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防災評論 第24号

 山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

第24号

 

【目次】

〔政治行政の動向概観〕       

〔個別の動き〕 

 

〔個別の動き〕
1、首都直下地震の発生確率(地震調査委員会)
2、被災地に悪質な開運商法(国民生活センター
3、都市主要駅防災強化(国土交通省等)
4、水門 「閉鎖より避難」
5、超高層ビルの長周期の揺れ(文部科学省)
6、首都130万人が「避難先なし」(東京都)
7、落ち葉や枯れ枝で発電(国土交通省)
8、復興支援員(総務省)
 9、災害時のDNA鑑定(警察庁)
10、必死の「逃げて」教材に(埼玉県教育委員会)
11、局地豪雨 30分先予測(気象庁)
12、防災無線受信のラジオ普及へ代金一部負担
13、ニュージーランド地震倒壊ビル欠陥建築(ニュージーランド政府)

 

〔政治行政の動向概観〕

東日本大地震惨禍から11か月が経った2月10日(平成24〔2012〕年)、ようやく、復興の司令塔となる復興庁が始動した。

図-1

 復興庁は、これまで、省庁ごとに行っていた自治体側からの要望を一手に吸い上げるとともに、司令塔としても必要な政策を企画・立案し、被災自治体の復興計画策定を支援する機関で、主任の大臣は内閣総理大臣となり、担当閣僚として復興大臣が置かれる。更に、復興交付金の配分や、復興特区の認定につなげていく。250人体制で、東京本庁に加え、岩手、宮城、福島の各県に復興局が、同3県の沿岸部に6か所の支所が置かれる。青森、茨城の両県にも事務局が1か所ずつ置かれている。復興庁の発足についてマスコミでは、「タテ割り行政の弊害が打破できるのか」、「地方の声を吸い上げるには力不足」などの、お得意の挙げ足取りの論調が花盛りである。現に、復興庁発足直後、早々に行われた復興特区の認定、復興交付金の第1次配分につき、特に、宮城県ではその採択比率が低かったとして、国に知事が抗議する一幕もあった。しかし、復興大臣があえて言及したように、交付金といえども、臨時増税までして生み出した貴重な国民の財産(税収)である。なんでもかんでもバラマキ的に交付するのは、真の復興政策とは言えない。統 一的な基本財源のもと、復興に真に資する施策に適正に配分するのが筋であろう。

 

この件が代表するように、地方自治体のあり方と大震災からの復興の関係については、いろいろな問題が改めて浮き彫りになっている。マスコミ論調や国会論戦では、決まって、復興を進めるに当たっては、何よりも地方の自主性を尊重することばかりが強調され、政治・行政もそのことを当然の前提として復興を議論しなければならないかのような縛りにとらわれているが、現実には、その「地方自主性優先主義」とは逆に、復興の進展を妨げているかのような事例が目立ってきている。
 例えば、

 

1. 今後、廃炉完了までに40年以上もかかることが明らかとなっている福島第1原子力発電所周辺20キロ区域(現在の警戒区域設定地域)には、現在、居住者はいなく、今後も、当面居住は極めて困難であるにも拘らず、当該エリアに予定される核関連物資の中間貯蔵施設の建設に頑強に抵抗する域内自治体。

2. 地域によっては、フル稼働しても、100年以上もの間の処理年限を要する量に達している震災関連廃棄物(ガレキ)の広域処理に関して、放射能に全く汚染されていないと考えられる箇所のものまで受入れを拒否する全国の自治体。

3. 復興財源に充てるために、国家公務員の給与は、憲法や人事制度の枠を無視して、4月から平均約8パーセントの削減が決まったが、給与財源の大半を国に実質的に依存しているにも拘らず、これに追随しない地方公務員。

4. 原子力発電の安全性確保に異議を唱えてその再開を許さないことで、今夏の電力需給に大きな壁を作りながら、一方で、核燃料税(地方単独税)について、稼働もしていない原発の外形的規模(熱出力)を課税対象に変えて増税を図ろうとする地方自治体。

などの事例が挙げられる。

 

 このほか津波による被災で庁舎機能を完全に喪失し、域外に仮庁舎を設けてしのいでいる市町村も、いまだに多く存在する。これについては、本来の地方自治が執行できる体制さえ整っていない現状である。東京都知事が、2のガレキ処理について発言したように、これだけの大規模災害に対する本格復興については、地方の狭い利害を超えた思い切った調整が時には必要ではないだろうか。マスコミや評論家も、ただただ国に対策の遅れを糾弾するだけでなく、国・地方を通じた復興政策に関する骨太の議論を、タブーを恐れることなく展開することが求められる。地方自治が十分機能していない復興現場で、防災士には、「地域の防災・復興専門家」として、地域被災者等からのキメ細かいニーズに的確に応えていく好例を、今後、益々果たして欲しい。

 

〔個別の動き〕

 

1、首都直下地震の発生確率(地震調査委員会)

 マグニチュード(M)7級の首都直下地震を巡り、東京大学などの研究チームが「4年以内に最大70パーセント」などと、切迫性を示す発生確率を公表した問題で、政府の地震調査委員会の阿部勝征委員長(東京大学名誉教授)は、調査委員会としては、この算出方法を採用しない方針を明らかにした。設定条件がわずかに違うだけで、確立が大きく変わってくるためだという。
 東京大学や京都大学はM7級地震の発生確率を試算し、東京大学の算定では「4年以内」との結果になったため大きな騒動になっていた。
 地震調査委員会では、東京大学の手法による地震の発生確率のばらつきが大きいことが分かり、採用しないことを決めた。
 首都直下地震について地震調査委員会は、過去に起きた大地震の頻度から発生確率を算出し、今後30年以内に70パーセントの確率で南関東で起こる、と公表している。いつも指摘されるように、現実に発生する地震とその規模は、地震学者が試算している発生確率などとはほとんど相関がない。
 防災士としては、このような数字にとらわれることなく、全国各地で家屋の耐震性強化や家具の固定化を促進するよう働きかけてゆくことが重要である。

 

2、被災地に悪質な開運商法(国民生活センター)

 国民生活センターは、東日本大震災の被災者らの不安をあおり、見舞金の全額を振り込ませるなど、極めて悪質な「開運商法」が増えていると注意を呼び掛けている。
 同センターに寄せられた相談によると、仮設住宅に住む宮城県の50歳代の女性は、雑誌広告を見て、「願いがかなう」数珠を約1万5千円で購入、業者に宝くじを買うように言われた。くじが外れたあと、見舞金の全額約50万円を振り込むように言われ、「運気を上げる」と水晶玉などが送られてきた。さらに次々と開運商品を勧められ、「もうやめたい」と言うと、「交通事故に遭ってもいいのか」などと脅かされたという。同センターには、震災後、被災者からから同様の相談が約10件寄せられている。
 開運商法についての相談は年々増加し、相談が目立つ「数珠」と「ブレスレット」については、平成24〔2012〕年1月15日時点で601件と、前年同期比の約2.6倍となった。同センターは、「恐怖を感じるような勧誘の場合、警察にも相談してほしい」と呼び掛けている。
 防災士は、被災者がこれらの悪徳商法によって損害を受けることのないようアドバイスしてゆくことが求められる。

 

3、都市主要駅防災強化(国土交通省等)

 国土交通省等は、全国の大規模駅周辺を対象に、官民一体での防災対策を強化するため、都市再生特別措置法改正案を通常国会に提出し、成立を図る方針である。
 大規模駅の防災対策は、主に鉄道事業者などの自主的な取り組みに任されている。昨年(平成23〔2011〕年)3月の東日本大震災の際には、多数の帰宅困難者が東京近辺の駅周辺に集中し、混乱が発生した。
 防災対策強化を図るため、北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県などの全国65か所で指定されている「都市再生緊急整備地域」において、「都市再生安全確保計画」(仮称)の策定を促す。
 同計画には、①避難経路の確保、②水や食料、毛布などの備蓄物資を提供する施設の整備、③避難訓練の手順などを盛り込む。計画策定に基づく事業の費用については国が一部を負担する。
 特別措置法改正案では、同計画に基づき、駅周辺の公園に緊急物資の備蓄倉庫を設置する場合、公園管理者等に、安全面などで問題がない限り、速やかに設置許可を与える特例措置を定める。避難経路の整備・管理では、「避難経路協定(仮称)」制度を新設する。経路上の土地所有者に協定の順守を義務付ける規定も盛り込み、土地売買が頻繁な繁華街などで協定が形骸化する事態を防ぐ。

 

 

4、水門 「閉鎖より避難」

 東日本大震災で海岸近くの水門などの閉鎖作業に携わった消防団員が多数犠牲になったことを受け、全国の少なくとも14県が水門閉鎖ルールの見直しを検討している。
 津波警報発令中には、水門閉鎖に向かわせず避難を優先させる。ただ、岩手県では、震災前から「避難優先ルール」がありながら犠牲者が出ているので、どのように安全を確保するか、日頃の訓練等で徹底を図る必要がある。
 国土交通省などによると、全国に水門と防潮堤の門扉は約2万5000基あり、その大半を都道府県や市町村が管理している。津波や高潮に備えた水門閉鎖は市町村を通じ、消防団に委託しているケースが大半である。海岸線を持つ39都道府県の水門扉の操作者の安全対策について、和歌山、高知、香川、宮城の各県が、震災後、時間に余裕がない場合は避難を優先させることを決めた。
 避難優先を「検討」しているのは、福島、千葉、神奈川、三重、兵庫、広島、愛媛、沖縄の8県で、愛知、徳島の2県は、「水門操作に向かうか避難するかの判断基準を検討」している。
 消防庁によると、震災で死亡又は行方不明となった、岩手、宮城、福島の3県の消防団員254人のうち60人(岩手県49人、宮城県11人)が、水門閉鎖に携わっていた。このうち岩手県は、震災前から水門管理要綱に、「操作、避難時間が確保できない恐れがある時は、避難を優先する」と明記していた。しかし、多くの消防団員らは津波警報時に海に向かうという危険な業務を担うことを「当然」と受け止めていた。各県が打ち出した避難優先ルールは団員らの負担軽減につながり、その分、住民の避難誘導などに充てる時間を増やすことにもなる。ただ、岩手県のように避難優先を明文化していても、現場の団員らに徹底されていなければ悲劇は起きる。最悪の事態を想定し、いかに本気の訓練を重ねるかが災害に対峙する鍵となる。

 

 

5、超高層ビルの長周期の揺れ(文部科学省)

 大地震の際に高層建築物を大きく揺らす長期地震動対策として、文部科学省は、ビル内の被害を予測し、建物の安全性を早期に診断する技術の研究開発を平成24〔2012〕年度から開始すると発表した。首都圏の超高層ビルや官公署庁舎では、5年以内に診断システムの試験導入を目指すことになる。
 東日本大震災では、震源から約800キロメートル離れた大阪府の咲洲府庁舎(55階建て)が約10分間揺れ、最上階付近の振幅は最大約2.7メートルに達して、天井や壁面が損傷した。東京でも高層ビルやマンションなどで天井が破損したり、食器棚や本棚が倒壊したりするなどの被害が続出した。このように高層建築物が多い大都市では、建物の安全確認に時間がかかり、長期間に亘って使用ができなくなるなど、特有の弱点があることが明らかになっている。
 同省では、このため、防災科学技術研究所の実験施設での振動実験結果と、個々のビルの構造のデータなどを合わせ、ビルがどのように揺れ、どれだけ安全の余裕があるかを事前に分析する技術を開発する。

表-1

地震波の周期と揺れやすい建造物

 

、首都130万人が「避難先なし」(東京都)

 発生が予想される首都直下型地震で、東京23区のうち11区で避難所の収容量が大幅に不足していることが判明した。住宅が被災すると予想される都民の1割以上に当たる27万人分の避難所が不足する。また、帰宅困難者を含めると、試算では約130万人分以上の新たな避難先の確保が必要になる。
 東京湾北部を震源とするM7.3の地震が発生した場合、全壊したり焼失したりする建物は約85万棟、死者は約1万1000人に上り、都内23区で自宅を失うなどして避難所生活を余儀なくされる住民は合わせて239万人に上ると推計される。
 更に、足立、大田、目黒などの11区では、小・中学校等の公共施設をすべて活用しても、合わせて約27万6000人分の避難スペースが不足する。
 一方、公共交通機関がストップして自宅に帰れない帰宅困難者は推計で約448万人となり、東日本大震災の際には、区などが住民向けに開放した避難施設に帰宅困難者が殺到した。
 また、東日本大震災の際に買い物などで外出していたため帰宅できなかった人も多数いたことがわかり、少なくとも100万人以上分の避難先がなかったことになる。
 都や各区では、東日本大震災の発生を受けて、防災計画の見直しを進めているが、公共施設の収容量には限界があることから、デパートやショッピングモールなどの大型商業施設やホテル、民間企業にも協力を呼び掛け、新たな避難先の確保を急いている。
 防災士もこれらの対策に協力してゆくべきであろう。

 

、落ち葉や枯れ枝で発電(国土交通省)

 国土交通省は災害が発生した場合の非常時電源として、落ち葉や枯れ枝を燃料とする発電の設備を大規模公園に設置する。地震などの際に避難場所となる公園で、停電が起きても救護活動に支障が生じない電力供給設備を整える。まず、平成24〔2012〕年度中に国営公園で試験を始め、全国に広げる。
 発電した電気は普段は公園内の照明などに使い、災害時に停電した場合は被災者への救援護活動に使う。同省の試算によると、面積約165万平方メートルの昭和記念公園(東京都立川市、昭島市)の場合、年間の必要電力の1割程度を賄える。

 

、復興支援員(総務省)

 総務省は、東日本大震災の被災地に、住民と行政との橋渡し役となって地域再生を後押しする「復興支援員」を配置することを決めた。復興支援員は、仮設住宅などで暮らす被災者の生活支援や、街づくりに向けて住民の意見を集約する際の手助けなどを行う。同省は、新年度に、岩手、宮城、福島の各県などに100人程度を配置する。特に、希望する自治体にはすべて配置するようにし、総員は数百人から1,000人以上になると見込んでいる。
 復興支援員は、県や市町村が民間から募集して採用し、自治会や町内会単位で地域を担当する。支援員には、被災地に居住するか通うことができるNPO関係者やボランティア経験者、地元で生活する被災者らに多く委嘱し、それらの人々を自治体の嘱託職員とすることも考えられる。また、自治体が委囑するNPOと雇用契約を結ぶことも考えられる。
 復興支援員には、交通費や会議費など活動経費のほかに報酬も支払われる。報酬などの財源には国の特別交付税を充てる。補助対象は、岩手、宮城、福島、青森、茨城、栃木、千葉、新潟、長野の9県と、復興特区対象地域の222市町村(11道県)である。近く募集を始める自治体もある。
 復興支援員は、①被災者宅を訪問するなどして、生活上で困っている人や孤立してる高齢者がいないかを把握し、相談に乗りながら必要に応じて行政にも連絡したり、②高台への住居等の移転などが計画されている地域の場合に住民の意見を集約するため、話し合いの場を設けたり、③遠隔地に避難している被災者に、街づくりの進展状況などの情報を提供したりするなどの役割を担う。
 支援員制度と同様の仕組みは、新潟県中越地震(平成16〔2004〕年)で被災した新潟県が平成19〔2007〕年から運用している。旧山古志村(現・長岡市)などの100か所以上の集落で、現在でも毎年40人から50人が支援員として活動している。
 東日本大震災では、被災した農漁業集落だけでも9道県で約4,500か所(農林水産省調べ、福島県は未調査)がある。総務省は、相当数の支援員が必要になるとみていて、支援員が住民同士を結び付けたり行政に意見を伝えたりする際のノウハウを学ぶ研修会を開いてサポートする方針である。
 復興支援員は、被災地で信頼関係を築いてきたNPOのメンバーなどが、資金面の心配をせずに継続的に活動できるようにする制度である。
 地域の防災士は、地元自治体の復興支援員制度の募集状況に注意を払い、積極的にこれに応募し採用されることが望まれる。

 

、災害時のDNA鑑定(警察庁)

 地震や津波などの大規模災害で多数の犠牲者が出た場合、身元確認に必要なDNA鑑定を迅速に行うため、警察庁が、北海道、埼玉、大阪、福岡の4道府県警察に一度に多量の試料を扱える自動鑑定装置を配備する。東日本大震災で多数の鑑定が必要になったことを受けた措置で、千葉県柏市の科学警察研究所(科警研)に準ずる鑑定機能を持たせることで、複数の地域にまたがる災害の際や、既にこの装置がある科警研が被災した場合を考え、機能を分散させることが狙いである。
 東日本大震災では、津波で流されるなどにより時間が経過してから発見された遺体が多く、身元確認は難航し、岩手、宮城、福島の各県警察ではDNA鑑定が追いつかず、全国の警察に協力を依頼した経緯がある。

 

10、必死の「逃げて」教材に(埼玉県教育委員会)

 宮城県南三陸町の防災対策庁舎から防災無線で町民に避難を呼びかけ続け、津波の犠牲になった町職員の遠藤未希さん(当時24歳)が、埼玉県の公立学校で4月から使われる道徳の教材で取り上げられる。埼玉県教育局によると、教材は東日本大震災を受けて同県が独自に作成し、公立の小・中・高等学校約1,250校で使用される。
 遠藤さんを紹介する文章は「天使の声」というタイトルで、遠藤さんが上司の男性と一緒に「早く、早く、早く高台に逃げてください」などと必死で叫び続ける様子が描かれ、「あの時の女性の声で無我夢中で高台に逃げた」と語る町民の声を紹介している。
 この教材では、ほかにも、埼玉県深谷市出身で津波に流される車から市民を救出した岩手県釜石市の男性職員のエピソードなどが掲載される予定である。
 遠藤さんが防災無線で避難を呼びかけ続けた南三陸町の防災対策庁舎では、遠藤さんを含む町職員ら39人が犠牲となった。

 

11、局地豪雨 30分先予測(気象庁)

 

 気象庁は、近年相次いで発生している台風やゲリラ豪雨に対する監視を強化するため、レーダーの観測データに基づき30分先の雨量を局所的に予測する「局地的降水予測システム」の整備を進める方針を決めた。雨粒の大きさまで検知可能な高精度レーダーと、広範囲の雨雲をキャッチできるレーダーを組み合わせるのが特徴である。
 現在、大雨対策として運用中の「降水ナウキャスト」が1キロ四方単位で予測しているのに、新システムは250メートル四方単位で予測し、局地的豪雨の際の高精度の情報提供を可能としている。同庁では平成25〔2013〕年度中の運用開始を目指している。

 

12、防災無線受信のラジオ普及へ代金一部負担

 東京都品川区は、防災行政無線を自動的に受信するラジオの普及に乗り出す。平成25〔2013〕年度に公募するメーカーに、まず5,000台の製造を依頼し、購入希望があった場合には区が代金の一部を負担する。気密性の高い住宅の増加に伴い、屋内で防災無線の内容を聴き取りにくくなっている現状を改善する。
 「防災ラジオ」は、災害時に区の防災無線の周波数に自動的に合わせる機能を備えたラジオである。コンセントにつなげば自動的に充電できるほか、停電時には手回し式発電機能によっても充電できる。携帯電話の充電機能も付加する。

 

13、ニュージーランド地震倒壊ビル欠陥建築(ニュージーランド政府)

 平成23〔2011〕年2月のニュージーランド・クライストチャーチ地震で、日本人28人を含む115人が死亡したCTVビルの倒壊について、ニュージーランドの建築住宅庁は、2月9日、倒壊原因に関する報告書を発表した。報告書は、①柱の強度不足、②耐震壁の不均等な配置などを挙げ、「建設当時(1986年)の建築基準を満たしていなかった」と指摘し、欠陥建築だった可能性を示唆した。同国政府が、本件について公式に見解を示すのは初めてである。
 倒壊原因を調査している独立機関「王立委員会」は、同庁の報告を参考資料として重視する方針で、同庁の発表を受けて今後公聴会を実施し、11月12日に最終報告書を発表する予定である。
 今回の発表は、日本人学生を含む被害者家族の損害賠償の訴訟にも影響を及ぼすものとみられる。

 

 

 

【参考文献】

 

1、平成24〔2012〕年1月16日 『讀賣新聞』朝刊

2、平成24〔2012〕年1月17日 『日本経済新聞』夕刊

3、平成24〔2012〕年1月18日 『讀賣新聞』朝刊

4、平成24〔2012〕年1月18日 『日本経済新聞』夕刊

5、平成24〔2012〕年1月27日 『日本経済新聞』朝刊

6、平成24〔2012〕年1月30日 『日本経済新聞』夕刊

7、平成24〔2012〕年2月3日 『日本経済新聞』朝刊

8、平成24〔2012〕年2月5日 『讀賣新聞』朝刊

9、平成24〔2012〕年2月7日 『日本経済新聞』朝刊

10、平成24〔2012〕年2月9日 『讀賣新聞』夕刊

11、平成24〔2012〕年2月10日 『日本経済新聞』朝刊

12、UGM-NEWS  3月刊行

 

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第84号1平成29年7月号ドクターヘリ 基準緩和(国土交通省)他
第83号平成29年6月号災害派遣職員、地元優先で(中央防災会議)他
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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