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防災評論 第12号

 山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

第12号

 

 

〔政治行政の動向概観〕

 1月24日(平成23〔2011〕年)から通常国会が開会し、平成23〔2011〕年度予算審議が始まったが、冒頭から波乱含みの展開となっており、このまま年度末に向けて順調に予算、関連法案が成立するのか全く予断を許さない。いわゆる「税制と社会保障のあり方」を巡り、政府与党はこれを口実に与野党協議を呼びかけ、中央突破を図ろうとしているが、4月の統一地方選挙を控え、野党サイドも安易な妥協を図れない状況で、政治は袋小路にある。

 このような状況の中、国内では北の豪雪、南の火山災害と相次いで大型災害に見舞われている。北陸、山陰などの記録的大雪により高速道路や主要国道、JRを含め交通網はズタズタの状況が続き、一方で雪下ろしなどで亡くなった人は2月4日時点で100人を超えるなど、戦後の雪害としては昭和38〔1963〕年、平成18〔2006〕年に次ぐ3番目の規模になるのではと予想されている。

 また、1月26日から噴火を始めた宮崎・鹿児島県境界の新燃岳は、2月4日までに9回の爆発的噴火を繰り返し、その空振現象や火山灰により地元に大きな被害が出ているほか、今後溶岩の成長による火砕流の発生も危惧されるなど、警戒が続いている。

  更に、宮崎県ほか数県では寒波による鳥インフルエンザの伝染がニワトリにも広がり、1月末時点で既に100万羽に迫る殺処分が行われた。

 海外では、まさかと思われた中東の雄エジプトでの大規模デモによる政変が取り沙汰されている。国内政治の混迷と合わせ、内外の諸情勢を的確に把握した果敢な行動が防災士に求められている。

 

〔個別の動き〕

1、「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)

 気象庁は、1月26日(平成23〔2011〕年)、「東海地震に関する情報の理解促進のための検討会(第2回)」において、アンケート調査による意見を踏まえ、現在の「東海地震観測情報」の情報名称等について検討した結果、新たな名称として「東海地震に関連する調査情報」に変更するのが適切と提言した。  また、これまでの周知・広報において、「東海地震予知情報」は「赤」、「東海地震注意情報」は「黄」、「東海地震観測情報」は「青」と3色に分けて説明しており、分かりやすいと評価されていることから、情報を分かりやすくするために補足する言葉として、従来の色を踏襲した「カラーレベル」を導入するのが適切との意見も出た。

 これらの検討の結果、毎月の定例の地震防災対策強化地域判定会において評価した「最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動」の調査結果を、この「東海地震に関連する調査情報」で発表し、この名称の情報は、「カラーレベル青」、「通常どおりの生活を継続」の情報であることの理解促進を図ることが望ましいと提言した。

  気象庁では、これら提言等を踏まえ、情報名称の変更、「カラーレベル」の導入、定例の判定会での調査結果の情報発表等に係る所要の手続き等を行うとともに、内閣府等の防災関係機関と調整のうえ、本年3月末(平成23〔2011〕年)までに実施する予定である。

 

(参考)気象庁ホームページ 「東海地震観測情報」の新たな名称等について

 

2、「激甚」基準を緩和(内閣府)

 内閣府は、災害復旧事業の国庫補助率を1割から2割程度かさ上げする「局地激甚災害」を指定するに当たり、財政規模の小さな自治体向けに基準を緩和した。局地的豪雨が増える傾向にあり、財政力の弱い市町村だけが局地的に大きな被害を受ける事態が増えていることに対応する。新基準は、平成22〔2010〕年の災害に遡って適用される。

 これまで局地激甚災害の指定は、受けた被害が各自治体の年間標準税収入の50%を上回る場合を基準としてきた。内閣府は、基準緩和により、受けた被害が年間標準税収入50%以下でも、標準税収入が50億円以下の市町村で生じた事業費2.5億円を超える災害は局地激甚災害に指定できるようになる。

 局地激甚災害に指定されれば、自治体は災害復旧工事について国の特例措置を受けられる。

 

3、世界の主要温室効果ガス濃度は過去最高値(気象庁)

 世界気象機関(WMO)と気象庁などが世界の大気中の温室効果ガス濃度を解析した結果が、平成22〔2010〕年11月24日に「温室効果ガス年報」第6号として発表された。それによると、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N20)の平成21〔2009〕年の世界平均濃度は過去最高となった。

 今回発表された「年報」によると、大気中の主要な温室効果ガスである二酸化炭素、メタン、及び一酸化二窒素の平成21〔2009〕年における世界平均濃度は、過去最高値を記録したことが分かった。

 このうち近年増加傾向が頭打ちになっていたメタンは、平成19〔2007〕年以降3年連続で高い伸びとなったが、メタンが最近増加している原因は十分には分かっておらず、今後の見通しははっきりしないと「年報」では指摘されている。

 また、二酸化炭素も近年よりは増加量がわずかに少ないものの、依然として増加が続いている。

 

(参考)気象庁ホームページ 「世界の主要温室効果ガス濃度は過去最高値 ~WMO温室効果ガス年報第6号の発行~」

 

 

4、救急搬送の遅れ(総務省消防庁)

 通報を受けてから救急車で患者を搬送し、医療機関に収容するまでにかかった時間は、平成21〔2009〕年の都道府県別平均で、東京が51.8分と最も長く、最短の福岡より24.2分も遅いことが、総務省消防庁の調査によって分かった。   全国平均は平成20〔2008〕年より1.1分遅い36.1分であった。総務省消防庁では「救急出動件数の増加が影響しているのではないか」と分析している。 総務省消防庁は、東京については「人口1万人当たりの出動件数が多いのに加え、交通事情の悪さや搬送先病院の選定に時間がかかっていることなどが要因となった可能性があると」みている。   防災士の救命講習で得た技能が、ますます必要とされることであろう。

 

表―1

 

 

 

 

 

 

  救急車の平均搬送時間

 

 

  平成212009〕年、都道府県別

 

 

 

 

ベスト5

ワースト5

 

 

1

福岡   27.6

東京   51.8

 

 

2

富山   27.9

千葉   41.4

 

 

3

香川   28.3

埼玉   41.1

 

 

4

京都   28.4

岩手   39.1

 

 

5

石川   28.7

奈良   38.8

 

 

 

 

 

 

出典:『日本経済新聞』平成22〔2010〕年12月4日

 

 

5、幹線道路沿い建築物対象に耐震診断義務づけへ(東京都)

 東京都は、大地震が発生したときに救急活動や物資輸送に使う幹線道路沿いの建築物に耐震診断を義務づける条例案を、2月8日(平成23〔2011〕年)に開会した都議会第1回定例会に提出した。東京都によると、条例で建物の耐震化を促進する仕組みは全国で初めてである。   義務付けの対象と予定するのは、復旧活動に使う総延長約2,000キロメートルの緊急輸送道路沿いのビルやマンションである。緊急輸送道路のうち、どの区間を対象とするかは今後検討する。条例案が可決されれば、平成24〔2012〕年4月から耐震診断が義務となる。

 

 

 

【参考文献】

・『日本経済新聞』平成22〔2010〕年12月4日

・『日本経済新聞』平成23〔2011〕年1月7日

・『日本経済新聞』平成22〔2011〕年2月2日

 

 

 

 

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