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防災評論 第42号

山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

 

防災評論(第42号)【平成26年1月号】

 

【目次】

〔政治行政の動向概観〕       

〔個別の動き〕 

1、地震時「危険」23区に集中(東京都)
2、初の「災害救助訓練場」を整備(警察庁)
3、公共施設遅れる耐震化(会計検査院)
4、みなし仮設入居延長(復興庁)
5、ドクターヘリ広域運用促進(厚生労働省)
6、耐震工事、2割で未実施(会計検査院)
7、自殺、予防策で2割減(国立精神・神経医療研究センター)
8、巨大地震廃棄物、広域処理の体制構築(環境省)
9、土砂流は時速60キロ(京大防災研)
10、避難勧告指針見直し(内閣府)
11、死者13万人と試算(大阪府等)
12、豪雨警戒、離島に直接電話(気象庁)
13、火災保険料引き上げ(損保機構)
14、原発安全性に数値基準(資源エネルギー庁)
15、トリアージタグ改善へ(救急医学会)
16、半数の家庭、水備蓄ゼロ(内閣府)

 

 

〔政治行政の動向概観〕

 前知事の突然の退任を受け、1月末から2月にかけ東京都知事選挙が急遽実施されることとなった。「アト出しじゃんけん」合戦と異名を取るこの選挙は、わが国では行政のトップを住民が直接選ぶことのできる最大規模のものであるだけに、駆け引きと人気度・知名度だけが取り沙汰され、個々の候補の政策やその遂行能力には殆ど注意が払われない傾向が強かった。今回も事前に合同政策討論会も開かれないまま、公約も一部曖昧な中で選挙戦に突入したが、例によって単一の政策(シングル・イシュー)を前面に押し出すイメージ戦略を展開する候補もいる。しかし首都東京の抱える課題はとても単一政策で糊塗できるものではない。2020年の東京五輪を控え、暮に公式に明らかにされた首都直下型地震への備えなど課題は山積みしており、現に1月3日には都心の有楽町で建物火災が発生、新幹線が5時間以上にわたってストップするという東京の脆弱性を改めて認識させる事故も発生している。都民は日本国を代表するという気概のもとバランスの取れた政策を実行できそうな候補者に投票することが求められる。
 首都の防災対策という面では一部の候補者は首都直下地震に備え自衛隊の対応力を強化して都民を守ることを公約している。確かに自衛隊に限らず消防、警察などの公助力を強化していかなければ内閣府想定の首都直下型被害は甚大なものとなろう。しかし過去の例に見られるように公助力は自ずと限界があり、首都圏3000万住民が自らの命と生活を大地震から守ることができる能力を身につけてゆくことが何より必要である。その意味で防災士は民間防災のフロントラインに立つ集団としてもっと都政を始めとする地方行政と連携していく余地も価値もある。新都政には例えば「防災士100万人養成」などの施策を実施していくなど、より防災士制度を活用する視点も求められるのではないだろうか。

 

 

〔個別の動き〕

1、地震時「危険」23区に集中(東京都)

 東京都はこのほど、都内の全市街化区域について、地震発生時の危険度ランキングを発表した。東日本大震災後、はじめての見直しで、液状化のリスクを「建物倒壊危険度」に加味するとともに、総合危険度に、道路が狭いなど救助活動の難しさをあらわす「災害時活動困難度」を新たに指標に加えているのが特徴である。
 危険度調査は1975年から開始され、原則5年ごとに地震による「建物倒壊危険度」と、「火災危険度」、そして、この二つの危険度を合わせた「総合危険度」を5段階評価している。
 総合危険度では、都内全5133地区のうち、もっとも危険度の高い「5」は84地区であり、次いで、危険な「4」は284地区で、いずれも23区内に集中している。多摩地区の市町村は、すべて「3」以下と評価された。
 東日本大震災では、都内でも液状化被害が出たことから、今年3月、17年ぶりに液状化予測図を見直し、液状化の「可能性が高い地域」が4.4平方キロ増えた。今回の調査では、液状化予測も「建物倒壊危険度」に反映させており、これにより地盤が弱い荒川沿いや隅田川沿いの一帯のほかに、品川区や大田区の一部などに多くの建物が地震で倒れる可能性のあるエリアが広がった。
 一方、火災危険度の高い地域は23区の環状7号やJR中央線の沿線などの木造住宅密集(木密)地域に多く分布している。

 

2、初の「災害救助訓練場」を整備(警察庁)

 警察庁はこのほど、地震や津波、局地豪雨などを想定した訓練場を整備する方針を明らかにした。倒壊した建物や浸水地域などから負傷者らを救助するノウハウを学ぶ。

 東日本大震災の発生に加え、南海トラフ巨大地震や首都直下地震の発生も懸念されており、実際の災害現場に即した訓練を日常的に実施できる施設が必要と判断したもので、さまざまな被害を想定した総合訓練場の整備はわが国で初めて。
 訓練場は東京都内と大阪府内に整備する方向で、総工費はそれぞれ1億5000万円~1億8000万円。2016年にも運用を開始し、東北や九州などにも順次、整備したい考えである。
 大阪府内の訓練場は、約4000平方メートルの敷地に、①建物の倒壊現場、②土砂崩れが起きた斜面、③津波や洪水などによる浸水地域――などを想定した10施設を配置することにしている。
 倒壊現場は木片やコンクリート片を積み上げて再現。ガレキが散乱する足場の悪い状況やガレキの下にできた狭い空間に負傷者が閉じ込められた状態を想定し、救助訓練を行うこととしている。

 

3、公共施設遅れる耐震化(会計検査院)

 会計検査院は、自治体所有の公共施設のうち、国の耐震基準を満たさず、震度6強の地震で倒壊する懸念のある建物が1万5479棟に上るとの調査を公表した。うち3797棟は特に耐震性が低く倒壊の危険性が高い。民間の建物の耐震対応も道半ばだ。
 検査院は東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島を除く44都道府県の公共施設約15万6千棟の耐震化状況を調査した。1981年の建築基準法改正に基づく耐震基準を満たさない建物は、公立学校を含む教育施設が1万3458棟、市町村役所や警察署などの庁舎施設が1306棟、医療施設が715棟だった。
 基準を満たす建物の割合を示す耐震化率は、全体で82.9%。教育施設が84.3%と比較的高かったが、医療施設は76.1%。庁舎施設は70.4%。自治体役所は61.2%にとどまった。子供や傷病者が集まる施設で耐震化が先行する一方、自治体の災害対応拠点となる役所の建物で対策が遅れている。
 民間の建物も問題が残っている。国土交通省によると、全国のマンション戸数は2012年末時点で約590万戸。このうち、建築基準法改正前の「旧耐震基準」で建てられた物件は約106万戸ある。
 とりわけマンションの建て替えは所有者の8割の合意が必要で、耐震化がほとんど進んでいない。今年4月時点で建て替え工事が完了したマンションはわずか183件。旅館や大型小売店でも耐震性に不安のある建物は多いとみられる。
 不特定多数の人が出入りする大規模な建物などの耐震診断を義務付ける「改正耐震改修促進法」を施行された。昨年9月末にまとめた企業向けの設備投資減税では、耐震工事を実施する場合に固定資産税を2年間にわたり半減する措置を盛り込んだ。

 

4、みなし仮設入居延長(復興庁)

 東京電力福島第一原発事故の被災者を支援する「子ども・被災者支援法」の基本方針案について、復興庁は、避難者の民間借り上げ(みなし仮設)住宅への入居期間を2015年4月以降も延長するなどの追加や修正を決めた。
 また、「支援対象地域」の福島県東部の33市町村以外も「準支援対象地域」として、健康調査など個別の施策ごとに幅広く支援することを明確にする。原発事故の被災者の大半は避難先で無償の民間借り上げ住宅やプレハブの仮設住宅に暮らすが、入居期間は今のところ15年3月末まで。特に避難指示が出た区域以外から全国各地に避難した約5万9千人の「自主避難者」は大半が民間借り上げ住宅に暮らす一方、「いずれ打ち切りになるのか」という不安がある。
 このため国は、全避難者を対象に、代わりの住宅が確保できるまでは15年4月以降も入居期間を延長し続けることを基本方針案に明記する。政府は津波被災地を含むプレハブ仮設も、同様の扱いにする。また、支援対象地域から今後避難する人に対しても避難先にある低家賃の公営住宅への入居を支援する。

 

5、ドクターヘリ広域運用促進(厚生労働省)

 医師や医療機器を乗せて救急現場に飛ぶドクターヘリについて、県境を越えた広域運用を広めるため、国はヘリを運用する都道府県に対する財政支援を来年度から強化する。ヘリが出動できない事案を減らし、救命率を向上させる狙いがある。
 ドクターヘリ1機の年間運営費は約2.1億円とされ、国が約1億円を補助している。広域運用には、燃料費や人件費の増加が課題だった。このため、同省は広域運用を導入した都道府県に対しては、1機当たりの運営費補助を数千万円上乗せする方針だ。
 ドクターヘリの年間総出動件数は2012年度、07年度比で3倍超の約1万7500件に達し、出動要請があっても対応できない件数も増えている。11年度には要請件数の約2割の約3300件に上り、このうち約3割は、ヘリが他の場所へ出動していて対応できないケースだった。
 都道府県がヘリを互いに応援しあうことを決めている「相互応援」は今年3月時点で12府県、ヘリを「共同運用」しているのは12府県にとどまっている。厚労省では、ヘリがすでに他の事業に出動しているケースや、地理的にヘリの到着に時間がかかるケースに、隣県のヘリを活用できるとしている。

 

6、耐震工事、2割で未実施(会計検査院)

 会計検査院が28道府県にある公共土木施設の地震・津波対策を調べた結果、緊急輸送道路に架かる橋の約2割に当たる3644本で必要な耐震工事が実施されていなかったことが分かった。検査院は24年度、東海地震などの被害が想定される太平洋側を中心とする15都道府県を調査。今回は主に内陸部や日本海側の28道府県にある河川や海岸、道路などの整備状況を、震災前の耐震基準を基に調べた。
 検査院によると、国直轄の河川で、耐震工事の優先度が最も高い「ランクA」の水門26ヶ所のうち、工事が終わったのは1ヶ所だけだった。同じくランクAの堤防は総延長約85キロで工事がされていなかった。
 海岸でも耐震工事が必要と診断された水門5ヶ所、堤防約84キロで工事が未実施だった。想定される津波高よりも低い堤防は総延長で約1304キロあった。
 公民館や広場といった避難所を設けた土砂災害危険区域のうち、落石防護柵などの防災施設が整備されていたのは約2割に当たる約3千ヶ所。ため池では、9割超に相当する約3万ヶ所で水をせき止める土手の耐震点検がされていなかった。

 

7、自殺、予防策で2割減(国立精神・神経医療研究センター)

 国立精神・神経医療研究センターなどのグループは、自殺の多い地域で積極的な予防対策を行ったところ、男性や高齢者で約2割、自殺を図る人の割合が減ったとする研究成果が明らかになった。ただ、女性や若年層、都市部では明確な効果は見られず、「きめの細かい対策の立案が必要」と結論づけた。
 研究グループは、現在行われている自殺予防対策が有効かどうかを検証する目的で2006年7月から3年半、自殺死亡率が10万人当たり30人と高い青森、岩手、秋田、宮崎などの計11地域を対象に、対策の効果を検討した。住民が集まる機会を設けたり、自宅を訪問したりといった自殺予防のための活動を強化することで、自殺を図る人がどれだけ減るか調べた。
 その結果、積極的に予防対策を行った地域は、行っていない地域に比べて、男性で約23%、65歳以上の高齢者で約24%、自殺を図る人の割合が減った。一方、都市部での自殺者が増えているとして、宮城、千葉、福岡の都市部でも同様の自殺予防対策を行ったが、性別や年齢に関わらず、効果は見られなかった。

 

8、巨大地震廃棄物、広域処理の体制構築(環境省)

 阪神大震災の教訓から策定された震災廃棄物対策指針の15年ぶりの改定に環境省が乗り出した。東日本大震災ではガレキの処理が当初、混乱。南海トラフや首都直下など巨大地震に備えた広域処理体制をあらかじめ確立するための実践的な行動指針が求められる。
 1998年策定の震災廃棄物対策指針は95年の阪神大震災を参考に廃棄物処理の流れを示し、自治体に地震発生時の廃棄物処理計画を働きかけた。だが、東日本大震災では、指針に基づいて作成した市町村の計画が用をなさず、廃棄物処理は震災1年後の時点で全体の6%にとどまった。
 指針は、建物がれきなどの災害廃棄物の半分の量に達した、塩分や油分を含む津波堆積物の処理を想定しておらず、広域処理も、要請、応援の双方とも踏み込み不足だったためだ。
 南海トラフ地震では東日本大震災の12.5倍、首都直下地震では5倍の災害廃棄物が想定される。
 指針改定後、自治体の計画は都道府県と市町村が一体になって作業し、防災計画の一部分として盛り込まれがちな廃棄物処理を独立させるよう指導していく。

 

9、土砂流は時速60キロ(京大防災研)

 伊豆大島で発生した土石流は、流れ下る速度が最大で時速60キロ・メートルに達していたという推定を、京都大防災研究所が明らかにした。 一般的な土石流の速度の約1.5倍に相当し、強い破壊力で住宅などに押し寄せ、被害を大きくした一因の可能性があるという。同島内の地震計の記録を解析し、土石流が発生してから停止するまでの時間を約2分間と推定。土石流の起こり始めた山腹部から、被害の大きかった神滝地区までの距離は約1.5~2キロ・メートルあることから、土石流は時速45~60キロ・メートルだったと解析した。通常の土石流は同30~40キロ。

 

10、避難勧告指針見直し(内閣府)

 伊豆大島(東京都大島町)の土石流災害を受け、内閣府は、自治体向けに避難勧告発令の目安などを示した2005年公表の現行ガイドラインを見直すことを決めた。公表後に本格運用が始まった「土砂災害警戒情報」や「特別警報」などに関する記述がないためで、今年度中にこうした情報の活用方法なども盛り込んで改定する。
 ガイドラインでは、土砂災害のほか、洪水や津波などの自然災害が起きた場合、自治体が避難誘導のタイミングを決める際の参考とすべき情報が示されている。住民に対する情報伝達の方法や避難勧告の区域を設定する際の留意点なども書かれており、全国の自治体が防災計画の作成で参考にしている。
 土砂災害では、降雨量が一定基準を超えることが予測されたり、道路のひび割れや渓流付近での斜面崩壊といった前兆現象が発生したりすることが、避難勧告を出す目安とされている。だが、国土交通省が現在、勧告発令の目安とするよう呼びかけている土砂災害警戒情報のほか、特別警報、記録的短時間大雨情報などの気象情報をどう活用するかについては、不明確なままになっている。
 内閣府はこうした気象情報を反映させるほか、夜間に避難勧告を発令する際の基準なども盛り込む。

 

11、死者13万人と試算(大阪府等)

 大阪府は、「南海トラフ」を震源域とする巨大地震による府内の人的被害の独自想定を公表した。死者は最大13万3891人と、内閣府想定(9800人)の13.6倍に上る。津波避難者は最大106万人超に上るとしており、避難施設や水・食料などの備蓄の確保が課題になる。
 内閣府が想定に盛り込まなかった防潮堤の沈下が液状化などで発生し、地震直後から大量の水が大阪市内の川沿いに広がるゼロメートル地帯などに流入すると予想。津波浸水域は約1万1千ヘクタールと内閣府の約3.6倍とした。住民らの30%が津波到達まで避難しないなど最悪の状況も想定した結果、死者数が大きく膨らんだ。
 地震発生から約2時間で最大2メートルの浸水となるJR大阪駅周辺など中心部での被害が目立つ。
 ただ、死者の大半は津波が原因で、地震発生後すぐに避難すれば津波による死者はゼロ、防潮堤の沈下などによる死者も8806人まで減ると想定する。
 南海トラフ地震を巡っては、大阪府以外の各自治体も独自の被害想定を公表している。東京都は今年5月、島しょ部への津波による死者を内閣府の想定より274人多い計1774人と推計。内閣府が示した都内の最大震度は5強だったが、都は12区市町村で震度6弱になるとした。

 

12、豪雨警戒、離島に直接電話(気象庁)

 伊豆大島の土石流被害を受け、気象庁は離島などで記録的な大雨が降った場合に、市町村長に直接電話して警戒を呼びかける仕組みを導入する方針を固めた。
 面積が狭いため、大雨が降っても特別警報の発表基準に達しない伊豆大島のような離島では、気象庁が「特別警報級の警戒」が必要と判断した場合、地方気象台の幹部が直接、市町村長に命を守る行動を取る必要があることを伝えることにした。

 

13、火災保険料引き上げ(損保機構)

 家庭向け火災保険の保険料が2015年度にも、3~5%程度上がる。建物の老朽化が全国的に進み、水漏れなどによる保険金支払いが増えているためで、損害保険料率算出機構が基準となる保険料率を引き上げる。火災保険と同時に加入する地震保険も14年7月に平均15.5%上がる予定で、家計の負担が一段と増すことになる。

 

14、原発安全性に数値基準(資源エネルギー庁)

 日米両政府は原子力発電所の事故のリスクを評価する統一基準をつくる方針だ。5年後を目標に津波、地震、火災など原発事故を巡るリスク評価に数値基準を取り入れ、データの共有もめざす。先行する米国のやり方を日本が吸収する形で、事故への対応力を高める。日本では原発の安全対策の強化につながり、関連の投資が必要になる見通しだ。
 日本政府はリスクを数値にしてつかむ米国流の手法を取り入れる方針。政府間の調整で課題に浮上しているのは「確率論的リスク評価(PRA)」と呼ぶ手法だ。自然災害やテロ、機器の故障、誤操作などによる事故の可能性や影響を推測し、危険性を数字で表す。
 米国では1995年にPRAの活用を決定。安全性の指標を4段階に分け、指標が悪い原発には検査の対象範囲を広げている。日本の原子力規制委員会も事業者に対し5年ごとにPRAの一部活用を検討するよう求めている。米政府と評価方法のすり合わせが済めば、規制委が7月につくった原発の安全基準を見直すことになる。
 現行の基準はすべての原発についてほぼ一律の安全対策を求めているが、PRAを導入すれば原発ごとにきめ細かくリスクを見積もることになる。地震や津波を受けやすいと算出された原発や老朽原発は、機器の改修や安全設備の増設などの追加的な対策を迫られる。

 

15、トリアージタグ改善へ(救急医学会)

 災害や事故現場で負傷者の重傷度を色分けして識別する「トリアージタグ」の様式に不備があるとして、見直しを求める声が上がっている。
 現行の様式では妊婦の識別欄がないほか、色覚異常がある人は色の違いを判別しにくい場合があるためだ。
 トリアージタグは治療の優先順位を示す札で、氏名や性別、搬送先などの記載欄があり、原則、右手首に付ける。4色に分類され、黒は「死亡か救命の見込みがない状態」、赤は「最優先で治療が必要な重傷」、黄は「すぐ治療しなくても生命に影響はないが処置が必要」、緑は「軽傷」。
 しかし、東日本大震災をきっかけに、タグの不備も問題視されるようになった。
 支援活動に関わった産科医からは、震災時、被災妊婦の居所がわからず支援が難航し、妊婦の識別欄が必要との声が上がった。識別できないと、エックス線検査を避けるなど胎児への影響に配慮できない懸念もある。
 交通事故現場でも、けががなく治療対象にならなかった妊婦の容体が後に悪くなり胎児が死亡した例がある。
眼科医からも色覚異常のある人が識別できない恐れがあるとの指摘がある。赤が黒っぽく見える色覚異常の場合、直ちに治療の必要がある赤のタグを、志望者などの緊急治療の対象にならない黒と間違えやすい。赤が黒っぽく見えるタイプの色覚異常の人は日本男性の1%も占める。
日本救急医学会は、関係学会や厚生労働省など関係機関と連携し、妊婦の識別欄を設けたり、色の境界に白いラインを入れたりする改善策に加え、多様な災害弱者の救助につながる方策を多角的に検討する。

 

16、半数の家庭、水備蓄ゼロ(内閣府)
 全国の家庭の約半数が大規模災害に備えた水の備蓄を全くしておらず、用意していても1人あたりペットボトル(2リットル)1本程度にとどまるケースが多いことが調査で分かった。内閣府の有識者検討会は5月、南海トラフ巨大地震への対策として1週間分以上の備蓄を呼び掛けたが、大幅に不足している実態が浮き彫りになった。
 全体の47.8%の家庭が水の備蓄が「ない」と回答。家庭単位での備蓄は2リットル入りペットボトルで「6~11本」が14.6%、「1~2本」13.5%、「3~5本」13.0%だった。平均は4本だった。
 家庭での備蓄をめぐっては内閣府検討会の呼び掛けのほか、総務省消防庁も大地震などに備えて各家庭で最低3日分の水や食料の備蓄を求めている。同庁によると、1人あたり1日3リットルの水が必要で、3日分は2リットルのペットボトルで5本になる。
 しかし、調査ではこれを満たす「1人あたり5本以上」と答えた家庭は全体の3.9%にとどまった。

 

[防災短信(地方や企業の動きなど)]

1、医学部設置を容認

 ~復興支援、「東北に設置」有力~10月10日読売新聞

2、耐震診断、改修進まず

 ~旧基準の分譲マンション~10月7日日本経済新聞

3、災害情報、市HPへ集約

 ~石巻市、訓練で初運用~10月7日読売新聞

4、被災3県「応援職員」444人不足

 ~総務省、全国知事会ルート~10月11日読売新聞

5、防火扉、点検の盲点

 ~有床診療所、消防・市とも「対象外」~10月12日読売新聞

6、防災訓練、首相が参加

 ~川内原発<鹿児島>、緊急事態を想定~10月12日日本経済新聞夕刊

7、気象衛星、観測精緻に

 ~三菱電機、画像処理力2000倍~10月12日日本経済新聞

8、屋台店主「缶のフタ開けた」

 ~福知山花火会場爆発、一転容疑認める~10月23日読売新聞

9、10月福島県沖地震、津波注意報「精査」に時間

 ~範囲拡大は地震40分後~10月29日読売新聞

10、福島原発事故、都市に移住

 ~土地の差額50%超え賠償~10月25日日本経済新聞

11、トンネル火災想定訓練

 ~JR東日本、地上に抜ける階段で避難~10月26日日本経済新聞

12、発覚恐れ非常口に施錠

 ~無許可ダンスクラブ、火報にカバ~10月31に日読売新聞夕刊

13、被災地と企業橋渡し

 ~復興庁、特設サイトで仕事紹介~10月6日日本経済新聞

14、面積広い表層崩壊多発

 ~伊豆大島土石流、合同調査団が見解~11月3日日本経済新聞

15、「全員帰還」を修正

 ~経済産業省、政府は移住策を検討へ~11月5日日本経済新聞

 

【参考文献】

1、平成25〔2013〕年11月 『UGMニュース』

2、平成25〔2013〕年11月 『UGMニュース』

3、平成25〔2013〕年10月10日 『日本経済新聞』

4、平成25〔2013〕年10月10日 『読売新聞』

5、平成25〔2013〕年10月7日 『読売新聞』

6、平成25〔2013〕年10月10日 『日本経済新聞』

7、平成25〔2013〕年10月10日 『読売新聞』

8、平成25〔2013〕年10月23日 『読売新聞』

9、平成25〔2013〕年10月23日 『読売新聞』

10、平成25〔2013〕年10月24日 『読売新聞』

11、平成25〔2013〕年10月30日 『日本経済新聞』

12、平成25〔2013〕年10月24日 『読売新聞』

13、平成25〔2013〕年10月22日 『日本経済新聞』

14、平成25〔2013〕年10月31日 『日本経済新聞』

15、平成25〔2013〕年11月1日 『読売新聞』夕刊

16、平成25〔2013〕年10月31日 『日本経済新聞』夕刊

防災短信~各見出しを参照

 

 

 

 

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第86号平成29年9月号支援物資の輸送を改善(中央防災会議)他
第85号平成29年8月号惨事ストレスケア2,700人(消防庁)他
第84号平成29年7月号ドクターヘリ 基準緩和(国土交通省)他
第83号平成29年6月号災害派遣職員、地元優先で(中央防災会議)他
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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