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防災評論 第67号

山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

 

防災評論(第67号)【平成28年2月号】

 

【目次】
〔政治行政の動向概観〕
〔個別の動き〕
1、火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)
2、水害避難で全首長に研修(国土交通省)
3、山小屋を“シェルター化” 特殊繊維で屋根を補強へ(内閣府)
4、育て「空き家管理士」(空き家管理士協会)
5、警報器未設置、逃げ遅れか(宮崎県警)
6、豪雨の被害認定 住民が「異議」(茨城県)
7、ふるさと納税 被災地と連携(総務省)
8、防災無線 聞きやすく(港区)
9、新東名・浜松―豊田 2016年2月開通(中日本高速)
10、災害用のトイレ 50~100人で1基(国土交通省)
11、非常用電源 甘い浸水対策(消防庁・京大防災研)
12、笹子事故後 点検を義務化(国土交通省)
13、緊急速報メール対象拡大(気象庁)
14、自主避難住民「支援続けて」(内閣府)
15、豪雪被害 防げ(防災科学技術研究所等)
16、家屋倒壊数 1分で推定(防災科学技術研究所)
17、「備蓄の日」災害に備えを(東京都)

〔政治行政の動向概観〕
 平成28年度を間近に控え、予算審議にも力がこもるはずの国会だが、夏の参議院通常選挙を控え早くも与野党とも浮足立ち、ほとんど政策議論は行われない。ただ、国会議員のスキャンダル(金銭授受、不倫、失言等)だけが大きくクローズアップされ、幹となるべき議論はほとんど素通りの状況下にある。
 しかし足元の日本経済は明らかに変調をきたしており、本来はもっと経済政策や財政問題が真剣に論議されていい環境下にある。アベノミクスといわれている現政権下の経済運営は、三本の矢、新・三本の矢とさまざまに目先を変えているが、事の本質は日銀による思い切った金融緩和により円の価値を下落させ、外国人投資家がその為替差額を取り戻すため株の買い増しをすることが狙いである。政府は正すべく正常な経済財政運営に舵を切るべきときが近づいているのではないか。
 東日本大震災から5年が経過したが、復興はまだ道半ばである。大規模な被害をもたらす自然災害がここ数か月発生しておらず、幸い今年は目立った豪雪被害もない。しかし地震をはじめ、あらゆる災害が日常茶飯事に起きるのが日本列島の宿命である。首都直下地震などでよく被害想定がいわれるが、甚大な被害予測が公表されても人々が特にパニックに陥らないのは、日本が概してこれまで経済基盤が比較的安定し、国民生活に致命的な経済ダメージがなかったからである。経済が破壊されたら災害復興は絵空事となるという視点は防災士のみならず、防災に携わる者にとって欠かせないポイントなのである。

〔個別の動き〕
1、火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)
 気象庁は、全国47火山を常時観測しており、この47火山で噴火が起きた場合、携帯電話などを通じて、登山者に避難を呼びかける「噴火速報」の運用を開始したが、山頂でほぼ確実に携帯電話がつながるのは約7割にとどまることがわかった。携帯電話会社のNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの3社では通信環境の改善を急いでいるが、速報が伝わらない場合がいまも多く残る現状が明らかになった。
 47火山の一部は複数の山頂があり、山頂の合計は63か所。このうち噴火警戒レベル2以上で、登山者の立ち入れが規制されている13か所を除く50か所のうち、全3社が「通信可能」な山頂34か所・68%。会社別ではドコモ46か所、KDDI38か所、ソフトバンク24か所だった。3社いずれも通じないのは新潟焼山(新潟県)と薩摩硫黄島(鹿児島県)だった。

2、水害避難で全首長に研修(国土交通省)
 関東・東北豪雨で起きた水害で、茨城県常総市などの避難指示が遅れた問題を受けて、国土交通省は、国が管理する109水系の流域730市区町村(沖縄県を除く46都道府県)を対象に、避難指示を出すタイミングなどを考えてもらうための研修「トップセミナー」を開催、2015年10月から始められており、全首長の参加を目指す。
 セミナーでは、氾濫危険水位を目安に避難勧告を出すなどの仕組みや決壊が起きる可能性がある場所を含め、河川ごとの弱点などを説明する。首長が参加できない場合は、担当者を自治体に派遣することも検討している。
 また、国土交通省はこのほど、東日本豪雨で決壊した茨城県常総市の鬼怒川堤防について、決壊地点の一部で当時、川の水位が堤防の高さを推定で約20cm上回っていたとする調査結果を明らかにした。また、決壊原因については、水が堤防を超えてあふれ出る「越水」に加えて、堤防内部に水が浸透して崩壊する「パイピング現象」が起きた可能性も示した。
 東日本豪雨で鬼怒川の堤防は約200m決壊、そのうち付近で最も堤防が低かった決壊区域の上流から約80mの地点で、川の水位が堤防を約20cm上回っていた、と推定している。同地点では、安全に水が流れる設計上の水位「計画高水位」が標高20.82mだったのに対し、20.88m。近くで最も堤防が高い地点と比べて、1m以上低いことになる。

3、山小屋を“シェルター化” 特殊繊維で屋根を補強へ(内閣府)
 政府は、全国の山小屋をシェルター(避難壕)の代用施設に位置づける方針を決めた。特殊繊維で屋根を補強する方法も盛り込んだ指針を公表するもので、コンクリート製のシェルターを新設するより、コストを抑えることができることがその理由である。
 内閣府は、全国の火山で避難施設を充実させる方針を示したが、コンクリート製のシェルターを新設するには1,000万円程度の費用がかかる。御嶽山噴火では、山小屋に逃げ込んだ登山者のうち、噴石が直撃して亡くなった人はいなかったため、既存の木造の山小屋を利用する方法を検討していた。
 浮上したのが、山小屋の屋根を防弾チョッキで使われる特殊繊維のシートで補強する案。実証実験の結果、時速300キロメートルに達するこぶし大の噴石も防げることが確かめられた。屋根の面積が100平方メートルなら、コストは数百万円で済む。

4、育て「空き家管理士」(空き家管理士協会)
 倒壊の恐れや不衛生などの空き家問題が全国的に関心を集める中、所有者の代わりに適正に管理できる専門家を育成する動きが始まっている。一般社団法人「空き家管理士協会」(東京)は、民間資格「空き家管理士」を創設。資格認定だけでなく、合格者を対象とした実地研修などを通じて管理士のレベルアップにも力を注いでいる。
 実地研修は座学との2部構成。終了後、受講者らに認定証が手渡され、協会に管理士として登録される。
 背景には、深刻な空き家の現状がある。総務省の2013年住宅・土地統計調査によると、別荘など二次的住宅を除いた全国の空き家数は約780万戸で、住宅総数の12.8%を占める。2008年に比べてそれぞれ約23万戸、0.4ポイント増えた。
 2015年5月には空き家対策特別措置法が全面施行した。管理士の志望者は増加傾向で、協会は7月から従来の小論文に代え、法律や住宅修繕の知識を問うネット上の試験に切り替えた。
 「空き家」の問題は、地域防災と深い関係にある。この管理士を取得した者は防災知識を有することが極めて重要である。

5、警報器未設置、逃げ遅れか(宮崎県警)
 泊まりに来ていた小学生ら4人が死亡した宮崎県都城市のビル火災、県警は現場の状況から失火の見方を強めているが、火災警報器がなかったことで逃げ遅れた可能性もある。住宅の警報器設置率は全国的に伸び悩んでおり、普及の後押しが課題だ。
 ビルは3階建て鉄筋コンクリート造りで、1日午前8時半ごろに出火。倉庫として使われていた1階の元鮮魚店の焼け方が激しく火元とみられる。
 4人は寝室と居間で見つかった。死因はいずれも急性一酸化炭素(CO)中毒と気道熱傷で、就寝中にビル内の階段を伝って充満した煙を吸い込んだとみられる。
 県警は実況見分したが、出火原因は特定できていない。元鮮魚店は3年前に閉めたが、電気は通っており、冷蔵庫や水槽などが置かれていた。ほかに出火元になりそうなものは見つかっておらず、県警は漏電で発火した可能性もあるとみている。
 中村さん一家の1~3階にはいずれも火災警報器がなかった。警報器は消防法改正により2006年6月から、新築の一戸建てや小規模アパートなどへの設置が義務になった。既存住宅も自治体条例で2011年6月までに順次、全国で義務化された。都城市も寝室や階段への設置を義務づけていたが、消防局は「罰則はなく、設置を促すことしかできない」と話す。
 消防庁によると、6月1日時点の設置率は全国で81.0%と頭打ち傾向にある。

6、豪雨の被害認定 住民が「異議」(茨城県)
 鬼怒川の堤防決壊で被災した茨城県常総市で、家屋の被害認定に対する住民の2次調査申請が相次いでいる。浸水が床上1メートルに達したと認められなければ支援制度の対象から外れるためだ。県などは最近、外れる世帯への独自の救済策を公表したが、「不十分」との声も出ている。
 10日現在、市内で「全壊」と認定された家屋は50棟、「大規模半壊」が914棟、「半壊」が2,773棟。水害の場合、家屋流失や1階天井までの浸水は「全壊」、床上1メートル以上の浸水が「大規模半壊」と認定される。被災者生活再建支援法で最大300万円の支援金を支給する対象は主に「全壊」「大規模半壊」に限られ、「1メートル」に満たない世帯は対象にならない。
 市によると、認定結果に納得できない人による2次調査申請は199件に増えた。「1次調査は目視調査が基本だが、2次調査は被災者の立ち会いが原則で、結論が変わることもある」と内閣府の担当者。
 支援格差を埋めようと、茨城県は半壊世帯に25万円を支給する独自策をまとめたが、「修理費用もまかなえない」との声も漏れる。
 水に漬かった家財道具は多くが廃棄せざるを得ず、浸水の深さは関係ない。被災者生活再建支援法は地震を念頭にできたので、水害への対応が十分にできていないとの指摘がある。地域の防災リーダーである防災士は、このような運用上の問題によく通暁しておく必要がある。

7、ふるさと納税 被災地と連携(総務省)
 東日本大震災の津波で、甚大な被害に見舞われた岩手県田野畑村の復興を支援しようと、友好都市の埼玉県深谷市が「ふるさと納税」で市に50万円以上を寄付した人に対し、村の名産品を贈る取り組みを7月に始めたところ、50万円以上の寄付額が5か月余りで 5,000万円を超えた。村は「名産を県外に知ってもらう良い機会。震災から5年近く経過しても応援していただき、ありがたいの一言に尽きる」と話している。
 三陸沿岸の田野畑村は人口約4,000人。震災で26人が死亡、15人が行方不明となり、水産・観光関連の施設の被害額は300億円以上に上った。職員不足のため、ふるさと納税で謝礼品を贈る余裕がないといい、深谷市は復興支援の一環として村を通じて名産品を購入することにした。
 市は金額に応じて謝礼品を贈っているが、50万円以上の寄付者には新巻きザケやイクラなど計3万円相当、100万円以上の場合は生アワビを加えた計5万円相当の村の名産品を、深谷ネギや武州和牛など通常の謝礼品と一緒に贈っている。
 50万円以上のふるさと納税は今月16日現在、計76件5,461万円の申し込みがあり、名産品の購入額は計278万円に上っている。
 総務省によると、今年4~9月のふるさと納税1件の平均寄付額は約2万円。
 深谷市は田野畑村に職員を応援派遣したり、双方の子どもたちの交流事業を行ったりしている。市企画課は「今後も支援を続けていきたい」としている。

8、防災無線 聞きやすく(港区)
 東京都港区は2016年から、室内でも防災無線を聴きやすくする専用端末の設置支援を始める。ジュピターテレコムの地域会社と協力し、ケーブルテレビ回線を通じて音声を届ける。端末設置への助成は23区で初めてといい、1世帯当たり6,000円を上限に負担する。遮音性の高い住宅でも災害情報がはっきり聞こえるよう改善する。
 縦・横それぞれ15cmほどの端末を希望する世帯につける。戸建住宅の場合、各世帯が支払う設置費用は実質ゼロとなる。集合住宅では通信環境の整備にかかる費用を30万円以下は全額、それ以上の場合は90万円を上限に2分の1助成する。
 港区は2015年度の補正予算案で約400万円を計上。2016年度予算にも費用を組み込み、対象世帯を増やす計画だ。港区は大型ビルが立ち並び交通量も多い。災害時の避難情報や高温注意報などを伝える防災無線が聞こえづらい課題がある。

9、新東名・浜松―豊田 2016年2月開通(中日本高速)
 中日本高速道路が、新東名高速道路の浜松いなさジャンクション(JCT、浜松市)―豊田東JCT(愛知県豊田市)を今年2月に開通させた。首都圏と名古屋圏を結ぶ高速道路が東名、新東名によって二重になり、大規模災害で東名が利用できない場合のバックアップ機能としても期待される。
 2011年の東日本大震災では一部の高速道路が地震の揺れや津波で被災し、復旧の遅れにつながった。新東名の開業区間は山間部を貫いており、トンネルと橋梁が5割以上を占める。大規模災害で海沿いを走る東名が津波などで被災した際、新東名が代替輸送機能を果たす。
 サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)は災害時の一時避難所としての活用を想定している。
 新東名は2012年4月に御殿場(静岡県御殿場市)―三ケ日(浜松市)の両JCT間(約162キロメートル)が先行開業。新区間の完成で御殿場から豊田東まで約200キロメートルがつながる。
 残る御殿場―海老名南両JCTを結ぶ区間を2020年度までに段階的に開通させる。

10、災害用のトイレ 50~100人で1基(国土交通省)
 国土交通省は、災害時にマンホールの上に設置する「マンホールトイレ」の整備に向けたガイドライン(指針)をまとめた。1基当たりの使用人数を1日50~100人として必要数を確保することや、男女別に設置することなど基本的な考え方や運用時のポイントを明記している。
 指針は、マンホールトイレの設置場所について、災害対策基本法に基づき市区町村が指定する避難所などと規定。過去の災害などを踏まえ、必要数の目安は100人に1~2基、500人に5~10基、1000人に10~20基とした。
 また、快適なトイレ環境に向けた配慮事項として▽男女別を基本とし、出入り口の向きを変える▽トイレの中と外に照明をつける▽囲いは使用者の影が外から見えないよう配慮する――などと列挙した。災害時にスムーズに設置できるように、住民らの防災訓練で組み立て手順を確認することなども盛り込んだ。
 1995年の阪神大震災では広範囲で水洗トイレが使えなくなり、簡易トイレが汚物であふれたり、「トイレ難民」が大量に発生したりした。国土交通省は年度内にマンホールトイレに関する指針を決定し、各自治体に排水管などの整備を進めてもらいたい考えだ。
 マンホールトイレは災害時に下水管に通じるマンホール上に便器や囲いを設置して使う仮設トイレ。建物の配管が壊れ、通常のトイレが使えなくなった場合などに活用する。迅速に準備できる上、水を引き込めば汚物を流せるため、衛生環境を清潔に保てるというメリットがある。

11、非常用電源 甘い浸水対策(消防庁・京大防災研)
 自治体の庁舎などで災害時に使われる非常用電源の安全管理の甘さが浮き彫りになっている。9月の関東・東北豪雨を受けた消防庁の全国調査では、約200の自治体で浸水対策の不備が判明。想定を超す水害などに見舞われれば電源が喪失し、災害対応に支障が出る恐れがあり、国も支援して早急に対応すべきだと警鐘を鳴らしている。
 消防庁の調査で、非常用電源を設置済みの市区町村(全国で1476)のうち、46%の686市区町村が電源を使って電力をまかなえる時間について「24時間未満」と回答。「72時間以上」が2割強、「24時間以上48時間未満」「48時間以上72時間未満」がそれぞれ10%台だった。
 同庁によると、今年9月の関東・東北豪雨では茨城県常総市で起きた停電の完全復旧に5日間かかった。同庁は「災害時には停電が長期化する場合もある。各自治体はあらかじめ民間の燃料販売業者と協定を結ぶなどし、1週間程度は災害対応に支障が出ないよう備えを進めてほしい」としている。また、消防庁が行った調査では、自治体側の想定の甘さが浮き彫りになった。
 非常用電源を設置済みで、災害対策本部を置く役場などに浸水の恐れがある市区町村のうち、約4割の199市区町村で「想定される浸水の深さよりも高い屋上などに電源設備を置く」「防水板や土のうを準備する」といった対策を十分に講じていないことが判明した。
 屋外や地階に置かれていることが多いのは装置の重さや火災の原因になる恐れ、点検のしやすさなどが理由とみられる。消防庁などは中層階への設置や、浸水防止策を十分に講じることが望ましいとしている。
 京都大防災研究所は「記録的な豪雨などが相次ぐ中、自治体による災害時の速やかな情報把握や伝達の重要性は増しており、万一でも非常用電源が使えない事態が起きてはならない」と指摘。「対策が自治体任せでは予算が 壁になる可能性もある。助成金など国による支援も検討していくべきだ」としている。

12、笹子事故後 点検を義務化(国土交通省)
 笹子トンネルは1977年12月に開通し、35年を経て事故が起きた。事故後、国は道路法を改正。2014年7月からは、トンネルや橋などについて管理者によってばらばらだった対応を改め、5年に1度、目視による点検を国や高速道路各社、自治体に義務づけた。国土交通省によると、点検の対象は全国に約77万4,000か所あり、昨年度は7万1,520か所で実施した。
 トンネルは全国に1万878か所あり、うち13%に当たる1,442か所で点検を終えた。13か所でひび割れや壁の剥離(はくり)、激しい崩落などが見つかり、対策工事のため通行止めなどになったほか、622か所で「5年以内の補修などが必要」と判明した。
 同省は自治体への補修費の補助や技術的な助言をしながら、優先順位を付けて補修を進めている。
また、高速道路や国道に架かる橋の落橋防止装置の部品に溶接不良があった問題で、国土交通省は、新たに134橋増え、香川県と長崎県を除く45都道府県の690橋で溶接不良が確認されたと発表した。このうち不正な手抜きがあった橋も33橋増え、433橋になった。
 溶接不良があったのは、橋の道路部分をワイヤで土台につなぐ部品。125社の部品の溶接に隙間が見つかり、うち12社は一部工程を故意に省いていた。

13、緊急速報メール対象拡大(気象庁)
 気象庁は、携帯電話会社が配信する緊急速報メールの対象に、大雨や大雪などの特別警報と噴火警報を加えた。これまでは地震と津波だけだったが、携帯電話やスマートフォン(スマホ)を通じて警報を発令することでより迅速な準備や避難を促す。
 新たに配信されるのは、大雨や暴風、波浪、高潮、大雪などの特別警報と火山の噴火警報。気象庁が警報を発令した段階で、対象の市町村にいる人の携帯電話やスマホに自動的にメールが届く仕組みだ。「エリアメール」とも呼ばれ、特別な契約や加入手続きは必要ない。
 特別警報は2013年8月に運用が始まった。警報の基準をはるかに超える大雨や大雪で「重大な災害が起こる恐れがある場合」を想定している。これまでに同年9月の台風18号など5件の災害で適用された。2015年9月の関東・東北豪雨でも栃木、茨城、宮城の3県に発令された。
 噴火警報が出るのは、居住地域に重大な影響を及ぼす噴火が予想される場合。5段階の噴火警戒レベルの4(避難準備)と5(避難)に相当し、5月に起きた口永良部島(鹿児島県)の噴火などが含まれる。
 現在、特別警報や噴火警報は自治体が防災行政無線などで住民に伝えている。ただ全住民に確実に情報を届けるのは難しく、伝達ルートをどう広げるかが課題になっていた。

14、自主避難住民「支援続けて」(内閣府)
 東京電力福島第1原子力発電所事故で福島県の避難区域外から自主避難した住民が、災害救助法に基づく借り上げ住宅の無償提供を2016年度末で打ち切る福島県の方針について、撤回と支援継続を訴えている。
 妻と息子4人がさいたま市に避難している福島県郡山市の中学校教諭は、除染後も自宅の放射線量が十分に下がっていないと指摘。「支援が無くなると今の収入では家族を支えられない。年齢的に転職も難しく、行政の対応は不可欠だ」と話した。
 福島市から娘3人と山形県米沢市に移った会社員も「長女が中学校に上がったばかりで、このままでは新しい環境に慣れたころに家を失うことになる。子供の成長を踏まえ施策を考えて」と求めた。

15、豪雪被害 防げ(防災科学技術研究所等)
 豪雪による被害を軽減する研究が加速している。降る雪の性質を分析して雪崩の起きやすさを予測したり、雪雲が陸地に達する前に海で雪を降らせたりして被害を軽減する技術は、実用化が視野に入ってきた。温暖化が進むことで、一部の地域では豪雪が増えることもわかってきた。研究機関は実地に精度や効果を検証する準備を進めている。
雪質を調べて雪崩の予測に生かすことはできないか。防災科学技術研究所は、そんな研究に取り組んでいる。
 一口に雪と言っても、湿度や温度によって雪粒の大きさや性質は様々だ。雪の結晶を測定し、雪崩や吹雪の起きやすさを見積もろうとしている。
これまでの研究から、降雪にあられが混じると雪崩が起きやすいことがわかってきた。あられの粒が重なると間に空間ができる。上に雪が積もるとあられの層が滑って、雪崩になりやすい。
 防衛大学校は、雪雲に液体炭酸を散布することで、あらかじめ海上などに雪を降らせてしまう研究を進めている。「あらかじめ降らせておく」ことで被害を軽減する試みは雨ではすでに実施されており。これを雪に応用した。
 日本海上で発達途中の雪雲に飛行機を使って液体炭酸を散布すると、雪雲の中に雪のもととなる氷の核ができる。これが雪片に成長し、降雪をもたらす。
 2013年、日本海沿岸から約40キロメートル離れたところにあった雪雲に液体炭酸を散布し、幅3キロにわたって雪を降らせることに成功した。2016年2月には、秋田沖で約10キロメートルにわたる降雪実験に取り組む計画だ。
 気象研究所は地球の平均気温が現在より4度上昇すると仮定し、コンピューターでの数値実験で日本の降雪域の変化を調べた。その結果、年間の総降雪量は全国的に減少したが、新潟県など山沿いの一部地域では数年に一度の豪雪の頻度が増えることがわかった。
 日本は世界有数の雪国で、豪雪地帯の多くは高齢化や過疎化が進む地域でもある。豪雪には気温や湿度など多くの条件がからみ、ゲリラ豪雨より予測が難しいとされる。豪雪は今後ますます深刻な問題になる可能性があり、対策が急務になっている。

16、家屋倒壊数 1分で推定(防災科学技術研究所)
 防災科学技術研究所は大規模地震の発生直後に建物の倒壊数を推定するシステムを試作した。250メートル四方ごとに、全半壊した建物の数を最短1分以内で割り出す。東日本大震災のような広域地震が発生したときに、自治体が人命救助や緊急対応などを進めるのに役立つという。3年後の実用化を目指す。
 地震発生後の建物の被害状況は現在、防災無線やヘリコプターなどを使って調べている。停電すると夜は被害状況の確認が難しく、広範囲に及ぶ場合は情報収集に時間がかかる。
 新システムは震度の分布や建物の密度などのデータから全半壊する建物の数を見積もる。倒壊数に応じて色分けし、被害状況が一目でわかる。まず1分以内に速報を出す。次に揺れの細かい分布などの情報を使って精密に計算し、15分後に確度の高い情報を流す。
 木造で古い家屋は倒壊しやすいため、建物の構造や築年数の情報も推定に使う。今後は建物の階数などのデータも加えて精度を高め、実用化を目指す。
 建物の倒壊が集中する地域は重傷者が多いと予想される。すぐに対処すれば、素早い救命活動につなげられる。緊急車両が通るのに適したルートも割り出しやすい。災害救助は72時間以内が目安とされており、より多くの人命を救える可能性が高まる。

17、「備蓄の日」災害に備えを(東京都)
 大規模災害への備えを家庭で考えるきっかけにしてもらおうと、東京都が11月19日を「備蓄の日」として啓発活動を展開している。「1年に1度はびちく(19)の確認」という語呂あわせで、一般への浸透を図る。同日にあわせたイベントには都や民間企業が出展し、日常備蓄の進め方や保存食品を紹介する。
 「日常備蓄」の考え方や災害時に備えるべき品目と量などをパネルで解説。小冊子も配布する。

[防災短信]
1、早期の警戒情報課題
 ~即時解析の技術必要 日本火山学会~ 2015年11月02日付 日本経済新聞
2、復旧の司令塔「災害対策室」
 ~移転保存、震災遺構に 国土交通省東北地方整備局~ 2015年11月08日付 日本経済

  新聞
3、太平洋海中酸性化進む
 ~温暖化加速、生態系に影響 気象庁~ 2015年11月10日付 日本経済新聞
4、防災用地図アプリ配信
 ~杉並区、避難経路を明示~ 2015年11月11日付 日本経済新聞
5、福島の作業員と住民交流
 ~防災訓練や清掃を合同で、東電福島第1原子力発電所~ 2015年11月05日付

 日本経済新聞
6、エルニーニョ継続で暖冬に
 ~気象庁 2016年春まで続く可能性~ 2015年11月11日付 日本経済新聞(夕刊)
7、川内原発「福祉避難所」2,600人分不足
 ~関係自治体、要配慮者の40%~ 2015年11月25日付 毎日新聞
8、靖国神社で爆発音
 ~警視庁、トイレに時限装置~ 2015年11月25日付 日本経済新聞
9、トンネル長寿命化
 ~東京都、まず26か所損傷を補修~ 2015年11月25日付 日本経済新聞
10、大災害、FMで情報発信
 ~都内自治体、状況詳しく~ 2015年11月25日付 日本経済新聞
11、簡易宿泊所 転居進まず
 ~川崎市 実現希望者の1割~ 2015年11月20日付 日本経済新聞
12、防災倉庫の運用開始
 ~江東区 災害時の物資保管~ 2015年11月26日付 日本経済新聞
13、笹子事故 4億円賠償命令
 ~横浜地裁 中日本高速の過失認める~ 2015年12月03日付 朝日新聞
14、仮設商店街どこへ
 ~復興庁 震災5年、迫る設置期限~ 2015年11月25日付 日本経済新聞
15、テロ・薬物 東京五輪に試練
 ~スポーツ庁、警視庁 警備の人員不足、膨大な検体~ 2015年11月28日付日本経済新聞
16、口永良部島、噴火から半年
 ~帰る期待と不安~ 2015年11月30日付 日本経済新聞
17、異常気象の監視 国際連携
 ~インド洋と熱帯太平洋観測計画 海洋研究開発機構、アメリカ海洋大気局~

 2015年11月23日付

 日本経済新聞
18、テロ・災害対策を強化
 ~APEC閣僚会議が声明~ 2015年11月17日付 日本経済新聞(夕刊)
19、鬼怒川決壊の4分の1再現
 ~東京理科大 豪雨に強い堤防に活用~ 2015年11月18日付 日本経済新聞(夕刊)
20、マンション防災 仙台流で
 ~仙台市 住民が行動マニュアル~ 2015年11月18日付 日本経済新聞(夕刊)

 

 

 

【参考文献】

1、 2015年11月 UGMニュース
2、 2015年11月 UGMニュース
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4、 2015年11月02日付 日本経済新聞
5、 2015年11月08日付 日本経済新聞
6、 2015年11月11日付 日本経済新聞(夕刊)
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8、 2015年11月25日付 日本経済新聞
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12、 2015年12月03日付 朝日新聞
13、 2015年11月17日付 日本経済新聞
14、 2015年11月29日付 日本経済新聞
15、 2015年11月30日付 日本経済新聞
16、 2015年11月17日付 日本経済新聞
17、 2015年11月19日付 日本経済新聞

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第84号1平成29年7月号ドクターヘリ 基準緩和(国土交通省)他
第83号平成29年6月号災害派遣職員、地元優先で(中央防災会議)他
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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