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防災評論 第60号

山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

 

防災評論(第60号)【平成27年7月号】

 

【目次】
〔政治行政の動向概観〕
〔個別の動き〕
1、救急隊、外国語で対応へ(消防庁)
2、震源地 2方法で推定(気象庁)
3、対テロ能力増強(消防庁)
4、防犯ボランティア最多(警察庁)
5、30キロ圏外は事故後判断(原子力規制委)
6、M6.8以上 関東で50%超(政府調査委)
7、復興予算、5年で6兆円(財務省)
8、1,516棟の看板「補修必要」(国土交通省)
9、南海トラフ地震で14万人を派遣(内閣府)
10、「津波避難訓練」91.4%で実施(文部科学省)
11、首都直下地震で被害半減へ(内閣府)
12、救急車しか頼れない高齢者(消防庁)
13、被災地の工場・設備向け補助 今年度で終了(復興庁)
14、47火山が常時監視対象 自治体 安全対策急ぐ(地方公共団体)
15、被災者ケア 全額国費継続(復興庁)
16、土砂災害の避難指針改定・土砂災害調査2019年度完了(国土交通省)

 

〔政治行政の動向概観〕

 

 国会の会期は9月末までと大幅に延長され、焦点の安全保障法案は参議院での審議状況に関わりなく成立することが確定的となった。これまでの衆議院における国会論議は時間こそ100時間を超えたというが、与野党の議論はまったくかみ合っていない。何より残念なのは現実に自衛隊が担っている災害救助出動について、自衛隊の行動範囲と内容が大きく拡大するのに引き換え、どう確保していくのかという問題点がほとんど顧みられなかったことである。参議院での論議ではこれらの点も含め幅広い角度からの質疑応答を強く期待したい。
 一方、最近はこれまでに見られなかった特異事故・災害が相次いでいる。例えば6月には東海道新幹線の列車内における焼身自殺とその巻き添えになった死傷事故が発生、新幹線開業以来初の火災事件となった。また、7月には静岡県のアジサイ園に設置されていた電気棚の一部が水中に垂れ下がり、川に入った親子連れなどが感電で死傷する特異な災害が発生した。これら2つの事案に共通する点は、何の備えもないまま通常の行動をしているうちに事故に巻き込まれたということである。
 災害は地震、台風のように大型で決まりきったタイプだけではない。小災害であっても当事者にとっては取り返しのつかない惨事となる。防災士は大型災害への備えだけではなく、身の回りで起きている小さな異変もいち早く察知し、適切に対処し、自らのみならず関係者を含めた身体・生命を守ることのできる対応能力と勘を常に磨いておく努力が求められる。

〔個別の動き〕
1、救急隊、外国語で対応へ(消防庁)
 2020年、東京五輪・パラリンピックの開催などで外国人観光客らの増加が見込まれることから、消防庁は、全国の救急隊で外国語を使って救急対応ができる技能を向上させる方針を固めた。外国語が話せる救急隊員を育成したり、多言語音声翻訳システムの導入に取り組んだりする。
 消防庁は、語学などの研修を受けた隊員で構成し、外国人が多い地域に配置されている東京消防庁の「英語対応救急隊」を参考に、全国各地に同様の救急隊の設置を促す考えだ。
 また、簡易な方法として人間の体や症状をイラストに描き、患者が指さすだけで症状を伝えることができる「コミュニケーション支援ボード」の活用や、熱中症予防の外国語パンフレットの作成も検討している。

2、震源地 2方法で推定(気象庁)
 気象庁は、津波が予想される地震の震源地について、これまで1つの方法で推定していたのを、2つの方法で推定するシステムに改善すると発表した。双方の結果が一致しなくても、津波警報や津波注意報を出す際は、いずれも震源地とみなし、より広い範囲を対象とするように改める。
 2015年2月17日に岩手県などで津波を観測した地震では、気象庁が翌日に震源地を約100キロ修正。直前に起きた別の地震の揺れと混同したことが原因だったが、本来なら対象となる青森県や北海道の一部に津波注意報を出していなかった。システム改善はこうした問題の再発を防ぐのが目的。
 気象庁によると、震源地の推定はこれまで地震の初期微動(P波)とその後に来るS波のデータを合わせて判断していた。新しいシステムではこれに加え、P波のデータだけでも震源地を推定するようにする。

3、対テロ能力増強(消防庁)
 消防庁は、ラグビーの2019年ワールドカップ(W杯)日本大会と20年東京五輪・パラリンピックでNBC(核・生物・化学)テロや爆弾テロを想定し、特殊装備で危機に即応できる専門部隊を拡充するなどの対策をまとめた。緊急時の避難誘導、傷病者搬送を円滑に実施できる方法も検討している。
 ラグビーW杯は、札幌市や岩手県釜石市、熊本市など国内12会場が決定済みで、東京五輪は埼玉県や神奈川県でも競技が行われる予定だ。既にNBCの専門部隊を持つ自治体もあるが、消防庁はW杯や五輪の競技会場を控える自治体を中心に対応強化の必要があると判断した。
 NBCテロ対策では、消防庁が本年度から化学物質の除染能力を持つ特殊車両や検知システムなどの配備を進める。
 2016年度からは、消防大学校(東京都調布市)で特殊防護服を着た活動や専門知識を持つ部隊の訓練を開始。会場スタッフやボランティアが身を守るための基礎知識をまとめた資料を作る。
 テロ警戒では、救助隊やNBC専門部隊が競技会場内の救護所で待機するほか、ヘリコプターで上空から監視する。2016年度をめどに各地の消防本部が人員配置の計画などを作成する。
 爆弾テロで多数の傷病者が出た場合、近隣自治体からの応援が不可欠なため、各消防本部は応援の要請基準や部隊の集結場所などを定めた手引を2017年度から作成する。
 都道府県には、傷病者を分散して医療機関に搬送する要領作りに着手するよう求める。

4、防犯ボランティア最多(警察庁)
 防犯活動を行うボランティア団体は昨年末で4万7,532団体(前年比1.0%増)、人数は277万6,438人(1.1%増)で、いずれも統計を取り始めた2003年以降、最多だったことが、警察庁のまとめで分かった。
 2013年末時点の人数は初めて前年同期より2万6,329人少ない274万7,268人だったが、再び増加に転じた。
 平均月1回の活動実績があり、5人以上が所属している団体を対象に計上。児童の登下校を見守るほか、昨年、被害額が過去最悪となった特殊詐欺対策として、高齢者世帯の訪問にも取り組んでいる。
 これとは別に、サイバー空間での防犯ボランティア団体は199団体、7,474人だった。統計を取り始めた2012年以降、増え続けている。団体の3割は学生が中心となって運営し、小学生にインターネットの危険性を説明するサイバー教室を開くなどしている。
 防災士もこのような防犯ボランティアに積極的に参加することが望まれる。

5、30キロ圏外は事故後判断(原子力規制委)
 原子力規制委員会は22日の定例会合で、原発事故時の住民避難の基本方針を定めた原子力災害対策指針を改定した。「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」を活用しないほか、半径30キロ圏外の避難は事故後に規制委が判断することになる。
 SPEEDIは原発から放出された放射性物質の量や気象条件から拡散状況を予測するシステム。予測の前提となる放出量データについて規制委は「原発事故の発生時にいつ、どの程度の放出があるか把握するのは不可能」として、避難判断の参考にも使わない方針だ。
 30キロ圏外の避難については事故発生後、屋内退避が必要な地域を規制委が判断することに決定。避難を指示する範囲は原発から同心円状に自治体単位で決めるとし、プルームが通り過ぎれば退避指示を解除する方針。
 30キロ圏外では甲状腺被曝(ひばく)を防ぐ安定ヨウ素剤の備蓄や配布も不要とした。

6、M6.8以上 関東で50%超(政府調査委)
 政府の地震調査委員会は、活断層が起こす地震の発生確率を地域別に評価し、関東地方を中心とする地域の結果を公表した。今後30年以内にマグニチュード(M)6.8以上の地震がどこかで発生する確率は50~60%と推測した。全域を6区域に分けると、東京都心を含む区域は1~3%、甲府市や神奈川西部がある区域は15~20%などとなった。
地域別に活断層の地震確率を公表するのは、2013年の九州に次いで2例目。
 首都圏ではM7級の地震が30年内に70%程度の確率で発生するとされる「首都直下地震」が知られている。2013年に被害想定を含む報告書を公表した。海側から地下に沈み込むプレート(岩板)の境界部などで起こるプレート型地震が主だ。
 今回の発生確率はプレート型の地震とは違い、地表近くにある活断層の確率に限定した。
 6区域に分けて、それぞれで地震発生確率を算出したところ、関東北部(宇都宮市や水戸市など)は4~5%、北西部(長野市など)は2~3%、中央部(さいたま市、都心、千葉市、前橋市など)は1~3%となった。南部(甲府市など)は15~20%、伊豆半島は2~3%、長野から山梨にかけて通る活断層「糸魚川―静岡構造線断層帯」周辺は30~40%だった。
 活断層地震は地下深くで起こるプレート型地震に比べて震源が浅い。同じマグニチュードでも活断層型の方が地表の震動は強くなる一方で、揺れの範囲は狭くなる。
 1995年の阪神・淡路大震災では、未知の活断層のリスクが浮き彫りになった。活断層がいつ動き出すのかを探ろうと調査を続けていたが、2004年の新潟県中越地震では最大で震度7の揺れを引き起こし、住宅の全壊や死者が出る被害となった。より小さな活断層の地震確率まで調査が進んだ。
 関東全域では15の主な活断層に大久保断層(前橋市など)や身延断層(山梨県)など新たに9断層が加わった。
 短い断層や地下に延びた断層を加えた計24の活断層によって地域別の評価が可能になった。
 対象の断層が増えたことで、中越地震のような不意打ちを減らす効果を期待できるとみている。

7、復興予算、5年で6兆円(財務省)
 政府は2016~20年度にかけて、東日本大震災の復興に充てる予算を、6兆円前後とする方針だ。あわせて国が全額負担している現行制度を見直し、被災自治体にも一定の負担を求める。歳出総額の見通しがたったことで、財源をいかに確保するかが今後の焦点となる。
政府は2015年度までの5年間を「集中復興期間」と位置づけ復興特別会計に26兆3,000億円を計上、全額負担してきた。
 政府は2015年度までを特例としているが、2016年度以降は事業内容に応じて負担割合を細かく設定し、被災自治体に拠出を求める。復興との関わりの濃淡を査定時の基準とする。具体的には、企業の新規投資を促す立地補助金や雇用対策、内陸部の道路整備といった事業を想定している。自治体側の負担額は数百億円になる見通しだ。
 一方、高台への移転や被災者の心のケア、被災自治体を支援する職員の人件費などは今後も国が全額負担する。1995年の阪神・淡路大震災など過去の災害時に被災自治体が費用を負担した経緯も踏まえ、政府は理解を求める。

8、1,516棟の看板「補修必要」(国土交通省)
 2015年2月に札幌市で起きた看板落下事故を受けた全国の建物の緊急調査で、国土交通省は、報告があった計約4万8千棟のうち、1,516棟で看板の補修が必要とする調査結果を公表した。うち162棟はすでに補修されており、残る建物については自治体が今後、所有者などに補修するよう指導する。
 同省によると、補修が必要と判明した建物は埼玉県が161棟(補修済み8棟)、北海道148棟(同17棟)、神奈川県121棟(同2棟)、東京都96棟(同2棟)の順に多かった。

9、南海トラフ地震で14万人を派遣(内閣府)
 近い将来に予想される南海トラフ巨大地震で、政府は、発生直後に国と自治体が行う救助活動や物資輸送の計画を明らかにした。計画では、発生から72時間で負傷者らの生存率が大幅に低下することから、その前に、自治体の要請を待たず全国の警察や消防、自衛隊から最大約14万人の救助部隊を、中部から九州にかけての沿岸10県に派遣する「プッシュ型支援」の実施を盛り込んでいる。 南海トラフ巨大地震は、東海、東南海、南海地震が同時発生するマグニチュード9級の大地震で、津波などにより最悪で32万人以上の死者が出ると 想定されている。地元警察や消防だけでは救助が追いつかない地域が広範囲に及ぶと見込まれ、被害の少ない自治体と迅速な救援を行えるよう具体策を示したものである。動員計画では、津波被害が予想される静岡から宮崎にかけての沿岸10県を応援を要する地域と定め、残る37都道府県から最優先で応援部隊を派遣する。最大で警察約1万6,000人、消防約1万6,600人のほか、自衛隊は10県の部隊を含めて約11万人を投入する予定である。
 派遣部隊が向かう目標地点として、高速道路のサービスエリアなど48カ所を「広域進出拠点」に選定。海や空での移動や輸送のため、警察や自衛隊などから最大でヘリコプター計約480機と航空機約140機、船約470隻が出動。救援物資は、食料や毛布など必需品6品目を輸送。東日本大震災の際、役場が津波に流され救援要請に時間がかかったのを踏まえて、発生から3日間は備蓄の食料などでしのいでもらい、4日目以降に被災者に届くようにする。

10、「津波避難訓練」91.4%で実施(文部科学省)
 文部科学省は、防災や防犯など学校の安全確保のための取り組み状況を調べた結果を公表した。国公私立の全小中高校など約4万9,000校が対象。それによると、事件事故、災害に対応するための危機管理マニュアルは95.5%の学校にあるが、その内容を保護者に周知している学校は46.7%にとどまっている。
 防災面では、東日本大震災による津波被害を受け、津波浸水が予想される区域にある学校3,807校のうち、津波に備えたマニュアルがあるのは91.4%だった。津波を想定して避難訓練を行っている学校も91.5%あった。
 これらの学校教員は積極的に防災士資格を習得することが期待される。

11、首都直下地震で被害半減へ(内閣府)
 政府は、首都直下地震の緊急対策推進基本計画を変更した。これは、最悪で死者約2万3,000人、全壊・焼失する建物約61万棟とされる現状の被害想定を、今後10年間でおおむね半減させることを明記したものである。
 計画は、都心南部直下地震(マグニチュード7.3)が、火気の使用が多い冬の夕方に発生、住宅などの建物崩壊で6,400人が亡くなり、都心部を囲む木造住宅密集地域の大規模な延焼で逃げ場を失う“逃げ惑い”などで約1万6,000人が死亡する、という想定で検討したものである。
 その結果、死者数と全壊・焼失棟数を半減させるため、①2008年に約79%だった住宅耐震化率を2020年までに95%に引き上げる、②2011年度に2,500ヘクタールあった木密地域を中心とする危険な密集市街地を2020年度までにほぼ解消する、③木密地域などでの感震ブレーカー設置率を2024年度までに25%とする――などを目指すとしている。
 また、消火や救命救急活動を円滑に行えるよう、2014年に全国で4,600隊あった各自治体などの緊急消防援助隊を2018年度には6,000隊に増強。さらに、石油コンビナートや化学工場などの火災に対応できる特殊部隊も2018年度までに12隊編成することにしている。
 各省庁や被害が予想される自治体では今後、計画に沿って防災対策を進める。

12、救急車しか頼れない高齢者(消防庁)
 1989年に救急搬送された人のうち65歳以上の高齢者23%だった。それが2013年には54%と半数を超えた。また、搬送された人の傷病度合いを見ると、入院の必要がなかった「軽症」の人が50%(2013年)を占める。
 独り暮らしなど身近に頼れる人がいない高齢者が増え、具合が悪くなると、どうしていいかわからず、すぐ救急車を呼んでしまうといったことが背景にあるようだ。
 今後の高齢化を踏まえると、このままでは、救命救急が機能しない事態も起こりうる。救急医療スタッフの疲弊も続く。本来は必要がない入院につながり、医療費増加の一因となっていることも考えられる。

13、被災地の工場・設備向け補助 今年度で終了(復興庁)
 復興庁は東日本大震災の被災地で工場などを稼働させる企業に補助金を交付する制度を2015年度で終了する方針を固めた。政府主導で復旧・復興を進める「集中復興期間」が今年度限りであるうえ、被災地の景況感に改善がみられることから一定の役割を終えたと判断した。ただ被災地からは延長を求める声が強く、地域を限定した企業向け補助金を新たにつくる可能性はある。
 復興庁は青森、岩手、宮城、福島、茨城各県の被災地を対象とした「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」を2013年度に設立。3カ年で計2,100億円の予算を確保し、企業規模を問わず製造業やサービス業などの工場建設や設備導入を補助してきた。食品加工や金属など幅広い業種が申請し、現時点で約1,700億円が採択済みだ。

14、47火山が常時監視対象 自治体 安全対策急ぐ(地方公共団体)
 日本には110の活火山があり、うち47火山が常時監視の対象となっている。戦後最悪の火山災害となった御嶽山の噴火を踏まえ、政府や自治体は安全対策を急ぐ。
 政府は火山を抱える自治体に「火山防災協議会」の設置を義務づける方針。従来は任意設置で火山の専門家が参加していない場合もあったが、専門家の参加を義務づける。根拠法となる活動火山対策特別措置法(活火山法)が改正された。
 47火山のうち、2014年10月時点で退避壕(ごう)は11火山、退避舎は4火山しかなかったことから、退避施設の積極整備を促すガイドラインも2015年度中に作成する。自治体でも避難計画の策定などが進む。福島市は、火口周辺警報が出ている吾妻山周辺の住民らを対象とした避難計画を2015年4月に作成した。

15、被災者ケア 全額国費継続(復興庁)
 東日本大震災の復興事業費のうち、被災者の健康や心のケアに関する費用について2016年度以降も全額国費で賄う方針を明らかにした。
 心身のケアは、避難の長期化の中でさらに重要度を増している。生活支援相談員による仮設住宅の高齢者の見守りや、心のケアの専門家が担う相談事業などに力を入れる考え。

16、土砂災害の避難指針改定・土砂災害調査2019年度完了(国土交通省)
 国土交通省は、土砂災害の警戒や避難に関する地方自治体向けの指針を改定した。土石流や地滑りなどの重点対策を実施する「警戒区域」に指定する前でも、住民に土砂災害の危険性があるかどうかの情報を周知するのが柱。昨年の広島市の大規模災害を受けた改正土砂災害防止法を反映した。
 警戒区域は都道府県が基礎調査をした上で、地元説明会といった手続きを経て指定する。
 指針は基礎調査で危険性が判明した場合などで情報公開を徹底するよう求めた。また、住民の防災意識を高めるためハザードマップなどの広報対策を充実し、想定される土砂災害の種類や避難する場所や経路を明示する。
 災害時にはメールや会員制交流サイト(SNS)も活用し、確実に住民に情報が伝わるようにする。
 自治体の避難勧告が遅れないよう、土砂災害警戒情報を発令の基準にすることを明記。
 避難場所が開設されていない場合に市町村長が勧告を出すことをためらうケースがあったが、情報伝達を優先し、直ちに発令するよう求めた。
また、崖崩れや土石流などの重点対策を実施する「土砂災害警戒区域」指定の前提となる基礎調査が、2019年度末までに全国で終わる見通しとなったと発表した。昨年起きた広島市の大規模災害を受け、対策を急ぐよう各都道府県に求めていた。約65万ある危険な地域のうち、6割程度にとどまっている区域指定が進む。
 調査完了時期を当初予定より大幅に早めた自治体も多く、費用やノウハウの面で国の支援充実が求められる。
 国交省が各都道府県から聞いたところ、約65万の危険地域のうち、基礎調査が完了しているのは約42万地域だった。
 青森など12県は既に全地域で終えた。完了予定時期は2015年度が5府県、2016年度5府県、2017年度1県、2018年度4都県、2019年度20道県となっている。国の求めに応じ、当初予定より10年以上前倒しした県もある。
 国交省によると、調査を終え警戒区域に指定されているのは全国約40万地域で、このうち、さらに危険な特別警戒区域は約24万地域(2015年3月末時点)。
 広島市の災害では、現場の多くが警戒区域に未指定だったことが問題となった。このため、昨年成立した改正土砂災害防止法は、基礎調査が進まない都道府県に国が是正要求できると規定。国交省は、各都道府県に対し基礎調査を「おおむね5年程度」で終えるよう求めていた。

[防災短信]
1、新潟県 無人ヘリ導入へ
 ~被害者確認や不明者捜索~ 2015年4月2日付 日本経済新聞(夕刊)
2、新宿区 建て替え基準緩和
 ~木造密集地の解消狙う~ 2015年4月18日付 日本経済新聞
3、地震保険支払い早く
 ~損保各社 期間2割短縮、査定にタブレット~ 2015年4月7日付 
 日本経済新聞(夕刊)
4、震災死確認DVDで習熟
 ~徳島県医師会 検案医不足受け配布~ 2015年4月13日付 日本経済新聞
5、支柱5万箇所 緊急点検
 ~JR東日本 山手線事故 傾き1日放置~ 2015年4月13日付 日本経済新聞
6、原発新基準「見直さず」
 ~原子力規制委員長 高浜差し止めに反論~ 2015年4月16日付 日本経済新聞
7、レンガ造り 被害拡大
 ~ネパール地震 数百年前の寺院 揺れに弱く~ 2015年4月27日付 
 日本経済新聞(夕刊)
8、キノコ工場火災 4人死亡
 ~北海道 内部で溶接作業中~ 2015年4月27日付 日本経済新聞
9、少年消防五輪に中高生20人派遣
 ~日本消防協会 7月ポーランドに~ 2015年4月27日付 日本経済新聞(夕刊)
10、知床海岸 15メートル隆起
 ~北海道 亀裂調査実施~ 2015年4月25日付 日本経済新聞(夕刊)
11、登山ランク分け 4県に拡大
 ~長野、新潟、山梨、静岡 難易度で山選び~ 2015年4月3日付 日本経済新聞
12、県域FMが変身
 ~岩手で実験放送、災害時地域密着~ 2015年4月17日付 日本経済新  聞
13、御岳噴火で遺族会
 ~安全対策、国へ提言へ~ 2015年4月20日付 日本経済新聞
14、山岳ガイド有罪判決
 ~白馬岳4人遭難死「予見できた」 長野地裁~ 2015年4月20日付 日本経済新聞
15、ネパール、プレート境界 地震多発 2015年4月26日付 読売新聞

 

 

 

【参考文献】

 

1、 2015年4月10日付 日本経済新聞(夕刊)
2、 2015年4月17日付 日本経済新聞
3、 2015年4月15日付 日本経済新聞(夕刊)
4、 2015年4月09日付 日本経済新聞(夕刊)
5、 2015年4月22日付 日本経済新聞
6、 2015年4月25日付 日本経済新聞
7、 2015年4月26日付 日本経済新聞
8、 2015年4月26日付 日本経済新聞
9、 2015年 UGMニュース5月号
10、 2015年 UGMニュース5月号
11、 2015年 UGMニュース5月号
12、 2015年4月19日付 日本経済新聞
13、 2015年5月02日付 日本経済新聞
14、 2015年5月02日付 日本経済新聞
15、 2015年4月19日付 日本経済新聞
16、 2015年4月18日付 日本経済新聞
17、 2015年4月19日付 日本経済新聞(夕刊)

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第84号1平成29年7月号ドクターヘリ 基準緩和(国土交通省)他
第83号平成29年6月号災害派遣職員、地元優先で(中央防災会議)他
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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