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防災評論 第66号

山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

 

防災評論(第66号)【平成28年1月号】

 

【目次】
〔政治行政の動向概観〕
〔個別の動き〕
1、火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)
2、鬼怒川 堤防など被害95カ所(国土交通省)
3、保険料の地域差拡大(金融庁)
4、古い街路樹 実態調査へ(国土交通省)
5、病院2割 被災の恐れ(厚生労働省)
6、関東・東北豪雨 激甚災害に指定(内閣府)
7、橋の耐震装置 溶接不良(国土交通省)
8、火山被災地の支援 生活再建策も必要(災害復興学会)
9、役所の非常電源を調査(消防庁)
10、被災地 根づく代替バス(国土交通省・JR)
11、荒川の水害対策 早急に(国土交通省・地方公共団体)
12、マンション「民泊」可決(大阪府)
13、防災用蓄電池 地震で転倒も(会計検査院)
14、倒れた人見たら…心肺蘇生 すぐ始めて(日本蘇生協議会・消防庁)
15、倒壊恐れの空き家解体(横須賀市)
16、ガス・石油機器、過去5年事故540件(経済産業省)

〔政治行政の動向概観〕
 通常国会は異例の1月4日開会となったが、「サル年は騒ぐ」の言い伝えどおり、年明けから政治経済各界にわたり大変な激動と試練が日本を襲っている。経済面では12月に行われたFRB(米連銀)の利上げの影響をもろにかぶって株や為替が乱高下し1月末に至り、日銀は超異例ともいえる「マイナス金利」を導入、いよいよ未知の領域に金融政策は踏み入れることとなった。一方、政治面では政権の屋台骨を担ってきた閣僚の一角に金銭授受と利得斡旋の疑いが報じられ、同閣僚は月末に辞任に追い込まれた。幸いこの間大きな災害もなく、寒気の影響で九州や沖縄などに異例の積雪はあったものの国民の安全という意味では何とか無事にひと月を経過した。しかしこの先思わぬ大事に遭遇する危険は常に存在する。防災士10万人時代を迎え、国民、地域の安全を担う要として防災士の役割はますます高まっており、これを契機により裾野の広い人材が防災士として活躍することが期待される。

〔個別の動き〕
1、火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)
 戦後最悪の火山災害となった御嶽山(長野・岐阜)の噴火、火山列島ニッポンは活動期に入ったとされる。この間で噴火や異変が相次ぎ、9つの山で警戒レベルが上がった。ただ、桜島(鹿児島)や箱根山(神奈川)のように想定した大規模な噴火は起こらなかったケースもある。
 桜島では気象庁は警戒レベルを3(入山規制)から4(避難準備)に引き上げた。
 桜島は京大が1960年に観測所を設置、24時間体制で観測する。地震計や傾斜計、全地球測位システム(GPS)などの観測機器が約30地点に張り巡らされている。国内で最も観測体制が充実した火山だ。
 火山性地震は15日だけで1日1000回を超え、いつもの100倍近い数になった。鹿児島市は市内の51世帯77人に避難勧告を出した。
 しかし結局、大規模な噴火は起こらなかった。
 最近、噴火の懸念が全国各地で高まった。4月以降だけでも箱根山や口永良部島、桜島(鹿児島)、浅間山(長野・群馬)、雌阿寒岳(北海道)、阿蘇山(熊本)の6つの火山で警戒レベルが上がった。月1ペースという異例の勢いだ。
 火山活動が活発になると、予知は可能かどうかが必ず議論になる。1995年の阪神大震災や2011年の東日本大震災によって幻想であることが明確になった地震予知と違い、過去に「成功例」があるからだ。
 2000年に起きた有珠山(北海道)噴火。噴火の2日前に、住民に避難指示が出て、1万6,000人が全員避難して被害を免れた。
 相次ぐ火山活動を受け、気象庁は観測体制を強化する。箱根山では低周波地震などを捉える広帯域地震計や、空気の振動を計測する空振計などを新たに設置。御嶽山は火山ガスの成分を調べる機器を置く予定だ。
 しかし、観測機器を増やすだけで予知が可能になるわけではない。マグマの通り道や地下のマグマだまりの位置など、火山の内部構造はほとんど未解明で謎だらけ。観測データがたくさん集まっても、どう解釈するかの知見が足りない。
 今の火山学の実力と限界をきちんと踏まえたうえで、警戒レベルに向き合うことが大切。「空振り」に終わったと批判せず、万が一に備えて対応すれば、有珠山噴火のように被害を最小限に抑えることはできる。

2、鬼怒川 堤防など被害95カ所(国土交通省)
 国土交通省関東地方整備局は、関東・東北豪雨による鬼怒川の被害が、堤防など計95カ所に上ることを明らかにした。
 被害は鬼怒川全体(約100キロ)で確認され、堤防の決壊が1カ所、水が堤防を越える「越水」が7カ所などだった。
 また、茨城県常総市で堤防が決壊した原因として、同局は、越水で堤防の住宅側の地面が削られたことに加え、堤防内部に水が浸透して崩壊した可能性を示した。決壊に至ったメカニズムを分析し、本復旧に向けた工法などを検討する。

3、保険料の地域差拡大(金融庁)
 政府と損害保険各社は2017年1月から実施する家庭向け地震保険料の改定を行った。地震の発生リスクに見合う保険料に近づけるため、埼玉県や高知県など4県の保険料が50%上がる一方、大阪府や愛知県では安くなる。現在3.1倍の地域差は3.7倍に広がる。
 政府と損保各社は2017年から段階的に地震保険料を見直し、2021年までに全国平均で19%上げる方針を固めている。引き上げ幅は2017年1月は平均5.1%、19年1月は6.0%、2021年1月は6.8%とする方向だ。
 改定案で上げ幅が50%となるのは茨城県、埼玉県、徳島県、高知県。保険料の算出に使うモデルを見直し、南海トラフ地震の発生確率を織り込んだ結果だ。埼玉県の非木造住宅の場合、保険金1,000万円あたりの保険料は年1万3600円。これが2021年には2万円程度になる計算だ。
 逆に保険料が下がるのは北海道や愛知県、大阪府、兵庫県など11道府県で、このうち愛知県では約40%下がる見通し。
 保険料が最も高い東京都や神奈川県は40%近い上げ幅となる一方、最も安い福岡県などは15%程度にとどまる。
(注)地震保険料は地震や津波、噴火による建物と家財の被害を補償する保険の契約者が払う。損害保険料率算出機構が最新の研究などに基づいて損害リスクを予測し計算する。都道府県や建物の構造によって異なる。非木造住宅で保険金1,000万円を受ける契約の場合、東京都や神奈川県は最も高い年2万200円。最も安い福岡県や広島県は6,500円。同機構によると、2014年の世帯加入率は28.8%だった。

4、古い街路樹 実態調査へ(国土交通省)
 国土交通省は、高度成長期以降に道路沿いや公園に植えられた樹木が弱って倒れ、歩行者や住宅を巻き込む事故が発生しているとして、事故原因、自治体の対応などの実態調査に乗り出す。結果を基に自治体向けに点検、診断に関する指針をつくり、維持管理を適正化、事故防止につなげる。
 植えられてから数十年が経過し、周辺の地面に水がしみ込みにくいコンクリートに覆われるなど厳しい生育環境にあることや、根や幹を腐らせる菌の感染が倒木の原因とみられる。
 事故の全国的な統計はないが、2014年3月には広島県三原市で、樹齢約50年のポプラが倒れ、木に当たった1人が死亡、1人が大けがをした。ほかにも国交省には、倒木で住宅や車が破損したといった報告が自治体から寄せられている。
 自治体の対応はまちまちなのが現状。診断マニュアルの作成や、木をたたいて内部の状態を探る打音調査の実施、樹木医への点検依頼など、積極的な取り組みをしているところがある一方、目視のみやほとんど対応していないケースも多いという。
 国交省は2016年度予算の概算要求で1,000万円を計上。自治体の点検や診断マニュアルの整備状況を調べ、有識者会議で指針の内容を詰める。

5、病院2割 被災の恐れ(厚生労働省)
 甚大な被害が予想される首都直下地震で医療機関の約2割が被災し、推計で約4万9,000人分の病床が使用不能になることが、厚生労働省の調査で分かった。災害拠点病院も19カ所で患者の受け入れができなくなる可能性があり、研究班は近隣病院と連携して患者の収容、治療に当たる態勢の構築を提言した。
 内閣府は首都直下地震の被害想定で、建物倒壊と火災で最大2万3,000人の死者が出ると試算。要救助者は7万2,000人に上るとしている。
 内閣府による被害想定を基に、東京都、埼玉、千葉、神奈川各県にある医療機関の被害状況を予測。火災や周辺道路が使えなくなるケースも加味し、病院機能を失う施設を調べた。
 その結果、医療機関3,086カ所(2014年8月時点)のうち、地震や火災の被害を受ける施設は約2割に当たる638カ所に上った。約4万9,000床が使用不能になり、入院中の患者を他施設に移す必要が生じるという。
(注)災害拠点病院は生命にかかわる外傷や広範囲のやけどなど、災害時に発生する重傷患者の救命医療を担う医療機関。24時間態勢の患者受け入れが可能で、災害派遣医療チーム(DMAT)やヘリコプター離着陸場を有するなどの要件を満たした施設を都道府県知事が指定する。2015年4月時点で全国に695カ所ある。

6、関東・東北豪雨 激甚災害に指定(内閣府)
 政府は、9月の台風18号や関東・東北豪雨の被害を激甚災害に指定することを決めた。被災自治体が対象。農地や農業用施設、林道などの被害額が指定基準を上回る見通しとなったためで、復旧事業に関して国の補助率を引き上げる特例措置を適用する。
 内閣府によると、農業に関する復旧事業の見込み額は23県で81億6,000万円。県別では宮城24億4,000万円、福島17億7,000万円、茨城16億8,000万円、栃木15億6,000万円。
 また、福島県の南会津町と昭和村を局地激甚災害に指定し、橋や道路などの公共土木施設の復旧事業に関して国の補助率を引き上げる。

7、橋の耐震装置 溶接不良(国土交通省)
 国土交通省は、北陸や近畿など18府県の高速道路や国道に架かる98橋で、落橋防止装置の部品に溶接不良が見つかったと発表した。日常の通行に支障はないという。
 98橋は、2000~20014年度に耐震補強工事が行われた橋。落橋防止装置は、橋の道路部分と橋脚をケーブルでつなぐもので、土台などにつなぐ部品の製造時に、うまく溶けなかった溶接部分を削る工程を省いた疑いがあるという。
 8月に京都市の国道で溶接不良が判明したため、国道などを調べた。地方自治体も、管理する橋について調べている。

8、火山被災地の支援 生活再建策も必要(災害復興学会)
 火山災害の被災地に対する支援の在り方を考えるシンポジウムに参加した被災経験者らは「火山災害は先が見通せない難しさがあり、避難時の支援だけでなく、事業継続や住宅維持など生活再建のための対策も必要だ」と訴えた。
 6月にごく小規模な噴火があった箱根山・大涌谷(神奈川県箱根町)を抱える箱根強羅観光協会は「避難指示は一部のエリアだけなのに町全体が危ないと思われ、特に修学旅行の予約が激減した」と観光業への影響を報告。「安全とはうたえないが、安心感を売りに集客しようと地区の避難計画を作った」と強調した。
 5月に新岳が噴火し、全島避難が続く口永良部島の消防団分団長は「1週間ぐらいで帰れると思ったが、長期化している。子どもの学校生活も不安定で、愛着のある島の小・中学校を残せるか心配だ」と話した。

9、役所の非常電源を調査(消防庁)
 関東・東北豪雨を受け、消防庁は全国の都道府県庁と市区町村役場の非常用電源に関する緊急調査を始めた。鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市では、屋外にあった市役所の非常用電源設備が浸水して使用不能となり、被災状況の把握や救助活動に支障をきたす事態に陥った。全国で同様の課題がないかチェックし、対策を検討する狙いだ。
 常総市は2009年、洪水ハザードマップを作成し、鬼怒川が氾濫した場合、庁舎周辺は1〜2メートル浸水すると想定した。しかし、2014年11月に市役所本庁舎(3階建て)を新築した際も、非常用電源設備を上層階に置くなどの対策はとられなかった。
 今回の豪雨では、9月11日未明に市役所でも浸水が始まり、午前2時ごろに非常用発電機を作動させた。市役所機能を約21時間維持できるはずだったが、2時間半後には水をかぶって動かなくなった。鬼怒川と同じ水系の利根川本流が流れる群馬県千代田町でも、町役場の非常用電源は屋外の地上にある。洪水ハザードマップでは「1~2メートル」の浸水が想定されており、浸水があれば非常用電源は水没する。
 消防庁は非常用電源の緊急調査を開始。電源の有無、使用可能時間、設置位置、防水対策などについて尋ねる。

10、被災地 根づく代替バス(国土交通省・JR)
 東日本大震災で被災した大船渡線(岩手、宮城県)と気仙沼線(宮城県)の不通区間を巡り、JR東日本が鉄道復旧を断念し、代替運行中のバス高速輸送システム(BRT)の継続方針を示したことについて、沿線住民の間で理解と不満が交錯している。鉄道復旧を求めた沿線自治体の多くは、巨額の費用負担などを理由にBRT継続の現実路線にシフトしている。
 震災の津波で線路や駅舎が流されるなどし、大船渡線は盛駅(岩手県大船渡市)―気仙沼駅(宮城県気仙沼市)間の43.7キロ、気仙沼線は気仙沼駅―柳津駅(宮城県登米市)間の55.3キロが不通になった。JR東日本は震災前の線路を改修した専用道と一般道を組み合わせて走るBRTを導入し、不通区間を仮復旧した。
 不通区間について、これまで沿線自治体は「鉄道復旧が基本」との立場だった。しかし、土地のかさ上げや高台移転で震災前のルートでの復旧は不可能に。JR東日本はルート変更などにより、復旧費は大船渡線で400億円、気仙沼線で700億円に上ると試算し、鉄道復旧に難色を示した。
 JR東日本は、震災前から両線の利用が低迷していることや自治体にも費用負担が生じることを説明し、BRT継続を正式に提案した。BRTの利点として街づくりの状況に応じてルートを変更したり、新駅も設置したりできると強調した。
 自治体側の反応には温度差があり、岩手県大船渡市や陸前高田市などは「現実を直視しなければならない」と前向きな姿勢を示したが、気仙沼市は態度を保留した。

11、荒川の水害対策 早急に(国土交通省・地方公共団体)
 国土交通省荒川下流河川事務所は、豪雨への備えを確認する会議を荒川流域自治体と開いた。9月の関東・東北豪雨を受け、市街地の被害軽減策を協議。自治体向けの水害対応チェックリストの作成や防災行動計画「タイムライン」の整備などを確認した。場所ごとの被害状況を即座に入手できるスマートフォン(スマホ)向けシステムの改良を進めることも一致した。
 会議には東京都北区や荒川区、埼玉県川口市など3市12区の危機管理担当者らが参加。荒川下流域で甚大な被害が出ないよう備えを強化するのが狙い。今後は流域自治体と河川管理者である国の連携体制の確認や、洪水のリスクが高い流域の共同点検などを早期に実現する考えだ。
 巨大台風に伴う災害の発生から逆算し、自治体や住民の動きを事前に定める防災行動計画「タイムライン」の整備も2016年の台風シーズンまでに検討。現在は東京都の北、板橋、足立の各区を対象にした試行案を運用しており、今後は対象地域を広げる。

12、マンション「民泊」可決(大阪府)
 マンションなどの空室を宿泊施設に利用できるようにする全国初の国家戦略特区の条例案が大阪府議会で可決された。大阪を含む関西圏ではアジアなどから外国人観光客が急増。宿泊施設の不足が深刻化している。条例案はそれを緩和する狙いがある。
 府は早ければ来春から制度の運用を開始したい考え。賃貸マンションの業者らが空室をホテルなどの宿泊施設として利用することは旅館業法で禁じられているが、政府が指定した国家戦略特区の特例を使う。

13、防災用蓄電池 地震で転倒も(会計検査院)
 災害による停電に備え、自治体の防災拠点や避難所の非常電源用に設置されている蓄電池設備で、固定が不十分なため地震で転倒して使えなくなる恐れがあるものが100基以上あることが会計検査院の調査で分かった。検査院は事業を行う環境省に改善を要求。同省は「各自治体に適切な改修を求める」としている。
 同省は、地方自治体が太陽光などの発電設備と蓄電池設備を災害対策本部となる建物や避難所に設置する場合、費用を全額補助。2011~2013年度、各都道府県に計約1,400億円を基金として配り、整備を進めている。
 検査院は設置数の多い10府県に2012、2013年度に設置された327基を調査。秋田、兵庫など6県にある計92基はアンカーボルトなどの固定器具で床に固定されておらず、14基は固定器具の強度が不足していた。同省は震度6強の揺れでも転倒しないよう床への固定を通知していたが、明確な指針は定めていない。

14、倒れた人見たら…心肺蘇生 すぐ始めて(日本蘇生協議会・消防庁)
 心臓が止まっているか分からなくても直ちに心臓マッサージを始めて――。救急医学の学会などでつくる「日本蘇生協議会」(東京)が、路上や公共施設などで倒れた人に対する一般市民による心肺蘇生法のガイドラインを作成し、ホームページ上で公表している。こうした状況への対応に関する記載はこれまでなかったという。
 協議会は、5年後の東京五輪や大規模災害を念頭に、市民が行う救命処置の重要性を強調。
 ガイドラインでは、呼吸の有無が判然とせず、心停止状態かどうかの判断に自信が持てない場合でも、すぐに心臓マッサージ(胸骨圧迫)や、電気ショックを与える自動体外式除細動器(AED)の使用を開始するよう明記。「心停止でなかったとしても害はなく、胸の骨が折れるなどしても原則責任を問われることはない」としている。
 また119番した際には、救急車を呼ぶだけでなく、通信指令員から心臓マッサージの指導を受けることが必要とも指摘。市民による心肺蘇生の実施率向上には、心臓マッサージとAEDの使用法を学ぶ短時間の講習などが有効とし、AEDの効果的な配置と適正な管理も重要とした。
 消防庁によると、2013年の救急搬送で心肺停止状態になったのを目撃された人は約2万5,000人に上る。

15、倒壊恐れの空き家解体(横須賀市)
 神奈川県横須賀市は、2015年5月に全面施行された空き家対策特別措置法に基づき、老朽化により倒壊の恐れがある所有者不明の空き家を行政代執行で取り壊す作業を始めた。特措法に基づく取り壊しは全国初。
 対象は同市東浦賀の木造住宅で、11月末に除去作業を完了。費用は市が負担する。
 市から委託を受けた業者の作業員が窓を外し、植栽を伐採。周辺の道には幅が約1メートルしかない部分もあって大きな機材を使えないため、作業員は足場用のパイプを肩に担いで運んだ。
 市によると、2012年10月、周辺住民から「屋根が落ちてきそうで危険だ」などの苦情が寄せられた。外壁も含めて倒壊の恐れがあり、市は放置すれば著しく危険となる恐れがある「特定空き家」と判断した。
 住民票や登記簿で所有者が分からず、特措法に基づいて固定資産税の情報を取得したが、所有者を特定できなかった。
 特措法によると、特定空き家に認定した場合、市は所有者に除去、修繕などの助言や指導、勧告、命令ができる。措置が取られなかったり不十分だったりすれば、市が代執行することも可能となる。横須賀市は他に少なくとも60棟を特定空き家に指定している。

16、ガス・石油機器、過去5年事故540件(経済産業省)
 製品評価技術基盤機構(NITE)は、風呂釜や給湯器による火災など、10年以上使い続けたガスや石油、電気機器の事故が2015年3月までの約5年間で540件発生し、うち5件で66人が死亡、26件で35人が軽傷を負ったとして注意を呼び掛けた。
 購入時にユーザー登録をすれば点検の通知が届く「長期使用製品安全点検制度」の対象となっている9製品を、10年以上使用して起きた事故数を集計した。原因は経年劣化や使用者の不注意が多いと分析。
 NITEによると、火災は327件。製品別の事故数は多い順に、石油風呂釜158件、ガス風呂釜138件、石油給湯器111件、ガス湯沸かし器89件など。原因別では「誤使用・不注意」120件、「設計や製造に問題があった」は89件、「経年劣化」60件などが目立ち、死亡例は誤使用・不注意などが原因だった。
 誤使用・不注意による事故は①約16年使った石油風呂釜の内部にすすがたまり、エラー表示が出ていたのに使い続けて異常燃焼②約17年使ったガス風呂釜の内部の結露が影響して点火不良となっていたのに点火操作を繰り返し、ガスがたまって異常発火――などの例がある。
 経年劣化では部品の摩耗や亀裂、すすやほこりの堆積でガス漏れや異常燃焼を起こした例が目立った。

[防災短信]
1、「復興牧場」が完成
 ~福島県、避難酪農家らが共同経営~ 2015年9月25日付 日本経済新聞
2、瞬間風速81メートル
 ~台風21号 沖縄で記録、歴代4位の強さ~ 2015年9月27日付 日本経済新聞
3、豪雨で水没、史料を救え
 ~茨城大教授ら500点回収 常総市~ 2015年9月29日付 日本経済新聞(夕刊)
4、鬼怒川堤防、水浸透(パイピング破壊)で損傷
 ~国土交通省地方整備局分析~ 2015年10月05日付 日本経済新聞
5、「震災遺構」保存へ調査
 ~長岡市山古志 木籠集落の家屋~ 2015年10月10日付 読売新聞
6、広島ビル火災 裏手出入口 火元か?
 ~内部に複数の個室密集、報知器自動作動せず~ 2015年10月10日付 日本経済新聞
7、「東京防災」の冊子販売を検討
 ~東京都 なるべく廉価で~ 2015年11月08日付 日本経済新聞
8、木造密集地、防災で変身
 ~品川区中延地区で再開発~ 2015年10月15日付 日本経済新聞
9、「越水」と掘削 関係否定
 ~鬼怒川決壊 国土交通省調査結果~ 2015年10月14日付 日本経済新聞(夕刊)
10、IT活用し水害抑制
 ~NTTデータ災害情報クラウド化、富士通下水の氾濫期予測など~ 2015年10月17日付

  日本経済新聞
11、噴石 強い屋根で防げ
 ~防弾チョッキの繊維活用で山小屋改修、内閣府~ 2015年10月17日付 日本経済新聞
12、鬼怒川堤防 再建へ方針
 ~国土交通省 最大1.4メートルかさ上げ、上部の幅2倍~ 2015年10月20日付

  日本経済新聞
13、「サイバー救助犬」登場
 ~不明者捜索へ試験運用 東北大・日本救助犬協会~ 2015年10月22日付 日本経済新聞
14、「災害弱者」どう避難?
 ~墨田区、文京区、大田区、港区、台東区 障がい者や外国人が訓練~ 2015年10月23日

  付 日本経済新聞
15、消えない信号機
 ~自家発電付 東日本大震災後1.6倍に~ 2015年10月29日付 日本経済新聞
16、水害対策、5区連携
 ~墨田、江東など協議会~ 2015年10月28日付 日本経済新聞
17、小中学校13% 校舎点検せず
 ~防火扉など問題放置は2,052校 会計検査院調査~ 2015年10月27日付

  日本経済新聞
18、溶岩流予測、避難速く
 ~山梨県富士山科学研究所 模擬実験で地図、ドローンも活用~ 2015年10月26日付

  日本経済新聞
19、箱根ロープウェイ 一部再開
 ~半年ぶり、気象庁噴火警戒レベル2に戻す~ 2015年10月30日付 日本経済新聞

  (夕刊)
20、防火ドア 1,204棟で不備
 ~大和ハウス 無償で改修~ 2015年10月31日付 日本経済新聞

 

 

 

【参考文献】

1、 2015年10月03日付 日本経済新聞
2、 2015年09月28日付 読売新聞(夕刊)
3、 2015年09月26日付 日本経済新聞
4、 2015年09月27日付 日本経済新聞
5、 2015年09月28日付 日本経済新聞
6、 2015年10月06日付 日本経済新聞
7、 2015年10月08日付 読売新聞
8、 2015年10月04日付 日本経済新聞
9、 2015年10月12日付 毎日新聞
10、 2015年10月19日付 日本経済新聞
11、 2015年10月17日付 日本経済新聞
12、 2015年10月21日付 日本経済新聞(夕刊)
13、 2015年10月20日付 日本経済新聞
14、 2015年10月20日付 日本経済新聞(夕刊)
15、 2015年10月26日付 日本経済新聞
16、 2015年10月30日付 日本経済新聞

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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