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防災評論 第57号

山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

 

防災評論(第57号)【平成27年4月号】

 

 【目次】
〔政治行政の動向概観〕
〔個別の動き〕

 1、「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)
 2、防災再考 学生が主役(神戸市教委)
 3、震度6以上 関東上昇(地震調査委)
 4、仮設準備 必要数の4割・南海トラフ地震(沿岸部市町村)
 5、災害時の支払い迅速に(東京海上)
 6、災害危険地域に人口の73%集中(国土交通省)
 7、私立学校 耐震化8割(文部科学省)
 8、台風、2週間前に予測(海洋機構・東大)
 9、南海トラフ 津波火災270件(名大)
10、復興住宅 進む高齢化(兵庫県・神戸市)
11、五輪へ交通・防災 手厚く~2015年度予算案~(内閣府)
12、広島土砂災害 発生後に避難勧告 市の初動「やむを得ず」(広島市)
13、災害復旧 ツイッター活用(群馬県建協)
14、富士山の噴火警報 速報メール、携帯に(静岡県)
15、「活断層」に揺れる(原子力規制委)
16、都市部の浸水対策強化(国土交通省)
17、津波避難ビル1万棟弱(地方自治体)

 

〔政治行政の動向概観〕
 3月14日から18日まで仙台で開催された国連防災会議は、神戸での開催を含め3回目となった。東日本大震災からの復興と防災を通じての日本の国際貢献をアピールできる絶好の機会であったが、最終日に発表された国際防災指針には、残念ながら数値目標は盛り込まれなかった。このあと、国際社会の関心は再び中国の動向に移り、中国がブチ上げたAIIB(アジアインフラ投資銀行)に日本が参加するべきか、中国の主導に危機感をもてなどということばかりが注目され、仙台の会議の話題性は低調となった。
 ところがよく考えると、AIIBが狙うとされているアジアでのインフラ整備の中核は、世界で災害に最も脆弱なアジア地域においては、何といっても防災関連投資である。道路、ダム、鉄道、通信と種類は様々だが、すべては当該国民の安全を向上させる防災に通じる。実は仙台の国連会議でもわが国は「防災協力イニシアティブ」を発表、今後4年間で防災分野に40億ドルを拠出したり、防災インフラ整備・地域開発への防災思想の導入(防災の主流化)など立派なことを提案している。しかし、発表やアピールの仕方に工夫が足りない。「銀行の創設」という見た目だけ派手でわかりやすい中国のようにしたたかな戦略が日本外交に求められる。そのためには政権トップが官庁からの積み上げによる施策の羅列をただ待ってまとめ発表する(ホッチキス外交)だけでなく、自らの斬新なアイディアの発露によるパンチの効いた政策打ち出しが何よりも求められる。仙台の会議が開かれていた時すでにAIIB構想は国際的に知れ渡っていた。その動きに機先を制するように、例えばADB(アジア開発銀行)への出資を倍増し、すべてを「イニシアティブ」に基づく防災インフラに充て、「日本がすべて拠出します、中国・米国ら他国もそれに賛同して共に推進しましょう。」と呼びかける知恵があれば、同じカネを出すにも、また、AIIBへの対処についても世界でも日本でも全く反響が違っていただろう。“地道に努力すれば皆が認めるだろう”という日本人独特の発想は、防災士など草の根的運動には有効かつ大変尊い生き方ではあるが、華を競い、覇を唱える国際外交ではほとんど省みられないことを日本外交はもっと自覚すべきである。



〔個別の動き〕
1、「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)
 災害や有事などの緊急時にすぐ打ち上げる「使い捨て」タイプの小型観測衛星の開発を、政府が本格的に検討する。救助や情報収集に役立つ可能性があるという。この衛星は「即応型小型衛星」と呼ばれ、政府の宇宙政策委員会が公表した新たな 「宇宙基本計画」素案で検討事項にしている。縦、横、高さとも70センチメートル程度で、重さ100~150キログラムの衛星をあらかじめ組み立てておき、緊急時にカメラなど必要な機器を積んで打ち上げる構想。通常の衛星の半分程度となる地上200~300キロメートルを「低空飛行」し、詳しく観測する。この高度だと、1週間ほどで大気圏に突入して燃え尽きるという。
 日本には現在、地球観測衛星「だいち2」や情報収集衛星などがあるが、特定の場所を詳しく観測するためには数が足りない。このため、小型衛星でカバーできないかを、打ち上げ方法も含めて検討する。
 小型衛星は、特に災害救助などに役立つのではないかと期待される。

2、防災再考 学生が主役(神戸市教委)
 阪神大震災から20年、当時の被災状況や復興の道のりを若者に伝え、防災のあり方を考えてもらうプロジェクトが神戸市内で進んでいる。各自がテーマを定めて調査に取り組んだり、被災者や当時の行政担当者らから直接話を聞いたりしている。
 神戸市長田区にある市立地域人材支援センターでは、約40人の大学生や大学院生がグループに分かれ、「日常に根付いた防災学習」などそれぞれテーマを決めて意見を交わした。
 また、被災地を巡り、商店街関係者らから復興の様子を聞いたほか、当時の行政関係者へのインタビューも実施した。
次代に教訓をつなげるためにも、震災を知らない世代が新たな語り部となり、斬新な防災対策を提案できるようになるきっかけになればと期待される。また、これらの学生が今後防災士の資格を取り、より一層自らのスキルをアップさせることも望まれる。

3、震度6以上 関東上昇(地震調査委)
 政府の地震調査委員会は、今後30年以内に震度6弱以上の揺れが起きる確率の分布を示した2014年版「全国地震動予測地図」を公表した。
 想定する地震の規模や計算法を見直した結果、2013年版に比べて関東各地で確率が上がり、高い確率となった。都道府県庁所在地の市庁舎(東京は都庁)周辺で、全国で最も高いのは横浜市の78%だった。さいたま市は21ポイント上昇の51%、都庁周辺は20ポイント上昇の46%と、確率が大きく上がった。
 同委員会は、相模湾から房総半島沖に延びる相模トラフ沿いで起きる地震の評価を見直した。地震の規模を示すマグニチュード(M)の最大想定が8.6に引き上げられたことや、震源の深さが約10キロ浅くなった結果、2014年版で関東の確率が上昇したという。
 同委員会は2005年から予測地図を作製。東日本大震災(M9.0)の震源域や規模が想定外だったため、想定地震の規模を引き上げるなどし、確率の見直し作業を進めた。正式版は4年ぶりとなる。
 震度6弱以上の揺れには、気象庁が定める最高震度の7と、6強が含まれる。6弱の揺れは、耐震性が低い建物が倒れる危険がある。

4、仮設準備 必要数の4割・南海トラフ地震(沿岸部市町村)
 東日本から九州まで被害が想定される南海トラフ地震で大きな津波が予想される沿岸部で、11都県の55市町村が計約24万戸の仮設住宅が必要と想定しながら、供給できるのは約10万戸と4割にとどまることが分かった。用地不足のためで、計画を見直す自治体もある。
 国の南海トラフ地震の被害想定では最悪の場合、35都府県で全壊約240万棟、死者約32万人になる。国は仮設住宅の必要数の想定や用地確保を自治体に求めている。地震発生から30分以内に津波で30センチ以上浸水するとされた自治体は14都県139市町村ある。
 必要数は、賃貸住宅などをあてる借り上げ仮設も含めて24万4,557戸。供給できるのは建設仮設7万3,454戸、借り上げ仮設2万6,373戸などの計10万4,318戸だった。
 必要数の8割以上の3万戸超を供給できる静岡市は「公園やスポーツ広場など市有地のほか、生産緑地の民有地を利用する」という。
 供給できるのが必要数の5割以下なのは37市町。借り上げ仮設の確保も難しい。静岡県松崎町は民間賃貸が少ない地域で戸数が不足している。
 139市町村全体では、90市町村が仮設住宅の用地確保を進めるが、72市町村が「不足」という。79市町村が計画見直しを進めている。「学校の土地で調整が必要」「がれき置き場になる」などの事情もあるという。

5、災害時の支払い迅速に(東京海上)
 東京海上日動火災保険株式会社(以下東京海上と表記)は自然災害が起きた場合に迅速に保険金を支払うため、初期対応の体制を強化する。支払い担当に加え、営業担当の約8,000人も災害直後から事故の受け付けや保険金の請求を促す役割を担う。大雪や豪雨など多額の保険金支払いが発生する事例が相次いでおり、迅速な支払いで他社と差別化したい考えだ。
 東京海上は大きな災害が起きると、対策室を立ち上げて営業担当の社員を順次、支払いの応援に回していた。体制を整えるのに一定の時間がかかるため、すぐに対応できるように誰が初期対応に当たるかを決めておく。営業担当の社員にも支払業務の研修を実施。災害時の対応手順なども細かく定め、すぐに被災した企業などと連絡を取れるようにする。
 首都直下地震や南海トラフ地震などの大規模災害に備える意味合いもある。

6、災害危険地域に人口の73%集中(国土交通省)
 国土交通省は、日本の人口の73.7%(9,442万人)が洪水や土砂災害、地震、液状化、津波のいずれかで大きな被害を受ける危険のある地域に住んでいるとの推計をまとめた。危険地域は国土面積の34.8%(13万1,400平方キロ)を占め、災害が起きやすい場所に人口が集中する現状が浮き彫りとなった。
 推計は全国的な傾向を大まかに把握するのが狙い。洪水は国や都道府県が想定する主な河川の浸水区域、土砂災害は土石流や崖崩れなどの危険箇所、地震の揺れは30年間で震度6弱以上になる確率が25%以上の地域。
 液状化は地形や地盤から推定した。津波は全国的な浸水想定が完了していないため、一部は地形や過去のデータから独自に予測した。
 危険地域の人口は2010年国勢調査に基づき算出した。地震の揺れ5,888万人(総人口の46.3%)、液状化5,743万人(44.8%)などとなっている。
 国交省の国土審議会は国土形成計画について、人口減少や自然災害の被害が激しくなっている現状を踏まえ、安全な場所に居住を促す方向で議論。都市機能の集約による市街地のコンパクト化などを検討している。

7、私立学校 耐震化8割(文部科学省)
 文部科学省は、全国の私立の幼稚園、小中高校などの校舎や体育館1万9,718棟のうち、震度6強の揺れでも倒壊の恐れが少ない建物は、2014年4月1日時点で80.6%の1万5,892棟だったと発表した。前年同期に比べ2.8ポイント増。少子化で経営環境が厳しく、国の支援が公立に比べ限定的だったことが、耐震化率伸び悩みの背景にあるとみられる。
 文科省は2014年度から公立だけでなく、私立の建て替えも補助の対象に加えた。当初予算に60億円を計上したほか、来年1月に閣議決定する補正予算案に経費を追加、耐震化を促す考えだ。
 学校別では、幼稚園が81.0%、小学校が94.5%、中学校が91.0%、高校が77.9%、中高一貫の中等教育学校が96.7%、特別支援学校が94.6%だった。
 棟数の9割以上を占める幼稚園と高校は、同時期に調査した公立の高校(90.0%)と幼稚園(83.6%)に比べ耐震化率が低かった。

8、台風、2週間前に予測(海洋機構・東大)
 海洋研究開発機構と東京大学の共同チームは、インド洋から北西太平洋で特定の気象現象が起きたときの台風発生を約2週間前に予測できる技術を開発した。理化学研究所のスーパーコンピューター「京」で地球全体の雲の動きを計算する。2020年ごろの実用化を目指す。
 インド洋から日本の南の北西太平洋にかけて、数千キロメートルの巨大な積乱雲群が周期的に移動する現象「北半球夏季季節内振動」が起きたときの台風の発生を予測した。この現象は台風発生に影響を及ぼすことが知られている。
 研究チームはこの現象が顕著に起きた8個の台風について、地球全体の雲の動きを物理法則から計算する独自モデルで解析。弱い台風などを除いた4個の台風は、発生の2週間前に40%以上の的中率で予測できた。
 現状の台風の発生予測は経験をもとにした計算モデルを使っており、数日前にしか予測できない。


9、南海トラフ 津波火災270件(名大)
 南海トラフ巨大地震が発生した場合、津波を原因とする「津波火災」が首都圏から九州の22都府県で計約270件発生する可能性があるとの予測を名古屋大減災連携研究センターがまとめた。内閣府が発表した南海トラフ巨大地震被害予測は、津波火災には具体的に触れていない。
 津波火災発生の最多は静岡の54件で、三重43件、宮崎37件、高知35件、和歌山28件、大分20件、愛媛16件と続く。
 津波火災は、流された車が衝突して火花が出たり、壊れた建物内の暖房器具から出火したりした上、車のガソリンや石油タンクから流出した油に引火して起きる。消火が難しく、広範囲に延焼する恐れがある。
 東日本大震災後、被災各地の消防本部への聞き取りや現地調査により、岩手、宮城、茨城など6県で計159件の津波火災が起きたとの結果をまとめている。この結果を基に、浸水する建物の数、プロパンガス使用率、世帯当たりの自動車所有台数などから津波火災の発生数の予測式を作成した。
 南海トラフ地震の予測は、東海地方が特に大きく被災し最大約32万3千人が死亡するとの内閣府の地震想定を当てはめ、約270件の津波火災が起きると算出した。津波火災は東日本大震災の際、津波の被害を受けた各地で多発し、甚大な被害をもたらした。
 宮城県気仙沼市では複数箇所で火災が発生。タンクから漏れた石油に着火、漂流物に燃え移る海上火災も起きた。
 被害が大きかった鹿折地区では、消防隊員が遠く離れた防火用水からポンプ車でホースをつなぎ、放水活動を展開したが、津波の襲来で何度も中断を余儀なくされた。東京消防庁のヘリコプターなどの応援を得て、火災をほぼ消し止めたのは震災翌日。鎮火したのは10日以上たってからだった。岩手県山田町では、住宅など約500棟が全半焼した。宮古地区広域行政組合山田消防署によると、いったん内陸部に移動させた消防車を火災現場に向かわせるときには、津波の堆積物で国道が使えなくなっていたため、未舗装部分もある山道を選択。到着まで2~3時間かかったケースもあったという。
 防火用水も、がれきがふたを覆って使えなくなった。沢の水を使って消火しようとしたが、沢をせき止め、1時間かけてためた水も、放水すると5分で使い切り、火の勢いをなかなか食い止められなかった。

10、復興住宅 進む高齢化(兵庫県・神戸市)
 阪神大震災で自宅を失った被災者のために整備された災害復興公営住宅では、入居者の高齢化が一段と進み、自治会機能が低下するなどコミュニティーの維持が課題になっている。仮設住宅の高齢者を優先入居させたため、高齢化の進行が早く、誰にもみとられず亡くなる「孤独死」も年50人前後で推移。
 兵庫県や神戸市などの被災自治体が供給した復興住宅は約4万戸。県復興支援課が2014年11月に復興住宅273カ所を調べたところ、高齢化率(65歳以上の割合)は50.2%となり、2001年の調査開始以来初めて5割を超えた。
 一般県営住宅の高齢化率(30.5%)を上回り、高齢の一人暮らしの割合も53.3%と15ポイント近く高い。
 一方、復興住宅で昨年確認された孤独死は40人(平均年齢74.7歳)。仮設住宅が解消された2000年以降の累計は864人に上る。
 民間などから20年契約で借り上げた復興住宅を巡っては退去期限の問題が迫る。神戸市は市営住宅への転居を予約すれば最長5年間入居を延長できる制度を打ち出すが、借り上げた76団地約900世帯分のうち10団地82世帯分の所有者が、前提となる継続入居に同意していない。早い物件で2017年秋に退去期限を迎える。
 また、大規模災害からの復興の柱となる住宅再建に向け、給付金を支給する独自の制度が被災地で誕生してから10年を迎える。
 兵庫県は2005年、震災を教訓に住宅再建共済制度(フェニックス共済)を創設。年5000円の負担金で、加入者が半壊以上の被害を受け、新たに住宅を建築・購入する場合、600万円の給付を受けられる共済制度である。これまで同県佐用町などで被害が出た2009年の台風9号や2013年4月の淡路島地震の被災者ら約270戸の住宅再建に約5億3千万円を給付した。
 加入率は9.2%と当初定めた目標(15%)には及ばない。県は加入率向上のため、マンションの管理組合でも加入できるようにしたほか、昨年、年500円を追加負担すると、住宅は対象外だった損害割合10%以上20%未満でも補修時に25万円を受け取れる特約制度を導入した。
 被災者生活再建支援法に基づく支援金などの公助と合わせて、住宅再建に活用されるよう、地域の防災士もより積極的にPRに努める必要がある。

11、五輪へ交通・防災 手厚く~2015年度予算案~(内閣府)
 政府の2015年度予算案には、2020年の東京五輪を見据えた首都圏のインフラ整備事業が多く盛り込まれた。羽田、成田の両空港や京浜港(東京、横浜、川崎の各港)の国際競争力を強化するとともに、防災機能を高める。
 首都直下地震などの大規模災害に備え、防災・減災対策を強化する。津波による被害を防ぐ堤防の耐震化や液状化対策として346億円を充当する。東京湾で船舶に津波警報を円滑に伝える海上交通管制システムも構築する。
 災害時も街の機能を維持できるように、洪水時の地下街の避難策などには12億円を振り向けた。ビルや住宅が密集する地域では地震などによる火災発生時に延焼を防ぐため、木造老朽建築物の取り壊しの支援策にも力を入れる。
 国の直轄道路の老朽化対策には10%増の2965億円を計上。橋やトンネルの点検や修繕に取り組む。

12、広島土砂災害 発生後に避難勧告 市の初動「やむを得ず」(広島市)
 平成26年8月に発生した広島市の土砂災害で、行政の対応を検証する専門家らの作業部会が、広島市で最終会合を開き、豪雨の中で避難した場合の危険性などを踏まえ、いつ勧告を出すべきだったのか時期を示すのは難しいとする最終報告を提示した。
 74人が亡くなった土砂災害を巡っては避難勧告や避難所設置の遅れが指摘されていた。検証部会は「勧告が午前4時すぎになったのはやむを得ないが、災害発生後となり、適切ともいえない」と結論づけた。
 報告書によると、気象情報を駆使すれば、実際に勧告を出した2時間前の午前2時半ごろに判断材料がそろったが「道路が川のようになり、勧告イコール避難所への移動と住民が認識する中で勧告が出れば、避難中に災害に巻き込まれた可能性がある」と指摘した。
 その時点での勧告は適切ではないとし、避難所の開設準備にかかった時間も考えると、4時すぎになったのはやむを得ないと判断した。

13、災害復旧 ツイッター活用(群馬県建協)
 大雪による道路の除雪など、自然災害の復旧作業の様子を建設業者が撮影し、写真や動画を短文投稿サイトのツイッターで発信する取り組みが群馬県で始まっている。リアルタイムで状況を伝えられる利点を生かし、行政と情報を共有して復旧を早める効果を狙う。
 運用が始まったのは、群馬県建設業協会が災害情報の共有システム「ぐんケン見張るくん」。
 協会の会員約340社の作業員らが除雪や道路のパトロール中に撮影した写真や動画をアップ、協会が選別してツイッターに投稿する仕組みだ。道路を管理する市町村や国土交通省も閲覧でき、現場に指示を出すことも可能だという。
 協会は以前から全地球測位システム(GPS)機能付きの携帯電話を使い、同様の災害情報を行政に伝えていた。ツイッターの効果を受け、「ぐんケン見張るくん」を立ち上げた。昨年の大雪時に比べ、投稿に必要な手続きをシステム上で簡略化し、素早く情報発信できる仕組みに改善した。

14、富士山の噴火警報 速報メール、携帯に(静岡県)
 静岡県は、富士山など県内の活火山にレベル3(入山規制)以上の噴火警報が出た場合、住民や登山者の携帯電話に緊急速報メールを配信する取り組みを始めた。
県危機管理部によると、対象は富士山周辺の8市町と、1989年に海底噴火した伊豆東部火山群がある2市の住民や登山者で「噴火警報(噴火警戒レベル3)が発表されました。登山者は下山してください」と避難を促すメールを送る。
富士山の登山シーズン中は、携帯電話各社が基地局を設置するため、山頂付近でも受信できる。他に津波注意報と東海地震予知情報も配信する。

15、「活断層」に揺れる(原子力規制委)
 原子力規制委員会が全国6原子力施設内で進めてきた断層調査の有識者会合の位置づけが揺らいでいる。「活断層がある」とクロ判定になれば原発が廃炉に追い込まれかねないと注目されたが、安全審査を進めるうえでの「参考」扱いへと事実上の格下げになった。
 原発の断層問題は東日本大震災後に注目を集めるようになった。原子炉の真下などに活断層があれば大事故が発生する可能性がある。再調査の結果、各地の原発で活断層を見逃していた疑いが浮上。有識者会合が規制委発足直後の2012年秋に立ち上がった。
 有識者会合の評価書案は白黒をはっきりと明記するのが通例だった。調査を主導した委員長代理のもと、出席者全員の意見が一致するまで議論する原則だったからだ。
 日本原子力発電の敦賀原発(福井県)や、同年11月に示された関西電力の大飯原発(同)の評価書案は、なぜ、ここにきて急に書きぶりが変わったのか。
 従来は有識者会合の評価がそのまま規制委の見解になると受け止められてきたが、新方針では会合の評価について「重要な知見の一つとして参考にする」としつつ、再稼働に向けた安全審査申請があれば「有識者会合による評価にかかわらず、規制委が審査を行った上で許認可の可否を決定する必要がある」とされた。有識者会合が活断層と判定しても、審査ではその結論が覆る可能性が出てくる。
 有識者会合は規制委の発足直後、明確なルールもないなか手探りで始まった。だが、原発の新規制基準が施行され法律に基づく安全審査が始まると、規制委審査でも活断層問題を調べるため、有識者会合の位置づけが微妙になってしまった。
 環境や人の健康に取り返しのつかない悪影響を与える可能性がある場合は、科学的な因果関係が十分証明されていなくても予防措置を取ることを延期してはならない――。こうした考えは「予防原則」と呼ばれ、世界の安全規制の潮流だ。
明らかなクロでなくても「グレー」とされれば再稼働は難しい。疑念を完全にぬぐい去るのも至難の業で、活断層問題を抱える原発は苦難の道のりが今後も続きそうだ。

16、都市部の浸水対策強化(国土交通省)
 ゲリラ豪雨で都市部の浸水被害が相次いでいることから、国土交通省は水防法を改正する(2015年5月改正)。下水道や側溝から水があふれ、浸水の危険がある区域の指定を市町村に義務づける。地下鉄事業者や地下街の管理者には利用者の避難計画の策定を求める。また、沿岸部で高潮による浸水の危険がある区域の指定は都道府県に義務づける。
 国交省によると、都市部を中心にゲリラ豪雨時に排水が追いつかず、地下街などに流れ込む被害が頻発している。
 現在(改正前)の水防法は、河川ごとに洪水で甚大な被害が予想される「浸水想定区域」を指定することを国や都道府県に義務づけている。しかし、下水道や側溝のあふれによる浸水は「内水被害」として分類されており、河川氾濫のように浸水想定区域の指定がない。
 このため、水防法の改正では市町村に内水被害の恐れがある区域の指定を義務づけ、河川氾濫などと同様に浸水対策を取る。
 市町村は浸水想定区域を指定した後、地域防災計画に基づいて避難場所や避難経路を示すハザードマップを作り、住民に知らせる。
 地下鉄事業者や地下街の管理者には、浸水時の利用者の避難方法を盛り込んだ計画を策定してもらい、避難訓練の実施も義務づける。河川氾濫による浸水想定の降雨量は「想定できる最大規模の降雨」とする。国交省によると、現行は100~200年に1度程度起こる雨を前提としているが、これを上回る規模に想定を引き上げるという。
 内水被害は地下施設が多い都市部で被害が大きくなりやすい。2014年9月には東京都台東区などに1時間当たり100ミリ超の雨が降り、23区東部で道路の冠水や床上浸水があったほか、名古屋市では2013年8、9月、大阪市でも同8月に大規模な浸水被害があった。

17、津波避難ビル1万棟弱(地方自治体)
 南海トラフを震源とする巨大地震に備え、沿岸部の主要自治体が津波対策を急いでいる。2014年10月時点で137市が9,923棟の津波避難ビルを指定、東日本大震災の前に比べ数は7.3倍に増えた。ただ耐震性やいつでも使えるかなど課題もあり、庁舎の耐震化もはかどっていない。
 津波避難ビルは、津波が発生したり発生の恐れがあったりする際、住民が一時的な避難に使う建物。東日本大震災前は47市が1,367棟を指定していた。自治体数は2.9倍に増えた。
 指定数が最も多いのは中心部まで津波の想定浸水域になった大阪市の1852棟で、約97万人を収容できる。

[防災短信]
1、宮城県山元町の教習所に賠償命令
 ~19億円 津波予見できた~仙台地裁 2015年1月12日付 日本経済新聞
2、雪で降水量過去最高
 ~北日本・北陸12月~気象庁 2015年1月17日付 日本経済新聞
3、名古屋大学「減災館」
 ~実験で防災意識高める~ 2015年1月15日付 日本経済新聞
4、南三陸町の防災庁舎など被災9施設「保存が妥当」
 ~原爆ドームに劣らぬ発信力~宮城県・有識者会議 2014年12月19日付 日本経済新聞
5、女性の消防団員 最多
 ~2014年4月現在 全体は最小更新(86万4,000人)~消防庁調査 2014年12月20日付 日本経済新聞(夕刊)
6、6,000箱の記録公開へ
 ~神戸市 阪神大震災直後克明に 紙劣化、整理急ぐ~ 2015年1月13日付 日本経済新聞(夕刊)
7、八ッ場ダム着工
 ~本体2019年末までに完成~国土交通省 2015年1月21日付 日本経済新聞
8、自殺者5年連続減
 ~2014年は25,000人、17年ぶりの少なさ~警察庁 2015年1月15日付 日本経済新聞(夕刊)
9、木造密集おしゃれな街に
 ~武蔵小山駅前再開発始動、広場設置・災害に強く~ 2015年1月14日付 日本経済新聞
10、伊豆大島の土石流災害 旅館おかみ、語り部に
 ~営業やめた跡地で体験談~ 2015年1月28日付 日本経済新聞(夕刊)
11、気象台と県教委 火山防災でタッグ
 ~指導案や教材づくり~宇都宮気象台・栃木県那須町 2015年1月26日付 日本経済新聞(夕刊)
12、震災で不通 仙台―石巻 2015年5月全通
 ~線路移設でようやく~ 2015年1月30日付 日本経済新聞

 

 

 

 

 

【参考文献】

1、 2015年01月09日付 読売新聞(夕刊)
2、 2015年01月07日付 日本経済新聞
3、 2014年12月20日付 読売新聞
4、 2014年11月24日付 読売新聞
5、 2015年01月19日付 日本経済新聞
6、 2015年01月08日付 産経新聞
7、 2014年12月25日付 日本経済新聞
8、 2015年01月20日付 日本経済新聞
9、 2015年01月20日付 日本経済新聞
10、 2015年01月17日付 日本経済新聞
11、 2015年01月15日付 日本経済新聞
12、 2014年12月25日付 日本経済新聞
13、 2015年01月27日付 日本経済新聞(夕刊)
14、 2015年01月27日付 日本経済新聞(夕刊)
15、 2015年01月29日付 日本経済新聞
16、 2015年01月30日付 日本経済新聞
17、 2015年02月02日付 日本経済新聞(夕刊)

 

 

 

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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