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防災評論 第46号

山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

 

防災評論(第46号)【平成26年5月号】

 

【目次】

〔政治行政の動向概観〕       

〔個別の動き〕

1、防災リーダー育成支援(内閣府)
2、感震ブレーカー普及進まず(中央防災会議)
3、「長周期地震動」予報へ(気象庁)
4、津波到達時間に応じ病院などの避難計画作成(国土交通省)
5、屋根崩落防止、設計基準、大雪で見直し(国土交通省)
6、復興に加速措置(国土交通省)
7、温暖化、洪水被害3倍(環境省)
8、耐震不足の老朽マンション建て替え時容積率緩和(国土交通省)
9、洪水マップ市町村4割不備(会計検査院)
10、火山灰で最大47万人避難(静岡など3県)
11、公共施設撤去へ地方債(総務省)
12、防災意識、高まる防災世論調査(内閣府)
13、震災液状化9700地点関東が9割超(防災科研)
14、消防に新装備・編隊(消防庁)
15、子ども向け資格広がる

 

 

〔政治行政の動向概観〕

 国会も終盤に入り、にわかに集団的自衛権の容認問題が国政の大きな焦点となっている。安全保障上緊密な関係にある他国が第三国からの攻撃を受けた場合自衛隊も出撃できるように憲法解釈を変更するという政府方針に対し、与野党それぞれの立場からの議論が加わり、年内に結論を得たいとするものの着地点は依然不透明である。ただ、自衛隊の武力攻撃任務(本来の任務)の拡大は、いわゆるグレーゾーンへの対処問題も含め避けられないすう勢にあり、これが自衛隊の災害対応能力の維持向上にマイナスに働くことになるのではないかとの危惧が浮上している。即ち、専守防衛を隊是とする現状において自衛隊の現実の出動実態は、災害対応出動がそのほぼ9割を占める状況であり、我が国の防災体制を語るうえで自衛隊は最も必要不可欠な存在の一つとなっているが、海外への防衛能力の移転、展開によりこの重要な機能が減退することが想定される。集団的自衛権を含む安全保障のあり方を議論する場合、現実にその大宗を担う自衛隊の災害対応出動の機能をどう維持してゆくのか、あるいは消防や警察、海保といった他の災害実働機関との役割分担をどう見直すのかも併せて検討されなければ、日本の防災対策に重要な禍根を残すことになるのではないだろうか。

 

〔個別の動き〕

1、防災リーダー育成支援(内閣府)

 内閣府は自然災害の発生時に避難誘導や避難所運営の先頭に立つ「防災リーダー」の育成を支援する。学校や企業向けの教材をそろえたウェブサイトを2014年度に開設し、国が主導する避難訓練で明らかになった課題なども掲載する。東日本大震災などを機に防災リーダー育成に乗り出す自治体が増えており、数と質の向上を後押しする。
 総務省消防庁によると、地域防災の担い手となる自主防災組織は昨年4月時点、全国に15万3600団体あり、世帯数の77.9%をカバー。地域でばらつきがあるほか、こうした組織のリーダーを育成することが課題となっている。
 また、津波などの避難訓練を国主導で全国8カ所程度実施。訓練の結果や反省点もサイトに載せ、誘導方法などを考えるうえでの参考とする。優秀なリーダーを表彰する制度も設け、優れた実践例を全国で共有するとともにリーダー間の連携も促す。この事業は防災士制度と関連するところもあり、その制度設計の行方が注目される。

 

2、感震ブレーカー普及進まず(中央防災会議)

 中央防災会議が首都直下地震の火災対策として配備を訴える「感震ブレーカー」の普及が進んでいない。一定の揺れを感知すると、電気を遮断し、倒れた電気ストーブなどからの出火を防ぐ装置だが、政府のPR不足もあって、「商品のタイプや価格が様々で、どれを推奨したらいいかわからない」と自治体もPRに二の足を踏む。政府による積極的な普及策が求められそうだ。
 中央防災会議は2013年12月、首都直下地震の被害想定を公表。「最悪の場合、火災の死者が約1万6000人に上る」と予想する一方、電気機器からの出火を防げば犠牲者を9000人に、さらに初期消火を徹底すれば800人に減らせると指摘した。
 この被害想定で、使用中に停電が起き、復旧後に電気器具から出火する「通電火災」を防ぐ切り札とされたのが感震ブレーカーだ。電力会社が送電を再開しても、住民が安全を確認した後でなければ、電気機器に電気が流れない。中央防災会議は「木造住宅の密集地域などでは100%設置が必要だ」と訴えた。
内閣府が2013年11~12月、全国を対象に行った調査で「感震ブレーカーを設置している」と答えた人は6.6%にとどまっている。
 1995年の阪神大震災以降、建物の耐震化や建物自体の防火対策には重点が置かれてきたが、内閣府の担当者は「電気が原因の火災への対策まで手が回らず、感震ブレーカーの普及を働きかけてこなかった」と認める。
 火災を想定して、ガスが緊急時に止まる仕組みになっているのに対し、生活の中で広く使われる電気製品が火災原因になるという意識はまだ、自治体関係者の間でも希薄だ。
 しかし、東日本大震災を経験し、首都直下地震や南海トラフ巨大地震の発生が危惧される中、感震ブレーカーの性能の基準を設けたり、設置費を補助する制度を設けたりすることは急務だろう。各家庭や地域ごとにどんな機能が必要かも考えなければならない。
 各地の防災士会でも感震ブレーカーの普及促進に向けての活動展開が期待される。

 

3、「長周期地震動」予報へ(気象庁)

 気象庁は、地震の揺れが遠くまで伝わり、高層ビルなどを大きく揺らす「長周期地震動」の大きな揺れの到達前に予報する事業を2017年春にも試験的にはじめる方針を決めた。
 緊急地震速報とほぼ同様のシステムで、高層ビルが多い都市部で、大きな揺れに対する安全対策を取りやすくなると期待される。
 気象庁が計画しているのは、「長周期地震動予報(仮称)」。揺れの大きさを4段階で予報することを検討しており、気象庁は今後、予想の結果を伝える対象や手段などについて検討する。
 同日の気象庁作業部会が、過去6年間に起きたマグニチュード5.5以上の約60の地震について、地震の計測結果と予測値の揺れを比べ、長周期地震動の予報が可能と判断した。
 長周期地震動は木造住宅などを揺らす小刻みな揺れと異なり、揺れがゆっくりと長く続き、遠くまで伝わる。3年前の東日本大震災では、東京都新宿区の超高層ビルが約10分揺れ続けたほか、震源から770キロメートル離れた大阪市の大阪府咲洲庁舎でも大きく揺れ、エレベーターが停止するなどの被害が出た。
 高層ビルには多くの人が集まり、大きく揺れることで人的被害に拡大する可能性がある。

 

4、津波到達時間に応じ病院などの避難計画作成(国土交通省)

 国土交通省は、病院、地下街などの運営者が津波に備えて、患者や利用者の避難計画を作成する際の手引きをまとめた。津波の到達時間に応じて避難誘導のあり方を複数パターン作成することを求めている。
 手引きはほかに、夜間や休日に津波が発生した場合の職員の参集ルート設定や、なるべく上の階を一時避難場所にして非常用照明を備えることが必要とした。病院に関しては、入院患者の家族への連絡方法を事前に確認しておく必要性も指摘した。
 東日本大震災を受けて成立した津波防災地域づくり法では、都道府県知事が津波の危険性が高い地域を警戒区域に指定。区域内の地下街や病院、学校などに災害発生時の対応を定めた避難計画の作成を義務付けている。

 

5、屋根崩落防止、設計基準、大雪で見直し(国土交通省)

 記録的な大雪で体育館などの屋根が崩落する被害が相次いだことを受け、国土交通省は、建物の設計基準を見直す検討に入った。
 埼玉県富士見市の体育館や東京都青梅市の中学校の体育館で屋根が崩落した。岩手、群馬、埼玉、長野の4県で民家の車庫や物置の屋根が崩れ、計7人が下敷きになって死亡した。
 建築基準法は地域ごとに積雪量を想定し、建物が耐えられる「積雪荷重」を定めており、体育館の屋根が崩落した富士見、青梅両市は30センチの積雪の重さを基準としていた。今回は青梅市で63センチ、富士見市には観測点がないが、県内の近隣の川越市で39センチを記録した。

 

6、復興に加速措置(国土交通省)

 東日本大震災からの復興に関し、2013年地権者の承諾なしでもかさ上げ工事に入れるようにしたり、行政事務に民間の力を活用したりといった加速化措置を、次々と打ち出した。
「2015年3月末までに200地区の高台移転、1万戸を超える(復興)住宅の工事を完了する」。首相は会見で具体的な数値目標を示し、復興加速化への意欲を強調。この1年余りの間に、4度にわたって打ち出した加速化措置の効果に自信を示している。
 1月には、私権制限の色合いがにじむ対策も加速化措置に加えた。震水域をかさ上げする土地区画整理事業の際、地権者の承諾を得なくても、工事を始めても良いとする新たな通知を国土交通省が被災自治体に出した。
 地権者には、所有地の場所が変わる「換地」や強制的に減らされる「減歩」があるため、行政は着工前に地権者全員から承諾を得るよう目指すのが通例。国交省は、換地や減歩の協議を後回しにしても、かさ上げ後に地権者に引き上げ土地を決めておけば、土地区画整理法上は地権者の土地使用を凍結できると判断している。
 岩手県陸前高田市は津波に飲まれた市街地再生のため、中心部西側の山を切り崩し、その土で浸水域を10メートル弱かさ上げする土地区画整理事業を計画している。同市の事業用地は300メートル。地権者は北海道から九州までの約2000人に上り、所有者が誰なのか分からない土地もあり、従来の進め方では事業が頓挫する恐れもあった。
 また政府は、土地収用制度の「緊急使用」の活用も促した。行政が強制的に土地を買い上げる土地収用制度では、緊急使用は、裁決前に着工できる特別ルールだ。
 政府が加速化を促す柱と位置付けるのが、行政事務への「民間の力」の活用だ。その背景には、被災自治体の人員不足がある。
 被災地で計画されている復興事業は、災害公営住宅(復興住宅)や宅地計4万8000戸分を整備する膨大な作業で、市町村の業務はパンク寸前に陥っている。全国の自治体から応援職員の派遣を受けているものの、総務省によると、被災3県の市町村が今年度要望した派遣職員は1448人だったのに対し、実際に配置されたのは1289人。
 このため政府は、自治体の復興事業を一括で外部に委託する「コンストラクション・マネジメント(CM)」方式の導入を呼びかけている。現在、被災3県の11市町村が採用し、独立行政法人「都市再生機構」について、事業の設計から発注までの業務を委託している。
 また、岩手、宮城両県は、従来は行政が直接実施してきた地権者との交渉に、民間のコンサル業者を参入させ、取得交渉のスピードアップを図っている。

 

7、温暖化、洪水被害3倍(環境省)

 環境省は、地球温暖化による今世紀末の日本への影響と被害を減らす対策をまとめた報告書を公表した。洪水による被害額が現状の3倍、熱中症で救急搬送される人が2倍以上になるなど幅広く影響が出るが、堤防の強化や啓蒙などの対策を進めれば被害は減らせると分析した。2015年夏までに国としての減災計画をまとめる。
 温暖化に伴う被害を減らす対策は「適応策」と呼ばれる。温暖化ガスの排出を減らす対策を進めても、被害は避けられないとの認識から重要性が増している。
 洪水による被害は1981~2000年の平均と比べて年間2416億~4809億円増加。今は50年に1回の割合で発生する洪水に耐えられるよう設計している治水計画を70年に1回のレベルに引き上げれば、最悪でも300億円程度の増加で済む。ただ主要河川すべてで対策をとると、膨大な投資になるため効果を見極める必要がある。
 熱中症による死者の被害は金額にすると、年1479億~5218億円増える。エアコンの使用や水分補給などの対策の啓蒙、医師が同乗する救急車の導入などで、現状と同程度に抑えられる。
 コメの収穫量は北海道や東北北部で増える一方で、西日本は減るなど二極化が進む。品質は全国的に低下する。対策として、夏の暑さに強い品種の導入やなどがある。

 

8、耐震不足の老朽マンション建て替え時容積率緩和(国土交通省)

 老朽化したマンションの建て替えを後押しするため、国土交通省は、耐震性が不足しているマンションを対象に、建て替えの際の容積率の上限を緩和する。災害時に一時避難所としての役割を果たすことなどを条件に、現在の1.5倍前後に緩める。国交省は、「マンション建て替え円滑化法」の改正案を国会に提出する。
 国交省によると、1981年以前に着工した旧耐震基準の分譲マンションは全国に約106万戸。建物の老朽化も進み、このうち6割近くは現在の基準に照らすと耐震性が不足しているとみる。そうしたマンションは、震度6強で倒壊や崩落の恐れがあるという。昨年4月時点で、実際に建て替えられたのは約1万4千戸しかない。
 容積率を緩和する対象は、住民側が耐震診断をして申請し、自治体によって耐震不足が確認されたマンション。建て替え後に食料の備蓄や非常用発電のための倉庫を設置したり、災害時に一時避難所として使用したりすることなどが条件になる見通し。地域の防災力向上に貢献することで、建物が大きくなる容積率の緩和に対する周辺住民の理解も得やすくなると見込む。
 また改正案は、住民の5分の4以上の同意が得られれば、建物と敷地をあわせてマンション事業者などに「一括売却」する規定も新たに設け、建て替えを支援する。住民側は、難航することが多い再建計画などを決める必要がなくなる。事業者が建て替えたマンションを再度購入するか住み替えるかは、住民側が選ぶ。

 

9、洪水マップ市町村4割不備(会計検査院)

 豪雨時などに浸水が想定される地域や避難場所を纏めた「洪水ハザードマップ」の作成事業について、会計検査院が調べたところ、23道府県の135市町村でマップが作成されていなかったり、内容に不備があったりしたことがわかった。
 洪水ハザードマップは、河川を管理する国や都道府県が大規模な浸水被害が想定される河川の「浸水想定区域」を公表し、それを基に各市町村がマップを作成することが水防法で定められている。
 検査院によると、山形、富山、徳島、鹿児島の14市町村では、県から通知を受けたにもかかわらず、独自に作成した防災マップがあることなどを理由に、同法に基づくマップを作成していなかった。独自のマップの中には、県が浸水想定区域としている地区について、浸水想定区域外になっているものもあった。
また、マップに記載すべき社会福祉施設などの名称や所在地が未記載だった市町村が多かった。

 

10、火山灰で最大47万人避難(静岡など3県)

 静岡、山梨、神奈川の3県と国などで組織する富士山火山防災対策協議会は6日、1707年の「宝永噴火」級の大噴火を想定し、初めて火山灰による避難対象者を3県で最大47万人と推計する広域避難計画をまとめた。溶岩流の避難対象者はこれまで通り静岡、山梨両県で75万人と推計している。
 火山灰が30センチ以上積もると降雨時に水分を吸収した重みで木造住宅が倒壊する恐れがあり、計画では気象庁の予測に基づいて30センチ以上の降灰が見込まれる地域を避難対象とした。
 溶岩流については、山頂から麓に向けて5段階の避難対象エリアを設定した。
 気象庁が地震の増加など噴火の予兆を観測した場合、自治体は噴火後24時間以内に溶岩が流れ着くエリア1、2の全住民1万6千人、エリア3の高齢者など災害弱者に事前避難を呼びかける。

 

11、公共施設撤去へ地方債(総務省)

 総務省は2014年度から、公共施設を撤去する費用を調達する地方債の発行を認める。老朽化していて使えなくなっていても解体費を賄えず、放置している自治体が多いためだ。総務省の調査では、全国の自治体が解体を希望している施設数は1万2000件に上る。
 施設の解体の場合、資産は減るのに負債は増えることになる。このため、総務省は今国会で地方財政法を改正し、地方債の特例措置として「撤去債」(仮称)の発行を認める方針だ。
 総務省が撤去債を創設する理由は主に3点ある。まず、12年末の中央自動車道笹子トンネルの事故でインフラの老朽化に注目が集まったことだ。自治体は様々なインフラや施設を管理しているが、財政難のために十分な点検や補修をしていない場合が少なくない。
 次に、人口減少や市町村合併で公共施設が過剰になり始めていることだ。埼玉県が昨年秋に、施設の撤去に地方債の活用を求める構造改革特区を提案したことも後押しになった。
 撤去債の発行を希望する自治体は「公共施設等総合管理計画」を作る。施設数や面積、今後の人口や財政状況の見通しをまとめたうえで、更新や長寿命化、統廃合など公共施設に関する方針を明記する。
 この計画で不必要と位置付けた施設が撤去債の対象になる。総務省はこの計画をまとめる経費も地方交付税で支援する。
 14年度の発行枠は全国で300億円。学校や公営住宅、市民会館のような施設だけでなく、ごみ処理施設や橋なども対象にする。
 総務省が昨年9月に実施した調査では、全国の自治体から撤去の意向があるとした施設数は1万2251件に上った。
解体費用は計4039億円。なかでも「1~2年内の解体」を希望する施設が3969件と3割を超え「数年程度後」も併せると6割になった。
 種類別にみると、公営住宅が23%で最も多く、学校や図書館などの教育施設が19%、職員宿舎が11%と続いた。橋や上下水道などのインフラも7%あった。解体費では廃棄物処理施設がもっともかかり、全体の29%を占めた。

 

12、防災意識、高まる防災世論調査(内閣府)

 内閣府は8日、東日本大震災発生後は初めてとなる防災に関する世論調査の結果を発表した。この1~2年間に家族や身近な人と災害時の対応を話し合った人は62.8%で、同様の項目を聞いた2002年調査(34.9%)より27.9ポイント増えた。内閣府の担当者は「東日本大震災を経て、防災意識が高まっている傾向の表れとみられる」と分析している。
 地震への備えを具体的に聞いたところ「携帯ラジオ、懐中電灯、医薬品などの準備」(62.2%)が最も多く、「食料や飲料水の準備」(46.6%)、「家具や家電などの転倒・落下防止」(40.7%)が続いた。いずれも09年12月の前回調査より5~14ポイント増えた。
 住宅の耐震補強工事は「実施済みで耐震性がある」が27.5%で前回より4.5ポイント増えた一方、「実施するつもりはない」も前回を8.3ポイント上回る48.1%に上った。理由は「お金がかかる」(43.5%)が最も多かった。政府は補助金制度の周知などで工事を促したい考えだ。
 国や自治体が実施する防災訓練に「参加したことがある」は39.2%で02年調査より6ポイント増。「行われていることを知らなかった」は5.1ポイント増の23.9%だった。「知っていたが参加しなかった」は30.5%で、不参加の理由は「時間的余裕がない」が44.8%と最多だった。

 

13、震災液状化9700地点関東が9割超(防災科研)

 2011年3月の東日本大震災で関東、東北地方189市区町村の9678地点で液状化現象が起きていたことが、関東学院大と防災科学技術研究所による初の全国調査でわかった。
 大震災から5か月後に国が発表した地点数の約3倍に達し、全体の9割以上が関東で起きていた。震源から400キロメートル以上と遠く離れた地点でも確認された。発生が心配されている南海トラフ巨大地震でも、液状化が関西や東海地方の平野部などで広範囲に起きる恐れがあり、地盤改良などの対策が急がれる。
 液状化現象は、地盤をつくる砂粒などが地震の強い揺れでばらばらになり、地下水と混ざって液状化になる現象。震度5強以上の揺れに見舞われると起こる危険性が高まる。埋立地や河川の流域など砂を多く含んだ軟弱地盤で起こりやすく、建物が傾いたり水道管が破損したりする被害が出る。
東北が関東より少ないのは液状化が起こるにくい山地や丘が多いためと見られる。

 

14、消防に新装備・編隊(消防庁)

 政府は、大規模災害時に被災地での捜索や状況把握に活用するため、高機能の無人ヘリを開発する。2018年度までに実用化し、無償貸与などで大都市の消防本部に段階的に配備するよう促す。東日本大震災では、広い範囲での津波被害の把握に手間取った反省を生かし、救助が必要な被災者の早期発見につなげる考えだ。
 総務省消防庁が研究対象にしている無人ヘリは機体の最長部1.5メートル前後で、〈1〉航続可能な時間が15分~数十分間程度と短い〈2〉強い風速下での安定航行や振動を抑えるのが難しい〈3〉高度な操作技術が求められる――などの課題がある。今後、他の省庁や民間企業とも連携し、研究を加速させる。
 無人ヘリに関してはすでに、消防庁の消防研究センターと連携して産業技術総合研究所も機体の自動制御機能を高める研究を行っている。民間企業が開発した無人ヘリを改良し、こうした研究の成果を組み込む考えだ。
 また、消防庁は、大規模な災害発生時に、被災地の情報収集を主な目的とした少数の即応部隊「統合機動部隊」を2014年度に創設する方針を固めた。東日本大震災の際、道路寸断などの状況が把握できなかったために、消防隊の派遣に時間がかかったケースがあることを踏まえた対応。
 統合機動部隊は、災害時に消防庁長官の要請や指示に基づいて被災地に派遣される緊急消防援助隊の中から、全国に約50隊を編成する。1隊あたりの人数は50人程度を想定し、初期消火や救助活動にあたるほか、モニター付の防災無線で被災地の画像や通行不能地域などの情報を収集、後続となる緊急消防援助隊に提供する。情報は、自治体や自衛隊などにも提供することにしている。統合機動部隊には、津波の浸水地域に入れる水陸両用バギーも配備する方向だ。
東日本大震災の際、緊急消防援助隊は災害発生から6月6日までの88日間で述べ3万部隊計10万人が被災地に派遣された。しかし、自治体庁舎が津波で機能しなかったために被災状況の情報収集が送れ、迅速な派遣が困難なケースもあった。
 消防庁は「緊急消防援助隊基本計画」を近く改定し、統合機動部隊の新設を盛り込む。計画では、2018年度までの5年間で緊急消防援助隊を現在の4600隊から6000隊に増やす方針も盛り込む。

 

15、子ども向け資格広がる

 次代を担う高校生や小中学生向けに、防災に関する資格を設ける動きが自治体などに広がっている。実践的な訓練を盛り込んだ養成講座を開くなど各地で工夫が進んでいる。
 このうち、一般財団法人防災検定協会(東京・千代田)は小中学生向けの「ジュニア防災検定」を始めた。試験は小学3~5年の初級、小学6~中学1年の中級、中学2~3年の上級の3段階あり、家庭で防災について話し合ったり、災害に関する作文やポスターを作成したりといった課題もこなす必要がある。検定料は2千~3千円。浜口和久事務局長は「試験問題を持ち帰って保護者と話し合ってもらえれば、家庭の防災力も底上げできる」と話している。
 「防災士」資格を取る若者も増えている。実施するNPO法人日本防災士機構(東京・千代田)によると、10代の取得者は昨年度171人で、2年前の約2.5倍。今年度はさらに増加が見込まれる。

 

[防災短信(地方や企業の動きなど)]

1、子どもを津波から守る
 ~学校の指針改定へ~平成26年2月28日日本経済新聞
2、大川小遺族、宮城県と石巻市を提訴
 ~津波犠牲、賠償23億円求め~平成26年3月11日日本経済新聞
3、イラン防災、日本が支援
 ~初動態勢、耐震基準見直し~平成26年3月11日読売新聞
4、愛媛で震度5強
 ~伊万原発、異常なし~平成26年3月14日日本経済新聞
5、帰宅困難者支援サイト
 ~京都市、避難先やトイレ案内~平成26年3月15日日本経済新聞(夕刊)
6、高齢「男性」避難開始遅れ
 ~東京女子大調査、「家族集まってから」~平成26年3月16日日本経済新聞
7、被災3県の子、心の問題深刻
 ~不安・うつ3割、厚生労働省~平成26年1月27日日本経済新聞
8、災害弱者対策などの福祉計画、自治体の36%未策定
 ~人・財源不足、厚生労働省~平成26年1月31日日本経済新聞
9、非常用電源を義務化
 ~原発モニタリングポストで原子力規制委~平成26年1月29日読売新聞
10、大雨の避難基準公表
 ~伊豆大島町、警戒地域を指定~平成25年12月8日日本経済新聞
11、福島震災関連1605人
 ~避難長期化、直接の犠牲上回る~平成25年12月7日読売新聞(夕刊)
12、交通事故死者13年連続減
 ~平成25年度、高齢者12年ぶり増~平成26年1月9日日本経済新聞
13、4割「身の守り方分からず」
 ~埼玉の竜巻被害、小中学校調査~平成26年1月28日日本経済新聞(夕刊)
14、消防署被災時に大学へ移転
 ~品川署、清泉女子大学へ~平成25年12月14日読売新聞
15、老朽地下街の改修支援
 ~まず東京、名古屋駅、防災機能を向上、国土交通省~平成25年12月17日日本経済新聞(夕刊)
16、住宅改修に最大200万円
 ~国土交通省補助、耐震性など評価~平成25年12月17日日本経済新聞(夕刊)
17、橋の点検、技術職ゼロ
 ~国土交通省調査、町では46%、村では70%~平成26年2月21日読売新聞
18、屋上避難「合理性はあった」
 ~七十七銀行女川支店遺族らの賠償請求棄却~平成26年2月25日読売新聞
19、NZ地震から3年、邦人遺族も参列
 ~現地公園で追悼式~平成26年2月22日日本経済新聞
20、道の駅、変身
 ~災害時は防災拠点、モデル施設政府が設定~平成26年2月21日日本経済新聞
21、2月豪雪「丸一日降雪」満たさず
 ~特別警報発令見送り、気象庁~平成26年2月7日読売新聞
22、京都福知山露店爆発から半年
 ~被害者癒えぬ傷跡~平成26年2月15日日本経済新聞(夕刊)
23、空き家解体、固定資産税なくし促進
 ~文京区、無償で~平成26年2月5日日本経済新聞
24、病院1700施設、防火違反
 ~国土交通省調査、全体の10.7%~平成26年2月6日日本経済新聞
25、大雪で保険金600億円
 ~過去最大級、家屋損傷相次ぐ~平成26年2月22日日本経済新聞
26、復興NPO代表理事逮捕
 ~被災者雇用創出事業費を横領、岩手県山田町分~平成26年2月4日読売新聞

 

 

【参考文献】

 

1、平成26〔2014〕年2月26日 『日本経済新聞』
2、平成26〔2014〕年2月26日 『読売新聞』夕刊
3、平成26〔2014〕年2月27日 『読売新聞』
4、平成26〔2014〕年2月27日 『日本経済新聞』
5、平成26〔2014〕年3月11日 『日本経済新聞』
6、平成26〔2014〕年3月11日 『読売新聞』
7、平成26〔2014〕年3月17日 『日本経済新聞』
8、平成26〔2014〕年2月27日 『読売新聞』
9、平成26〔2014〕年2月25日 『読売新聞』
10、平成26〔2014〕年2月7日 『日本経済新聞』
11、平成26〔2014〕年2月10日 『日本経済新聞』
12、平成26〔2014〕年2月9日 『日本経済新聞』
13、平成26〔2014〕年2月6日 『読売新聞』
14、平成26〔2014〕年1月31日及び2月18日 『読売新聞』
15、平成25〔2013〕年12月9日 『日本経済新聞』

 

 

 

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第86号平成29年9月号支援物資の輸送を改善(中央防災会議)他
第85号平成29年8月号惨事ストレスケア2,700人(消防庁)他
第84号平成29年7月号ドクターヘリ 基準緩和(国土交通省)他
第83号平成29年6月号災害派遣職員、地元優先で(中央防災会議)他
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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