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防災評論 第30号

山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

第30号

 

【目次】

〔政治行政の動向概観〕       

〔個別の動き〕 

1 平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全)  
2 Jアラート難しい運用(総務省消防庁)
3 被災マンションの解体(法務省)
4 首都圏の大規模水害シナリオ(中央防災会議)
5 東日本被災地要介護者の実態(共同通信社)
6 紀伊水害の深層崩壊(国土技術政策総合研究所)
7 家庭での災害の備え(日経リサーチ)
8 ゲリラ豪雨の予測(情報通信研究機構)
9 アプリによる居場所危険度判定(防災科学研究所)
10 学校の天井、照明耐震化(国土交通省)
11 災害専門部隊の創設(警視庁)
12 「開かずの踏切」の解消(国土交通省)
13 津波からの避難で報告書(中央防災会議)
14 「不燃化」12地区の指定(東京都)

〔防災短信〕

 

 

〔政治行政の動向概観〕

 「社会保障と税の一体改革」に絡んで消費増税法案が国会を通過成立するに当たり、野田首相が言及していた「近いうち」の衆議院解散が平成24〔2012〕年11月16日に現実化し、衆議院は平成24〔2012〕年12月16日投票の師走選挙に突入した。争点として景気対策(円高是正方策を含む)、TPP交渉入りの是非、原子力発電の取扱などエネルギー政策等が挙げられているが、10党以上もの政党が乱立して各々の主張が微妙に食い違うため国民にとって選択の難しい選挙の様相を呈している。しかし、3年前に野党に転じた自由民主党が政権に復帰するではないかとの観測が強く、同党が掲げる強力なデフレ退治政策とその一環としての滅災・防災に向けた巨額の公共投資が、実行に移されるであろうとの思惑から資本市場では先取りする形で円安、株高の傾向となっている。一方、第三極と称される一連の勢力については、東西の知事経験者を擁する日本維新の会(維新)など様々な政党が並立しているが、特に維新についてはその政策が不明確であるにも係らず、マスコミを通じ広く国民に浸透しており、台風の目になりつつある。
 日本列島では幸い夏から秋にかけて超大型台風や大地震もなく、防災の上では昨年(平成23〔2011〕年)とうって変わって比較的平穏な年末をこのまま行けば迎えられそうな気配ではあるが、政治の動向、選挙の結果次第で再び混迷の季節に突入する危険性も内包した師走となった。
  一足先にオバマ大統領の再選が決まったアメリカでは、大統領選挙の直前に米東海岸を襲ったハリケーン「サンディ」がオバマ氏を救うという皮肉な結果をもたらしたが、このハリケーンがもたらしたニューヨーク等への被害の大きさを見るとき、日本も対岸の火事と言ってはいられない数々の教訓をもたらした。
 防災士も日本の災害だけではなく、ハリケーン「サンディ」など諸外国における大災害の事例を収集分析して、自らの防災活動に活かすことも重要である。

 

〔個別の動き〕

1、平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全)

 国土交通省は、防災・減災対策として約2兆円を計上した。首都直下地震や南海トラフ地震を念頭に1,268億円をかけて、堤防・水門の液状化対策や住宅、駅、高架橋などの耐震化を進める。このほか、予防的な治水対策を強化するために2,657億円を要求した。
 気象庁は、大地震発生時に震源から遠く離れた地域の高層ビルなどをゆっくり揺らす「長周期地震動」を観測する地震計の設置費として約1億8千万円を求めた。東京、大阪、名古屋の大都市圏の計10か所に設置する計画という。
 厚生労働省は、災害医療体制の強化で217億円を盛り込み、災害派遣医療チーム(DMAT)の事務局分散や、災害時に医薬品提供などの拠点となる薬局整備を目指す。また、京都府亀岡市等で通学中の子供が巻き込まれる交通事故が相次いだことを受け、文部科学省は、専門家が事故防止策を助言する「通学路安全対策アドバイザ―」を全国約6千校に派遣するため、約1億5千万円を要求した。
 政府は、東日本大震災を受けて5年間で1兆円を投じることにした「全国防災対策費」を今年度でほぼ使い切るため、来年度政府予算で5千億円ほど追加する方針を固めた。最悪で32万人死亡と想定される南海トラフ地震や、首都直下型地震への備えを急ぐ必要があると判断したためである。
 防災対策費は、平成23〔2011〕年7月に復興の基本方針で打ち出された「5年間で19兆円」の復興予算に含まれている。この19兆円のうちの1兆円が、被災地以外でも防災対策を進められる予算としてあてられたが、各地から希望が相次いだため、昨年度の補正予算と今年度予算ですでに計1兆円をあてたが、今年度内に使い切ってしまうという。
 国土交通省は、来年度政府予算の概算要求で2千億~3千億円を求めるほか、農林水産省や文部科学省も予算要求する。具体的には、道路の補強・整備や河川整備、学校など公共施設の耐震・防災対策などが多い。事業の多くは、政府が費用の2分の1を支援する補助事業になっている。
 全国防災対策費を含む復興予算は、「復興増税」の収入分をあてることになっており、復興増税は25年にわたって所得税などに上乗せされ、総額は10兆円に達すると言われている。防災対策費が野放図に増えれば、「第2の公共事業費」となり、復興増税の無駄遣いにつながるおそれもある。
 既にこの枠に防災と関係のない費目が多数含まれているのではないか、との指摘も噴出しており、来年度の全国防災対策費の行方が注目される。

 

2、Jアラート難しい運用(総務省消防庁)

 災害やテロ攻撃などの情報を住民に伝える全国瞬時警報システム(Jアラート)の運用を巡り、自治体が頭を悩ませている。導入から5年がたち、ほぼすべての自治体で国から警報を受信する体制が整ったが、住民への伝達の方法やスピードに不安も残る。
 Jアラートは弾道ミサイルや津波警報、緊急地震速報などを人工衛星を使って自治体に送信するシステムで、自治体は受信情報を防災無線、コミュニティーFMなどを通じて住民に伝える。平成24〔2012〕年8月24日時点で全国1,725の市区町村が導入しており、これまでに整備費用として約112億円が投入された。
 総務省消防庁は、全国1,742市区町村と連携して一斉訓練を行い、機器の作動を確認しているが、自治体側の設定ミスで受信機が作動しない例が目立ったため、平成24〔2012〕年12月5日に全国一斉の作動訓練を実施する。総務省消防庁は自治体と連携して改善を急ぐ。また、消防庁の担当者は「地震、弾道ミサイルなど緊急情報への国民の関心は高い。緊急時に機能するよう設備などを拡充したい」と述べている。

 

3、被災マンションの解体(法務省)

 法制審議会では、「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(被災マンション法)」と「罹災(りさい)都市借地借家臨時処理法(罹災都市法)」の見直しが諮問されている。これまでの震災で法の不備を指摘する声があり、南海トラフ地震など想定される大災害に備え、復旧・復興の迅速化につなげ、法務省は来年の通常国会への法案提出を目指す。
 被災マンション法は、被災した分譲マンションを8割程度の所有者の同意で解体できるように見直す方向である。
 罹災都市法は、借家を大規模災害で失った人がその土地に家を再建する場合、借地権が地主の土地所有権に優先する「優先借地権制度」の廃止などを検討する。

 

4、首都圏の大規模水害シナリオ(中央防災会議)

 

 政府の中央防災会議(議長・野田佳彦首相)は、首都圏での大規模水害への対策大綱をまとめた。地震以外の災害で大綱を策定するのは初めてであり、内容は3つの被災シナリオを想定し、浸水地域で孤立する被災者は最大80万~110万人に達すると予測し優先的に救助すべき対象者をあらかじめリスト化するなどの対策を掲げた。
 今回の大綱では、首都圏の大規模水害のシナリオとして(1)埼玉県から東京都にかけての利根川の氾濫、(2)東京都内の荒川右岸の低地における氾濫、(3)東京湾における高潮時の氾濫――を想定し、いずれも排水施設が稼働せず、避難率を0%と仮定した「最悪のケース」で計算した。(上記の表を参照)
 3つのシナリオを見ると、ほぼ全域が浸水する市区町村もあり、浸水が3階以上に達する所も出てくる。排水が進まず、場所によっては数日から数週間にわたって水が滞留すると水道や電気などが長期間にわたって使用できなくなり、孤立した被災者の生活環境の悪化も懸念される。
  他方、早期の避難を徹底すれば孤立者を減らすことは可能であり、利根川の氾濫のシナリオでは避難率が40%に高まれば孤立者は67万人に、80%なら22万人にまで減るという。
 浸水は一部の地域で2週間を超え、水道や電気などのインフラの停止が長引く可能性もあり、水や食料、医薬品、簡易トイレなどの供給方法も課題となる。

 

5、東日本被災地要介護者の実態(共同通信)

 東日本大震災で大きな被害に遭った岩手、宮城、福島3県の沿岸部など42自治体で、要介護認定を受けた人が震災前の平成22〔2010〕年3月末と比べ約1万2千人(12%)増え、平成24〔2012〕年6月末の時点で11万39人となったことが、共同通信社による各自治体への調査で明らかになった。
 東京電力福島第一原発事故の影響が深刻な福島県では、2万9808人(平成22〔2010〕年3月比で17%増)で、最も増えたのが、全町避難が続く大熊町で50%増、次いで楢葉町の40%増だった。
 認定増加は、避難生活の長期化による高齢者の体調悪化が要因とみられ、仮設住宅での不自由な暮らしで心と体の機能が低下する「生活不活発病」の発症も目立っている。
 一方、被災地の介護施設の復旧は遅れており、震災から約1年6か月を経て、介護を必要としながら受けられていない高齢者が急増している実態が浮き彫りになった。
 42自治体の要介護認定者数は、平成22〔2010〕年3月末時点で9万7827人で、平成23〔2011〕年3月末は震災による死亡や転出による減少もあり、9万9050人と微増だった。しかし、今年3月末には避難生活などの影響を受け、38自治体で大幅に増加するなど10万8007人になった。

 

6、紀伊水害の深層崩壊(国土技術政策総合研究所)

 平成23〔2011〕年9月の紀伊水害で、岩盤ごと山が崩れる深層崩壊が紀伊半島の76か所で発生し、水害で崩れた全土砂量の8割にあたる約8,000万立方メートルが流出していたことが、国土技術政策総合研究所(茨城県つくば市)などの調査でわかった。
 流出量は戦後、国内最大規模とみられ、同研究所は今後、崩壊現場をより詳細に分析し、被害予測や危険性評価などの対策に生かす。
 調査の対象地域で起きた土砂崩れは3,077か所あり、約10平方キロにわたって約1億立方メートルの土砂が崩れたと推計した。このうち、深層崩壊は、発生箇所数が全体の2.5%だったが、崩落した面積では半分、流出土砂量では8割を占めた。
 さらに、深層崩壊のあった76か所のうち17か所では、土砂が河川を塞いで土石流の危険が高まる「土砂崩れダム」を形成していた。
 同研究所は「深層崩壊が多発したことからも、紀伊半島の広い範囲が記録的豪雨に見舞われたことが分かる」と分析している。
 「深層崩壊」とは、地表から数メートルの表土だけではなく、地中深くの岩盤ごと崩れることで、大規模な土砂流出を起こす。長時間に及ぶ降雨などをきっかけに発生し、紀伊水害では、和歌山県田辺市伏菟野(ふどの)や奈良県五条市大塔町宇井で集落が流出土砂にのまれ、多数の犠牲者を出した。

 

7、家庭での災害の備え(日経リサーチ)

 東日本大震災から間もなく2年が経つが、各家庭の取り組みは二極化が顕著である。震災直後と現時点での備えを比べてもらうと、「維持してる」「強化した」が半数強に上がったが、「備えはそもそもしていない」「緩んだ」とほぼ拮抗(きっこう)している。地域別では関西や中国、九州など被災地から離れた西日本ほど不十分さが目立っている。
 緩んだ理由では、「賞味期限が過ぎた」(35%)、「震災以降、大きな地震がない」(23%)、「面倒になった」(20%)など、時間が経過し緊張感が緩んできたことが窺える。また、そもそも備えをしない理由には、「何をしていいかわからない」(28%)、「面倒」(18%)、「大災害に見舞われたことがない」(17%)などが上位に並び、危機感の薄さが垣間見える。
 東日本大震災ではテレビなどが被災状況を生々しい映像で伝えた。あれだけの甚大な被害を目のあたりにすると自然の脅威の前では人間の備えなど意味のないことだと思えてくる。しかし、南海トラフ巨大地震の政府推計でも、対策と備えを徹底すれば死者は最悪のシナリオの5分の1(約6万人)に減らせるとしている。具体的には、①地震発生後すぐに津波から避難、②建物を100%耐震化、③家具の転倒・落下対策を100%実施、④初期消火の徹底――などである。

 

8、ゲリラ豪雨の予測(情報通信研究機構)

 情報通信研究機構と大阪大学、東芝は、局地的に激しい雨が突然降る「ゲリラ豪雨」や竜巻の予測に威力を発揮する気象レーダーを開発したと発表した。ミサイル追尾にも使う技術を応用し、発生の10~30分前に豪雨や竜巻を把握できるという。大阪府吹田市にある大阪大学の吹田キャンパスに装置を置き、試験運用を始めた。今後、有効性を検証する。
  局地的な豪雨を降らす積乱雲は10分程度で急速に発達し、竜巻も数分程度で発生することから、正確な予測には雲が急速に発達する様子をリアルタイムで追跡する必要がある。
 新型レーダーは電子レンジにも使われるマイクロ波を使用し、上空にある雨粒の分布を3次元で把握する。10~30秒間隔で観測でき、雨粒の分布から何分後にどの場所に雨が降るかを予測することができるという。
 従来のレーダーでも豪雨や竜巻の前兆となる雲をとらえることはできたが、観測間隔が5分以上かかるため発達の様子を追跡しきれず、大まかな予報しか出せなかった。

 

9、アプリによる居場所危険度判定(防災科学研究所)

 自分がいる場所で大地震が起きたときの危険度が分かるiPhone(アイフォーン)用アプリの無料提供を、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が始めた。全地球測位システム(GPS)を使い、外出中や旅行先でも判定できる。
 アプリの名称は「もしもいまここで大地震の揺れに見舞われたらワタシはどうなる?」、通称「もしゆれ」で防災科研が公開している全国の地震動予測地図とGPSを組み合わせ、想定される17種類の被害結果から一つを表示する。
 アプリを起動すると画面がカメラに切り替わり、自分の顔を点線内に合わせて判定ボタンを押す。アプリが家具倒壊の危険があると判断すれば、本棚やたんすが倒れ込んでくる画像が自分の顔写真の上に覆いかぶさる。
 防災科研では若者にも興味を持ってもらえる仕様にし、地震の危険を具体的にイメージし、対策に役立ててほしいと期待している。

 

10、学校の天井、照明耐震化(国土交通省)

 全国の公立小中学校3万395校のうち、校舎や体育館の照明器具や窓ガラス、天井材などの「非構造部材」の耐震対策を終えているのは、約3割にとどまることが文部科学省の調査で分かった。平成24〔2012〕年度末には、9割に達するとみられる建物の耐震化と比べて大幅に遅れている実態が浮かんだ。
  地震などで非構造部材が落下すると、重大事故につながる恐れがあり、平成23〔2011〕年の東日本大震災では、天井材の落下で多くの死傷者が出た。文科省施設助成課は、「早期の改善を促したい」と話している。
 調査によると、平成24〔2012〕年4月時点で、照明や天井材の耐震対策を終えたのは32.0%で、昨年の調査から2.3ポイントしか上昇していなかった。
 都道府県別では、福井が62.2%で最も高く、神奈川(58.7%)、岩手(54.9%)と続いている。低かったのは山口(7.9%)、岡山(11.8%)、兵庫(12.3%)などだった。
 今回は、学校設置者である自治体ごとの結果も公表され、東京都中央区、さいたま市、名古屋市など、27.3%にあたる487自治体が全ての学校で耐震化を終えていた。一方で、杉並区や文京区など、実施率0%という自治体も目立ち、対策の進み具合に大きな格差があった。

 

11、災害専門部隊の創設(警視庁)

 警視庁は、平成24〔2012〕年9月1日に発足する、大災害に備えた専門のレスキュー部隊「特殊救助隊(SRT)」の発足式を平成24〔2012〕年8月30日に東京都立川市で開き、隊員による救助訓練を公開した。災害専門の部隊が設置されるのは全国の警察で初めてのことである。
 SRTは「スペシャル・レスキュー・チーム」の略称で、東日本大震災など災害時の出動経験が豊富な隊員35人が所属する。この日の訓練では、がれきや土砂に埋もれた要救助者を重機を使って助け出し、ヘリに運び上げるなどを行った。

 

12、「開かずの踏切」の解消(国土交通省)

 大地震で鉄道踏切の遮断機が下りたままになり、道路交通が長時間寸断されるのを避けるため、国土交通省は民間と連携し、踏切による通行障害の抑制策の検討を始めた。
 踏切は、列車が制御区間と呼ばれる範囲に達すると警報機を鳴らして遮断機が下りる構造になっている。地震で強い揺れが生じると、鉄道各社は安全確認のために列車を緊急停止することにしており、制御区間内で停車すると踏切の遮断機は、下りたままとなる。
 このため、同省は鉄道会社や業界団体で構成する対策協議会を発足させた。緊急時に人力で遮断機を上げる方法や、安全を確認したうえで遠隔地から遮断機を操作する方法などを広く議論し、平成24〔2012〕年度中に結論をまとめる。
 東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県には、全国の踏切の1割強に当たる4,000か所超が集中し、全てを改善するのは不可能である。このため同省は、主要な道路と交差する踏切をまず改良することを目指す。

 

13、津波からの避難で報告書(中央防災会議)

 国の中央防災会議・作業部会はこのほど、津波からの避難対策について、ソフト面を中心にした現状の課題と対策を盛り込んだ報告書をまとめ、これを発表した。それによると「自らの命を守るのは、1人1人の素早い避難しかない」と改めて強調し「高齢者ら援護が必要な人々も自ら対策を検討すべきだ」と指摘している。
 東日本大震災では、消防団員や市町村職員らの避難支援者が、高齢者ら要援護者を助けようとして犠牲になったことが問題視されていた。報告書では、要援護者も自ら避難できる対策を考えることとし、要援護者のいる家庭も「避難した」と言った表示を玄関に掲げることで、避難支援者の負担を減らすよう求めている。
 国は、平成23〔2011〕年12月に「防災基本計画」を大幅に修正。津波対策を拡充したが、この作業部会ではソフト面を中心に検討を進めてきたものである。

 

14、「不燃化」12地区の指定(東京都)

 東京都は木造住宅密集(木密)地域を解消するために、手厚い支援で住民に建て替えを促す「不燃化特区」制度の先行実施地区として、墨田区や品川区などの計12地区を選んだと発表した。
 特区に指定されると、鉄筋コンクリートなどの耐火住宅に建て替えた場合、固定資産税の減免措置が受けられるほか、都の補助率もアップしてもらえる。一方で、特区内で建て替える際は、耐火住宅にすることが義務付けられる。
 都は、区側と連携しながら特区内の整備計画を作成する。区側から①老朽化住宅の建て壊し助成②建て替え相談の現地事務所の設置――などの要望が出ており、今後、特区の支援策に盛り込むか検討していく。
 都内には1万6000ヘクタールの木密地域があり、このうち、老朽化が進んでいて特に早急な対策が必要とされる23区内の約7000ヘクタールを「整備地域」に指定している。平成24〔2012〕年度、当初は整備地域の中から3地区程度(計約60ヘクタール)を特区の先行実施地区にする予定だったが、都では「少しでも早く不燃化を進める必要がある」として、応募のあった12地区(計413ヘクタール)すべてを先行実施地区に指定することにした。

 

 

 

【参考文献】

 

1、平成24〔2012〕年9月  8日  『日本経済新聞』朝刊
     平成24〔2012〕年9月  6日  『朝日新聞』朝刊
2、平成24〔2012〕年9月10日  『日本経済新聞』朝刊
3、平成24〔2012〕年9月  8日  『日本経済新聞』朝刊
4、平成24〔2012〕年9月  7日  『日本経済新聞』朝刊
5、平成24〔2012〕年9月10日  『日本経済新聞』夕刊
6、平成24〔2012〕年9月  3日  『読売新聞』朝刊
7、平成24〔2012〕年9月  9日  『日本経済新聞』朝刊
8、平成24〔2012〕年9月  1日  『日本経済新聞』朝刊
9、平成24〔2012〕年9月  5日  『日本経済新聞』朝刊
10、平成24〔2012〕年9月  5日  『日本経済新聞』朝刊
11、平成24〔2012〕年8月31日  『日本経済新聞』朝刊
12、平成24〔2012〕年9月  3日  『日本経済新聞』夕刊
13、平成24〔2012〕年9月    『UGMニュース』
14、平成24〔2012〕年9月  3日  『読売新聞』朝刊

防災短信~各見出しを参照

 

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第86号平成29年9月号支援物資の輸送を改善(中央防災会議)他
第85号平成29年8月号惨事ストレスケア2,700人(消防庁)他
第84号平成29年7月号ドクターヘリ 基準緩和(国土交通省)他
第83号平成29年6月号災害派遣職員、地元優先で(中央防災会議)他
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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