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防災評論 第19号

 山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。


 第19号

 

〔政治行政の動向概観〕

 通常国会の会期末は8月末(平成23〔2011〕年)に迫り、東日本大震災の復興に向けての政治対応は、依然としてスピード感に乏しい状況に変わりはない。

 このような中、前号でも触れた復興構想会議提言をもとに、政府の復興基本方針が7月29日にまとめられた(後述)。しかし、復興財源確保の大宗をなす復興増税については、その収入額や税目について具体的な記述をすることができず、この基本方針を動かしていくだけの実効性に疑問符が投げかけられている。

 このため、復興関連公共事業の計上を中心とした第3次補正予算の編成も遅れ、夏場の到来を前に来年(平成24〔2012〕年)度当初予算の議論にも悪影響が及ぶなど、復興に向けての政府の対応はエンジン全開とは程遠い状況にあり、この間隙を埋めるべく民間防災関係者や、とりわけ防災士による地道な支援努力は、引き続き重要となっている。

 政治行政の状況を反映してか、一般被災地での復旧・復興については、「のど元過ぎれば」の国民意識が浸透しつつあり、マスコミなどでも余り取り上げられなくなっているのが気懸かりである。一方、それと反比例するかのように、未だに収束出来ない福島第一原子力発電所からの放射能流出が様々な災害や事件を惹起させて、ますます世論はこの未曾有の原子力災害の帰趨に注目し、かつ集中している。

 特に事故後、屋外に放置されていた稲わらを飼料として与えられた牛が基準値を超える放射性セシウムに汚染されて全国に出荷された事件では、福島、宮城、岩手、栃木の4県の肉牛の出荷が停止されるに至り(8月4日時点)、また、近づく収穫を前に、東日本各県を中心に新米の放射能汚染の可能性が恐怖感をもって喧伝され、政府は当該新米の収穫前・後の2段階放射線量検査の実施を急遽決定するなどの対応に追われているが、既に消費者の間では、新米から平成22〔2010〕年度産古米の買い付けに走るなどのパニックが現出している。

 原子力発電所の稼働問題については、定期点検終了後の再稼働の是非をめぐって混乱が続き、政府はEU・ヨーロッパ連合型を模倣した「ストレステスト」(原発の安全性をシュミレーションによって確認する、再評価の仕組み)の導入を突如決めたが、そのスケジュールや詳細も明確でないため、このままでは全国の原発が次々と運転停止に追い込まれかねず、来年以降の電力需給に黄信号が灯る事態となっている。   更に、原発行政を所掌する経済産業省と、電力会社等との間の不祥事が相次いで明るみに出たことなどから、来年度、原発規制権限を同省から切り離す方針をとることも伝えられている。

 原発問題は防災上も非常に重要ではあるが、東日本大震災を始めとして、長野県栄村の地震(3月12日発生。震度6強から弱)や、新潟・福島県の豪雨(7月下旬発生)など各地で頻発する災害全般について、より配慮した報道と政策対応が求められる。

 ところで、日本各地で防災士による防災活動が一層活発化している。『日本経済新聞』(7月18日付)や『産経新聞』(8月2日付)等で取り上げられたような防災士の地道な努力と、地域防災力向上への貢献に対して、より手厚い政治の支援が求められる。

(編集部・注)ストレステストのスケジュールについては、その後、NHK・科学文化部のブログには、現在運転中の143の原発すべてについて、電力会社による評価が本年8月15日までに、国の機関による評価が9月15日までに行われ、最終的に平成24〔2012〕年4月までに、相互評価を終える予定であることが記載されている。

 

〔個別の動き〕

1、原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)

 国の原子力安全委員会は、7月12日(平成23〔2011〕年)、原子力発電所の地震や津波対策に関する安全指針を見直す小委員会の初会合を開き、耐震設計審査指針の具体的な改定作業を始めた。来年(平成23〔2012〕年)3月までに指針の大枠をまとめ、2年から3年をかけて改定につなげる。東日本大震災で被災した福島第一原発が、津波で全電源を喪失して炉心溶融(メルトダウン)という大事故に至ったことを重視し、津波を軽視していた従来指針の抜本的な見直しに取り組む。

 

表-1

 

《今回の指針改定のポイント》

  ○ 複数の震源が連動した巨大地震への備え
  ○ これまで軽視されていた津波対策
  ○ 全電源喪失による炉心溶融(メルトダウン)などシビアアクシデント(過酷事故)対策
    ○ リスクを数値化し、最小限に食い止める対策を取る「確率論的安全評価」の導入

 

表-2

 

   《原発の耐震設計審査指針改定の経緯》

  昭和561981〕年7月  旧耐震指針を策定
  平成132001〕年7月  指針改定作業を開始
  平成182006〕年9月  耐震指針を改定。全国の原発に耐震性の再評価を指示
  平成192007〕年7月  新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が被災。全国の原発で耐震性再評価を加速
  平成232011〕年3月  東日本大震災で福島第一原発が被災

 

また、国の原子力委員会は、原子力発電の経済性について、補助金や廃棄物処理の費用の含めると、原子力発電のコストは1キロワットあたり10円程度になるとの試算を報告した。平成22〔2010〕年版の『エネルギー白書』などで同様のコストが5円から6円と算定されているのは過小評価であり、火力発電(7円から8円)や水力発電(8円から13円)のコストと比べても決して安い電源ではないとの指摘があった。
 「経済性を理由に原子力発電は推進されてきたが、最も安い電源とは言えない」との見解を政府の行政委員会が提起したのは、今回が初めてである。

 

2、三浦半島の断層(地震調査委員会)

 政府の地震調査委員会(委員長・阿部勝征東京大学名誉教授)は、7月11日(平成23〔2011〕年)、東日本大震災の影響で、神奈川県の三浦半島にある3つの活断層帯で地震が起きる可能性が高まった、と発表した。地震発生の可能性が高まったのは、三浦半島にある武山(横須賀市)、衣笠・北武(横須賀市・葉山町)、三浦半島断層群南部(三浦市)の3つの活断層帯である。大地震後、東日本周辺で揺れを伴わずに断層がゆっくりとずれる「余効すべり」という現象が起きて力が加わり、断層が動きやすくなったと判断したからである。
  地震調査委員会は、本年6月、立川断層帯(東京都立川市周辺)、双葉断層帯(宮城・福島県)、牛伏寺断層帯(長野県松本市周辺)の3つの活断層帯について、地震が発生する可能性が高まったという見解を示していた。

 

3、津波危険地域の建築規制(国土交通省)

 国土交通省は、平成23〔2011〕年度内にも、大規模な津波の被害にあう危険性の高い地域を自治体が指定し、建築物に規制をかけられる新たな制度を創設する方針である。
  危険地域の公共・商業施設や避難所などの建物に、一定以上の高さや耐水性などを求める。東日本大震災の被災地で津波に強い街づくりを進め、将来の被害を最小限に抑える。
  新たな建築規制は、国土交通省が検討している「津波防災街づくり」に関する新法に盛り込む。同省は、この法案を年度内にも国会に提出し、早期に建築規制をかけられるようにする。
  新制度では、国が、津波危険地帯の基準を策定する。具体的には、①その地区を襲った過去最大の津波に対して、現状の堤防の高さや長さが不足している地区、②避難路や避難所が整備されていない地区、などが危険地区の指定対象となる。
  県や市町村などの自治体は、国の基準に基づいて津波危険地区を指定する。商業施設や市役所、避難所といった公共施設について、必要な建築制限をかける。
  法案のイメージとしては、危険地区に指定された場所には、「建築物の高さを20メートル以上にしなければならない」、「建物は鉄筋コンクリート造りにする」、「耐水構造にする」といった細かい規制を設定し、条件を満たしていない建築物をつくることを認めないようにする。一方、津波で壊れた堤防が復旧したり、危険地域に必要な避難路や避難所が整備されたりした場合には、段階的に規制を解除する。

 

4、被災地での犯罪動向(警察庁)

 東日本大震災による津波や原子力発電所の事故で無人となった岩手、宮城、福島の東北3県の各地域で、ATM破りなどの窃盗事件が多発している。3月から6月(平成23〔2011〕年)に福島県全体で認知された窃盗事件は、前年(平成22〔2010〕年)同期比19.3パーセント減の3,906件だったが、原発周辺の警戒区域に限ると、同件数は約2.9倍の331件に上った。津波や原発事故に伴う無人地域で、ATM破りや空き巣、出店荒らしなどの窃盗事件が急増したのである。
  ATMの窃盗事件は昨年1年間、岩手、宮城、福島の3県合計で未遂が2件だけだったが、本年は3月の震災発生から6月末までに、無人となった23市町村区で未遂7件を含む計56件が発覚し、被害総額は約6億8500万円に上った。
  福島県で3月から6月に認知された空き巣事件は、前年同期比109.1パーセント増の481件で、そのうち警戒区域では、同件数11.8倍の106件であった。宮城県では同じく全体の出店荒らしの数が同75.8パーセント増の225件で、そのうちの津波に伴う無人地域では、同件数が2.2倍の90件だった。
  一方、強姦や強制わいせつなど性犯罪は3県とも前年より減った。
  義援金などの名目で金をだまし取る詐欺事件も多発し、6月末現在、全国の警察で51件、総額約1260万円の被害届を受理している。
  被災地にとっても「防犯」は重要なテーマであり、常に注意を払うべきである。

 

 

5、支援物資輸送協定(東京都)

 東京路線トラック協会は、東京都と、東日本大震災の被災地への支援物資の輸送に関する協定を結んだ。7月20日(平成23〔2011〕年)以降は、東京都が集めた支援物資を加盟社が被災地にある自社の物流拠点に運び、小分けしたうえで避難所などに届ける。
  これまでは、東京都は、個別にトラック会社に依頼し、被災自治体の倉庫に送っていた。ただ、仕分けするスペースも人員も少なく、大量に支援物資が滞留し、なかなか避難者に届かないこともあった。
  同協会は、ヤマトホールディングスや日本通運など78社が加盟している。
  これらの企業の運送員等が、防災士資格を取得することが望まれる。

 

6、震災保険金の支払(金融庁)

 金融庁は、7月19日(平成23〔2011〕年)、東日本大震災に伴う保険金・共済金の支払実績額が7月時点で、1兆8000億円に達したと発表した。支払見込み額は、2兆7000億円で、7割弱の支払いを終えた計算になる。生命保険、損害保険各社とも急ピッチで支払いを進めており、損害保険の個人向け地震保険の支払いは、すでに見込み額を上回っている。
  その内訳は、生命保険が2000億円の見込みに対して足元の実績が900億円であり、個人向けの地震保険は9700億円に対して1兆500億円だった。地震保険以外の企業向けなどの損害保険は、6000億円に対して700億円であった。大口の損害保険契約などでは再保険をかけているケースが多く、金融庁によると、損害保険会社の実質的な負担は6000億円のうち2000億円という。
  全国共済農業協同組合連合会(JA共済)などの共済は、9000億円に対して6000億円だった。地域別にみると、生命保険の支払額は、岩手、宮城、福島の3県が全体の93パーセントを占める一方、損害保険の支払額は、同3県で65パーセントである。液状化による被害が大きかった千葉県などの東北以外の各都県にも広がっている。

 

7、防災教育と学校避難マニュアルの見直し(文部科学省)

 東日本大震災で600人を超える児童生徒が犠牲になったことを教訓に、文部科学省は、学校での防災教育や安全管理体制を見直すことにした。7月(平成23〔2011〕年)内に、防災の専門家らで構成する有識者会議を創立し、災害から身を守る方法の教え方や、学校が児童生徒を安全に避難させる手段を話し合う。9月までに中間報告を受け、来年度(平成24〔2012〕年度)予算の概算要求などに対策費を盛り込む方針である。
  検討するテーマとしては、①効果的な防災教育、②教員の防災面の指導力の向上、③学校側の安全管理体制の強化、を想定する。議論の結果は、同省が作成する教材や教師用の研修資料などに反映させる。
  今回の震災では、教員の避難指示に従いながら多くの子どもが津波の犠牲になった学校がある一方、日頃から防災教育の専門家が対策を徹底して教えていたことで、小中学生が自主的に避難して無事だった地域もあった。
  文部科学省は、沿岸部の学校などを対象に、教員や児童生徒の行動と被害規制との関連を分析し、より実践的で効果の高い防災教育や学校の対応方法の立案に活かす意向である。
  また、同省は全国の学校に対し、災害発生時の避難手順などを定めた危機管理マニュアルの見直しを求める方針を固めた。各校に防災の専門家を派遣して、内容が実態に合っているか点検する事業を来年度に始める。東日本大震災では、津波発生時の避難先を同マニュアルで決めておらず、多数の児童が犠牲になった小学校があったことなどから、点検を急ぐ。
  これまで、危機管理マニュアルは、定期的な点検や改訂は義務付けられていなかった。
  対象となる全国の幼稚園と小中高校、特別支援学校は約5万校ある。計画では、都道府県など地域ごとに外部のアドバイザーを配置する。来年度から3年間をかけて各校を巡回し、マニュアルを総点検してもらう。避難に時間がかかるなど不備が見つかった場合は、早急に改訂を促す。
  アドバイザーには、防災教育の専門家や研究者ら300人程度を任命する。外部の視点を入れることで、チェックを厳格にする狙いだ。派遣費用は、来年度予算案の概算要求などに盛り込む。
 今回の震災では、600人を超える児童生徒が、死亡か行方不明になった。約7割の児童が死亡・行方不明になった宮城県石巻市の市立大川小学校では、津波の到達を想定せず、危機管理マニュアルでも津波が襲来した際の避難先を指定していなかったことが明らかになり、同市教育委員会は、全校にマニュアルの見直しと提出を求めている。
 防災士が、1人でも多く「防災アドバイザー」に任命されることが望まれる。

 

8、第1次補正予算の執行状況と第2次補正予算の成立(財務省ほか)

 東日本大震災からの早期復旧を目指す趣旨を盛り込んでいる第1次補正予算の執行が滞っている。

 第1次補正予算は、震災から2か月となる5月に成立したが、被害をうけた地方自治体や現地企業の立ち上がりが遅れている。震災からの復旧・復興は、政府の計画通りには進んでいない。

 環境省によれば、第1次補正予算で計上したがれき処理費用3519億円のうち、7月20日(平成23〔2011〕年)時点で実際に使われた金額は6%、208億円に止まっている。人手不足に悩む自治体の態勢が整わず、国との連携も不発気味だ。

 被災自治体の中で最もがれき量が多い宮城県石巻市では、7月に入ってようやく一般住宅などの解体が本格化した程度である。

 被災者のニーズを見極めるのは難しい。住宅整備では、政府の見積もりと現実にずれが生じている。第1次補正予算で政府が見込んだ仮設住宅は、新規建設で7万2000戸、賃貸で1万4000戸であった。ところが、新規は目標戸数が5万戸へと下方修正され、逆に賃貸は利用が4万4000戸と伸びた。本格的な住まいを被災者に提供する公営住宅の整備費(1116億円)は、ほとんど手つかずのままである。

 

図-1

 

このような状況の中、東日本大震災の追加復旧策を盛り込んだ総額1兆9988億円の平成23〔2011〕年度第2次補正予算が、7月25日に成立した。
  第2次補正予算では、東京電力福島第一原子力発電所の事故の対応費用として、総額2754億円を計上した。そのうち、福島県民の健康被害調査や学校、公園の除染経費に962億円、新設する原子力損害賠償支援機構の出資金に70億円を充てた。
  被災者や被災企業が抱える二重ローン対策に774億円を充て、国による被災者生活再建支援金の補助拡充は3000億円だった。増額する地方交付税5455億円を、主に被災自治体に配分する。予備費も8000億円を盛り込んだ。
  財源は、税収の上振れなどで生じた平成22〔2010〕年度の決算剰余金で賄い、新規国債を発行しない。政府・与党は、震災の復興策を盛り込む第3次補正予算の編成作業を本格化する。

 

 

9、「ゲリラ豪雨」のメカニズム(東京都、筑波大学)

 筑波大学と東京都環境科学研究所の研究チームは、東京都で過去15年間に発生した「ゲリラ豪雨」を分析し、都心では中野区や練馬区などの23区西部で起きやすいことを突き止めた。
  東からやって来る水蒸気を含んだ海風が、標高50メートル前後の小高い地形で押し上げられて上昇し、局地的に激しい雨が突然降ったと考えられる。
  また、沿岸部から標高が上がるにつれ、豪雨の頻度が上がることも分かった。山間部の多摩地区を除くと、中野区や練馬区など標高50メートル前後の23区西部では、15年間の「ゲリラ豪雨」の総降水量が1,600から2,000ミリメートルあり、江東区などの沿岸部の2倍から4倍に達した。
  標高50メートル前後で「ゲリラ豪雨」が増えた理由については、小高い地形で海風が押し上げられて上昇したほか、東京都心の新宿や池袋のビル群に当たって分かれた海風の流れが合流し、上昇気流に転じた可能性もあるという。
  「ゲリラ豪雨」は、10キロメートル四方程度の狭い地域内で、1時間に100ミリメートル程度の強い雨が降る現象である。排水溝の排水機能が追いつかず、住宅浸水や道路冠水などの被害を起こす。

 

10、地域防災計画の見直し(茨城県)

 東日本大震災や福島第一原発事故を受け、橋本昌茨城県知事は、6月9日(平成23〔2011〕年)の茨城県議会本会議で、「津波災害や原子力事故など複合的な災害にも迅速、的確に対応できるよう本年度(平成23〔2011〕年度)内を目処に防災計画を見直す」と述べ、現在の茨城県地域防災計画を抜本的に改定する意向明言した。茨城県地域防災計画の抜本的な改定は、阪神・淡路大震災を契機に見直した平成8〔1996〕年以来16年ぶりとなる。
  橋本知事は、「現在の計画は、大津波や大規模な液状化などの対策が不十分だ。高齢者などの災害時要援護者をどう迅速に避難させるかなど、見直すべき点は山ほどある」と語った。
  茨城県地域防災計画は、国の防災基本計画をベースに立案され、『震災編』、『風水害編』、『原子力災害編』の計3編で構成されている。津波対策は『震災編』(約400ページ)に盛り込まれているが、避難態勢の整備を中心にその記述は3ページしかない。液状化に関しての記述はわずか1ページ程度と、大きな想定になってはいなかった。
  しかし、今回の震災では、電力や水道などのライフラインの長期切断、携帯電話や一般電話など通信の途絶、ガソリンなどの燃料の不足、原発事故に伴う隣県からの避難者の受け入れなど、想定を超える課題が次々と明らかになった。東海第二原発の過酷事故を想定した『原子力災害編』の改訂もポイントになる。
  全国的にも、防災計画を見直す動きは次々と出るものとみられ、防災士としても注視していきたい。

 

 

 

 

 

 【参考文献】
・『茨城新聞』平成23〔2011〕年6月10日
・『日本経済新聞』平成23〔2011〕年7月12日朝刊
・『日本経済新聞』平成23〔2011〕年7月12日夕刊
・『日本経済新聞』平成23〔2011〕年7月13日朝刊
・『日本経済新聞』平成23〔2011〕年7月15日朝刊
・『日本経済新聞』平成23〔2011〕年7月16日朝刊
・『日本経済新聞』平成23〔2011〕年7月19日夕刊
・『日本経済新聞』平成23〔2011〕年7月21日朝刊
・『日本経済新聞』平成23〔2011〕年7月22日朝刊
・『日本経済新聞』平成23〔2011〕年7月23日朝刊
・『日本経済新聞』平成23〔2011〕年7月26日朝刊

 

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第86号平成29年9月号支援物資の輸送を改善(中央防災会議)他
第85号平成29年8月号惨事ストレスケア2,700人(消防庁)他
第84号平成29年7月号ドクターヘリ 基準緩和(国土交通省)他
第83号平成29年6月号災害派遣職員、地元優先で(中央防災会議)他
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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