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防災評論 第5号

 山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

第5号

 

 

〔政治行政の動向概観〕

 迷走していた沖縄普天間基地の移設問題は、鳩山首相自らが約束した5月末日(平成22年)までの全面決着というシナリオは脆くも崩れ、結局現行案をベースに沖縄での海兵隊部隊の駐留は続くこととなった。訓練については、鹿児島県徳之島への一部機能移転が提起されたが、地元・米軍いずれもが難色を示して行き詰まり、政府は地元側の協力を得るため、5月27日に全国知事会を開催して沖縄の基地負担軽減を要請した。
 こうした政府の危機管理対応のまずさが指弾される中、3月からくすぶっていた宮崎県における家畜口蹄疫が5月に一気に拡大し、県及び政府は何十万頭にも及ぶ牛や豚の殺処分に踏み切ったが、事態の鎮静化の兆しは現れていない。この問題でも、汚染牛が確認された当初、症状の見落としと病疫拡大見通しの誤りが、大規模汚染へと発展し、連休中における担当大臣の行動ぶりと合わせ、政府の危機管理の甘さが問われる事態となっている。
 更に、5月20日、かねて沈没破断され40人を超える兵士が犠牲となった韓国艦船の事故について、韓国政府及び国際調査団は、これを北朝鮮の魚雷攻撃によるものと断定し公表した。我が国周辺での緊張が一気に高まっているが、ここでも前後の考慮も余りない中、「日本は先頭に立つ」との突出発言が政府首脳からあり、潜在的なリスクを抱える北朝鮮問題をより深刻化させかねない環境が形成されつつある。
 いずれにしても、政府の危機管理体制の甘さ・ほころびが目立つ昨今であるが、幸い地震・風水害などの自然災害はこの間大きなものはなかった。来たるべき梅雨シーズン、そして7月の参議院議員選挙を睨んだ政治の季節を前に、防災士は制度の原点に立ち返り、公助に依存しない自助・共助力をフルに発揮して安全・安心社会を守っていく努力が、普段以上に求められる状況になっている。

 

 

〔個別の動き〕

1、水防月間(国土交通省)

 水防月間とは、昭和61年の台風10号による出水の際の水防活動を契機として、水防活動が極めて重要であることが再認識されたことを受けて、水防の重要性を国民に周知することなどを目的として、昭和62年度から毎年出水期前の5月(北海道は6月)に実施しているものである。

 周知のように、我が国では、自然的・社会的環境から洪水等による災害を受けやすく、このため毎年のように豪雨や台風による洪水が全国各地で発生している。

 国土交通省では、従来から水防演習の実施、水防工法・技術の習得等を推進しているが、これまで以上に国民一人ひとりに水防の意義及び重要性について理解を促し、水防意識の向上を図って貰うため、平成22年度「水防月間」においては以下の取り組みを実施した。

① 地域住民・企業や地域の防災関係者及びNPO等が参加する総合的な水防演習

② 水防団を含めた情報伝達演習

③ 重要水防箇所の周知徹底

④ 河川管理施設等の点検・整備

⑤ 水防資器材の点検・整備

⑥ 住民への避難場所、重要水防箇所の周知

⑦ 水防技術講習会等の開催

⑧ 水防専門家派遣制度による水防訓練・講習会等での水防工法の指導

⑨ その他

 防災士は、各地で行われる消防団等による水防訓練に積極的に参加し、或いはこれを見学し、地域や各関係機関との連係を図っていく必要がある。

(参考)国土交通省ホームページ

 

「水防月間について」

 

 

 

 

2、津波情報観測及び予測の強化(気象庁)

 気象庁は、チリ大地震による津波の予測が実際より過大だったことを受け、4月(平成22年)から津波予測の強化に乗り出している。津波が起きる震源の断層の位置をより細かく設定し、予測に使う海外の観測点を約8倍に増やす。海域をより細かく区切ってシミュレーションを行うことで精度の向上を期待する。気象庁では、平成23年度中の運用開始を目指している。

 

表―1 津波の予測に関わる変更点

現システム

新システム

想定断層数(地点数)

130

320

想定マグニチュード(M

8.5/7.5

8.5/8.0/7.5

シミュレーションのパターン数

260通り

1,280通り

シミュレーションの網の目の大きさ

8キロ四方

2.4キロ四方

参考にする海外の観測点数(地点数)

12

99

出典:『日本経済新聞』平成22年3月23日付夕刊

 

 また、気象庁は、津波発生時の応急対策等に資するため、そして津波警報等の適切な切替え等を行うため、気象庁及び国土交通省をはじめとする各機関の観測点の潮位を監視するとともに、津波の観測値を「津波情報(津波観測に関する情報)」として発表している。

 3月31日(平成22年)、新たに4地点(海上保安庁1地点、兵庫県1地点、気象庁2地点)で津波情報に関わる活用を開始し、従来からの2地点(国土交通省港湾局1地点、気象庁1地点)で津波情報に関わる活用を終了した。これにより、津波の観測値を発表する地点の数は、171か所から173か所に増加した。

 新たに活用を開始した地点では、津波の観測値、津波到達予想時刻、予想される津波の高さなどの津波情報のほか満潮時刻を発表する。

(参考)気象庁ホームページ

「津波報道で観測値を発表する地点が増えます」

 

 

 

3、チリ地震津波における避難のあり方に関する調査(総務省消防庁、内閣府)

 総務省消防庁、内閣府では、2月(平成22年)に発生したチリ中部沿岸を震源とする地震による津波について、避難の実態、住民の避難意識、大津波警報を受けた行政の対応などを調査しているが、公表された調査結果のうち特に参考となる項目は次のとおりである。

(1)避難の動機

 回答者全体のうち、「昭和35年のチリ地震津波を体験している」人は約6割(60.9%)、「津波を体験した方から体験談を聞いたことがある」人は5割強(52.3%)、「津波の避難訓練に参加したことがある」人は約3割(30.1%)であった。

 昭和35年のチリ地震による津波を体験した人や60歳以上の人の中には、今回の津波への対応に当たり自らの経験に基づいて判断した人も多かったと考えられる。

 

図―1

 

(2)避難先から帰宅した理由

 回答者全体のうち、「避難した」と回答した人が避難先から帰宅したきっかけは、「津波の第1波が小さかったから」が3割強(33.6%)、次いで「大津波警報が津波警報に切り替えられたから」が3割弱(27.0%)、「周囲の人が帰り始めたから」が2割強(23.9%)、「津波警報が津波注意報に切り替えられたから」が2割強(23.8%)であった。

 

 図―2

 

 更に、避難先から帰宅を始めた時刻について、津波が第1波より第2波以降の方が大きくなる可能性を今回はじめて知った人、あるいは知らなかった人は、「日没前までの時間」に帰宅を開始した割合が最も高く3割強であった。一方、津波が第1波より第2波以降の方が大きくなる可能性を知っていた人は、「大津波警報が津波警報に切り替わった時間」に帰宅を開始した割合が3割弱(26.8%)と最も高く、避難先からの帰宅時刻がより遅くなる傾向がみられた。

 

 図―3

(3)避難勧告・指示が出なかった理由

 「大津波警報」や「津波警報」が発表されたにもかかわらず、「避難指示」や「避難勧告」を発令しなかった218の市区町村を対象にアンケートを実施したところ、「避難指示」や「避難勧告」を発令しなかった理由として、図―4にあるような回答が寄せられた。

 

 図―4

 

 

 

 

4、生活関連用品の事故(経済産業省、消費者庁、総務省消防庁)

(1)湯沸かし器

 5月11日(平成22年)、東京地方裁判所において、大手ガス機器メーカーパロマ工業の代表者等に対し、同社の瞬間ガス湯沸かし器の管理責任を厳しく問う判決があり、改めて身近な生活関連用品の安全対策がクローズアップされている。

 問題となったパロマ工業製のガス湯沸かし器については、昭和60年から平成17年までに28件の一酸化炭素中毒事故を引き起こし、死者21人、重軽傷者36人を出し、その後の回収作業にもかかわらず、回収対象の9割以上となる24万台余りが依然として所在不明であることが分かった。一部の現在も使用中の湯沸かし器によって、同じような事故が起こり得る危険な状態が続いている。

 一連の事故は平成18年7月に発覚し、その翌月に経済産業省は7機種約26万3千台の回収を同社に命じたが、未だに完全回収には至っていない。

 

(2)IH調理器

 家庭の台所に急速に普及しているIH(電磁誘導加熱)調理器に関わる火災事故も相次いで発生している。消費者庁によると、平成21年度の事故は17件と前年度から5件増加し、その大半は誤った使用法が原因だった。春からの 新生活で初めてIH調理器を使う人も多いとみられ、政府は、「火は見えなくても火災のリスクがあることを忘れないよう」と注意を喚起している。

 IH調理器は、「加熱モード」において温度が上がり過ぎるのを防ぐ機能がある。だが、底が平らなIH専用鍋ではなく、凹凸がある鍋を使用するとセンサーが十分に機能しない可能性がある。このほか、油の量が少な過ぎたため、温度上昇にセンサーが追い付かず、引火したとみられる事故もほかに複数発生した。  経済産業省は、「安全面だけでなく、危険性もきちんと消費者に周知して貰いたい」と業者に注意を促している。

 

(3)ライターでの火遊び

 平成16年から同20年までの5年間に、全国18の政令指定都市でライターによる火遊びが原因の火災は1,319件発生し、これらのうち少なくとも約4割に当たる526件が12歳以下の子どもによるものだったことが、3月19日(平成22年)、消費者庁と総務省消防庁の調査で分かった。  全都道府県を対象にしたライターの流通実態調査では、中国製などの安価な使い捨てライターが多く出回っていることも判明し、消費者庁は、同日、ライター規制を検討している経済産業省の消費経済審議会の作業部会に調査結果を報告し、子どもが手にしても着火しないような安全装置の取付けの義務化を要望する。

 調査結果には年齢が未判明の分も含まれる。12歳以下と判明した526件の火災では、8人が死亡し、145人が怪我をした。これらのうち5歳未満の幼児によるライターの火遊びが原因の火災は107件で、死傷者の発生率は69%に及ぶ。流通実態調査では、ライターの約9割がコンビニエンスストアや100円ショップで販売され、型式が判明した約1,600万個のうち99%が使い捨てライターだった。

 防災士には、地震・風水害などの自然災害だけでなく、こうした日常事故を未然に防ぐための不断の研修に臨む態度も求められる。

 

 

5、地震計(震度計)の設置環境基準(気象庁、防災科学技術研究所、地方公共団体)

  気象庁では、平成20年度に学識経験者及び行政委員による構成のもとに開催された「震度に関する検討会」での震度計設置環境基準に関する検討結果を受けて、地方公共団体及び防災科学技術研究所が設置した震度計について、当該機関の協力のもと設置環境調査を実施している。3月末日時点での震度計の設置状況は次のとおりである。

 まず、地方公共団体の地震計については、全観測点2,842か所のうち1,288か所について調査し、このうち29か所については震度情報の発表を取り止めることとした。

 一方、防災科学技術研究所の震度計については、全観測点777か所の調査を終了し、このうち26か所について震度情報の発表を取り止めることとした。

 なお、震度情報の発表を取り止める観測点のうち、防災上の支障が生じる懸念があるところについては、地元自治体等とその取扱いについて協議を行ったうえで所要の設置環境の改善を進める予定である。

 防災士は、地元にある震度計の設置状況をよく確認しておくことが肝要である。

(参考)気象庁のホームページ

「地方公共団体及び(独)防災科学技術研究所震度計の設置環境調査結果について」

 

 

 

 

6、防災ネットワークの整備(警察庁)

 警察庁は、犯罪が起こりにくい社会をつくるため、犯罪に巻き込まれる危険性が高い女性や子どもや高齢者に向けた防犯ネットワークなどを整備するよう各都道府県警察に指示した。社会から孤立した人々に目を向け、少年の居場所づくりや高齢者世帯への支援活動の推進など、「きずなの強化」への尽力も求めている。
 この防犯ネットワークは、被害者別のほか、性犯罪やひったくりなどの身近な犯罪別に整備する。地方自治体や住民などの間で犯罪情報を共有し、警察への情報提供などに役立てる考えである。
 悪質な犯罪に繋がる恐れがある万引きなどの「ゲートウェイ犯罪」に積極的に対応するほか、ごみのポイ捨て、落書きといったマナーレベルの行為についても関心を払う。更に、防犯カメラの設置への支援、防犯ボランティア活動への後押しなども盛り込んでいる。
 安藤隆春警察庁長官は、東京都内で開催された全国安全担当課長を集めた会議の席上、「治安情勢は着実に改善しつつあるが、いまだ道半ば」と指摘し、ネットワークの整備などを進めることで、犯罪防止を「一段と高い次元に発展させる」と訓示した。
 防災と防犯は一体のものである。防災士も警察と連携して、このネットワークの整備に協力してゆく必要がある。

 

 

7、地方公共団体の震災時のBCP(総務省消防庁、内閣府)

 消防庁は、内閣府と共同して、地方公共団体における地震発災時を想定した業務継続体制に係る状況調査を実施した。

 今回の調査結果によれば、①全職員を対象とした参集計画があり、②発災時にも継続する必要のある一般業務を決定していて、かつ③業務継続に必要な食料(今回の調査では仮に3日分程度を想定)等の資源の確保方針が決定している団体は、都道府県においては10団体、市町村においては99団体であった。

 また、地震発災時に停電等の一定の制約下でも応急業務を円滑に実施できると回答した団体は、都道府県においては45団体、市町村においては989団体であり、応急業務以外の継続が不可欠な日常業務を円滑に実施できると回答した団体は、都道府県においては26団体、市町村においては575団体であった。

 大規模な地震災害が発生した際、地方公共団体は、災害応急対策活動及び災害からの復旧・復興活動の主体として重要な役割を担うことになる一方、災害時であっても継続しなければならない業務を抱えている。全国どこでも発生し得る地震に対応するためには、各地方公共団体において大規模な地震発災時であっても業務が適切に継続できる体制をあらかじめ整えておくことが重要である。

 なお、この調査結果等を踏まえ、内閣府において「地震発災時における地方公共団体の業務継続の手引きとその解説」が策定され、本調査結果と併せて同時発表された。

 地方公共団体に勤務する防災士も数多くいるが、今回の調査結果及び「手引きとその解説」を踏まえ、各職場の災害時BCPの確立のために、リーダーとして活躍するべきであろう。

 

 

8、緊急地震速報の公立学校への普及(文部科学省)

 大きな揺れが生じる前に地震発生を知らせる「緊急地震速報」の受信機については、公立学校への設置が進んでいない。学校は子供達が日中を過ごす施設だけに、設置を検討する自治体も少なくないが、費用が高いことも設置を促進するうえでのネックになっている。
 緊急地震速報を受信するには、民間業者に情報提供料を支払うか、総務省消防庁の全国瞬時警報システム(J-ALERT)を利用する方法がある。気象庁は導入推進の立場だが、各自治体が導入するかどうかは各自治体の任意である。
 4月末日(平成22年)時点で、46道府県の所在地と東京23区の、合わせて69の自治体に属する公立の小中学校6,995校のうち緊急地震速報の受信機を設置している学校は、全体の約11%に当たる771校に止まった。また、管轄している公立学校に受信機を全く設置していない自治体は、自治体全体の約6割に当たる42自治体に及んだ。
 ただ、緊急地震速報は、専用受信機を設置しなくても、各学校にあるテレビ受信機等でも受信が可能である。学校に所属する防災士は、専用受信機等の設置を促進する一方、既存のツールを駆使した速報の活用技術と、関連する訓練の企画にも力を入れるべきであろう。

 

 

9、三大地震同時発生への対応(中央防災会議)

 中央防災会議は、東海、東南海、南海の3地震が同時に起きた場合、静岡県をはじめ6県で死者が各1,000人以上に上るとする被害想定をまとめた。

 それによると、3地震で起きる建物の倒壊、火災、津波などによる死者は、関東から九州にかけての21府県で発生すると予想し、その数は静岡県が最も多く8,100人、深刻な津波被害が予想される高知県が4,900人、そして和歌山県が4,600人と続く。愛知県については1,900人と見込み、東京都については0人と予想した。

 建物の被害も広範囲で発生し、全壊被害が出るのは27都府県で、その数は静岡県が23万棟、愛知県が9万1千棟、高知県が5万5千棟などと予想している。東京都は40棟、大阪府は1万3千棟となる。

 国は今回公表した想定データをもとに、今年(平成22年)の「防災の日」に、初めて、3地震の同時発生を想定して、首相ら全閣僚が参加する大規模な防災訓練を実施する。

 併せて、中央防災会議は、4月21日(平成22年)、災害時の避難行動に関する専門調査会を年内に設置することも決めた。昨年(平成21年)7月に中国地方と九州北部を襲った豪雨や、今年(平成22年)2月のチリ大地震に伴う津波が検討対象で、チリ大地震の際には大津波警報と避難指示・勧告が出た東北3県の地域住民の避難が少なかったことが判明しているので、ハザードマップや津波警報の発令基準の見直しなどを検討する。

 

図―5

 

 

 

10、沿道の耐震化規制(東京都)

 東京都は、大地震の際に救急活動や物資輸送に活用する主要道路に沿って位置している、防災上重要な建物の耐震化を進める新たな規制を、平成23年度を目途として導入する。
 東京都は、災害時に必要な約1,970キロメートルの幹線道路を、「緊急輸送道路」に指定している。この道路に沿ったエリアには、昭和56年以前の旧耐震基準で建設し、大規模地震が発生すると倒壊する恐れがあるビルが、約1万棟あると推計される。東京都は、平成19年度にこうした建物の耐震化工事を補助する制度を設けたが、建物所有者の自己負担分もあるせいか、現在も利用件数は0のままである。
 東京都は、補助金頼みではこうした建物の耐震化を進めるのは難しいと判断し、耐震化に取り組まない建物を規制する手法の検討に踏み込む。具体的な規制方法については都の検討委員会で議論するが、耐震基準を満たさない建物の名称の公表や、一定の金銭負担を求めるペナルティーなどが論議の対象になるとみられる。

 

 

11、地方の震災対策調査(中央防災会議)

 地方都市や山間地の地震対策を協議する中央防災会議の専門調査会は、4月26日(平成22年)に開いた初会合で、震災で行き来ができなくなる孤立集落の情報伝達手段の確保策など、8つの重点項目を軸に検討を進める方針を示した。
 今後は2か月に1回のペースで会合を開くことにしている。
 地方に在住する防災士にとって、注目すべきテーマとなる。

 

 

12、高層マンションの防災規程(東京都中央区)

 東京都中央区のある超高層マンション(39階建て、335戸)の管理組合は、大地震の発生時に住民が取る行動を定めた震災時活動マニュアルを公表した。低層階の住民が対策本部を立ち上げたり、活動拠点となる階に安否確認表などを備える。超高層マンションの震災マニュアルの公表は区内では初めてのことである。
 マニュアルはA4版55ページの冊子で、震度5強以上の強い地震が発生した際に適用する。上層部分ではあらかじめ活動拠点となる階を設定し、地震発生時には、各階の住民がエレベーターホールに集まり、拠点階に備えた安否確認表を使って住民の安全を確認する。低層階の住民は対策本部を立ち上げ、上層の拠点階と非常用電話などで連絡を取り合う。
 中央区は、超高層マンションの増加を受けて、平成18年に防災マニュアル作成のためのコンサルタント費用を補助する制度を設けた。建物の構造を公開すると防犯上問題が生じる恐れがあり、超高層ビルの震災マニュアルは公表が難しいとされていた。このためこの震災マニュアルは、中央区役所などでの閲覧に止められている。
 マンション居住の防災士にとって参考となる内容や、今後取り組むべき課題がこのマニュアルの中で取りまとめられているので、近隣の防災士は中央区役所などでこれを閲覧して活動に役立ててはどうだろうか。

 

 

13、空き家解体に補助制度創設(国土交通省)

平成22年度防災啓発研修講演会(消防科学総合センター)

 消防科学総合センターでは、恒例の防災啓発研修講演会を、下記の要領により開催する。この講演会は、現在の我が国のトップレベルの防災専門家の講演を直接聴取できる貴重な機会である。防災士各位は、是非積極的に参加されたい。

                             記

1 目的

 防災啓発研修講演会は、社会、経済環境の多様化に伴う災害の要因の複雑化、被害増大の傾向に対応し、消防防災関係者等に対して 広く防災に関する知識の普及に努め、地域の防災力の向上を図ることを目的とする。

2 主催     財団法人 消防科学総合センター

3 共催     総務省消防庁

4 開催日    平成22年7月1日(木)及び7月2日(金)

5 開催場所   日本消防会館(ニッショーホール)

          東京都港区虎ノ門2-9-16 TEL:03-3503-1486

6 受講対象者  都道府県、市町村及び消防本部等の職員並びに一般住民

7 受講者数   約700名(ホール定員)

8 受講料    無料

9 主な研修内容

〇「消防庁における防災と国民保護の取組」〔仮題〕

 総務省消防庁国民保護・防災部長 塚田桂祐氏

〇「地震のメカニズム」〔仮題〕

 東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター教授 古村孝志氏

〇「豪雨災害への対策」〔仮題〕

 静岡大学防災総合センター准教授 牛山素行氏

〇「土砂災害への対策」〔仮題〕

 鹿児島大学名誉教授 岩松暉氏

〇「新型インフルエンザの脅威」〔仮題〕

 東北大学大学院医学系研究科微生物学分野教授 押谷仁氏

〇「コミュニティと災害時要援護者」〔仮題〕

  同志社大学文学部社会学科教授 立木茂雄氏

〇「洪水被災地からの報告」(中国・九州北部豪雨の被災地から)〔仮題〕

 山口県副知事 西村亘氏

10 参加等の問い合わせ先

財団法人 消防科学総合センター  TEL: 0422-49-1113  FAX: 0422-46-9037

※ 6月16日時点で、なおも募集中とのことである。

以上

 

 

【参考文献】

・『日本経済新聞』平成22年3月23日付夕刊

・『朝日新聞』平成22年5月3日付

 

 

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第89号平成29年12月号ふるさと納税の使い道 災害支援に関心高く(総務省)他
第88号平成29年11月号防災情報 まとめサイト(国土交通省)他
第87号平成29年10月号早く精緻 予報も進化(気象庁)他
第86号平成29年9月号支援物資の輸送を改善(中央防災会議)他
第85号平成29年8月号惨事ストレスケア2,700人(消防庁)他
第84号平成29年7月号ドクターヘリ 基準緩和(国土交通省)他
第83号平成29年6月号災害派遣職員、地元優先で(中央防災会議)他
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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