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防災評論 第50号

山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

 

防災評論(第50号)【平成26年9月号】

 

【目次】

〔政治行政の動向概観〕       
〔個別の動き〕
 1、政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)
 2、自殺者4年連続減少(警察庁)
 3、学校、高台移転や高層化を(文部科学省)
 4、今世紀末平均気温4.4度上昇、真夏日増年50日超(環境省)
 5、増加する雑品火災(消防庁、環境省)
 6、防災力向上へ都と協定(東京商工会議所)
 7、改正円滑法が成立(国土交通省)
 8、停止原発に課税条例案(新潟県)
 9、自家発電災害に強く(経済産業省)
10、被災者情報を一元管理(宮城県石巻市)
11、火山防災進まぬ備え(内閣府)
12、診療所スプリンクラー義務(消防庁)
13、ゲリラ豪雨再現(防災科学技術研)
14、巨大地震で深刻液状化35%(資源エネルギー庁)
15、消防団津波避難手引き4割作成(消防庁)
16、山の死者・不明320人(警察庁)
17、事業継続計画大企業の53%(内閣府)
18、被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)
19、被災企業支援へ新基金(復興庁)

 

 

〔政治行政の動向概観〕

 9月3日、かねてよりの計画どおり、内閣改造が行われ、史上最多となる5人の女性閣僚が誕生した。「適材適所」、「女性進出具体化」など世間の評価は概ね良好で、内閣支持率は大幅に向上した。しかし防災の関係では気になる点がある。それは防災・危機管理に直接携わる閣僚の殆どが女性になった点だ。
 消防や地方公共団体の防災行政を担当する総務大臣、国の防災行政や警察、北朝鮮の拉致問題などを担当する特命大臣はいずれも女性である。自衛隊を統括する防衛大臣こそ男性となったが、このポストもかつて女性が務めたことがある。
 もちろん、能力、識見において女性閣僚が男性より劣るという一般論は成り立たないが、こと大災害やテロなどの危機対応に関しては男性に一日の長があることは疑いない。身体上、生活習慣上など諸々の差異から女性は緊急対応時における初動や瞬発力に欠けるところがあるのはやむをえないことであり、例えばトイレひとつ、身支度一つ取っても女性にはその品位を守るために要する一定の時間がかかってしまう。
 隣国韓国ではセウル号沈没事故の際、女性大統領がかなり長時間にわたって所在不明となり、物議をかもす一方、広島土砂災害の際、わが国の首相は早々に余暇を打ち切って迅速に官邸入りしている。閣僚など重要人事を行う際には緊急非常時にどう人々が動くか、十分想定した配置の工夫がさらに求められる。
 ただし、平常時の広報、訓練や災害時の避難所等生活環境の点検など、男性より女性のほうが優れていると考えられる特性もある。女性防災士は9,000名を超え、防災士会の女性参加者も増加するなど、日常市民防災の分野での女性進出は大変心強い。防災の世界でもより男女共同参画が進み、日々の安心・安全が確保されるよう期待したい。

 

〔個別の動き〕

1、政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)

住宅・建築物の耐震化率

2020年度に住宅95%。15年度に建築物90

大規模地震が想定される地域の海岸堤防の整備率

16年度66

首都直下地震または南海トラフ地震で震度6強以上が想定される地域にある主要鉄道路線の耐震化率

17年度に100

 政府は、大規模災害への対応の指針となる国土強靱(きょうじん)化基本計画を決定した。東京の一極集中から脱却し、地域間の連携を強めることを明記。2027年開業を目指すリニア中央新幹線など交通網の整備を進める方針を打ち出した。同時に決定した行動計画では、17年度までに主な鉄道の耐震化率を100%にする数値目標を盛り込んだ。
 基本計画では、南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大災害で人的被害や経済活動が停滞する事態を避けるため、東京一極集中から脱却し「自律・分散・協調」型の国土を形成する方針を打ち出した。リニア中央新幹線や新東名など高速道路の整備を促進し、日本海側と太平洋側の連携を進めることを盛り込んだ。
 具体的な耐震化の時期などを定めた行動計画では、首都直下地震や南海トラフ巨大地震で震度6強以上が想定される地域の主要鉄道の耐震化率を17年度にはほぼ100%(12年度は91%)にする数値目標を盛り込んだ。08年度に79%だった住宅の耐震化率を20年度に95%に高める。
 大規模地震が想定される地域では最大級の津波に備えるため、海岸堤防の整備率を16年度までに約66%(12年度は約31%)に引き上げる。避難時に役立てるハザードマップの作成や防災訓練を実施する市町村の割合を16年度までに100%(12年度は14%)とする。
 災害発生時、企業ごとのサプライチェーンの寸断を防ぐため、大企業の事業継続計画(BCP)の作成率を20年度にはほぼ100%(11年度45.8%)にする。東日本大震災発生時に部品供給が停滞した教訓を生かす。

 

2、自殺者4年連続減少(警察庁)

 政府は14年版自殺対策白書を決定した。13年の自殺者は2万7283人で、4年連続で減少した。15年ぶりに3万人を切った12年と比べ、さらに575人減った。
 白書に盛り込んだ警察庁の統計では、月別で自殺者が最も多かったのは5月の2542人。3月の2486人、1月の2453人と続き、最も少なかったのは12月の2001人だった。
 近年の月別自殺者数の最多を比較すると、09年、10年、12年が3月、11年が5月。いずれも年度が切り替わる時期に集中しており、入学や異動などによる生活の変化が背景にあることがうかがえる。
 職業別でみると、無職者が最多の60.3%。次いで被雇用者・勤め人26.7%、自営業・家族従業者7.8%、学生・生徒3.4%など。

 

3、学校、高台移転や高層化を(文部科学省)

 文部科学省は、大規模地震に備え、沿岸部に立地する学校の津波対策を明記した学校施設整備指針の改定案を決定した。東日本大震災に伴い宮城県石巻市立大川小で多くの犠牲者が出たことなどを踏まえ、避難が難しい学校の高台移転や高層化を求めている。全国の自治体に通知。対策が必要な学校の実態調査や、自治体に対する支援策の検討に乗り出す。
 改定案は幼稚園や小中学校、高校、特別支援学校が対象。標高や過去の記録を調べ、津波の到達の恐れがある場合は、高台などへの避難路の整備を求める。避難場所がなければ、校舎の高層化や高台移転を促す。
 これまでの指針は「洪水や高潮、津波などの自然災害に対し安全であることが重要」などとしているが、津波対策の詳細な記述はない。
 また改定案は、地震の揺れで校舎、体育館から窓ガラスや外壁が落下する事故を防ぐための補強も盛り込んだ。大規模災害時に学校が地域住民の避難場所になることを想定し、非常食や毛布などを備蓄することも求めた。断水時に使えるトイレの整備も有効だとした。

 

4、今世紀末平均気温4.4度上昇、真夏日増年50日超(環境省)

 環境省は6日、地球温暖化に有効な対策を取らないと、今世紀末には全国の年平均気温が現在に比べ4.4度上昇し、最高気温が30度を超える真夏日も全国平均で年間52.6日増えるとする予測を公表した。
 同省は今後、温暖化による熱中症や感染症への影響なども詳しく調べ、社会や経済に対する被害を減らす「適応計画」をまとめる。
 温暖化ガスの排出が今のペースで続くと、年平均気温は札幌などの「北日本日本海側」と、釧路など「北日本太平洋側」がともに現在よりも4.8度上昇。
那覇を含む「沖縄・奄美」では3.2度上がる。
 真夏日の年間日数は「沖縄・奄美」が現在よりも86.7日増え、1年のうち半分を占める見通し。東京など「東日本太平洋側」は58.4日増加して、真夏日の期間は3カ月強に。現在は真夏日がほとんどない「北日本太平洋側」でも35.1日増える。
 降水量については、1ミリ未満の無降水日が全国で22.3日増える一方、大雨の際の1日当たりの降水量は全国的に3~5割程度の増加が見込まれる。雨の降らない日は増える一方、降雨の際は熱帯のような強い降り方になる。

 

5、増加する雑品火災(消防庁、環境省)

 「雑品」と呼ばれる輸出用金属スクラップを積んだ船や、雑品の集積場から出火するケースが各地で相次いでいる。出火のメカニズムを調査した結果、正規の処理ルートをはずれ、雑品と混ぜて主に中国へ不正輸出されているエアコンの存在が浮かび上がってきた。こうした事態を受けて、自治体と環境省が雑品の中身のチェックを強化し、適切な処理を指導するなど、本格的な対策も始まっている。
 海上保安庁によると、雑品を積んだ船舶の火災は2012年に11件、13年は6件発生。今年もすでに3件起きた。雑品などの屋外集積所で起きた火災は、消防庁の調べで13年には264件を数えた。原因不明のケースが大半だが、雑品がらみの火災は各地で社会問題化している。
 12年1月、兵庫県尼崎市の廃材置き場では高さ10メートルの雑品の山が43時間も燃え続け、消防車19台が出動した。13年11月、愛知県豊橋市の埠頭で雑品を積んだ船から出火した際には、煙が周辺に広がり、市民から苦情が寄せられた。
 消防研究センターなど六つの機関・大学が合同調査した結果、リチウム電池のショートなどのほか、鉄やアルミニウムなどの金属を高い所から落としたり、つぶしたりする作業で、衝撃により熱や火花が発生することが分かってきた。それが雑品中に混じるプラスチックや油などに燃え移り、火災の原因となる、というメカニズムだった。
 不正な輸出で火災が起き、雑品に混ぜるためにつぶす際、冷媒のフロンガスが放出される。輸出先では雑品の残骸が野焼きされるなど、様々に環境を汚染している。全国の港では海上保安庁と環境省、経産省、消防などが連携し、雑品に混じるエアコンを船に積ませない指導が始まっている。
 環境省や自治体は、不用品回収業者やヤード業者への立ち入り調査を今後、さらに強化し、不正を断つ構えだ。

 

6、防災力向上へ都と協定(東京商工会議所)

 東京商工会議所は、東京都と「東京の防災力の向上のための連携協力に関する協定」に調印した。協定では、今後発生が予想される首都直下地震などの大規模な災害に備え、官民をあげて取り組むために、東京都と東商が①帰宅困難者対策の推進、②企業の災害時における防災対応力の強化、③東商会員企業の防災技術を活用した防災力の向上、について相互に連携・協力するとしている。これまでも東商では、帰宅困難者対策条例の説明会や周知協力、BCP(事業継続計画)策定支援など、企業の防災力向上に資する取り組みを行ってきたが、協定を踏まえ、より一層強化していく。
 東京都では昨年4月「帰宅困難者対策条例」を施行して、事業者には、従業者の一斉帰宅の抑制と従業者数×三日分の水、食料などの備蓄や、連絡手段の確保などを努力義務としている。また、首都直下地震時に施設利用者や外部の帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設は、92万人分が必要とされているが、現状では14万人分の確保にとどまっていることから、不足する78万人分について、企業などの協力により確保を目指す。併せて帰宅困難者対策訓練も実施していく。
 東京都の調査では、BCPを策定している中小企業は4~5割にとどまり、企業規模が小さくなるほど策定率は低下するため、策定支援を強化する。また、自社での策定とあわせ、取引先にも策定を要請するよう働きかけるなど、社会全体での防災対応力を強化していく。
 さらに、会員企業などが開発した防災力を高める優れた技術・製品(災害救助ロボット、安否確認システム、制震・免震・耐震器具など)について、その改良や実用化への取り組みを支援する。

 

7、改正円滑法が成立(国土交通省)

 古くなったマンションの売却と解体をしやすくする改正マンション建て替え円滑化法が成立した。現在は売却する場合には所有者全員の同意が必要だが、改正法の施行後は所有者の8割以上の賛成で可能になる。耐震性の高いマンションへの建て替えやオフィスビルなどの再開発を促すねらい。12月をめどに施行する。
 対象は1981年以前の旧耐震基準で建てられ、耐震性が不足していると認定されたマンション。国土交通省によると、全国に約590万戸あるマンションのうち、旧耐震基準で建設された物件は約106万戸と2割近くを占める。これまでは住民の合意形成が難しく、建て替えが進まなかった。
 改正法の施行後は、マンションを売却する場合に所有者が組合をつくり、組合が不動産開発会社などに土地と建物をまとめて売り渡すことができる。賃貸で住んでいる人には引っ越し代や家賃補助などの補償金を支払う。新しいマンションに建て替える場合は、容積率を緩和する特例措置も設ける。古いマンションが高く売れるようになり、住民が新しい建物に住み替える際の負担軽減につながる。
 首都直下地震などの大規模地震の発生が予想され、耐震性に不安のあるマンションの建て替えを後押しする。

 

8、停止原発に課税条例案(新潟県)

 新潟県は、東京電力に課す核燃料税について、柏崎刈羽原子力発電所(同県)が停止中でも課税できる制度に変更すると正式に発表した。核燃料税の税率を17%とするが、半分の8.5%分は原子炉の熱出力に応じた「出力割」とし、停止中も課税する。柏崎刈羽原発の停止が続いたとしても、5年間で160億円の税収が得られる。
 条例案を25日から開かれる県議会に提出する。議会の可決や総務相の同意を得て、11月から新税率を適用する。

 

9、自家発電災害に強く(経済産業省)

 政府は災害時の自家発電を円滑にするため、病院や企業、自治体向けに長期の備蓄が可能な燃料を開発する。2014年度中に現行品よりも2倍長持ちする軽油を実用化し、劣化が早く発電機の故障の原因にもなる重油からの代替を促す。東日本大震災でエネルギー供給が途絶した反省を踏まえ、企業や自治体が自家発電設備を導入しやすい体制を整える。
 経済産業省が外郭団体の石油エネルギー技術センターに新しい軽油の開発を委託。酸化防止剤などを加えることで、軽油が劣化するまでの期間を今の2倍の6年程度まで延ばす。新しい軽油の成分や製造方法を石油元売り各社に公開し、元売りが生産、販売する。
 自家発電向け燃料の新たな軽油への切り替えを促すため厚生労働省や総務省とも連携。15年度から通信、放送などのインフラ企業、病院、自治体に、重油から新しい軽油への入れ替えや、積極的な燃料備蓄を要請する。
 現在、企業や病院などの6割が自家発電用の燃料に重油を使用している。重油は消費税以外の税金がかからず、事業者にとってはコスト負担が軽い。末端価格では軽油引取税がかかる軽油よりも3割ほど安い。ただ、重油は約3年で劣化し、長期間放置すると発電機の故障の原因となる。経産省の調べでは、企業や病院のうち約4割が備蓄燃料の品質管理をしていないという。
 新たに開発する軽油は現在、重油を使用している自家発電設備でそのまま使用できる。初期の燃料費は高くなるが、発電機の故障のリスクも低減でき、全体ではコスト削減にもつながる見通しだ。
 11年の震災では、道路や港湾などエネルギーの供給網が途絶えた。自家発電機も不具合で動かなかった事例が多発し、被災地でのエネルギー不足が問題となった。防災用の自家発電設備の設置数は11年度以降は年約8千台と震災前と比べ4割増えている。

 

10、被災者情報を一元管理(宮城県石巻市)

 宮城県石巻市が今秋から、東日本大震災で被災した住民の住まいや健康などの情報を、新しいシステムで一元的に管理する。膨大なデータを処理する「ビッグデータ」の手法を取り入れ、課題の分析に生かすのが特徴。多くの住民から生活再建の難しい人や地区を早く見つけて、集中的な支援につなげる仕組みだ。
 総務省は「全国的に例がない試み」としており、被災地以外でも高齢者の支援に応用できると期待する。厳格な情報保護が前提になるため、市は担当者の範囲などを定めた指針をつくる。
 石巻市は情報を統合したデータベースを新設する。借り上げ住宅を含む仮設住宅約2万5千人の転居時期や行き先を蓄積し、数年先までの空き状況を予測。取り残されそうな住民を把握して支援するほか、仮設住宅団地を再編するかどうかの判断に生かす。
 被災者の就労、経済状況や保健師による健康指導の情報も集約し、公的支援制度の申請漏れの防止や、重点的に巡回すべき人や地区の把握に生かす。

 

11、火山防災進まぬ備え(内閣府)

 国が常時監視する国内47カ所の活火山を巡り、近隣自治体の8割が具体的な避難計画を策定していないことが18日、内閣府の調査で分かった。大部分の火山に目立った活動が見られず、地震や津波などと比べ防災対策の遅れにつながっている。
 気象庁は今後100年程度に噴火の可能性があるなどとして、全国47カ所の活火山を常時監視の対象に指定。噴火の際、近隣の130自治体が火山灰や溶岩流の影響を受ける可能性があるなか、住民の避難計画などを策定済みなのは今年3月末時点で20自治体のみだ。
 また、火山に異変が観測されたり噴火が起きたりした場合、近くで監視し動向を予測するのが火山専門家だが、国内にいる専門家は火山を抱える外国と比べて人数が十分とはいえず、人材育成のあり方が課題になっている。
 内閣府によると、火山の観測や研究に携わる研究者は官民合わせて約80人。日本と同じ火山大国である米国(約130人)、イタリア(約150人)などに人数で劣る。
 火山の調査は、日本では大学や文部科学省が噴火の予知を研究し、気象庁が火山を監視。地殻変動の調査は国土地理院が担うが、米国やイタリアは国の機関に一元化されている。

 

12、診療所スプリンクラー義務(消防庁)

 福岡市の有床診療所で2013年10月、入院患者ら10人が死亡した火災を受け、消防庁は、診療所へのスプリンクラー設置義務基準を病院と同等に見直す。
診療所の設置義務基準「延べ床面積6000平方メートル以上」を「同3000平方メートル以上」に改めるほか、消火器や火災報知設備の設置義務基準も見直す。自力避難が困難な入院患者を受け入れる診療所などについては、延べ床面積3000平方メートル未満であってもスプリンクラーの設置を義務付ける。閣議決定後、8月に施行令が改正される。
 スプリンクラー設置の対象外とされた医療施設は13床あたり1人以上の夜間勤務の職員がいる病院や3床以下の診療所など。スプリンクラーの新設機関は25年6月までとする。

 

13、ゲリラ豪雨再現(防災科学技術研)

 防災科学技術研究所は、大型降雨実験施設を改良し、10分間に50ミリ(1時間300ミリ)のゲリラ豪雨も再現できるようにした。都市の排水や土砂災害などの対策などに役立てる。
 新潟県で2011年7月に観測された10分間に50ミリの雨を再現すると、20メートル先の看板の文字が白くかすみ、ビニールハウスに見立てたトンネル内には滝のような音が響いた。
 施設は地上から16メートルの高さに口径が異なる4種類のノズルユニットが544個配置され、雨の強さと雨粒の大きさを調節できる。雨を降らせることができる面積は約3100平方メートルで世界最大級。

 

14、巨大地震で深刻液状化35%(資源エネルギー庁)

 政府が想定する首都圏直下地震や南海トラフ巨大地震が発生した場合、東京湾、伊勢湾、大阪湾を中心とした太平洋側のコンビナートの敷地6154地点のうち、約35%にあたる2148地点で、深刻な液状化が起きる可能性の高いことが、経済産業省資源エネルギー庁の調査で分かった。
 製油所や石油化学工場があるコンビナートは、埋め立て地に建設されていることが多く、地盤が液状化し、石油タンクが傾いたり、配管が折れたりするなどして、大規模な火災が発生する恐れがある。
 「液状化の危険度が極めて高い」と判断されたのは、首都直下地震の場合、東京湾などの2827地点のうち約25%の707地点。南海トラフ巨大地震では、伊勢湾、大阪湾、中国・四国地区などの3327地点のうち、約43%の1441地点。液状化した地盤が激しく動き、護岸などを損傷させる「側方流動」の可能性では、護岸が水平方向に3メートル以上移動すると予想された場所が、90か所中、17か所あった。

 

15、消防団津波避難手引き4割作成(消防庁)
 津波被害の恐れがある655市区町村のうち、津波発生時に活動中の消防団員が避難するタイミングなどを定めた手引を作成済みなのは、44%に当たる286自治体に上ることが、消防庁の調査で分かった。前年より132増えた。
 作成を検討しているのは240自治体で、うち170は2014年度中に完成する予定。検討に着手していない自治体に理由を聞いたところ、「手引がなくても団員に退避ルールを周知している」「地域防災計画の見直しを待っている」などと回答した。
 消防庁は、東日本大震災で住民の避難誘導や水門の閉鎖に当たった消防団員が津波の犠牲になったことを踏まえ、自治体に退避ルールなどに関する手引の作成を促している。

 

16、山の死者・不明320人(警察庁)
 2013年に全国で起きた山岳遭難は2172件、遭難者は2713人で、いずれも統計が残る1961年以降で最も多かったことが、警察庁のまとめでわかった。死者・行方不明者数も過去最悪の320人に上り、全遭難者のうち40歳以上の中高年が7割を占めた。件数と遭難者数が過去最多だった12年に比べて、件数は184件、遭難者数は248人、それぞれ増加。死者・行方不明者は36人増えた。
 同庁は「万が一の場合、捜索隊が速やかに場所を特定して救助できるよう、登山届を出してほしい」と呼びかけている。

 

17、事業継続計画大企業の53%(内閣府)
 大規模災害の発生に備え、大企業の53.6%が事業継続計画(BCP)を作っていることが、内閣府の調査で分かった。東日本大震災後の2011年11月に実施した前回調査から7.8ポイント上昇した。政府は大企業のBCP策定率を20年までに100%とする目標を掲げており、内閣府は「分かりやすいガイドラインを作るなどして策定率を高めたい」としている。
 今回の調査では、防災上の取り組みで、自治体や地域とどのように連携しているかも尋ねた。大企業の場合、32.3%が「平時から連絡体制を構築している」と回答。避難者の受け入れや物資供給などの災害時応援協定を結んでいるのは28.9%で、「合同訓練を実施している」が13.1%だった。
 政府は、地域防災力の強化などに焦点を当てた14年版の防災白書を閣議決定。この中で、今回の調査の概要を紹介し「東日本大震災を機に企業の防災意識が高まり、地域との協力関係も進展した」と指摘した。

 

18、被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)
 地方自治体が大規模災害の被災地に職員を派遣する手順などを定めた「応援計画」について、都道府県の66%が作成していないことが27日、総務省の調査で分かった。総務省は、自治体の計画作成を促すよう内閣府と消防庁に勧告した。
 調査は、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県を除く44都道府県と、抽出した168市町を対象に実施。応援計画を未作成だったのは都道府県では66%、市町は93%に上った。
 未作成の理由は「応援先の状況に応じて対応する」「災害の規模によって派遣する人数や分担が変わる」などを挙げた。
 国が2012年9月に修正した防災基本計画では、自治体に応援計画を作成するよう求めている。総務省は「2年近くたっても検討があまり進んでいない」と指摘している。
 このほか、被災時に受け取った支援物資を一時集積する拠点を選定していなかったのは、都道府県では20%、市町では18%。石油販売業者との間で、災害時に優先してガソリンなどの燃料の提供を受ける協定を結んでいないのは、都道府県では18%、市町では38%だった。

 

19、被災企業支援へ新基金(復興庁)
 政府は、東日本大震災で大きな被害を受け、被災した企業の資金繰りを支えるため政府系金融機関を活用した新たなファンド(基金)を創設する方針を示した。被災企業の再建に向けては資金繰りの確保が課題となっている。新たな制度の創設で産業となりわいの再生を図るのが狙いで、被災企業の成長支援などを進める。
 復興庁によると、日本政策投資銀行と地域経済活性化支援機構を核とするファンドを設立する方向で検討が進んでいる。被災地の中小企業に投融資し、地域経済の活性化に繋げる意向だ。地方銀行にも連携を働きかける。
また、復興庁は復興に民間の力を活用する「新しい東北」官民連携推進協議会の下に、メガバンクや地方銀行などで作る投資促進分科会を立ち上げる方針。金融機関に被災地の情報を提供し、被災地への資金供給を促す狙いがある。

 

 

[防災短信(地方や企業の動きなど)]

 1、列島乗る小プレートが存在?
 ~アムール・プレート、日本海の地震との関連に注目~平成26年6月1日日本経済新聞
2、被災3県の地銀預金滞留
 ~融資増追いつかず、復興遅れも影~平成26年6月2日日本経済新聞
3、初の円建て大災害債
 ~巨大台風向け100億円~平成26年6月16日日本経済新聞
4、災害時、自転車→車イスに変身
 ~名古屋の男性が開発~平成26年6月7日読売新聞(夕刊)
5、ディオジャパン子会社賃金遅配、閉鎖
 ~被災地に雇用不安、国の補助事業を悪用~平成26年6月21日河北新報
6、環境相不信任・問責否決
 ~中間貯蔵施設「金目」発言で~平成26年6月21日河北新報
7、仮設用地買い取り表明
 ~名取市2.5ha入居者に配慮、異例の判断~平成26年6月21日河北新報
8、岩手、山田NPO横領事件、元代表ら5人追起訴
 ~北海道の事業者、国の事業を悪用、実態なし~平成26年6月21日河北新報
9、災害避難所でペット対策
 ~練馬区ボランティア獣医師により~平成26年6月17日日本経済新聞
10、狭い路地解消急務
 ~杉並区災害時避難拡大の恐れ~平成26年6月20日読売新聞
11、震災の記憶風化防げ
 ~復興足取り伝える施設、宮城で相次ぎ開設~平成26年6月24日日本経済新聞
12、2014年5月の世界気温最高
 ~米海洋大気局、地球温暖化進行か~平成26年6月24日日本経済新聞
13、コンビナート揺らぐ安全
 ~相次ぐ爆発事故、団塊退職、途絶える経験知~平成28年6月23日日本経済新聞
14、OSM災害情報迅速に
 ~自治体活用に前向き~平成26年6月21日日本経済新聞
15、震災死の仙台市職員、一転「公務災害」
 ~補償基金本部審査会~平成26年6月13日読売新聞
16、自衛隊、信頼築き60年
 ~災害派遣、PKO任務拡大~平成26年6月29日読売新聞
17、シェール採掘、地震を誘発?
 ~米オクラホマ州断層動きやすく~平成26年7月4日日本経済新聞
18、観測所跡バッテリー投棄
 ~気象庁全国874個~平成26年7月9日読売新聞
19、ガレキ除去。20キロ先で採取
 ~防衛省が新車両、原発事故、テロ対象~平成26年6月14日日本経済新聞

 

 

 

【参考文献】

1、 平成26〔2014〕年6月03日 『日本経済新聞』夕刊
2、 平成26〔2014〕年6月03日 『日本経済新聞』夕刊
3、 平成26〔2014〕年6月06日 『日本経済新聞』夕刊
4、 平成26〔2014〕年6月07日 『日本経済新聞』
5、 平成26〔2014〕年6月15日 『読売新聞』
6、 平成26〔2014〕年6月20日 『東商新聞』
7、 平成26〔2014〕年6月19日 『日本経済新聞』
8、 平成26〔2014〕年6月19日 『日本経済新聞』
9、 平成26〔2014〕年6月16日 『日本経済新聞』夕刊
10、 平成26〔2014〕年6月16日 『日本経済新聞』
11、 平成26〔2014〕年6月19日 『日本経済新聞』
12、 平成26〔2014〕年6月20日 『読売新聞』
13、 平成26〔2014〕年6月25日 『日本経済新聞』
14、 平成26〔2014〕年6月24日 『読売新聞』
15、 平成26〔2014〕年6月21日 『日本経済新聞』夕刊
16、 平成26〔2014〕年6月12日 『読売新聞』夕刊
17、 平成26〔2014〕年6月20日 『日本経済新聞』
18、 平成26〔2014〕年6月26日 『日本経済新聞』
19、 平成26〔2014〕年7月04日 『岩手日報』

 

 

 

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第84号1平成29年7月号ドクターヘリ 基準緩和(国土交通省)他
第83号平成29年6月号災害派遣職員、地元優先で(中央防災会議)他
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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