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防災評論 第40号

山口明の「防災・安全 ~国・地方の動き~」

防災評論家 山口 明氏の執筆による、「防災・安全 ~国・地方の動き~」を掲載致します。防災対策を中心に、防災士の皆様や防災・安全に関心を持たれている方々のために、最新の国・地方の動きをタイムリーにお知らせすることにより、防災士はじめ防災関係者の方々の自己啓発や業務遂行にお役立てて頂こうとするものです。今後の「防災・安全 ~国・地方の動き~」にご期待下さい。

 

 

防災評論(第40号)【平成25年11月号】

 

【目次】

〔政治行政の動向概観〕       

〔個別の動き〕 

1、局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)
2、国の指示前、全村避難(葛尾村)
3、岩手で知事サミット(東北4県)
4、子ども安心カード(渋川市)
5、地震保険10年で9割増、震災影響(損害保険料算出機構)
6、南海トラフ重点10項目(国土交通省)
7、災害避難ペット同行(環境省)
8、余震の予測迅速化(東京大学)
9、消防本部に法律助言(消防庁)
10、避難訓練が形骸化(都道府県教委)
11、避難勧告の遅れ検証(秋田・仙北市)
12、廃炉実施計画を認可(原子力規制委)
13、警察署、耐震不足2割(警察庁)
14、消防団の装備拡充へ(消防庁)
15、「不燃化特区」拡大へ(東京都)

 

 

〔政治行政の動向概観〕

 臨時国会では「特定秘密保護法案」の審議がクローズアップされている。日本版NSA(国家安全保障会議)の創設と対をなす法案で、外交、防衛等の分野を中心に高度な機密保持を要する事項を所掌大臣が指定できるとする内容であるが、一部政党やマスコミはこれが国民の知る権利を害し、個人の人権を抑圧する等の問題法案であるか如き議論を展開している。しかし、国家の安全のため守るべき最低限の最高機密を外部に漏洩することを防ぐ措置はどこの国でも講じている。たまたまわが国ではこれまでこの分野に無関心、無防備であったというだけのことであり、NSA創設を機に必要な機密法制を整備するという不可欠な政策が政党間の適切な協議を経て貫徹されることが望ましい。

 一方、台風26号の通過に伴い東京都伊豆大島(大島町)で土石流による大規模災害が発生したことに関連し、町長不在のもと未明に避難勧告を出さなかったことについて大きな議論を呼んでいる。一部報道では短絡的にただ勧告がでていないことをもって町の不手際、不作為と断ずるが、事はそう簡単ではないことは防災士を始めとする防災関係者なら容易に判断できるであろう。町長が弁明するように深夜における避難措置には一定の危険が伴うことは兵庫県佐用町における死亡事故の教訓からみても一部の理があることは疑いない。しかし、その前夜における台風の進路情報や土石災害警戒情報などの予警報の動向、さらには現地における総合的な防災分析などをもって、より早い段階で町が適切な避難措置を早めに打っていればこれほどの惨事は防げたことは明らかである。報道では「避難勧告」と「避難指示」の区別やその効果なども曖昧で、ただ徒らに町の対応のまずさを批判する主張ばかりが目立つ。さらには、市町村を飛び越えて、いきなり国(気象庁)が避難措置すべきとの暴論まで飛び出している。

 防災の実働はしかしながら正確な制度理解と現状判断においてのみ有効である。その意味から現場の市町村が的確な判断のもと住民の避難誘導などの防災対策を取るとする現行の災害対策基本法の考え方は堅持すべきである。防災士もこのような原理原則にのっとり、住民の方々を正しく啓蒙してゆく努力が求められる。

 

〔個別の動き〕

1、局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)

 

 

今年(7月17日~8月15日の24日間)

昨年(8月3日~15日の13日間)

北海道

23

6

宮城県

13

4

埼玉県

76

20

千葉県

118

19

東京都

77

12

神奈川県

29

16

新潟県

12

17

静岡県

54

70

愛知県

30

21

大阪府

27

12

京都府

49

1

兵庫県

91

21

岡山県

68

24

広島県

48

15

福岡県

9

12

15都道府県計

724

270

1日あたりの発生回数

30.17

20.77

 

 短期間に狭い範囲で大雨が降る「局地豪雨」の1日あたりの発生回数が今夏は昨年の約 1.5 倍に上ることが、民間の気象情報会社の調査でわかった。影響は屋外イベントに及び、花火大会などが開始後、中止に追い込まれた。9月上旬まで局地豪雨が発生しやすい気象条件にあり、防災の専門家らは「予兆に気付いたら早目の避難を」と呼びかけている。

 7月 23 日~8月 15 日の 24 日間に東京や大阪など全国 15 都道府県で計 724 回を確認した。1日あたりの発生回数は 15 日までの 13 日間に 270 回だった昨年の約 1.5 倍。東京や千葉は1日あたりで比較すると、3倍以上となった。

 

2、国の指示前、全村避難(葛尾村)

 福島県葛尾村の松本允秀村長(75)が2日、国連などによって創設された「グリーンスター賞」を受賞した。大規模災害などによって環境が危機にある中で際立った行動力を発揮した個人・団体に贈られる。東京電力福島第一原発事故の際、国の避難指示が出る1ヶ月以上前に全村避難を決断したことが評価された。日本人の受賞は初めて。

 村の大半は原発20キロ圏外にあり、まだ全域に避難指示が出ていなかった2011年3月14日、松本村長は村民約1600人を避難させ、翌15日には、約80キロ離れた同県会津坂下町へ役場機能を移転させた。村は4月22日、全域が避難指示区域(警戒区域、計画的避難区域)となった。

 松本村長によると、大熊町にあったオフサイトセンターの機能が福島県庁に移転される、との情報を3月14日に入手し、決断した。

 グリーンスター賞は、ゴルバチョフ元ソ連大統領が創設した国際環境保全運動に取り組むNGO「グリーンクロスインターナショナル」(本部・ジュネーブ)、国連人道問題調整事務所、国連環境計画などが2009年につくった。

 

 

3、岩手で知事サミット(東北4県)

 北海道と青森、秋田、岩手4道県の知事が共通の政策課題について意見を交わす「北海道・北東北知事サミット」が3日、東日本大震災で被災した岩手県沿岸で行われた。

 

4、子ども安心カード(渋川市)

 児童生徒の救命救急を円滑に行うため、群馬県渋川市教育委員会が6月に導入した「子ども安心カード」が注目を浴びている。既往歴やアレルギー症状の有無などを記したもので、学校などで緊急事態が起きた場合、救急隊員に手渡す。個人情報を外部に出すことから、市教委は事前に保護者から同意を得ており、文部科学省や消防庁は「先進的な取り組み」としている。

 東京都調布市の小学校で昨年12月、食物アレルギーのある女児が給食後に死亡する事故が発生した。これを受け、渋川市教委は消防と協議を重ね、連携を強化することにした。

 渋川広域消防本部の救急救命士は「1分1秒を争う時、迅速に情報を把握しなければならない。その点では、一目で分かるカードは有用性が高い」と指摘する。災害や集団の熱中症など、重症・重傷者が多数出るような事態にこそ、効果を発揮するといい、今後は個人情報の紛失・流出を防ぐ保管方法などが課題だという。

 

5、地震保険10年で9割増、震災影響(損害保険料算出機構)

現行

主な都道府県

改定後(14年7月~)

1万6900円

東京、神奈川、千葉、愛知など

2万200円

1万500円

大阪、埼玉

1万3600円

6500円

北海道、宮城、兵庫、京都など

8400円

岡山、広島、滋賀、長野

6500円

5000円

岩手、福島、群馬、福岡など

(注)家庭向けの地震保険料は14年7月に引き上げ

 

 地震や津波による家屋の損害に備える地震保険への加入が伸びている。損害保険料率算出機構は2012年度の家庭向け火災保険の新規契約のうち、地震保険にも入る割合を示す付帯率が前の年度よりも」2.8ポイント高い56.2%だったと発表した。12年度末の保有契約件数は1500万件を突破し、この10年間で約9割増えた。

 契約件数の増加は21年連続で、5月末時点で1520万件となった。付帯率の上昇は10年連続。03年の宮城県連続地震や十勝沖地震、04年の新潟県中越地震、11年の東日本大震災など大きな地震の直後に加入が伸びる傾向にある。

 付帯率は全都道府県で上昇し、特に被災地の近県の伸びが大きかった。上昇幅の最大は福島の6.7ポイント、2位は栃木(5.0ポイント)、3位は茨城(4.9ポイント)だった。宮城の付帯率は83.5%となり、昨年に続き全国で最も高かった。2位は高知の81.7%だった。

 家庭向けの地震保険は損保会社と政府が共同で運営する。地震保険単独では加入できず、火災保険の特約として入る仕組みだ。12年度は震災直後の11年度にくらべ付帯率の上昇幅は小さくなったが、地震や津波に備えようという意識は引き続き高まっている。首都直下や南海トラフなど想定される巨大地震への関心も大きい。

 地震リスクの高まりを背景に、損保各社は来年7月に最大30%、全国平均で15.5%の保険料の引き上げを行う。

 保険料や上げ幅は県ごとに異なり、東京は耐火性がある建物で保険金1000万円の場合、現行より3300円高い年2万200円になる。南海トラフの被害推計は織り込まれていないため、来夏以降にもう一段の値上げの可能性もある。ただ、免震構造、耐震性能を備えた住宅は割引率が上がるため値下げになる場合も多い。

 

6、南海トラフ重点10項目(国土交通省)

 国土交通省、西日本を中心に甚大な被害が想定されている南海トラフ巨大地震の「対策計画」について、中間取りまとめを公表した。地震発生時の緊急輸送路の確保など、今後、重点的に取り組み10項目が対策に盛り込まれた。今後は効果的な情報発信の方法などについて検討を行い、今年度中に最終的な対策計画を取りまとめる方針。
 計画では、東日本大震災では、津波や土砂崩れなどで、物資搬送の道路が寸断されたことを教訓に、南海トラフ地震で特に津波による被害が大きいとされる紀伊半島や四国、九州などの主要道路を検証。浸水想定地域の主要道路の幅、地形などのデータを収集し、あらかじめ復旧作業の優先順位をつける。また、被災状況を素早く把握できるよう、浸水範囲や道路寸断の状況などを一元的に把握できる電子地図を作製する。
 災害情報はこれまで、自治体や警察、消防などからの情報をもとに地図上に直接、記入してきたが、作業効率が悪いため、関係機関がコンピューター画面の地図上で情報を入力、更新できるシステムを構築する。人口が集中する濃尾平野、大阪平野で今年度から先行的にシステムを作り始め、全国に広げたい考えだ。
また、2015年度までに緊急地震速報の精度を更に高めることや、東海道新幹線で脱線時に大きな被害が想定される区間の脱線対策を進めることなども盛り込まれた。

 

7、災害避難ペット同行(環境省)

 環境省は、大災害時はペットの犬猫は飼い主と一緒に避難させることを原則とし、地方自治体に態勢整備やルール作りを促す「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン(指針)」を作成した。東日本大震災を教訓にまとめた。同行避難を明記した指針は初。全国の自治体に配布し、国の防災基本計画にも盛り込む。
 飼い主には、ペットが迷子にならないように飼い主の情報を記録したマイクロチップや名札を付けるよう促し、少なくとも5日分の水とペットフード、予備のトイレ用品などを備蓄するよう求めた。避難所で他の人に迷惑をかけないためのしつけや、避難ルートの確認などの対策も示した。
 自治体には、避難所や仮設住宅でペットを受け入れられるよう、飼育スペースや方法を決め、普段から同行避難の訓練をするよう求めた。災害発生時に被災ペットを受け入れる動物救護施設の設置なども盛り込んだ。
 獣医師会にも、協力可能な動物病院や獣医師のデータベース作成などを呼び掛けた。
 東日本大震災では、住民が津波や原発事故で緊急避難を余儀なくされ、ペットとはぐれた例が多かった。一緒に避難しても鳴き声や動物アレルギーなどの問題から避難所で受け入れが認められないケースもあったため、指針を作って国の考えを示した。

 

8、余震の予測迅速化(東京大学)

 東京大学生産技術研究所は、大地震後に発生する余震を、本震発生から約3時間で精度良く予測する手法を開発した。
 被害を拡大させる大きな余震は本震発生から1日以内に起きる確率が高いが、これまでは余震予測に1日かかっていた。救助活動中の被害など、余震による二次災害の防止に役立つ。
 余震の予測は、それまでに発生した余震の回数などを基に行われるが、マグニチュード2程度以下の余震は、比較的大きな余震と重なると観測できないことが多い。そのため、比較的大きな余震が頻発する本震発生直後は、余震を予測するのが難しい。そこで、小さな余震ほど発生回数が多いという経験則などから、観測できなかった余震の回数を統計学的に推定できることに着目。観測データと推定値を組み合わせ、本震発生から約3時間後に余震の規模や回数を予測する手法を編み出した。

 

9、消防本部に法律助言(消防庁)

 消防本部が消防法に違反しているホテルや雑居ビルに命令や告発をする際の専門知識をサポートしようと、弁護士にメールで法律相談をできる態勢を消防庁が整備した。指導したにもかかわらず、放置されている違反は相当数あると見られており、専門家の指南で是正につなげる。
 相談期間は来年3月末までで、消防庁と契約した全国9箇所の弁護士9人に何度でも相談できる。消防庁が用意した定型の書式に記入しメール送信、弁護士もメールで返答する。費用は消防庁が負担する。
 最近は建物の管理や所有形態が複雑化し、相手側が消防本部を訴えることもあり、幅広い法律知識が求められている。大きな消防本部は過去の事例を参考にしているが、中小規模の消防本部では参考例がないケースもあるという。
 昨年5月に宿泊客7人が死亡した広島県福山市のホテル火災では、福山地区消防組合が長年にわたり、消火栓の整備などを指導したものの改善されず、消防組合は施設改修や使用禁止の命令をしなかった。

 

10、避難訓練が形骸化(都道府県教委)

  学校の避難訓練が形骸化しており、教員や子どもの危機感が薄い――。全国都道府県教育長協議会が行った防災教育に関する調査で、都道府県教育委員会の約6割が、避難訓練などの現状を問題視していることが分かった。同協議会は「訓練の方式を工夫するなど、実効性のある防災教育が必要」としている。
 学校での避難訓練の課題(複数回答)を尋ねたところ、「学校だけで行われ、保護者や地域、市の防災部局などとの連携が不十分」を42都道府県が挙げ、最も多かった。「避難訓練が形骸化しており、教師や子どもに危機感が希薄」は29都道府県、「大規模災害への備えの必要性は感じるが、十分な訓練ができていない」は24都道府県が課題として挙げた。
 保護者や地域との連携を進める上での課題は、32都道府県が「連携を深める時間の確保が難しい」を挙げた。
 44都道府県が、防災教育では「自然災害から身を守り、被災後も乗り切る能力の育成」に重点を置いていた。一方、防災教育を推進する上での課題は7割超が「発達段階に応じた防災教育の体系化が不十分」、6割が「防災教育に関わる人材の不足」を挙げた。防災士の教育分野への浸透が急がれる。

 

11、避難勧告の遅れ検証(秋田・仙北市)

 秋田県仙北市田沢湖田沢供養佛で8月9日、4人が死亡、1人が行方不明になった土石流を巡り、仙北市は情報収集や伝達に問題があったとして検証作業を始めた。土石流は9日午前11時35分ごろに発生し、住民から間もなく、「山が崩れた」との110番があったが、市が現場周辺に避難勧告を出したのは2時間以上たった午後1時53分だった。検証では、県警などや機関からの情報も含め、庁内の部署でいつ、どのような内容の情報を把握していたかを確認する。
 市内各地で朝から激しい雨が降り、市は、河川の増水や国道の冠水などの被害が出た市北西部での対応を進めていた。しかし、北東部の供養佛地区は当初、他地区よりも降水量は少なく、現地からの情報も殆ど入っていなかった。避難勧告を出した時点でも、大規模な土石流の発生は把握していなかったとしている。

 

12、廃炉実施計画を認可(原子力規制委)

 原子力規制委員会は東京電力がまとめた福島第一原子力発電所の廃炉工程を安全に進めるための実施計画について認可した。漏出した汚染水の対策などが最優先事項として掲げられた。今後は廃炉作業を進めるうえで何らかの問題が生じると懸念される場合、規制委が計画の変更命令を東電に出せるようになった。
 改正原子炉等規制法に基づき、規制委は昨年11月、通常の実用炉に比べて国の管理を強める「特定原子力施設」に初めて同原発を指定。作業員の被曝ひばく管理や安全確保などの対策をまとめた実施計画の作成が義務づけられ、東電は同12月に実施計画を提出した。
 実施計画では、廃炉工程の全体像を明らかにし、原子炉の冷却や放射性物質の漏洩対策、電源の確保や燃料取り出しのリスク評価など全体的な工程の安全対策を網羅している。

 

13、警察署、耐震不足2割(警察庁)

 全国にある1175警察署のうち約2割にあたる213署で、建物の耐震化が行われていないことがわかった。警察庁が今年3月末現在の状況を調査した。8県警では全署の耐震化が完了していたが、3県警では耐震化率が50%に達していなかった。警察署は災害時、救助活動などの拠点となるため、同庁は全国の警察本部に耐震化を急ぐよう求めている。
 国は1981年、建築基準法の施行令を改正し、建物を新築する際には震度6強~7クラスの地震でも倒れない設計にするよう求めている。81年以前に建てられた警察署の中には改正された基準を満たしていない建物もあり、耐震工事が必要になっている。
 警察庁によると、耐震化の割合が最も低かったのは広島県警の33%。滋賀県警の42%、愛媛県警の44%が続いた。阪神大震災を経験した兵庫県警は77%で、全国平均の82%を下回っていた。一方、青森、静岡、島根、福岡など8県警は100%だった。
 2011年の東日本大震災では、岩手、宮城、福島の3県警で計58署が津波などの被害に遭い、3署は使用不能となった。また、福島県警本部は地震の揺れで庁舎が損壊し、災害対策本部の機能を近隣の警察署に移さざるを得なくなった。
警察署を耐震改修するために必要な費用は、平均で約8700万円。建て替えた場合に比べると、費用は1割程度で済むという。警察庁は「改修費はそれほど高くない。自治体の財政難だけではなく、防災意識の低さも背景にある」としており、全国の警察本部が都道府県に、改修などに必要な予算を確保するよう働きかけるよう指示している。

 

14、消防団の装備拡充へ(消防庁)

 消防庁は、東日本大震災で254人の消防団員が犠牲となったことを受けて、消防団に整備すべき資機材を定めた基準を見直す方針を固めた。全団員の無線機装備や、倒壊家屋などからの人命救助用のエンジンカッター配備を想定。同庁は装備を拡充することで、団員の安全確保を徹底する考えだ。
 大震災では無線機が一部の団員にしか配備されておらず、消防本部などからの情報伝達が行き届かずに津波からの避難が遅れ、多くの団員が命を落とした。また、危険な状況での救助やガレキ撤去活動の中心となったため、負傷したケースも相次いだ。
 このため同庁は、団員の活動に必要な制服や靴、無線機、消火用器具などを具体的に示している装備基準を見直すことにした。見直しに当たって、安全靴やエンジンカッター、油圧カッターなどを全国の複数の消防団に貸し出し、実用性を検証するための訓練を実施する。その結果を踏まえ、安全性の向上や救助活動の迅速化につながる装備品を新たに基準に盛り込む。

 

15、「不燃化特区」拡大へ(東京都)

 東京都は昨年11月に見直した地域防災計画を踏まえ、具体的な事業をまとめた「震災対策事業計画」を発表した。木造住宅密集地域の「不燃化特区」の拡大や都営地下鉄施設の耐震対策など約220の事業を盛り込み、数値目標も示した。
 火災で延焼の危険性が高い木造住宅密集地域については、建て替え時の補助金を拡充したり、固定資産税を減免したりする「不燃化特区」を12地区指定している。事業計画では不燃化特区を2015年度までに約50地区に増やす方針を示した。都営住宅の耐震化率は11年度末で約69%だが、改修や建て替えで20年度に100%に引き上げる。
 交通インフラの耐震対策も進める。都営地下鉄では高架の橋脚や駅の柱など、耐震補強の対象施設の38%を15年度までに工事を完了させる。災害時に救急車や消防車などが通る緊急輸送道路の遮断を防ぐため、沿道の建築物に耐震診断を促すなどし、耐震化率を15年度に100%に高める。
 津波・浸水対策では、都内の東部にある河川の堤防について、13年度に新たに計4.6キロメートルで耐震工事を実施する計画だ。都内に約100カ所ある下水道施設も、15年度までに26施設で防水扉や止水板などを設け、耐水化を施す。
 帰宅困難者対策として13年度に一時滞在施設の備蓄品購入への補助制度を創設。民間事業者に協力を呼び掛ける。
 都は昨年11月、地域防災計画を5年ぶりに修正した。首都直下地震などの被害想定で最大9600人とした死者数を、10年以内に3分の2減の3200人に抑えるなどの数値目標を掲げた。

 

 

[防災短信(地方や企業の動きなど)]

1、「歩道橋型」津波避難タワー
 ~南海トラフ備え、静岡県吉田町~9月24日読売新聞
2、東電の情報発信「国際的に混乱」
 ~原子力規制委員会が批判~9月6日読売新聞
3、日本郵便が高齢者事業
 ~安否報告や買い物代行~8月26日読売新聞
4、避難食料、自治体0.77日分
 ~家庭備蓄重要に~9月1日読売新聞
5、交通事故死13年ぶり増
 ~高齢者52パーセント~8月8日読売新聞(夕刊)
6、自衛官、警察官、消防士の人気アップ
 ~結婚したい頼れる男性~8月14日日本経済新聞夕刊
7、世界の水害被害総額「無策なら2050年に70倍」
 ~世界銀行調査~8月19日日本経済新聞
8、DNAの自動鑑定装置、6県警に新たに配備
 ~全国で11本部で身元確認迅速化~8月27日日本経済新聞夕刊
9、あなたを守る災害自販機拡大
 ~飲料無料で提供、避難情報を表示~8月21日読売新聞夕刊

 

 

【参考文献】

 

1、平成25〔2013〕年8月26日 『読売新聞』
2、平成25〔2013〕年9月4日 『読売新聞』
3、平成25〔2013〕年9月4日 『読売新聞』
4、平成25〔2013〕年9月15日 『読売新聞』
5、平成25〔2013〕年8月24日 『日本経済新聞』
6、平成25〔2013〕年8月23日 『読売新聞』
7、平成25〔2013〕年8月21日 『日本経済新聞』
8、平成25〔2013〕年8月4日 『読売新聞』
9、平成25〔2013〕年8月10日 『日本経済新聞』
10、平成25〔2013〕年8月23日 『読売新聞』
11、平成25〔2013〕年8月13日 『読売新聞』
12、平成25〔2013〕年8月14日 『読売新聞』
13、平成25〔2013〕年8月10日 『読売新聞』
14、平成25〔2013〕年8月21日 『読売新聞』
15、平成25〔2013〕年8月29日 『日本経済新聞』
16、平成25〔2013〕年7月11日 『日本経済新聞』

 

 

 

 

 

山口明の防災評論 一覧

ナンバー年月題名
第82号平成29年5月号山岳ヘリ救助 有料に(埼玉県)他
第81号平成29年4月号被災地の活動で20個人・団体顕彰(復興庁)他
第80号平成29年3月号家屋被害認定 兵庫に学べ(兵庫県)他
第79号平成29年2月号噴火警戒レベル低くても対策(内閣府)他
第78号平成29年1月号普及急げ 救急相談電話(消防庁)他
第77号平成28年12月号「海抜ゼロ」避難計画検討へ(中央防災会議)他
第76号平成28年11月号全国17火山の避難計画を策定へ(内閣府)他
第75号平成28年10月号「東海」南西側にひずみ蓄積(海上保安庁)他
第74号平成28年9月号震度6弱以上30年以内の確率 南海トラフ沿い上昇(文部科学省)他
第73号平成28年8月号熊本地震 九州で文化財被害300件超(文化庁)他
第72号平成28年7月号危険踏切58か所 初指定(国土交通省)他
第71号平成28年6月号災害時の業務継続計画 市区の66%未整備(地方公共団体)他
第70号平成28年5月号長周期地震動の「階級4」を国内初観測 震度6強の余震で(気象庁)他
第69号平成28年4月号帰宅困難者対策進まず(地方公共団体)他
第68号平成28年3月号市民標的テロ対策強化(警察庁)他
第67号平成28年2月号火山3割が携帯通信に「不安」(気象庁)他
第66号平成28年1月号火山列島ニッポン、活動期に(京都大学・気象庁)他
第65号平成27年12月号水害被災地に物資提供 都内自治体、連携の輪(東京都)他
第64号平成27年11月号震災避難20万人以下に(復興庁)他
第63号平成27年10月号マンション管理組合を防災組織と位置づけ(総務省)他
第62号平成27年9月号「6強で倒壊」814棟(文部科学省)他
第61号平成27年8月号復興事業4分類 一部地元負担へ(復興庁)他
第60号平成27年7月号救急隊、外国語で対応へ(消防庁)他
第59号平成27年6月号医療拠点 8割近く耐震化(厚生労働省)他
第58号平成27年5月号学校に避難 ルール課題(文部科学省)他
第57号平成27年4月号「使い捨て」観測衛星(内閣府、文部科学省、防衛省)他
第56号平成27年3月号高潮マップ8割超が「未作成」(国土交通省)他
第55号平成27年2月号住宅用火災警報器の設置率79.6%(総務省消防庁)他
第54号平成27年1月号被災者に家賃給付を(内閣府)他
第53号平成26年12月号緊急避難場所 指定31%(読売新聞社)他
第52号平成26年11月号被災地に職員「応援計画」都道府県66%作らず(総務省)他
第51号平成26年10月号救急車と救命士、病院常駐で威力(消防庁)他
第50号平成26年9月号政府が国土強靭化計画東京一極集中を脱却(内閣府)他
第49号平成26年8月号違法貸しルーム、火災防止へ(国土交通省、消防庁)他
第48号平成26年7月号避難勧告、自治体向け新指針決定(内閣府・消防庁)他
第47号平成26年6月号倒壊家屋5割減目標(内閣府)他
第46号平成26年5月号防災リーダー育成支援(内閣府)他
第45号平成26年4月号橋・トンネル点検義務に(国土交通省)他
第44号平成26年3月号首都直下型地震「死者23000人」(中央防災会議)他
第43号平成26年2月号復興予算、22%が未使用(会計検査院)他
第42号平成26年1月号地震時「危険」23区に集中(東京都)他
第41号平成25年12月号火災避難にエレベーター(東京消防庁)他
第40号平成25年11月号局地豪雨が激増(東京は昨年の3倍)(ウェザーニュース)他
第39号平成25年10月号津波予報、民間へ開放(気象庁)他
第38号平成25年9月号東海地震予知「困難」(内閣府調査部会)他
第37号平成25年8月号災害弱者名簿の掲載率(地方公共団体)他
第36号平成25年7月号水、食料備蓄学校の「3割」(文部科学省)他
第35号平成25年6月号南海トラフM8以上「60~70%」(地震調査委員会)他
第34号平成25年5月号「被災者の自殺者対策」(警察庁、地方公共団体)他
第33号「南海トラフ海底調査へ(文部科学省)」他
第32号「津波「巨大」すぐに避難を~新警報7日開始~(気象庁)」他
第31号「救急搬送の増加(総務省消防庁)」他
第30号「平成25〔2013〕年度予算の概算要求(防災・安全) 」他
第29号「災害関連死66歳以上9割(復興庁)」他
第28号「南海トラフ」集団移転対策、「首都直下」地方に拠点(中央防災会議)」他
第27号「災害対策基本法の改正~災害時 国・都道府県の役割強化(内閣府)」他
第26号「南海トラフ巨大地震の評価(内閣府)他
第25号「防災士養成数5万人を突破、小・中学校教職員に防災士資格取得義務化(日本防災士機構、松山市)他
第24号「首都直下型地震の発生確率(地震調査委員会)他
第23号「津波警報 表現に切迫性(気象庁)他
第22号「津波防災地域づくり法」が成立(国土交通省)他
第21号「東日本大震災関連第3次補正予算(内閣、財務相)他
第20号「台風12号の被害と避難勧告(地方公共団体)他
第19号「原発の津波対策とコスト(原子力安全委員会、原子力委員会)他
第18号「復興構想会議の答申(内閣官房)」他
第17号「東日本大震災関連専門調査会設置(中央防災会議)」他
第16号「震災関連第1次補正予算の成立(首相官邸)」他
第15号「震災復興関連の補正予算(財務省他)」他
第14号「原子力災害に関する正確な情報把握と行動(首相官邸。文部科学省)」他
第13号「大雪による死者、13道県で81人に(総務省消防庁)」他
第12号「東海地震観測情報」の新たな名称等(気象庁)」他
第11号「新しい公共」に関するNPO優遇税制(財務省、国税庁、地方公共団体)」他
第10号「猛暑による熱中症死者の激増(総務省消防庁)」他
第9号「熱中症による搬送状況(総務省消防庁)」他
第8号「グループホームの防災対策(総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省)他
第7号「消防団の充実強化対策(総務省消防庁)」他
第6号「大気中の二酸化炭素濃度について(気象庁)」他
第5号「水防月間(国土交通省)」他
第4号「新しい公共」・NPO法人への寄付(内閣官房)」他
第3号「新しい公共」の具体化(内閣官房)」他
第2号「消防職員の団結権(総務省消防庁)」他
第1号「平成22年度消防庁予算(総務省消防庁)」他
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