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防災士、防災士機構の活動方針・ビジョン

災害大国日本における地域防災の担い手として
■阪神・淡路大震災の教訓

1995年1月17日に起こった阪神・淡路大震災では、直後に16万4000人もの人々ががれきの下敷きとなりました。そのうちおよそ8割の人は自力で脱出できたものの、約3万5000人が生き埋め状態となりました。

 

この3万5000人のうち、警察や消防、自衛隊の救助活動によって約8000人が救い出されましたが、残念ながらその半数が亡くなっています。一方、残りの約2万7000人の人々は家族や近隣の住民によって救い出されました。そのうち2割の方が亡くなりましたが、8割の方が存命しています。

 

災害に遭った際、救出までの時間が短いほど生存率が高くなります。24時間以内の救出はとくに生存率が高いことがわかっています。
災害時の生存率を高めていくためには、一分一秒でも早い救助が決め手となることはいうまでもありません。

 

日本の警察や消防、自衛隊の救助活動の質、体制は優れていますが、阪神・淡路大震災のような突発的で広域にわたる大災害時には、警察や消防、自衛隊などの公的な救助専門家が、すぐに駆けつけてくれるとは限りません。

 

阪神・淡路大震災ではそのことをまざまざと見せつけました。

 

 

■地域防災力向上の担い手ー防災士
このような経験を教訓にして唱えられ出したのが「地域の防災力」です。

 

地域に住む住民の一人ひとりが、防災と減災に対処する知識や技能を身につけて、災害時に備える。そして万が一災害に遭った時には、地域で協力して被災した人を救助したり、火災の初期消火に努めたりしながら地域の被害を最小限に食い止める、地域全体の“生き延びる力”の必要性を認めました。

 

その地域防災力の担い手となるのが「防災士」です。
防災士は、高い防災意識と防災・減災に関する一定の知識と技能を有し、日頃より身の回りの備えを行いながら、絶えずそのスキルアップに努める地域防災のリーダーです。地域においては「救助される人」ではなく「救助する人」の立場となる人です。

 

また防災士は地域や職場の人々と協力し、日頃から防災や減災の啓発活動に努め、地域の防災ネットワークを広げて強化していく役割を担います。発災時にはその知識・技能を発揮しながら地域、職場の人々と協力し、近隣住民の救出や救援に当たります。

 

さらに災害発生後の復旧・復興の段階では、地域住民、行政、ボランティアとともに救命、避難所の運営をはじめ、その後の災害復興支援などに関わっていきます。

 

 

■自助、共助、公助における防災士の役割
災害時の被害を軽減するためには、「自助」「共助」「公助」の活動が効果的に組み合わさることが重要になります。

 

自助とは、「自分の命は自分で守る」という考え方です。災害に遭った時、誰かの助けを待つのではなく、自らの命をしっかり守る意識を持ち、そのための知識や技能を積極的に習得することは、これからの時代を生きる私たち誰もが求められることです。地域防災の担い手となる防災士にとって「自助」はその基本となります。

 

災害時に、命を失ってしまったり、大けがをしてしまったら、家族や隣人、職場の仲間を助けることはできませんし、防災士として復旧や復興にたずさわることもできなくなります。

 

「共助」とは地域や職場の人々とともに、被災した人を救助したり、火災の初期消火などを行って、人命や財産の被害を抑える活動です。防災・減災の基本は自助ですが、高齢者や障害者、病人のいる世帯、小さいお子さんのいる世帯では限界もあります。こうした人々の救命・救助には隣人と助け合う、防災士のリーダーシップや技能が大きな力を発揮するはずです。

 

また災害時に、その被害を最小限に抑えるには日頃の防災活動が効果を発揮します。町内会や自治会、職場単位での防災訓練や防災教育を繰り返すことで、すばやい避難や、家具や家電の転倒などの危険防止にもつながってくるのです。阪神・淡路大震災では、犠牲者の約8割が家具などの転倒や移動によるものでした。

 

また未曾有の犠牲者を出した東日本大震災では、岩手県釜石市の小中学生が、日頃の防災訓練により、すばやい避難を実現しただけでなく、周囲の人々の避難も実現させています。

 

こうした地域の防災訓練や教育においても防災士は大きな役割を担っていきます。

 

「公助」とは、災害時に警察や消防、自衛隊など国や地方体が行う活動であり、最大の任務です。発災後の専門的で機動的な救助活動や避難所の開設、救援物資の支給、仮設住宅の建設などのほか、事前の対策としては避難路を確保して、建物の延焼を防ぐことや、避難場所となる公園の整備、建物の耐震化の助成、要援護者支援システムの整備なども公共団体の任務となります。

 

これらのハード、ソフトの対策は、国、地方公共団体の責任において実施していくものですが、地域の事情に応じたきめ細やかな施策を実行・実現していくためには、地域住民の理解・協力が不可欠です。

 

防災士の基本的な活動領域はこの自助と共助の分野ですが、公助が行き届かない分野において、その対策、取り組みを理解し、協力連携していくことも期待されています。

 


■災害大国日本の防災・減災力を向上させる

地震、火山の大国であり、災害列島と呼ばれるわが国においては、地震、津波、火山、風水害、土砂災害、雪害、高潮災害等々、更には最近とみに増加している集中豪雨や竜巻被害など、次々と襲いかかってくる災害によって生ずる人的・物的損害は甚大なものになり、これに対する国民挙げての、災害対策は私たちの終わることのない課題となっております。

阪神・淡路大震災を経験した時、これほどの大震災はそうは容易に起こらないのではとの期待は裏切られ、それを上回る東日本大震災が起きてしまいました。この震災では2016年6月10日現在、死者1万5894人、行方不明者2,558人(警察庁まとめ)。また、いまだ約15万5000人(2016年6月30日現在、復興庁まとめ)もの方々が避難生活を強いられています。

過去の災害教訓から、大規模災害への備えと対応については、行政機関に頼りきるのではなく、地域に則した自助・共助の仕組みを全国的に講じていくことが不可欠であることが明らかとなった今、国民の一人ひとりが「自分の命は自分で守る」「地域は地域の人たちで守る」「職場は職場の人たちが守る」ことを徹底していかなければなりません。

『助けられる人から助ける人へ』

まず自分が大規模災害から無事に生き延びる。その上で周囲の人々に手をさしのべる――――
そのために日頃から災害教訓を受け継ぎ、伝え、計画を立て、訓練に参加する。こうしたことに自主防災組織等を通じてリーダーシップを発揮して、周囲の人たちに働きかける。それが私たち防災士に期待されている役割です。