大分県 知事も県議会議員も資格を取得。県下市町村が防災士の養成を一挙に推進。
防災士養成に取り組むきっかけ
大分県では、今後50年間に90%程度の高い確率で発生が懸念されている南海トラフ巨大地震への備えを喫緊の課題として防災・減災対策に取り組んでいます。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災を検証し、住民一人ひとりの防災意識の醸成や災害への備え「自助」、災害時の避難や避難所の運営等への近隣住民の協力「共助」の果たす役割が大変重要であることを再認識しました。
このため、大分県は「自助」、「共助」の中心的な役割を担っている自主防災組織の活性化を図るため、その核となる防災リーダーの養成が急務と考え、これを実現する適切な施策として防災士の養成に取り組むことにしました。
学校・社会福祉施設等へ防災士を重点配置
大分県は、平成24年度には、防災士3,000人の防災士養成を目標として、県内各市町村において、合計31回の防災士養成講座を開催し、2,700人以上の防災士を養成しました。
平成25年度には、知事や県議会議員、市町村長をはじめ約800人、平成26年度には、自主防災組織等に加えて学校、社会福祉施設や事業所等での積極的な取り組みにより約1,100人の防災士が誕生しました。
平成27年3月末現在の大分県の防災士数は、約6,500人を越す状況に迄、進捗しております。
防災士の養成に当たっては、①未配置の自主防災組織等への防災士の確保、②女性防災士の養成、③学校、社会福祉施設等への防災士の配置を重点とする基本方針を推進しています。
いま、大分県の防災士は6,000名を超えました。 「自主防災組織活性化支援センター」の設立―防災士を支援
大分県は、平成26年4月、防災士活動を支援するため、県内全18市町村と県が共同して「自主防災組織活性化支援センター」を設立しました。
このセンターでは、防災士の養成や実践的なスキルアップ研修を実施するほか、ホームページの開設や大分県自主防災メーリングリストなどにより、最新の防災関連情報や先進的な活動事例の情報提供を行っています。現在、このメーリングリストには約千名の防災士が登録されており、今後さらに、登録者数を増やし、防災士間の情報共有を進めていきます。このほか、防災士からの相談対応や防災士への指導を行っています。
初めての防災士活動推進大会の開催
大分県は平成27年1月、防災士間の交流と自主防災活動の一層の推進を図るため、「第1回大分県防災士活動推進大会」を開催しました。
県内各地域から防災士や自主防災組織の関係者約700名が参加し、県内4地区の自主防災組織の先進的な活動事例の発表やNPO法人宮崎県防災士ネットワークの猪狩信浩理事長の講演を行いました。
今後も、防災士相互の情報共有を進め、防災士のネットワーク化を図るため、この大会を継続して開催することにしています。
大分県地震・津波対策アクションプラン策定
大分県では、人命を最優先として、地震や津波による被害の最小化を図るため、「大分県地震・津波対策アクションプラン」を策定し、自助・共助・公助からなる減災社会の実現を目指しています。
このアクションプランでは、自主防災組織等への防災士の確保割合100%、避難訓練等実施率90%以上など、市町村と連携して平成30年度までに達成すべき具体的な目標値を設定しています。
アクションプランの目標達成に向けて、引き続き防災士を核とした自主防災組織の活性化に取り組んでいきます。
(「防災士REPORT2015」より)