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防災評論 第35号

山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

防災評論(第35号)【平成25年6月号】

 

【目次】

〔政治行政の動向概観〕       

〔個別の動き〕 

1、南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)

2、病院など高台移転支援(厚生労働省)

3、科学者に市民感覚(学術会議)

4、惨事ストレスに専門家派遣(消防庁)

5、全高速バス400キロ制限(国土交通省)

6、災害対策基本法の改正案(内閣府)

7、復興住宅19200戸建設(復興庁、国土交通省)

8、自然災害で「特別警報」(気象庁)

9、南海トラフ地震による想定空港被害(国土交通省)

10、救急出動過去最多(消防庁)

11、BCP策定ガイド発行(東商)

12、液状化予測地図の改訂(地方自治体)

13、空き家解体に補助制度創設(国土交通省)

14、津波も確率予測(地震調査委)

〔防災短信〕

 

 

〔政治行政の動向概観〕

 南海トラフ巨大地震対策を検討していた国の有識者会議は5月28日、自助を中心とする”備え”の重要性を強調する最終報告書をまとめた。カセットコンロ、食料、トイレ、飲料水などの家庭用備蓄を1週間(首都直下型地震など従来の目標値とされる3日間を大きく上回る。)以上とすることや、避難者(想定)が最悪950万人にのぼるおそれがあることから、避難所への受入れを判断する「避難者トリアージ」の導入、疎開などの広域連携、企業活動を維持するための事業継続計画(BCP)の策定促進、サプライチェーンや流通拠点の複数化などを提案している。また東海域を含む地震予知が困難であることを認め、”予知から事前防災”へと大地震対策を展開することも指向している。政府はこの報告書を受けて閣僚級の「防災対策実行会議」を立ち上げ年度内に対策大綱をまとめるとしている。

この問題が提起されてから1年以上経ち、ようやく対策らしいものが姿を現してきたが、依然として本格的な課題洞察にかけているといわざるを得ない。即ち、

1、最悪の想定とされているM9レベルで南海トラフ地震が西日本全海域で発生した場合、経済損失220兆円超とも言われる被害が発生するとしているが、これはほぼ日本という国そのものの「破綻」シナリオといってよい。それを自助の強化をはじめとする既成の防災対策レベルで切り抜けることができるのか、国際社会との多角的連携などよりグローバルな視点が不可欠ではないのか。

 2、東海地震想定域を含む南海トラフ全海域における地震予知を事実上不可能としているが、それならば現行の大震法(東海地震予知と対策のための法律)の廃止を含む地震防災対策の全面組替えに踏み込み、かぎられた資源を事前対策などより必要な部門に投入する姿勢が求められるのではないか。

 3、これまで東海、東南海、南海地震が繰り返し発生したが、いずれもM8程度の規模であった。今回想定の地震規模はかつて例がないにも関わらず、当然のようにM9が発生する前提となっているが、確率論だけでなく、実際の地質構造はどうなっているのか、より綿密な検討があってしかるべきではないのか。実際M8とM9ではエネルギーにおいて32倍の差がある別次元の災害である。これらも含め、一般国民にもっと分かりやすい形での広報・周知対策が求められるのではないか。

さらに重要な点はこれだけの被害が発生し、巨大な数の救援対象者や対象物が出る状況において、阪神や東日本以上に公助力には限界が生じるという認識が不足していることである。それを報告書では自助の強化で乗り切ろうとしているが、より大切なことは市民の中に防災の専門知識を具有し、災害時に実行力をもって活動できる人材をどんどん育成してゆくことである。その意味で防災士の育成強化など民間防災力の”強じん化”にもっと目を向けるべきであろう。

 

 

 

〔個別の動き〕

1、南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)

 政府の地震調査委員会は、東海地方から四国、九州沖にかけて延びる「南海トラフ」のどこかで、マグニチュード(M)8~9級の地震が30年以内に発生する確率は、60~70%と発表した。10年以内は20%程度、20年以内40~50%、50年以内90%程度以上と予測している。

 南海トラフを「東海」「東南海」「南海」の3領域に分けて発生確率を算出していた従来の手法を見直した。

 今回の見直しは、広範囲のプレート(岩板)が動いた東日本大震災を教訓に実施された。これまで想定していたよりも広い範囲でプレートが動く可能性を考慮し、南海トラフの震源域を2倍以上に広げた。しかし、国の中央防災会議が「死者が最大で32万人」と想定している、震源域全体のプレートが動く南海トラフ巨大地震(M9.0~9.1)の確率は、「過去に発生した記録がなく計算ができない」とした。

 南海トラフでは、100~150年ごとにM8級の大地震が発生している。同委員会はこれまで、3領域ごとに決まった規模の地震が周期的に起きるとの想定で確率を算出しており、25年1月1日現在の計算では、30年以内にM8程度の東海地震が起こる確率は88%、M8.1前後の東南海地震は70~80%、M8.4前後の南海地震は60%程度だった。

 しかし、1707年の宝永地震(M8.6)は3領域でプレートが同時に動いた可能性があるなど、南海トラフの地震の起こり方は多様であり、個々の領域ごとに確率を算出する方法には多くの専門家が疑問を示していた。
 このため、同委員会は2011年7月から、南海トラフや東日本大震災が発生した日本海溝などの地震の発生確率について、見直しを進めていた。

 

 

2、病院など高台移転支援(厚生労働省)

 厚生労働省は南海トラフ地震などで津波が短時間で襲来する危険がある民間福祉・医療施設の高台移転を支援する事業を始める。移転費用の最大4分の3を国と自治体が負担し、施設が負担する残り4分の1も無利子融資で支援する制度をつくる。2013年度は約80施設の移転を促し、避難が難しい高齢者や障害者の安全を確保する。

 支援対象となるのは障害者、高齢者などが入所する民間福祉施設のほか、入院患者がいる民間医療施設。太平洋の「南海トラフ」を震源域とする南海トラフ地震などで、高さ5メートル以上の津波が地震発生から短時間で襲来する場所に立地する施設が主な対象となる。危険な場所にある施設から優先して移転を促す。

 移転費用のうち国が最大2分の1、自治体が最大4分の1を負担する。
残り4分の1は施設負担だが、無利子の融資制度をつくり、独立行政法人・福祉医療機構が国の財政融資資金を利用し、施設負担分の最大95%まで融資する。

東日本大震災では津波で約200の福祉・医療施設が全壊したと厚労省は推計している。今後の発生が懸念されている南海トラフ地震の場合は、津波襲来までの時間が短く、入所者の避難が難しい施設が全国に少なくとも100以上あると見られている。

 南海トラフ地震で、津波の高さが5メートルの場合、最短4分で到達するとされる高知県では、津波が襲来する沿岸近くに46の福祉施設があるという。

 福祉・医療施設の高台移転には、そもそも高台に用地を確保できるかといった問題があり、計画がなかなか進まない場合が多い。厚労省は財政面の支援策で用地取得などを後押しし、障害者・高齢者などの安全を確保するとともに、被災地医療を担う病院の機能を維持するのが狙いだ。また、この制度と合わせ対象となる施設では防災士を養成することが相乗効果を発揮するうえで望ましいといえよう。

 

 

3、科学者に市民感覚(学術会議)

 日本学術会議は科学者のあるべき姿をまとめた声明を全面改訂した。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故をめぐる科学者の対応が「社会からの信頼と負託に応えてきたかについて反省を迫る」と明記し、科学界に、研究活動や科学的発言の社会的責任を自覚するよう求めた。

 声明は、科学者が守るべき規範として「社会的期待に応える研究」など5項目を追加し、科学者は「市民との対話と交流に積極的に参加する」よう求めた。科学者の間で見解が分かれる政策への助言については、科学者間の合意を目指す一方、意見の違いがあれば「解り易く説明する」とした。

 改訂は2006年10月の策定以来、初めて。

 

 

4、惨事ストレスに専門家派遣(消防庁)

 大規模災害の救助活動で消防職員や消防団員が受ける「惨事ストレス」について、活動後のケアに当たる専門家を都道府県ごとに配置するよう、消防庁は態勢作りの支援を始める。

 精神科医や臨床心理士ら専門家を「地域メンタルサポートメンバー」として都道府県で登録。消防本部と連携し、被災地に派遣された職員らのカウンセリングに当たる。平常時は消防本部や消防学校の研修などで、惨事ストレスへの対処法や派遣前の注意点など基礎知識を広める役割も担う。

惨事ストレスは悲惨な状況を目撃したり、救助できなかった経験をしたりすると、不眠やうつなど様々な症状が表れる。放置すれば心的外傷後ストレス障害(PTSD)になる恐れもある。これら専門家は防災全般についても通暁できるよう防災士の資格を持つことが望ましい。

 

 

 

5、全高速バス400キロ制限(国土交通省)

 国土交通省は12日、夜間運行するすべての高速バスの運転手が1日に運転できる距離を原則400キロまでに制限する。7月末から適用する予定。2012年4月に群馬県で起きた関越自動車道の高速ツアーバス事故を踏まえた安全対策で、夜間の高速ツアーバスには既に400キロの上限が導入されている。

 新基準では、午前2時~4時にまたがる運行を対象に1人が1日に運転できる距離は400キロ、時間は9時間までと規定。疲労がたまりやすいため、夜間運転は連続で4日間までとした。

 国交省は旅行会社が貸し切りバス会社に委託して運行していたツアーバスを禁止し、高速乗り合いバスの事業許可を7月末までに旅行会社に取らせる方針。これによって高速バスの事業形態が一本化され、今回の新基準がすべての高速バスに適用される。

 

 

6、災害対策基本法の改正案(内閣府)

 地震や豪雨などの被害予防から復旧までの手順を定めた災害対策基本法改正案は、巨大地震などの被害が甚大で「災害緊急事態」を布告した場合、政府は経済維持など対処基本方針を決定し、生活物資を買い占めないよう首相が国民に協力を求めることができることとしている。

 被災し業務が継続できなくなった自治体に代わり、避難者の受入れ先を国は別の自治体と協議して決める仕組みも整える。成立すると東日本大震災を教訓とする大幅な同法改正は2回目とは、今後想定される南海トラフ巨大地震や首都直下地震で、食料や水、燃料の買占めなどを防ぐ狙いがある。

 また、避難所や医療施設が不足した場合に備え、安全確保のための設置基準を特例で緩和。臨時設営が滞らないようにする。
被災者援護をスムーズに進めるため、災害による住宅などの被害状況を示す罹災(りさい)証明書も法制化し、市町村が遅れずに交付すると明示。被災者ごとの支援状況が確認できる台帳も作る。

 広域避難では、国や都道府県の関与を強化した昨年6月の同法改正から更に踏み込み、国が被災自治体に代わって、避難者の受け入れ先を別の自治体と協議できるようにする。

 災害予防では、市町村は、緊急に逃げる避難場所と、被災者が一定期間滞在する避難所を区別し、それぞれ安全基準を満たす場所を指定し、高齢者ら自力非難が難しい人の名簿も準備し、警察や消防に提供する。市町村単位の防災計画より小さな地区防災計画を導入し、住民参加型のきめ細かな活動を促すことも盛り込まれている。(同法案は今国会で成立。)

 

 

7、復興住宅19200戸建設(復興庁、国土交通省)

 東日本大震災による被災3県の住宅再建を加速するため、政府は2015年度までに被災者向けの公営住宅「復興住宅」を1万9200戸建設する工程表を纏めた。

 復興住宅建設に関する工程表が作成されるのは初めてで、すでに県全体の整備計画を作成している岩手、宮城県では計画数の8割が完成することになる。一方で、震災から5年間の「集中復興期間」にすべての復興住宅がそろわず、被災者の一部は長期間、避難生活を強いられえる可能性も露呈した。

 被災3県の復興住宅は、岩手県で5639戸、宮城県で1万5485戸の建設が予定されている。原発事故に見舞われた福島県は計画策定が遅れており、県全体の必要戸数を算出できていない。

 2015年度までに岩手県で5094戸、宮城県で1万1248戸、福島県で2918戸が整備されるが、宮城県内でも名取市、南三陸町で建設のメドが立ったのは2割以下と地域差もある。

 住宅再建策のもうひとつの柱として、高台や内陸に宅地を移す集団移転事業などによる新たな宅地造成がある。工程表はこうした宅地について、15年度までに岩手、宮城両県で予定戸数の3割にあたる約7700戸について整備のめどがついた。

 ただ、現在の見通しでは、15年度までにすべての被災者の住宅再建が間に合わない恐れがある。このため政府は、集団移転計画の変更を柔軟に認めたり、被災地で不足している生コンクリートの公共プラントを国が建設したりするなどの対応を強化し、住宅再建を加速させる。

 

 

8、自然災害で「特別警報」(気象庁)

 気象庁は今夏にも、記録的豪雨などで甚大な災害の恐れがある場合、現在の警報よりも高レベルの「特別警報」を発表するため、気象業務法を改正し、改正案では、特別警報が発令された場合、都道府県が関係市町村長にただちに通知し、市町村長が住民に周知することを義務付ける。

 これまでの警報は自治体による住民への通知が努力義務だったため、夜間に防災無線で通報することをためらう自治体が出るなど、情報の伝わり方が不十分だった。発表基準は今後検討するが、大雨の場合は2011年9月に和歌山県や奈良県などで多数の死者、行方不明者を出した台風12号による水害など、数十年に1度の大雨を想定し、巨大な津波が予想される場合に発表される「大津波警報」も特別警報の扱いにする。

 

 

9、南海トラフ地震による想定空港被害(国土交通省)

 国土交通省は8日、南海トラフの巨大地震で最大級の津波が発生した場合に、太平洋の沿岸や海上にある5空港で想定される浸水範囲を発表した。

 東日本大震災の津波で被災した仙台空港は仮復旧までに5日かかった。国交省は被災後3日以内に自衛隊機などの離着陸を再開できるようにするため、瓦礫除去や電源復旧などの対策の検討を進める。

 内閣府が昨年8月に公表した南海トラフ地震の津波高予測を基に、空港の護岸が地震で壊れて機能しなくなったと仮定、海抜や海岸からの距離を考慮して作成した。

 高知、宮崎両空港の浸水は海寄りの敷地が中心で、深さは最大5メートル。高知ではターミナルビル付近も2.5メートルが見込まれる。中部、関西の浸水は一部にとどまり、滑走路やターミナルビルへの影響はない。大分で浸水はないとした。

 国交省は想定外の被害に備え、津波高が1メートル高いパターンも作成した。浸水域は中部、高知、宮城が敷地の大部分、大分は半分。関西は海抜が高い二期島を除いて浸水する。5空港すべてでターミナルビルに被害が出る。

 

 

10、救急出動過去最多(消防庁)

 2012年の全国の救急出動が前年比1.7%増の580万2039件で、3年連続で過去最多を更新したことが、総務省消防庁の調査で分かった。同庁は高齢化が進み、急病のお年寄りの搬送が増加したとみている。

 救急搬送した人数も前年比1.3%増の524万9088人となり、3年連続で過去最多を更新した。

 全国790消防本部のうち、出動件数が増えたのは521本部だった。増えた理由を複数回答で尋ねたところ、急病人の増加を挙げた本部が70.8%、高齢者の増加が66.8%に上った。軽症で救急車を呼ぶ不適正な利用を指摘したのは21.5%だった。

 

 

11、BCP策定ガイド発行(東商)

 東京商工会議所街づくり委員会は、東商版BCP策定ガイド「BCP(事業継続計画)を作って信頼を高めよう」を取りまとめた。本ガイドはあらゆる危機に対応できるBCPを策定するために、会社の事業を中断させず「生き残り戦略」が必要だとして、重要業務の選定方法や重要業務を継続するための具体的な方法を紹介している。

 ガイドブックでは、地震や風水害などの自然災害、新型インフルエンザ等の感染症、情報漏えいなどのあらゆる危機を想定して、企業の「生き残り戦略」のポイントをまとめている。

 本編では、東日本大震災の事例やBCPの重要性を解説。BCPがあって、会社の評価が上がった事例、BCPはなかったが事業継続戦略を実践して生き残った事例などをもとに「生き残り戦略(事業継続戦略)」を示している。

 生き残り戦略では、絞り込んだ重要業務を目標復旧時間内に「どのように」復旧させるかが重要だとしている。具体的には、BCP策定のポイントとして、①二重化(複数の拠点を持つ)、②スタンバイ状態の整った代替施設の準備(同業他社などとの委託生産契約の締結等)、③建物のみの代替施設・敷地の準備、④アウトソーシング、⑤経営統合・合併、⑥現地復旧(被害が軽微な場合)、⑦新たな事業にシフト(あえて復旧にコストをかけない)、⑧在宅勤務、の8つの戦略を挙げ、生き残り戦略の構築を紹介している。

 

 

12、液状化予測地図の改訂(地方自治体)

 東日本大震災に伴って首都圏の各地で液状化現象が発生し、千葉県浦安市で約8700戸が損害するなどの被害が出た。

 神奈川県は2009年から液状化の予測地図をウェブサイトで公開していたが、リスクの記載がない地域で被害が出るなど実態との食い違いが露呈。かつて池や沼だった地域がひと目で分かるよう明治期以降の古地図と重ねて表示できる改良版を公開する。

 千葉県は昨年4月、約5万ヶ所の掘削調査データを元にした予測地図を公開。地盤対策が取られなかった場合、震度5強以上で東京湾岸や太平洋岸の一部で液状化が起きやすくなり、6強で房総半島南部を除く沿岸部ほぼ全域で起きる可能性があるとした。

 東京都も2万ヶ所の調査結果を踏まえ、1987年から公開していた予測地図を近く改訂する。各地の防災士はこれらの動きを的確に把握し、日常の防災対策に活かしていく必要がある。

 

 

13、空き家解体に補助制度創設(国土交通省)

 国土交通省は使わなくなった空き家を個人が解体する費用の一部を補助する。国と自治体で合わせて費用の最大5分の4を支援する。首都直下地震など災害が起こった場合、空き家が倒壊して都心部の避難路をふさぐ危険があることから支援体制を強化し、持ち主に空き家の解体を促す。

 補助の対象となるのは空き家の所有者。解体する場合、国と自治体がそれぞれ最大で5分の2を支援する。人口減の自治体など一部地域に限定した支援制度があったが、これを人口が増えている都心部も含め全国どこでも支援を受けられるようにする。

 空き家を解体する所有者は、そこに住んでいないことを示す書類などを市町村に提出し、審査を受ける。解体後に業者からもらう領収書を提出すれば、費用の大半を支援してもらえる。通常、一戸建て住宅の解体には数十万~100万円程度かかるが、支援を受ければ大幅に負担が軽くなる。

 日本の2008年時点の空き家率は13.1%と03年時点と比べて0.9ポイント上昇している。英国やフランスの空き家率は5%前後で、高齢化が進む日本は突出して高い。08年時点で全国の約757万戸の空き家のうち、管理が行き届いていないものは270万戸近くあり、1998年と比べ約1.5倍に増えた。

 管理されていない空き家は倒壊したり、屋根・外壁が落下したりする危険性が高くなる。

 一方、補助制度を拡充しても空き家を解体して建物がなくなると、住宅用地の優遇措置の対象から外され、固定資産税が数倍に跳ね上がるので、資産への課税方法も見直す必要がある。

 国交省は空き家の不具合や庭の草刈りなどの管理ビジネスを手がける不動産業者や工務店、業界団体に対しても支援する。

 

 

14、津波も確率予測(地震調査委)

 政府の地震調査委員会は、全国を襲う津波の確率予測を新たに始める。遅くとも5年以内に津波の発生確率を示す地図を公表する。
地震調査委はこれまで地震の確率だけを示してきたが、東日本大震災の教訓から津波のリスクも公表することにした。

 全国の沿岸部について今後数十年程度の間に高さ数~10メートル超の津波が襲う確率を算出。各地点で最も大きな地震だけでなく、津波を起こす全ての地震の影響を考慮する。津波の高さ別に確率が異なる数パターンの地図を作る。

 「相模トラフ」や「南海トラフ」などの大地震については、東海や東北太平洋などの一部の地域に限定して津波の高さや到達時間を示す地図も作る。

 内閣府の中央防災会議や各地の自治体は地震による津波の高さを算出して公表してきたが、確率は出していなかった。

 

[防災短信(地方や企業の動きなど)]

1、開かずの踏切、避難阻む
 ~震災津波・車列100メートル以上のまれた例も~2月10日読売新聞

2、相次ぐ震災関連死
 ~仮設住宅支援、対策急ぐ~3月1日 日本経済新聞

3、津波避難、渋滞40キロ
 ~石巻2012年12月7日の津波警報で~3月6日日本経済新聞

4、震災記録検索のサイト公開
 ~国会図書館3月7日から~3月6日日本経済新聞

5、津波避難ビル、震災前の5倍
 ~南海トラフ対策、なお49万人分不足~3月6日読売新聞

6、震災の犠牲99.2%身元確認
 ~131体なお判明せず。警察庁~3月7日日本経済新聞夕刊

7、震災対応に女性の視点
 ~全避難所に女性専用スペース、粉ミルクなど保蓄~3月7日日本経済新聞

8、震災ストレス、一息ついて
 ~呼吸体操、岩手で教室~3月8日読売新聞

9、首都防災、薄い危機感
 ~津波避難1割、無理して帰宅半数、警視庁調べ~3月9日読売新聞

10、不燃化「特区」で加速
 ~建て替え支援、合意得やすく、東京都~3月11日読売新聞

11、余震10000回に迫る
 ~東日本大震災、域外で誘発地震も~3月12日日本経済新聞夕刊

12、大川小学校の悲劇、語り継ぐ
 ~元教諭の追悼特集全国発売~3月17日読売新聞

13、うつ病対策奏功
 ~自殺者、昨年3万人下回る、内閣府調査~3月14日日本経済新聞夕刊

14、障害者、カードでSOS
 ~頼みごと記入、緊急時に提示~3月18日日本経済新聞夕刊

15、断水被害42万人、エレベーター900台以上停止
 ~南海トラフ地震、首都圏想定~3月19日日本経済新聞

16、防災力ゲームで磨く
 ~HUG、自治体、ボランティアに広まる~3月18日読売新聞夕刊

 

 

 

【参考文献】

 

1、平成25〔2013〕年5月25日 『読売新聞』

2、平成25〔2013〕年2月21日 『読売新聞』

3、平成25〔2013〕年2月25日 『読売新聞』

4、平成25〔2013〕年2月13日 『日本経済新聞』

5、平成25〔2013〕年2月13日 『日本経済新聞』

6、平成25〔2013〕年3月21日 『日本経済新聞』

7、平成25〔2013〕年3月  8日 『読売新聞』

8、平成25〔2013〕年3月  8日 『読売新聞』

9、平成25〔2013〕年3月  9日 『日本経済新聞』

10、平成25〔2013〕年3月10日 『日本経済新聞』

11、平成25〔2013〕年3月20日 『東商新聞』

12、平成25〔2013〕年3月  7日 『日本経済新聞』夕刊

13、平成25〔2013〕年3月18日 『日本経済新聞』夕刊

14、平成25〔2013〕年2月  9日 『日本経済新聞』

 

防災短信~各見出しを参照

 

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第84号1平成29年7月号ドクターヘリ 基準緩和(国土交通省)他
第83号平成29年6月号災害派遣職員、地元優先で(中央防災会議)他
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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