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防災評論 第13号

 山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

第13号

 

 

〔政治行政の動向概観〕

 1月26日(平成23〔2011〕年)から火山活動を活発化させた霧島新燃岳の状況は、以前のような爆発的噴火は影を潜めたものの、依然として降灰被害や大雨による土石流発生への懸念が継続し、予断を許さない状態にある。そして、要援護者を含む周辺地域住民には気の休まらない日々が続いている。
 国会においても、平成23〔2011〕年度の開幕を目前に控え、毎日が緊張の連続となっている。平成23年度当初予算については、何とか3月1日に衆議院を通過し、年度内の自然成立が確定したが、財源となる赤字国債の発行のための財政特例法などの予算関連法案は、衆議院における3分の2以上の議員の賛成による再可決の目途も含め、全く成立の見通しが立ってない状況である。このような状況の中で、現職の外務大臣が政治資金の問題で3月7日に辞任に追い込まれるなど、政権の基盤も揺らいでいる。
 一方、2月22日にニュージーランド南島で発生したマグニチュード6.3の直下型地震は、当初の想定を遙かに超える大惨事へと発展し、建築強度に疑問があり、日本人留学生が通う語学学校も入っている、TV放送局の建物が完全倒壊するなど、日本人を巻き込んだ大被害を中心都市クライストチャーチにもたらした。2月28日には消防、警察などからなる日本の国際緊急援助隊が現地に到着し、このビルでの救助活動を徹夜シフトで敢行したものの、生存者の手がかりすらつかむことはできなかった。その後、行方不明になっている28名の日本人留学生等のうち1名の死亡が3月6日の時点で確認されたが、残りの27名については依然として生死不明の状態が続いている。
 今回の地震で、中規模の地震であっても、震源のいかんによっては、大きなダメージを都市にもたらすことが、改めて実証された。
 防災士は日々の防災活動について、これを教訓として更に研鑽に励むとともに、今後もより幅広い分野の人々が、防災士の資格を取得するよう期待したい。

 

〔個別の動き〕

1、大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)

 雪下ろしの際の転落など、昨年(平成22〔2010〕年)11月1月から今年(平成23〔2011〕年)1月31日までの大雪による死者は13道県で81人に上ることが、2月1日に総務省消防庁の集計で分かった。死者積算のペースは、戦後2番目の死者数を記録した「平成18〔2006〕年豪雪」以来の早さである。また、65歳以上の高齢者が53人と6割超を占めている。
 総務省消防庁によると、屋根の雪下ろしや除雪作業中に死亡した人が60人に達し、次いで落雪などが12人、雪崩が6人などになる。都道府県別の死者は新潟県の19人が最も多く、北海道が15人、秋田県が11人、山形県が9人などとなっている。
 全国のけが人は、重傷が389人、軽傷が582人で、民家が破損する被害も発生している。
 平成17〔2005〕年12月から平成18〔2006〕年3月までの間の「平成18年豪雪」では152人が死亡した。
 ちなみに、戦後、大雪の死者が最も多かったのは「昭和38〔1963〕年1月豪雪」の228人である。

 

2、霧島山(新燃岳)の噴火警戒レベルを3(入山規制)へ引き上げ(気象庁)

 新燃岳では、平成23〔2011〕年1月26日7時31分にごく小規模な噴火が発生し、その後も噴火が継続している。更に14時49分頃から火山性微動の振幅が大きくなり、噴火の規模が大きくなっている。15時30分頃から灰白色の噴煙が火口縁上1,500メートルまで上がり、現在も継続している。

 今後、更に活動が活発になる可能性があることから、1月26日18時00分に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。

 新燃岳から2キロメートル程度の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石等への警戒が必要だ。

 風下側では降灰、及び風の影響を受ける小さな噴石(火山れき)に、降雨時には泥流や土石流に注意が必要となる。

 

(参考)気象庁ホームページ

「霧島山(新燃岳)の噴火警戒レベルを3(入山規制)へ引き上げ」

 

3、風水害と温暖化の関係(国立環境研究所)

 人間の活動によって大気中に排出された温暖化ガスが、豪雨や洪水が起きる危険性を高めたとする研究結果を、カナダや英国、日本の国立環境研究所などのチームが実際の気象データを用いた解析でまとめた。
 地球温暖化で豪雨が増えるとの指摘は従来もあったが、実際のデータに基づいて関係を裏付けた研究は初めてという。温暖化が進むと、これまでの予測以上に豪雨が増えるとの分析も、同チームによって提示された。発展途上国を中心に増加している豪雨被害を最小限に抑えるために、国際的な温暖化対策の一層の強化が求められる。

 

4、都市型水害に防災マップ(警視庁)

 集中豪雨で大量の雨水が下水管からあふれたり、地下街に流れ込んだりする「内水氾濫」の危険個所などを示すハザードマップを、警視庁が全国の警察で初めて作製した。こうした都市型水害の被害は近年拡大しているが、マップを作製している自治体は一部にとどまっている。警視庁はマップを手がかりに対策を強化する考えである。
 警視庁によると、マップには①冠水危険地帯 ②急傾斜地 ③車両が水没する危険があるトンネル ④浸水の危険がある地下街 ⑤避難場所、などの位置情報のほか、防災関連機関の連絡先などが一目で分かるように記載されている。
 平成20〔2008〕年8月には豊島区雑司が谷で大雨洪水注意報の発令からわずか15分後に神田川流域が急激に増水した。その為、下水道工事中の作業員5人が激流に流され、死亡する事故が起きた。
 水防法は河川流域の市区町村に洪水ハザードマップの作製を義務付けているが、対象は外水氾濫のみである。
 今回のマップは一般には公開しないが、今後自治体などに提供する。警視庁は内水被害に関する情報交換や訓練を進め、自治体と協力して内水氾濫への対策を強化する方針だが、防災士も是非アクセスしたい。

 

 

5、外国人にもわかるやさしい日本語による防災情報(地方公共団体)

 地震などの災害時に、日本語が不慣れな外国人にも避難指示などの情報が正確に伝わるように、看板や防災マニュアルなどを平易な日本語で表記する自治体が増えている。「やさしい日本語」と呼ばれ、普段の情報提供にも活用され始めている。
 「やさしい日本語」は、阪神大震災で被災した外国人の多くが十分な情報を入手できず、水や毛布などの支援を受けにくかったとの教訓から、弘前大学や国立国語研究所(東京都立川市)などの研究者らが提唱しているものだ。小学校2、3年程度で習う語彙の範囲で意思疎通ができるようにするのが狙いである。
 例えば、神奈川県横須賀市、青森県弘前市、愛知県安城市、千葉市などで、さまざまな取り組みが行われている。
 防災士の日常活動においても、このような取り組みが行われていくことが必要である。

 

【参考文献】
・『毎日新聞』平成23〔2011〕年2月1日
・『日本経済新聞』平成23〔2011〕年2月17日
・『日本経済新聞』平成23〔2011〕年2月21日夕刊

 

 

 

 

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第83号平成29年6月号災害派遣職員、地元優先で(中央防災会議)他
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