防災士の認証と防災士制度の推進で地域社会の防災力向上に寄与する
台風19号で被災された方々に心からお見舞い申し上げます。すでに日本防災士会会員の皆様をはじめ多くの防災士が被災地支援活動に取り組んでいます。日本防災士機構では、防災士の皆様との情報共有、支援活動に資するように努めておりますが、その一環として茨城県大子町に調査班を派遣しましたので、その概要についてご報告いたします。
○実施日 2019年10月24日(木)
○派遣者 日本防災士機構被災地支援チーム
関 達夫 統括監
今井 功 統括監
海老原邦雄 統括監
日本防災士会 甘中 繁雄 常務理事 同行
○大子町の概要と被害
茨城県の最北西端部に位置し、東西19㎞、南北28㎞で南北に細長いひし形で、県の1/20を占める広大な町。面積の8割は山岳地帯で、この山間から流れる中小河川の数多く町の中央部を流れる久慈川に注いでいる。台風19号による豪雨災害で久慈川が氾濫し、町役場庁舎1階が水没、久慈川にかかる水郡線の鉄橋が流出するなど甚大な被害が発生している。
【現地支援活動の状況】
10月15日に災害ボランティアセンター開設。
(1)ボランティア活動状況
15日(火)60名、16日(水)雨天中止、17日(木)70名、18日(金)100名、19日(土)雨天中止、20日(日)544名、21日(月)250名、22日(火)267名、23日(水)261人(高校生103名含む)、24日(木)100名、25日(金)雨天中止
(2)現在の状況
主な活動は、家屋外周及び床下の泥出し、家具類の清掃(廃棄)、窓清掃など。
ニーズに対応しているが、避難している人が多く、また遠慮する人(ボランティアを十分にご理解されない人を含む)も多い。役場、ボラセンから遠距離にある住宅からは情報がない。ニーズ掘り起こしが大きな課題。ニーズ掘り起こしには町の集落、道路等をよく理解している地元の人でないと難しい。
固定電話が水に浸かって使用できないことも現況把握が難しい一因となっている。また被災家庭、ボラセン、ボランティアが連絡を取り合うことにも支障が生じている。
物資については日本防災士会熊本県支部からいちはやく土のう袋1200枚を送ってもらい、大変助かった。毛布の需要が増えている。冬の冷え込みとともに暖房器具、こたつ、ストーブなども必要。冬に向け下着、長そで、タイツが欲しい。電気、灯油、プロパンガス全て足りている。
(3)当機構の判断とお願い
①大子町においてボランティアはまだまだ必要であり、当分の間活動はつづくものと思われます。
募集締切、雨天中止となることもありえますので、ボランティアに参加される方は大子町ボランティアセンターのFacebookで状況確認の上、自己責任で参加してください。
※同センターには、当分の間、日本防災士会茨城県支部の女性防災士がニーズ班担当として活動しています。
②団体で参加される場合は必ずボランティアセンターと打合せの上、参加してください。
③物資を個人で少量送ることは控えてください。古着等はいっさい送らないでください。衣類を送る際は必ず新品で、まとまった単位(50、100着程度)で、送ってもよいかボランティアセンターに事前確認した上で実行してください。同一段ボールに違う種類の物資を入れないでください。
④ボランティアとしては対応しにくいことですが、軽トラック、床下ヘドロ対応、壁等の補修、通信手段の改善が求められています。専門家につてがある場合は念頭においてください。ただし、専門事業者が組織的に被災地に入る場合は地元事業者の事業再開の支障にならないこと、悪徳事業者と誤解されないことが必須となります。
大子町災害ボランティアセンター(大子町文化福祉会館まいん)
久慈川にかかる水郡線の鉄橋が落下した
活動を終えてボランティアセンターに報告するボランティア
【被害状況・国の対応】
令和元年台風第19号に係る被害状況等について
令和元年10月16日14時30分現在 非常災害対策本部
http://www.bousai.go.jp/updates/r1typhoon19/pdf/r1typhoon19_11.pdf
令和元年台風第19号による被害及び 消防機関等の対応状況(第13報)
令和元年10月17日(木)5時00分 消防庁災害対策本部
https://www.fdma.go.jp/disaster/info/items/taifuu19gou13.pdf
【災害ボランティアセンター設置状況】
台風19号 災害ボランティア募集状況
全国社会福祉協議会
https://www.saigaivc.com/災害vc開設状況-台風19号/
【防災士の活動より】
日本防災士会では、宮城県、福島県、群馬県、茨城県、埼玉県等で支部役員が各地で支援活動への取り組みを開始しました。
茨城県支部では、益子さや子防災士が大子町災害ボランティアセンターでニーズ調整を担当しています。益子氏によれば約100軒からボランティア支援要請が来ているものの人手不足で作業完了した家はまだないとのことです。ボランティア数はセンター開設初日(一般ボランティア受け入れ)が約50名、17日は約100名とのことですが、支援活動はこれから本格化する見通しとのことです。土のう袋が不足する可能性があるために、日本防災士会熊本県支部が備蓄(熊本地震使用備品等)している袋を約1,200枚急きょ送ることとしました。
日本防災士会や防災士の連携が期待されます。
【広範囲・大規模なボランティア活動が必要とされます】
全国社会福祉協議会によれば10月16日14:00現在、59市町村で災害ボランティアセンターが開設され、うち18市町村は「地域を問わず募集」、すなわち全国からの支援を受け入れるとしています。
総務省消防庁の発表によれば、床上浸水が19,708件、床下浸水が13,908件(10月17日5時現在)に上っています。床上浸水家屋の清掃に5人・5日、床下浸水には5人・2日が対応すると仮定すれば、のべ約63万2千人のボランティアが必要とされます。これに加えて、全壊・半壊家屋への支援、避難所支援、復興支援を考えるとのべ100万人以上のボランティアが必要になると想定されます。つまり、現時点での推計で、東日本大震災と同規模のボランティア活動になるということです。
(東日本大震災大震災における災害ボランティア活動者数は、東北3県、2011年3月~12月で950,830人/全国社会福祉協議会による)
室﨑益輝・兵庫県立大学防災教育研究センター長(日本防災士機構認証委員長)は、次のように提言しておられます。
「災害救助法の適用自治体が、東日本大震災をはるかに上回る事態になっています。それだけに、昨年の西日本豪雨は言うまでもなく、東日本大震災をも上回る態勢と覚悟で、救援と復興に取り組まなければなりません。
いま問われているのは、救援の物資や救援隊を型通りに送ることではなく、事態の深刻さに応じた空前絶後の態勢を作ることです。何をなすべきかを、真摯に考えなければなりません。短時間の会議では、事態に見合った答えは引き出せません。
全国の建設業者に救援活動への参加を強く要請する、全国から駆け付けるボランティアの旅費を特例的に無償にする、この1か月ボランティア休暇を企業でも大学でも認めるといったことを、国を挙げて考えてほしいと思います。」
https://www.facebook.com/y.murosaki?__tn__=%2CdCH-R-R&eid=ARBqLgsAtohpCCcBMfk3y2CW1hmUUOdpVVoFOdPLLsSc-I0niLuvRIKhYwGE71e3pSAMF_9YxsSEx8Qi&hc_ref=ARR9FIc3xS03do_AEasa3w6LIAgp2nZfjmDu9XFlLHXEOlaAT7QTDrde_VFvWz13xdo&fref=nf
当機構では、防災士の皆様が安全に、そして被災地に貢献できる活動を推進していただくために、引き続き情報収集・情報共有に努めてまいります。
◎令和元年台風第19号に係る被害状況等について(内閣府)
http://www.bousai.go.jp/updates/r1typhoon19/pdf/r1typhoon19_06.pdf
◎令和元年台風第19号による被害及び 消防機関等の対応状況(第9報)(消防庁)
https://www.fdma.go.jp/disaster/info/items/taifuu19gou9.pdf
◎台風19号の大雨に関するポータルサイト(気象庁)
http://www.jma.go.jp/jma/menu/R1T19.html
※以下は参考情報です。安全確保等は自己責任にてお願いいたします。
◎水害にあったときに(震災がつなぐ全国ネットワーク)
http://blog.canpan.info/shintsuna/img/E6B0B4E5AEB3E381ABE38182E381A3E3819FE381A8E3818DE381AB_2019WebE68EB2E8BC89E78988.pdf
◎台風で屋根が破損…二次被害が出ないように注意すべきポイントって何?(株式会社ゼファン)
https://www.zephan.co.jp/news/secondary-damage/
◎ブルーシートを張る際の注意
(熊本市役所)
https://www.city.kumamoto.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=5&id=11960&sub_id=11&flid=92951
(震災がつなぐ全国ネットワーク)
http://blog.canpan.info/shintsuna/img/E38396E383ABE383BCE382B7E383BCE38388E381AEE5BCB5E3828AE3818BE3819F_JE68A80Ver.2_01.jpg
◎切れた電線に触らない(東京電力ホールディングス)
http://www.tepco.co.jp/attention/index2-j.html
【被災地支援について】
被害は広範囲に及び、近日中に各地に災害ボランティアセンターが立ち上がり、被災地自治体内外のボランティア募集が開始されるものと思われます。
被災地支援活動を行おうとする人は、①災害ボランティア活動の基本を確認する、②被災地の情報を確認する、③ボランティア保険に加入する(場合によっては傷害保険にも加入)、といったことを心がけてください。
◎水害ボランティア作業マニュアル(全国社会福祉協議会)
https://www.saigaivc.com/アーカイブ/水害ボランティア作業マニュアル/
◎ボランティア保険加入のお申込み(全国社会福祉協議会)
https://www.saigaivc.com/insurance/
被災地自治体での災害ボランティアセンター設置状況、ボランティア募集状況は自治体ホームページや全国社会福祉協議会のホームページ等で確認してください。
当機構におきましては日本防災士会や防災士の皆様と情報共有しつつ、被災地支援活動について情報発信していく予定です。また状況に応じては、被災地支援チームの派遣を実施いたします。