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防災評論 第44号

山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

 

防災評論(第44号)【平成26年3月号】

 

【目次】

〔政治行政の動向概観〕       

〔個別の動き〕 

1、首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)
2、震災、公的住宅整備1.2%(読売新聞)
3、首都圏の住宅1割に「空き」(総務省)
4、避難訓練 判断力重視(地方公共団体)
5、救急車、通報から搬送まで過去最悪(消防庁)
6、防災交付金3.6%増(財務省)
7、今後30年震度6弱以上の確率、四国・九州上昇、静岡は低下(地震調査委)
8、災害拠点耐震化、初の80%超(消防庁)
9、防火扉診療所も点検(国土交通省)
10、私立校耐震化77%(文部科学省)
11、海保職員最多に(海上保安庁)
12、医療再開費用のうち補助金「25%以下」が過半数(宮城県)
13、南海トラフ被害想定の死者数10都道府県、国より多く(地方公共団体)
14、みなし仮設638戸更新難航(被災3県)

 

 

〔政治行政の動向概観〕

 東日本大震災から3年が経ち東日本地域は原発が立地した福島を中心に未だ本格復興から程遠い状況にあるが、帰還できないといわれていた地区の一部避難解除が決まるなど全体としては前向きの状況トレンドにあることは疑いない。しかし報道の大半は未だに続く仮設住宅や遠隔地での避難生活長期化の悲惨さ、帰還に難色を示す一方より手厚い賠償を求める人の姿などのネガティブな面ばかりを強調し、さらにそれらを物語風に纏めることによって売り込みを図るという姿勢が目立つ。この結果、3月に行われた世論調査(3月9日東京新聞)では77%の回答者が「復興が進んでいない」と答えるなど、国民の間に東日本大震災被災地や被災者現状への客観的理解が公平に進んでいない結果を生み出している。ただただ遅れている、「政府の取り組みが遅い」と批判するだけでは事態は前に進まないし、国民や被災者のマインドも好転しない。メディアは、各地の防災士会などの草の根組織がきめ細かく復旧、復興に取り組み、明るい話題を提供していることなどをより積極的に取り上げ、復興の着実な加速を後押しするべきであろう。
 物語風にことを仕立てて売り込むというマスコミの手法はわが国の科学技術分野での名声と指導力に大きな汚点を残すスキャンダルに発展した。世間を騒がしている理研STAP細胞捏造疑惑である。事実の詳細はこの欄の担当分野ではないので省略するが、
① 万能細胞を含む再生科学分野はアベノミクスにいういわゆる第3の矢(成長戦略)の核として大きく期待されていたが、その看板に泥を塗りひいてはわが国の国際的な信用失墜と競争力低下に結びつきかねないことに。
② 100%の国費といって良い恵まれた研究組織での不祥事だけに、国民の科学技術行政(防災の研究も含む)に大変な不信感を植え付け今後この分野の予算計上に支障が出る恐れがあること。
③ 本来科学技術の成果という安全・安心にもつながる高レベルの話題なのに「割ぽう着」、「ブランド指輪」、「ムーミン」など芸能レベルのネタのように、むしろそれらばかりの誇張により報道品位を傷つけたこと。(防災報道のありかたとも関連)
 いずれにしてもこの事件は早期に事態の全容解明と関係者の処分を厳正に行い、後遺症を引きずらないよう願うばかりであるが、「女子力」などのキャッチフレーズ(レッテル)で全てを決するかのような社会風潮が蔓延して我々のような防災力強化への地道で真剣な取り組みに水をさすことのないよう求められる。

 

 

〔個別の動き〕

1、首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)

 政府の中央防災会議はマグニチュード(M)7級の首都直下地震が起きれば、最悪で死者約2万3000人、建物の全壊・全焼は約61万棟にのぼるとする新たな被害想定の報告書を纏めた。経済被害は約95兆円で、政府予算の一般会計総額に匹敵する。一方で、「建物の耐震化や出火防止対策の強化で、被害を10分の一に減らせる」と分析、政府は首都直下地震対策大綱を改定し、現在に向けた取り組みを進める。
 今回、東日本大震災を受けて、2004年度の被害想定を見直した。震源が異なるM7級の首都直下地震を19パターン想定し、このうち首都中枢機能への影響が大きい都心南部直下地震(M7.3)の被害を算定した。
 都心の大半は震度6強で、江東区などの一部で震度7と予測。最も被害が大きいのは、火気の使用が多い冬の夕方だ。都心を囲むように広がる木造住宅密集地域で大規模な延焼が発生、四方を火災でふさがれて逃げ場を失う「逃げ惑い」で犠牲者が多く出ると想定した。
 その結果、死者全体のうち、火災による死者は最大約1万6000人となり、04年度の想定(約6200人)の2.5倍に増加。ただし、電気機器などからの出火防止や初期消火で犠牲者は約800人にまで減らせるという。
 人口が集中する首都圏では、地震から2週間後には避難所などで生活する被災者は約720万人に達する。また、自宅に戻れない帰宅困難者は最大約800万人に上る。
 M8級で、相模湾から房総半島沖で起きる関東大震災からの地震については、「当面発生する可能性は低い」としながらも、想定に加えた。もし現時点で起きれば、最大10メートルの津波が千葉県や神奈川県の沿岸を襲い、死者は最大約7万人、被害額は約160兆円と試算した。
 また、政府は、首都直下地震に備え、非常事態時に優先する業務を定める政府として初の業務継続計画(BCP)を作ると発表した。中央防災会議が首都直下地震の被害想定を8年ぶりに見直し、マグニチュード(M)7級の地震が起きた場合、最悪で死者2万3千人、経済被害が95兆3千億円に上るとの試算を公表。政府や自治体、企業などは防災・減災対策を急ぐ。
 報告を受け、政府綱を改定し、はじめて業務継続計画を策定、非常時の優先業務を明確にする。内閣機能や被災地への対応、金融・経済の安定、防衛や治安維持などに優先して取り組む。
 災害対策基本法の改正も検討する。首相が同法に基づく災害緊急事態を布告した場合、道路に放置された一般車両を所有者の承諾がないまま撤去できるようにすることなどが検討対象になる。
 インフラを担う企業も対策を強化。東日本旅客鉄道は2012年度から5年間で3千億円を災害対策に投資し、高架橋の補強工事などに充てる。

 

2、震災、公的住宅整備1.2%(読売新聞)

 東日本大震災で自宅を失った被災者のため、自治体が整備した集団移転先の宅地や復興住宅(災害公営住宅)は560戸で、今も総計画戸数の1.2%にとどまることが調査で分かった。一方、民間の分譲地などに被災者が自力で再建した住宅は今春以降で約5000戸も増えている。震災発生1000日を過ぎるが、自治体の取り組みの遅さに痺れを切らした被災者が、自力再建に向かう現状が浮き彫りになった。
 整備済みの集団移転の宅地は25年11月現在、163戸分で全計画戸数の1%未満。また復興住宅の整備は397戸で、計画の1.6%だった。
 整備計画の完了年限は明示されていないが、3県での整備計画は、総計画戸数の8.5%の4037戸。震災から5年となる2016年3月時点では7割が終わる予定だが、地権者との用地交渉の難航、人手不足や建設単価の急上昇に伴う入札不調などでなかなか進まないという。
 1995年の阪神大震災では、発生から2年8ヶ月後の97年9月時点で、復興住宅は総計画戸数の37.5%が供給されていた。
 一方、こうした現状を背景に増えているのが、被災者が民間分譲地などを自身で確保し、住宅を再建するケース。被災者が自宅を建て直したり、購入したりした際に、被災者生活再建支援法に基づいて支払われる加算支援金の11月現在の支給状況を調べたところ、岩手3404戸、宮城1万8861戸、福島4412戸。今年3月以降、全体で約5000戸増えていた。
 自力再建の増加に伴って、集団移転の希望者は大きく減っており、43市町村の計画数は自力再建の増加とほぼ同規模で縮小している。
 政府は10月、これまで半年程度かかっていた集団移転先の用地などの取得期間を最短で3週間程度にするなど、住宅整備の遅れの改善策を発表している。
 復興庁によると、自宅を離れ、避難している人は、3県を中心に約27万8000人。このうちプレハブの仮設住宅では、約4万6000戸におよそ10万人が暮らしている。
 道路や鉄道、水道などの社会基盤の復旧は、東京電力福島第一原発事故の影響で、居住が禁じられた地区を除き、ほぼ完了した。3県で発生した計1635万トンのがれき(災害廃棄物)についても、岩手、宮城分は来年3月末までに処理が完了する予定だ。
 ただ、原発事故の深刻な影響に苦しむ福島では、がれきの処理率が59%にとどまっている。ほかにも汚染水や進まぬ除染などの問題を抱え、復興の遅れは深刻化している。

 

3、首都圏の住宅1割に「空き」(総務省)

 総務省が5年に一度、全国の世帯を抽出して実施している「住宅・土地統計調査」によると、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の空き家は最新調査の2008年時点、約185万戸と10年前に比べて2割増加。1戸あたりの面積を仮に50平方メートルとした場合、ほぼ新宿区5つ分の面積の空き家がある計算になり、首都圏防災の面で大きな問題となっている。
 埼玉県では県内にある住宅の約1割が空き家という。都市部の世田谷区でも区内の住宅の7.6%にあたる約3万5000戸の空き家がある。
空き家の増加を受け国も対策に動いている。厚生労働省は、空き家を活用し高齢者向けのケア付き賃貸住宅を整備するモデル事業を始める計画。社会福祉法人等を事業主体とし、整備費や人件費への補助金の創設を検討している。
 国土交通省も、空き家の賃貸活用に向けた検討会を発足させ、流通を促進する課題を纏めた上で、住宅の管理・取引ルールなどを定めたガイドラインを来春に策定する予定だ。
空き家が市場に出回るように、賃貸借契約でオーナーの負担や不安が重くならないルール作りが必要になる。
 しかし、税制面から空き家が増えている事情もある。住まいだった空き家をそのまま残すと固定資産税の住宅用地の特例をそのまま引き継げる。このため「取り壊して更地にするよりも、固定資産税の自際の負担額は23区内で平均して4倍近く差が出る」(都の主税局)という。

 

4、避難訓練 判断力重視(地方公共団体)

 津波の被害が想定される沿岸部の学校で避難訓練をより実践的な内容に工夫する動きが広がっている。放課後や休み時間に抜き打ちで行ったり、津波に追いつかれることを考えてライフジャケットで水に浮かぶ訓練を行ったりする学校もある。自分の命は自分で守るという震災の教訓を強く意識しているのが特徴だ。
 和歌山県新宮市で今月2日に開かれた防災教育がテーマの小中学校教諭らの意見交換会で群馬大の片田敏孝教授(災害社会工学)は、「津波から逃げてきて、津波避難ビルの入り口が閉まっていたら、石で割ってでも逃げ込むように指導してほしい」と、津波避難の心構えを説いた。
 南海トラフ巨大地震では最大で14メートルの津波が想定される同市。今年度からは、小中学校の避難訓練では、毎回、避難先を変えるようにした。いつ襲ってくるか分からない災害に、臨機応変に対応できるようにするためだ。
 児童の7割がバスで通う岩手県大槌町立大槌小は、下校中に震災が起きたと想定。スクールバス10台が、それぞれの運転手の判断で、安全確保に努めたと話す。訓練の回数も年6回に増やした。
 千葉県白子町の九十九里浜に近い町立南白亀小では、児童たちが校舎屋上に避難し、ライフジャケットを着用する訓練を行った。同町沿岸には、震災で高さ3メートルの津波が押し寄せ、町は今年度、全小中学校にライフジャケットを配備した。夏にはライフジャケットを着てプールに入る体験授業も行った。
 静岡県牧之原市の私立細江小は、休み時間や清掃時間に抜き打ちで訓練を行った。教師は基本的に見守るだけ。子どもたちは自分の判断で机の下に隠れて身を守り、屋上などに避難した。低学年の子どもたちを5、6年生が気遣って一緒に避難する姿も見られたという。
 片田教授は「従来は決まった行動を求めたが、震災を機に教育現場の意識も大きく変わった。状況に応じた判断力を養うには、様々な設定での訓練をつみ重ねるしかない」と指摘する。

 

5、救急車、通報から搬送まで過去最悪(消防庁)

 2012年に全国で出動した救急車が、通報から傷病者を病院まで運ぶまでにかかった時間は平均38分42秒と前年を36秒上回り、過去最悪を更新したことが、消防庁の集計で分かった。
 消防庁は搬送の遅れについて、出動が増えて救急車がすぐに手配できなかったり、遠い消防署に応援を依頼したりするケースが増えたためとみている。搬送した人の50.4%は軽症で、搬送時間短縮には救急車の適切な利用も求められそうだ。
 通報から救急車が現場に到着するまでの平均時間は8分18秒で、前年より6秒遅くなった。
 救急出動の件数は前年比1.7%増の580万2455件と過去最多だった。5.4秒に1回の割合で出動した計算になる。
 都道府県別で最長は東京の54分54秒で、埼玉44分36秒、千葉43分42秒と続いた。最短は福岡の29分24秒。前年より時間が短くなったのは福島の40分48秒(24秒短縮)、鳥取の35分6秒(6秒短縮)だけだった。
 通報時に心肺停止状態だった人に現場に居合わせた人が心臓マッサージや人工呼吸などの応急手当てをした割合は44.3%と過去最高だった。

 

6、防災交付金3.6%増(財務省)

 政府は、2014年度予算編成で公共事業費を巡り防災目的のインフラ事業に使い道を限って地方自治体に配る「防災・安全交付金」を13年度当初予算に比べ3.6%増やす。
 14年度予算で公共事業費は2年連続の増額が確定。中核事業に位置づける防災・安全交付金は1兆841億円を計上する。
 福島第1原子力発電所の事故で避難を余儀なくされている住民の帰還支援などにつなげる「福島再生加速化交付金」には1088億円の追加。13年度の補正予算案に512億円を積んで新設するもので、復興の加速化が期待される。

 

7、今後30年震度6弱以上の確率、四国・九州上昇、静岡は低下(地震調査委)

 政府の地震調査委員会は、全国各地で今後30年以内に震度6弱以上の大きな揺れに見舞われる確率を示す2013年版の「地震動予測地図」を発表した。東海沖から九州沖の南海トラフ巨大地震の想定を改めたのに伴い、紀伊半島から四国、九州地方にかけて確率が上がった。
 高松市の確率が44%から58%に、宮崎市も46%から54%に上昇した。東海地震が単独で起きるという想定をやめ、南海トラフ全体の地震を考慮したことで、静岡市の確率は90%から65%に下がった。

 

8、災害拠点耐震化、初の80%超(消防庁)

 警察、消防署や学校体育館など地方自治体の災害対策拠点となる公共施設の耐震化率が、2013年3月末時点で82.6%になったことが消防庁のまとめで分かった。調査を始めた2002年3月末の48.9%から上昇を続け、初めて80%を超えた。
 調査対象18万8312棟のうち、15万5455棟は耐震性があり、震度6強でも人命に危害が及ぶ可能性が低いことを確認した。都道府県別では東京95.8%、愛知93.7%、静岡93.6%が上位で、広島64.6%、愛媛70.7%が低かった。
 消防庁は、南海トラフ巨大地震などで被害が予想される防災意識の高い地域や、財政が豊かな自治体で耐震改修が進んでいると分析している。
 消防庁は2013年版消防白書で、自治体の災害対応力を強化するため、避難住民の収容や、日常の訓練、研修などに使える拠点施設の整備が重要と訴えた。

 

9、防火扉診療所も点検(国土交通省)

 国土交通省は、防火扉の定期点検と地方自治体への報告を義務付ける対象施設を明確化する方針を固めた。病院など大型施設のほか、診療所といった規模の小さな施設も対象とする方向で調整している。福岡市の有床診療所「安部整形外科」で10人が死亡した火災を受けた措置で、建築基準法改正案を提出する。
 現行法は、多数の人が集まる施設について防火扉が作動するかどうかを所有者が定期点検し、自治体に報告するよう規定している。どんな施設を対象とするかは自治体に委ねられ、安部整形外科は福岡市の点検対象外だった。
 改正案では、国が点検対象施設の種類や規模などを政令で定めるほか、所有者が定期点検を行わなかった場合の罰則を盛り込む。また、防火設備を専門とする技術者の資格制度に関し、点検に不正があった場合に処分できる規定も定める。
 一方、福岡市は先月、再発防止のため、ベッド数19床以下の有床診療所を、防火扉の点検対象に加えると発表した。
 福岡市の診療所の火災は今年10月11日発生、消防庁は、防火扉が機能しておらず、職員による初期消火や通報にも問題があったと指摘している。また、厚生労働省は入院用のベッドがある診療所などを対象にスプリンクラーの設置費用を補助する方針を決めている。

 

10、私立校耐震化77%(文部科学省)

 全国の私立幼稚園、小中学校、高校などを対象にした2013年4月時点の耐震化に関する調査結果を文部科学省がまとめた。震度6強程度の地震が起きても倒壊の危険が少ないと判断されたのは、1万9718棟のうち77.9%の1万5358棟にとどまった。
2012年の同時期より2.5ポイント上昇したが、今年4月時点の公立学校(88.3%)より10ポイント以上低かった。
 経営環境が厳しい中で耐震性向上の支援策が公立より少ないことも背景にある。政府は格差解消に向け14年度から公立と同様、校舎などの建て替え費用を新たに補助対象とし、子どもの安全確保を急ぐ。
 同省は全都道府県に、国の補助制度活用や自治体独自の支援策による一層の耐震化促進を要請する。
 都道府県別では静岡95.5%、秋田91.3%、三重89.9%が上位3県で、低かったのは山形59.9%、沖縄61.0%、岡山61.4%の順だった。文科省によると、私立学校の建て替えに独自の補助をしている県で耐震化率が高い傾向という。
 学校の耐震化に対する現在の国の補助は、公立は改修費用の最大3分の2、建て替えは最大半分となっている。これに対し私立は改修費用の最大半分を補助するが建て替えは対象外。政府は私立の建て替え費用についても最大半分を補助することを決め、14年度予算案に60億円を計上している。

 

11、海保職員最多に(海上保安庁)

 海上保安庁の2014年度予算案では、320人の職員増に伴う人件費が認められた。
 来年度の定員は、1948年の同庁創設以来、過去最多の1万3208人になる。
 同庁は沖縄・尖閣諸島国有化以降、周辺海域で領海侵入を繰り返す中国公船に対応する「専従部隊」の準備を進めており、新造する1000トン型巡視船10隻のうち4隻が新年度に完成するため、乗組員の確保が急務だった。

 

12、医療再開費用のうち補助金「25%以下」が過半数(宮城県)

 東日本大震災で壊滅的被害のあった宮城県沿岸部で、国や県の補助金を使って診療を再開した医療機関のうち過半数が必要な費用の4分の1以下しか支援を得られず、自己資金で賄っていたことが、宮城県保険医協会の調査で分かった。
 予算不足で補助に上限が設定されたことなどが要因。患者数が震災前より減るなど医療経営の厳しさは増しており、県では地域住民の健康を支えるためにも一層の支援が必要と訴えている。
 このうち補助金を活用した35件に、再開費用に占める補助金の割合を聞いたところ、「25%以下」が最も多い21件。「50%以下」が9件、「75%以下」が3件と続いた。

 

13、南海トラフ被害想定の死者数10都道府県、国より多く(地方公共団体)

 南海トラフ巨大地震が起きた場合の死者数を独自に想定した15都府県のうち、10都府県で国の被害想定より増えたことが分かった。堤防が壊れ浸水地域が広がるといった過酷な条件を設定したのが主な要因。広島は国想定の18.4倍に当たる1万4759人、大阪は13.7倍の13万3891人などとしている。
 国と自治体で想定が異なることで混乱を招く恐れがあるが、内閣府は「危機管理上は厳しく見積もる方がよい。地域に合った対策を進めてほしい」としている。
 内閣府が2012年に公表した被害想定を踏まえ、これまでに15都府県が死者数や建物の全壊棟数を独自に算定し、公表した。10都府県では、最悪の死者数が国想定の1.2~18.4倍に増えた。都府県想定の死者数が多いのはほかに、大分2万2千人(1.3倍)、愛媛1万6032人(同)などだった。
 国の想定は、地震の揺れが堤防に影響しないことが前提。しかし多くの自治体は液状化などで堤防が大きく沈むと想定、浸水面積が広がり、犠牲者数も膨らんだ。
 国の想定より死者数が減ったのは4県。高知(4万2千人)、宮崎(3万5千人)はいずれも国より7千人少ない。浸水面積は増えたが、津波避難ビルの整備状況を反映させたという。長崎は「最悪は5360人だが適切に避難すれば死者は出ない」とし、国想定の80人とは比較できないとしている。

 

14、みなし仮設638戸更新難航(被災3県)

 東日本大震災の被災者が生活する福島、宮城、岩手3県の「みなし仮設住宅」のうち、家主が平成26年春以降の契約を打ち切る意向を示している物件が計638戸に上ることがわかった。このうち376戸は入居者の転居先が未定。東京電力福島第一原発事故で多くの避難者が暮らす福島県いわき市では、復興関連作業員らの流入も加わり、より条件の良い借り手を探す家主も少なくない。
みなし仮設の入居期間は災害救助法に基づき原則2年だが、災害公営住宅(復興住宅)の整備の遅れなどから、国は1年間の延長を繰り返している。ただ、再契約や契約更新は家主の合意が前提となるため、3県は契約期限が集中する平成26年春を前に家主の意向を調査した。
 3県で最多の約2万3000戸を契約している福島県では266戸で再契約を拒否された。このうち187戸は入居者の転居先が決まっていないという。宮城県では約1万8000戸のうち344戸で拒否され、転居先未定は161戸。約2600戸を契約する岩手県では28戸が拒否され、転居先も決まっていない。
 福島県では、物件の売却や賃貸先の変更を理由に再契約を拒むケースが多く、特にいわき市で目立つ。約2万人の避難者が暮らす同市では物件が慢性的に不足しており、地価や家賃相場が上昇。今後も除染など復興関連事業によって作業員らの移住が増えると見込まれている。
 県に家賃の値上げを打診する家主も少なくなく、より高収益な物件の活用を考える家主が増えている。
 この問題では、宮城県が電話相談窓口を開設するなど各県で対応を進めているが、家主を説得するしか方策がないのは現状。各県は市町村を通じて家主の意向を入居者に伝え、転居先を探すよう促している。
 国土交通省によると、復興住宅の整備状況は岩手が計画の4%、宮城は1%で、福島では計画自体が決まっていない。

 

 

[防災短信(地方や企業の動きなど)]

1、集団移転「待てない」自力再建増加
  ~職員不足、造成に時間、被災3県~平成25年12月3日読売新聞
2、空き家 福祉・交流の場に
  ~首都圏、10年で2割増、1都3県~平成25年12月3日日本経済新聞
3、ベビーカー事故、鉄道会社の4割で発生
  ~大都市調査、国土交通省指針作りへ~平成25年12月19日日本経済新聞
4、集団移転の宅地引渡し(宮城県岩沼市)
  ~防災集団移転促進事業<東日本大震災分>で初~平成25年12月21日日本経済新聞
5、2013年の気象現象、命の危険「5人に一人」
  ~民間調査、80%は”異常”と認識~平成25年12月22日日本経済新聞
6、防潮堤、住民合意困難に
  ~宮城県気仙沼市など、住民高さ引き上げ(平均8メートル)に反対~平成25年12月24日読売新聞
7、災害救援ロボ、世界を圧倒
  ~米フロリダ州DARPA主催コンテスト、東大ベンチャーが優勝~平成25年12月23日読売新聞

 

 

【参考文献】

1、平成25〔2013〕年12月25日 『読売新聞』、『日本経済新聞』
2、平成25〔2013〕年12月3日 『読売新聞』
3、平成25〔2013〕年12月7日 『日本経済新聞』
4、平成25〔2013〕年12月12日 『読売新聞』
5、平成25〔2013〕年12月19日 『日本経済新聞』
6、平成25〔2013〕年12月21日 『日本経済新聞』
7、平成25〔2013〕年12月21日 『日本経済新聞』
8、平成25〔2013〕年12月21日 『日本経済新聞』
9、平成25〔2013〕年12月23日 『日本経済新聞』
10、平成25〔2013〕年12月27日 『日本経済新聞』夕刊
11、平成25〔2013〕年12月24日 『読売新聞』夕刊
12、平成25〔2013〕年12月24日 『日本経済新聞』夕刊
13、平成25〔2013〕年12月30日 『日本経済新聞』
14、平成25〔2013〕年12月31日 『読売新聞』

防災短信~各見出しを参照

 

 

 

 

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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