全学部を対象とした全学共通科目として防災士養成授業を開講
[防災士REPORT2015より]
香川大学は、平成21年4月に危機管理に関する学術的・技術的研究開発ならびに人材育成を使命とする危機管理研究センター(センター長:白木渡工学部教授)を設置しました。そして、危機管理研究センターの教員を中心に、香川県内で防災事業に携わる専門家を講師に迎え、防災士を養成する通年の授業を21年度から開講しました。この授業は、前期の「防災リテラシー養成講座(災害を知る)」と「後期の防災コンピテンシー養成講座(災害に備える)」の全30コマ(1コマ90分)から構成され、日本防災士機構のほぼ全講座をカバーするようになっています。この授業は全学部を対象とした全学共通科目として提供され、主に1年生が受講します。
防災ボランティア活動をカバー
香川大学では平成26年度から特別教育プログラムの1つとして、防災士を取得した2年生以上を対象に前期に防災ボランティア講座を、後期に防災ボランティア実習を履修し、ボランティア活動に参加する防災士養成プログラムを開講しました。
これにより香川大学は防災士の取得から防災ボランティア活動までをカバーするプログラムを提供できるようになりました(図1)。
また、大学院工学研究科では平成25年度から博士前期課程(修士課程)を対象に、行政や企業の危機管理専門家を養成する防災・危機管理特別プログラムをスタートさせています。このプログラム履修者も規定の科目を履修すれば、日本防災士機構の防災士試験を受験することができるように配慮されています。
社会人対象の防災士養成講座もスタート
さらに香川大学では社会人を対象とした防災士養成講座も開講しています。まず平成21年度に「防災リテラシー養成講座(災害を知る)」と「後期の防災コンピテンシー養成講座(災害に備える)」の社会人の受講を受け入れましたが、通年の講義を社会人が受講するのは負担となるため、平成22年度から生涯学習教育研究センターの公開講座「防災士養成講座」を開講しています。この講座は10月から2月まで計5日のコースで、講座最終日に学生と一緒に防災士認定試験をうけるようになっています。
香川大学が6年間に養成した防災士試験合格者は表1のとおりです。防災士の資格を取得した社会人の多くは、香川県防災士会(会長:久保雅和氏)に入会して、地域の防災リーダーとして活躍しています。危機管理研究センターも香川県防災士会と連携して地域防災活動を推進しており、大学が育成した防災士を支援していることも特色となっております。
県内初導入高松市が香川大と連携し機能別消防団「香川大学防災サポートチーム」を結成
当初、防災士を取得した学生が防災士として自主的に活動する動きはなかなか出ませんでした。そこで、平成25年11月に工学部のある林町キャンパスで香川大学防災士クラブを立ち上げ、平成26年2月には全学をカバーする香川大学防災士クラブがスタートしました(図2)。また、高松市消防局からの要請を受け、平成26年7月2日に機能別消防団「香川大学防災サポートチーム」が結成されました。この機能別消防団は、高松市の避難所に指定された幸町キャンパス(法・経済・教育学部)と林町キャンパス(工学部)において、大規模災害時における避難者の受け入れ支援を目的としています(図3)。香川大学防災サポートチームは、工学部の長谷川修一教授を分団長として学生55名で構成され、防災士の資格をもっている上級生がチームリーダとなって、防災士を目ざして勉強中。1年生をリードする体制となっています。また、学内で活動するため、香川大学災害対策本部がサポートするようになっているのも特徴のひとつです。
これまでに幸町キャンパス防災サポートチームが9月28日(日)に二番丁地区防災訓練に、また林町キャンパス防災サポートチームが11月16日に林地区防災訓練に参加し、地域との連携を進めているところです。また、11月23日に開催された高松市総合防災訓練では、20名の団員が「土のう作り」「応用担架作り」「AED・心肺蘇生」の3チームに分かれて、参加者への指導の支援をしました。
香川大学では、平時から防災・減災活動のリーダーとなり、南海トラフ巨大地震等の大規模災害時には自らの命を守り、周囲の方々を支援し、救援・復旧・復興の中心なる人材の育成を通じて、地域の大学としての使命を果たす所存です。
(「防災士REPORT2015」より)