が検討を続けている。
 情報は巨大地震の想定震源域で①マグニチュード(M)7以上の地震②M6(または震度5弱)以上の地震が発生し、プレート境界の固着状態を観測するひずみ計に特異な変化③地震は発生していないが、ひずみ計に有意な変化――などの異常な事態を観測した場合に発表する。
 気象庁が有識者でつくる「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」を招集し、発生の可能性が高まっているかどうかを判断する。

 

13、直下地震 建物2割焼失(杉並区)
 東京都杉並区は首都直下地震が発生した場合の被害想定を独自に作成した。東京湾の北部でマグニチュード(M)7.3の地震が起きた場合、区内にある建築物の2割が焼失すると予測している。50メートル四方を1単位としてきめ細かく震度や焼失棟数、人的被害などを予想したのが特徴で、災害に強い街づくりに向けデータを活用する。
首都直下地震の被害想定としては、東京都が2011年の東日本大震災を受け250メートル四方を1単位としたシミュレーションを作っている。杉並区によると、東京23区では初の事業。250メートル四方の場合、平均約300棟の建物が立地するが、50メートル四方だと20~30棟程度まで絞れる。被害の予測精度をより高める狙いがある。
 M7.3の地震が冬の午後6時に発生した場合、区東部で震度6強の揺れを観測する地域が集中するとしている。区全体では木造住宅が密集する地域を中心に、全建物の2割に当たる約2万7千棟の焼失を予想。火災や建物の倒壊で、500人を超す死者、3千人を上回る負傷者が出ると見込んでいる。
 今回のデータをもとに、杉並区は減災対策を強化する。「建物の耐震化」「幅4メートル未満の狭い道路の拡幅整備」などの対策を進めれば、焼失は約1万7千棟へと3割以上減らせると予想。死者は9割減、負傷者は6割減と人的被害を軽減できるとも指摘している。
 首都直下地震は30年以内に70%の確率で発生すると予測されている。

 

14、笹子トンネル事故 高速道役員ら書類送検へ(山梨県警)
 2012年12月、9人が死亡した山梨県大月市の中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故で、山梨県警は、管理会社「中日本高速道路」と保守点検を行っていた子会社「中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京」の当時の両社長を含む役員4人と保守点検の担当者らを業務上過失致死傷容疑で甲府地検に書類送検する方針を固めた。発生から5年近くが経過し捜査は節目を迎えるが、役員らが事故を予測できたかの立証が難航したといい、起訴のハードルは極めて高いとみられる。

 

15、浸水被害、復旧迅速に(国土交通省)
 国土交通省は、洪水による浸水被害からの復旧を迅速化するため、2018年度から住宅密集地を流れる河川の水門や排水ポンプ施設の改良に乗り出す。低い土地にたまった水を排出する能力を向上させるのが狙いで、東京都の荒川を皮切りに、大阪府の淀川、愛知県の庄内川を順次整備することを検討している。
 河川の本流と支流の間にある水門は、逆流による氾濫を防ぐため、大雨などで水位が上がった場合に閉鎖される仕組みになっている。豪雨で支流側の水があふれた場合に、本流に流すため、水門が上げ下げできるよう改修する。
 水門付近にある排水ポンプ施設についても、水害発生時にきちんと機能するように防水壁などの設置を進める。
 国交省の試算では、台東、墨田両区の境にある堤防が決壊した場合、排水ポンプ車を使って浸水を解消するには2週間以上かかる。水門1か所の改良により、浸水解消に3日以上かかる地域は約2割減少すると想定されるという。

 

[防災短信]
01、御嶽山噴火から3年(9月27日)
 ~火山対策、新穀な人材不足 気象庁~ 2017年9月24日付 日本経済新聞
02、日本の救助隊現地入り
 ~メキシコ地震 死者282人に~ 2017年9月23日付 日本経済新聞
03、「ソフトターゲット」五輪へ不安
 ~対テロ 論戦もっと~ 2017年10月20日付 日本経済新聞
04、外国人向け避難訓練
 ~五輪にらみ、消防庁避難訓練プログラム開発~ 2017年10月25日付 日本経済新聞
05、「竹前線」破竹の北上
 ~温暖化で拡大予測 東北大~ 2017年10月16日付 日本経済新聞
06、点滅信号 撤去進む
 ~全国警察 ルール浸透せず、一時停止標識に変更~ 2017年9月24日付 読売新聞
07、自主避難 賠償額を半減
 ~大阪高裁 東電の責任は認定~ 2017年10月28日付 朝日新聞
08、三陸鉄道の経験伝える
 ~和歌山で鉄道津波サミット 復旧は臨機応変に~ 2017年11月20日付 日本経済新聞
09、津波後のわが町描く
 ~徳島県美波町 住民ら事前復興計画~ 2017年10月16日付 日本経済新聞
10、復興支援 個から地域へ
 ~東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN) 仙台~ 2017年11月03日付 毎日新聞
11、M7.3地震 140人超死亡
 ~イラン・イラク国境地震 1,000人以上ケガ~ 2017年11月13日付 日本経済新聞(夕刊)
12、復興拠点を年内申請
 ~福島県浪江町 整備計画案~ 2017年11月14日付 日本経済新聞
13、Jアラート 一斉訓練
 ~全国で消防庁 災害やミサイルに備え~ 2017年11月14日付 日本経済新聞(夕刊)
14、弾道ミサイル着弾想定
 ~武力攻撃に初の訓練 長崎県~ 2017年11月22日付 日本経済新聞
15、民泊2泊3日からOK
 ~特区の条件緩和 大田区~ 2017年10月19日付 日本経済新聞
16、原発事故 国の責任否定
 ~千葉地裁 東電には指針上回る賠償~ 2017年9月23日付 日本経済新聞
17、夜間対応学ぶツアー
 ~東京消防庁 子供向け楽しく啓発~ 2017年10月07日付 日本経済新聞
18、火山対策練り直す自治体
 ~桜島大正噴火に学ぶ 鹿児島県~ 2017年10月19日付 毎日新聞
19、災害公営住宅 用地半数で未確保
 ~熊本地震1年半 熊本県内13市町村~ 2017年10月15日付 日本経済新聞

 

 

【参考文献】

1、 2017年10月06日付 日本経済新聞
2、 2017年10月09日付 日本経済新聞
3、 2017年10月11日付 日本経済新聞
4、 2017年10月11日付 日本経済新聞
5、 2017年10月13日付 日本経済新聞(夕刊)
6、 2017年10月20日付 朝日新聞
7、 2017年10月25日付 日本経済新聞
8、 2017年10月26日付 日本経済新聞
9、 2017年10月27日付 日本経済新聞
10、 2017年10月30日付 日本経済新聞(夕刊)
11、 2017年10月31日付 日本経済新聞
12、 2017年11月01日付 日本経済新聞
13、 2017年11月02日付 日本経済新聞(夕刊)
14、 2017年11月03日付 毎日新聞
15、 2017年11月03日付 日本経済新聞(夕刊)

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第89号平成29年12月号ふるさと納税の使い道 災害支援に関心高く(総務省)他
第88号平成29年11月号防災情報 まとめサイト(国土交通省)他
第87号平成29年10月号早く精緻 予報も進化(気象庁)他
第86号平成29年9月号支援物資の輸送を改善(中央防災会議)他
第85号平成29年8月号惨事ストレスケア2,700人(消防庁)他
第84号平成29年7月号ドクターヘリ 基準緩和(国土交通省)他
第83号平成29年6月号災害派遣職員、地元優先で(中央防災会議)他
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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■ リスクマネジメントの観点から見た防災災害情報

  提供:株式会社アーネストプレイス

  出典:東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

 

  ■(平成29年7月13日公開)
  □ 2016年福島県沖を震源とする地震および津波について
  □ 糸魚川市大規模火災の教訓と対策
  □ 2016年の地震災害を振り返って ~内陸活断層地震のリスクを正しく知る~

 

 ■(平成29年1月11日公開)

  □ リスクマネジメントにおける地理情報システムの活用
  □ リスクマネジメントにおける地理情報システム活用最新動向
  □ 浸水想定区域図から学ぶ~水防法の考え方と企業における活用方法~
  □ インド南部タミル・ナド州で発生した洪水について

 

 ■ (平成28年7月8日公開)

  □ 消防点検だけでは安心できない建物の防火管理

  □ 平成28年熊本地震の被害について ~内陸活断層地震のリスク~

  □ 平成28年熊本地震の特徴と企業に求められる地震対策