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平成29年度通常総会会長挨拶

特定非営利活動法人 日本防災士機構

会長 國松孝次

平成29年度通常総会挨拶

 平成29年6月23日:憲政記念館会議室(東京都千代田区)

 

 日本防災士機構は平成15年10月に第一号の防災士を認証いたしましたが、爾来27年11月には防災士認証者数が10万人を超え、昨年3月には防災士10万人記念大会を開催したところ、安倍晋三内閣総理大臣より温かいメッセージをいただく迄に成長を遂げて参りました。
 防災士制度発足15年を迎える今日、防災士認証者数は13万人を超え、全国津々浦々、さまざまな分野において防災士が活躍し、ゼロからスタートした防災士制度は、「国民運動の王道を歩む」という古川貞二郎・前会長の言葉通り、今日確固たる基盤を築くに至りました。
 この成果は、多くの役員の皆様、関係各方面の皆々様の絶大なるご支援とご協力の賜物であり、改めて御礼申し上げる次第でございます。

 皆様、この機会に最近の防災士の養成事業の推進状況をみますと、これ迄にもお力添えを頂いてきた、郵便局長、企業・団体職員、自主防災組織等の方々の継続した資格取得へのご尽力に加えて、近年は特に、地方自治体や大学等の教育機関において関係する職員や女性、学生に防災士の資格を積極的に取得させようとする機運が顕著にたかまっております。
これは、防災士が自らの周辺に多数存在することによって自らはもとより、地域・職域における人々の命と財産を守ることにつながるという社会的意識が広がりを見せていることを示すものであり、まことに喜ばしい限りであります。
 東日本大震災においては、宮城県七ヶ浜町の海に面した吉田浜郵便局が大津波に襲われた際、同郵便局の鈴木茂さんとおっしゃる局長さんが防災士であったことから、迷うことなくただちに職員に避難を命じ、そのために局舎は全壊となったにもかかわらず全員が無事でありました。
 職員の方々は「あの時、局長の指示がなかったら、私たちは書類の片付けに追われて逃げ遅れ、全員死んでいたと思います」と、九死に一生を得た体験を語っておられました。
 このように、災害時において大事な率先避難、避難誘導、住民による救助活動、初期消火などを有効に実践するためには、防災士の存在が大きな力となっております。

 防災士が10万人に達するまでの間を第一のステージとするならば、これからは、防災士10万人を基盤とした第二のステージになると思います。
 第一のステージにおいては、私どもは防災士の周知・広報、社会的信用の確保、防災士の活動しやすい環境整備などに重点をおいて活動して参りました。
 その成果と致しましては、東日本大震災以後に急増した地域社会における防災講演、各種訓練指導等における防災士の活躍です。
 一例として、兵庫県の防災士の方々は年間300回を超える講演・訓練指導にあたっており、山口県の防災士の方は文部科学省の事業に基づいて県教育委員会の依頼を受け、県内の公立幼稚園、小中、高等学校600校のすべてを回って防災計画の点検見直し、避難訓練の指導などにあたっている例がございます。
 また、青森県、福島県、群馬県、茨城県、埼玉県、香川県、長崎県、富山市、魚津市、久留米市などの地方自治体におきましては、防災会議の委員に防災士が委嘱されております。こうした事例は、特に、防災士の社会的信頼が厚みを増していることを物語っていると申せましょう。

 こうした第一ステージの成果を踏まえてこれからの新しいステージにおいては、次の四点について重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
その第一は、13万人を超える防災士の意欲と、スキルの向上ならびに、その活動の場を広げるための環境整備を図ることであります。
 同時にまた、専門性に基づく防災士活動の更なる可能性を開いていくことにも力を注いで参りたいと考えております。
 このような活動の一環として、すでに、日本防災士会、全国郵便局長会と連携して列島縦断公開講座の開催に取り組んでいるところでありまして、昨年度は、さいたま市、金沢市、大阪市の3箇所で公開講座を開催致しました。今年度は5会場で開催して参る所存でございます。

 第二に、学校教育の現場における防災教育を推進することであります。
 最近では学校防災の充実、児童・生徒・学生への防災教育の徹底が喫緊の課題となっているところから、すでに防災士の養成講座を実施している24の大学等教育機関に加えて、各地の教育機関と連携して学生防災士の養成と、児童・生徒への防災教育を推進して参ることといたします。
 実際例としましては、東京都教育委員会では昨年から、東北の被災地での現地支援体験を含めた2泊3日の行程による防災キャンプによって、都立高校生の防災士の養成事業を実施して頂くようになりましたが、今後、こうした事業が広がっていくよう全国各地の教育委員会へ積極的に提案し、働きかけをして参りたいと考えております。

 第三に、女性防災士の拡充を図ることであります。
 家庭、地域の防災力の向上のためには女性の活躍は重要であり、近年においては女性の消防団員や、自主防災組織の方々が防災士資格を取得して、日常的な防災活動にリーダーシップを発揮される事例が増えております。女性の力を活かす仕組を育て上げ、日頃の訓練を通じて地域の災害対応力を高めていけば災害から命が救われたり、被害を低く抑えることの可能性が飛躍的に高まることは、東日本大震災の教訓から明らかであります。女性防災士の拡充を図り、更にネットワーク化していくことは、防災士制度として極めて重要な目標と考えております。

 第四に、大震災等の発災の現場における防災士の活動の更なる充実を図ることであります。
 昨年の熊本地震に際しては、熊本の防災士会の方々が中心となって現地支援本部をたちあげ、九州一円の防災士会の方々が協力して、2か月間にわたって復旧復興活動に取り組みましたが、現場には防災士が重機を持ち込んで、壊れたブロック塀などを処理し、がれき撤去にあたりました。こうした活動は一般のボランティアではなかなか対応することができません。被災された方々からは多くの感謝を寄せられました。

 日本防災士機構では、こうした防災士の現場での活動をさらに推進するために、災害時の救援活動に関する検討委員会を設置して、専門家の方々により防災士の被災地救援活動のあり方についてご検討をいただき、去る6月8日にご報告とご提言を頂戴したところでございます。
 そこでは、防災士の専門性を活かした活動を行ったり、あるいは被災地域の防災士が、たとえば郵便局長と連携して「復旧復興活動における受援体制」を講じることによって、より効果的な救助活動が期待できる旨のご提言を賜っているところであります。
 日本防災士機構ではこのご提言を受けて、防災士による被災地支援活動についても、しっかりとした体制づくりを進めて参りたいと考えております。

 結びとなりますが、今日、首都直下地震や南海トラフ地震への備えが急務とされる一方、2020年には東京オリンピックが開催されます。海外から来日される人々も急増することが予想され、社会の安全と安心はますます重要な課題となって浮上して参ります。
 このようななか、当機構は、災害に強い社会づくり、地域づくりへ、防災士がいっそう活躍できる環境の整備をめざして、さらなる努力を傾注し、前に進んで参ります。
 今後とも、皆様には、温かいご理解ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

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会長略歴

年月
経歴
昭和12年静岡県浜松市に生まれる
昭和36年東京大学法学部卒業
昭和36年警察庁入庁
昭和59年大分県警察本部長
平成元年兵庫県警察本部長
平成3年警察庁刑事局長
平成6年警察庁長官
平成11年駐スイス連邦日本国特命全権大使
平成25年特定非営利活動法人救急ヘリ病院ネットワーク会長
平成28年特定非営利活動法人日本防災士機構会長